医療ICT NEWS FILE 20160610 vol.015

診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える
医療
NEWS FILE
vol.
2016.6.10
株式会社じほう 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町1-5-15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351
2
AMED 調整費
薬剤耐性菌対策に8.2 億円
医療 ICT 基盤研究には 21 億円
3 日薬、HPKI による「薬剤師資格証」を発行へ
厚労省が認証局設置を承認
9 米メディデータ・デフリース社長
「日本にチャンスあり」
政府の ICT 支援を評価
INFRASTRUCTURE
3
骨太 16 など閣議決定、
「世界に冠たる皆保険を維持」 政府
4
医療 ICT、現場に役立つ仕組みを議論 厚労省懇談会
4
ゲノム医療法制化へ、議員立法も視野 自民・尾辻氏ら、診断薬の開発促す
5
成長戦略、医療 ID 導入「マイナンバーカード活用」は修正へ 政府
6
MID-NET で市販後調査、
「比較」浸透の契機に 日薬連・青木氏、調査経費の大幅削減も
7
東京大・京都大のオンサイト運用、基本方針を提示 厚労省、NDB で
7
民間要請受け、NDB の医療機器関連データを公表 厚労省
CONTENTS
9
2 次医療圏と異なる構想区域の推計ツールを配布 厚労省
10
自身の診療情報を確認、
「ポケットカルテ」を聴取 自民・特命委
11
ビッグデータ活用「医療費適正化にも」 がんセンター・石川氏
015
禁無断複写
医療
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INFRASTRUCTURE
AMED 調整費
薬剤耐性菌対策に 8.2 億円
医療 ICT 基盤研究には 21 億円
日本医療研究開発機構(AMED)は 2016 年度、感染症に関す
る国内外の研究を推進するため、AMR(薬剤耐性)菌対策強化
に 8.2 億円の調整費を投じる。医療 ICT 基盤研究には 21 億円を
計上する。末松誠理事長らが 25 日に記者会見を開き、発表した。
調整費は AMED の裁量で独自に配分できる
へ移す際の「転記
予算で、医療分野の研究開発促進や充実などに
する手間」を省略
充てる。今年度は内閣府が計上している科学技
化できないか、研
術イノベーション創造推進費 500 億円のうち、
究を進める方針。
35%に当たる 175 億円が調整費として充当さ
そのほか、MID-
れる。そのうち今回の配分額は 151.4 億円で、
NET を 活 用 し 高
残りの 23.6 億円については、秋ごろの配分を予
度で高速な薬剤疫学的解析システムを構築する
定している。
研究や、レセプトなどの大規模電子診療情報を
AMR 対策は、G7 伊勢志摩サミット議長国と
解析することによって、薬剤疫学研究などを進
して、国際的な協調体制の下、推進していく。
める。これらの研究を通じて、ビッグデータを
AMED は調整費の使い方の具体例として、耐性
使った臨床研究環境の充実を図る。
今年度の調整費について説明する末松
理事長=25日、AMED
菌サーベイランスシステム構築支援(0.65億円)、
オールジャパンでの
医薬品創出に20.5 億円
多剤耐性淋菌の克服に向けた検査・診断法の開
発推進(0.5 億円)、薬剤耐性結核菌ゲノムデー
タベースの強化(0.65 億円)、多剤耐性菌に有効
な新規抗菌薬シーズ探索の加速化(3.2 億円)を
このほか、オールジャパンでの医薬品創出に
提示した。
は 20.5 億円の調整費投入が決まっている。具体
医療 ICT 基盤研究では、電子カルテなどの
的な取り組みとしては▽ゲノム編集ツールの研
フォーマットを共通化することで、データの相
究▽疾患登録システムの構築▽次世代抗体医薬
互利用環境を整える「共通プラットフォーム」
品の製造技術強化などによる革新的医薬品開発
を整備する。また、電子カルテをデータベース
の加速・充実―を示した。
2016 年5月25日【日刊薬業】
医療 ICT
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事 業
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INFRASTRUCTURE
日薬、HPKIによる「薬剤師資格証」を発行へ
厚労省が認証局設置を承認
日本薬剤師会は 5 月 26 日までに、厚生労働省から HPKI(保健医療福祉分野公開鍵基盤)認
証局の設置を認められた。これを受け、日薬は 4 月から運用が解禁された電子処方箋などに欠
かせない HPKI による「薬剤師資格証」を発行する。
2016 年5月26日【PHARMACY NEWSBREAK】 事 業
HPKI は ICT を業務に導入する際、薬剤師である
用されている。
ことを証明するために必要な機能で、HPKI 認証局
電子処方箋の発行が可能となったことで、今後、
が提供する。この仕組みを用いることで、印鑑に代
薬剤師資格証が必要になるケースが増加することが
わる「電子署名」や、ID やパスワードに代わる「電子
見込まれている。日薬は都道府県薬剤師会や地域薬
認証」の利用が可能になり、「なりすまし」を防ぐこ
剤師会の協力を得て、薬剤師の HPKI 証明書(IC
ともできる。これまでも大分県別府市で実施された
カード)の券面に顔写真と薬剤師免許証記載事項、
厚労省の「処方箋の電子化実証事業」での電子処方
薬剤師資格保有者であることを記載した薬剤師資格
箋への「調剤済印」や、石川県能登中部・北部地域で
証を発行していく予定だ。
の地域医療情報連携システムへのログインなどで使
骨太 16 など閣議決定、
「世界に冠たる皆保険を維持」
政府
2016 年 6月2日【MEDIFAX】 規制・GL
政府は 2 日の閣議で、経済財政運営と改革の基本
定の次期『がん対策推進基本計画』の策定に向け議
方針(骨太の方針)2016、規制改革実施計画、日本
論を進め、がん検診受診率のさらに高い目標を設定」
再興戦略(成長戦略)2016、ニッポン 1 億総活躍プ
することなども加えた。
ランなどを決定した。骨太方針では、社会保障改革
素案段階では盛り込まれていなかった「当面の経
の基本的な考え方に「世界に冠たる国民皆保険・皆
済財政運営と 17 年度予算編成に向けた考え方」の
年金を維持し、これを次世代に引き渡すことを目指
章も加えられた。この中で、17 年度予算編成の基本
す」とする文言が、素案段階から新たに加えられた。
的考え方として、社会保障について改革工程表に
医師の偏在対策については、素案では「規制的手
沿った改革を着実に実行するとした。さらに「医療
法も含めた地域偏在・診療科偏在対策を検討する」
費適正化計画に係る取り組みを含め、医療・介護分
とされていたが、
「実効性のある地域偏在・診療科偏
野等における徹底的な『見える化』に取り組む。また
在対策を検討する」に変更された。素案で「健康づく
医療費等の増加要因について、データやデータ分析
り・疾病予防等の取り組み推進」としていた項には、
に基づいて、精査・検証する」と明記した。
「重症化予防」も書き加え、
「2017 年 6 月に見直す予
医療 ICT
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INFRASTRUCTURE
在宅見取りの死亡診断手続き見直し
5 要件は変更なし
医療 ID 関連の記載で微修正
成長戦略 16
一方、規制改革実施計画では、在宅での看取りで
成長戦略 2016 では、マイナンバーカードなど医
の死亡診断手続きについて、一定の要件を満たす場
療 ID に関連した部分について修正が入った。案の段
合は医師が対面での死後診察によらず死亡診断書を
階では、医療等分野での ID の導入に関連し、「マイ
交付できるように検討する方針が盛り込まれた。具
ナンバーカードを活用し、国民にとって安全で利便
体的な 5 要件は、規制改革会議の答申から変更され
性が感じられる形で導入が進むような設計」との表
ていない。健康・医療分野ではこのほか、▽薬局に
現だったが、閣議決定された最終版では「公的個人
おける薬剤師不在時の一般用医薬品の取り扱いの見
認証やマイナンバーカードなどオンライン資格確認
直し▽診療報酬の審査の効率化と統一性の確保▽一
のインフラを活用し、国民にとって安全で利便性が
般用医薬品および指定医薬部外品の広告基準等の見
感じられる形で導入が進むような設計」に変更され
直し―などが盛り込まれた。
た。カードを所持していない人にも配慮した。
医療 ICT、現場に役立つ仕組みを議論
厚労省懇談会
2016 年5月31日【MEDIFAX】 規制・GL
厚生労働省は 5 月 30 日、「第 7 回保健医療分野に
つ形で共有できる仕組みの構築を目指し、データ
おける ICT 活用推進懇談会」
(座長=森田朗・国立社
の整備や活用方法について構成員が意見交換を
会保障・人口問題研究所長)を開催し、医療 ICT の現
行った。
場活用について議論した。医療データが現場に役立
次回の開催時期は今後調整する。
ゲノム医療法制化へ、議員立法も視野
自民・尾辻氏ら、診断薬の開発促す
2016 年5月26日【日刊薬業】 規制・GL
がん発症に関与する遺伝子をターゲットにした分
でも優れている」と述べた。米国オバマ大統領が 10
子標的薬の開発が進んでも、そのコンパニオン診断
億ドルを拠出して「がん撲滅ムーンショット」イニ
薬の国内開発が遅れているため、治療薬の患者アク
シアチブを立ち上げたことや、海外では遺伝子情報
セスに影響が及ぶ可能性が浮上している。この問題
の漏洩を防ぎつつ、万が一、情報が漏れても社会的
に、超党派の国会議員と行政、医療関係者、患者会
な不利益から守るという二重の規制があることを紹
がスクラムを組んで対策を練っている。ゲノム医療
介し、国内規制の必要性を指摘した。
を後押しするための法案提出も、政府提出法案(閣
さらに桜井氏は、製薬企業が開発中の PARP 阻害
法)と議員立法の両にらみで検討中だ。
剤を引き合いに出し、治療薬の開発は進んでいるも
超党派の国会議員で構成する「遺伝医療・ビジネ
のの、BRCA 遺伝子のコンパニオン診断薬は国内開
スを取り巻く諸課題を考える勉強会」
(発起人代表
発が進んでいないとして、治療薬へのアクセスを懸
=尾辻秀久元厚生労働相)が、法整備に向けて議論
念。採算が合わないことを恐れ、診断薬メーカーが
を続けている。5 月 25 日の会合では、がん患者会か
国内開発に二の足を踏んでいる状況を指摘した。
らヒアリングを実施。キャンサー・ソリューション
会合では診断薬の規制関係者から「コンパニオン
ズの桜井なおみ氏は、がんハイリスク患者に対する
診断薬なしに、治療薬だけ承認することはない」と
先制医療の重要性を指摘し「先制医療は費用対効果
の指摘も出た。厚生労働省は 2013 年 7 月に、治療薬
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INFRASTRUCTURE
とコンパニオン診断薬を原則的に同時申請するよう
律が全くないのは日
求める審査管理課長通知を出している。
本だけ。法律が必要
会合に出席した厚労省厚生科学課の椎葉茂樹課長
なのははっきりして
は、昨年 11 月に設置した「ゲノム情報を用いた医療
いる」とし、
「厚労省
等の実用化推進タスクフォース(TF」)で、難病に続
も TF の報告書を踏
き、がんの遺伝子診断も取り上げる方針を説明。
「遺
まえ、どう法規制を
伝子研究の成果を実用化するためには、保険適用と
敷くか判断するだろ
薬事承認の両面で仕組みが必要」と述べ、今夏前に
う。閣法なら国会議
報告書を取りまとめる方針を示した。TF では、遺伝
員も口出ししないが、
学的検査の品質・精度の確保や、患者・家族への情報
閣法を出さなかった
提供、ゲノム医療従事者の育成、医療提供体制、新
り、閣法では対応し
製品・新技術への保険適用などを課題に挙げている。
づらいことなどが出
さらに椎葉課長は「(遺伝素因はあるが)まだ病気
てくれば、開き直っ
ではない人に保険適用するのかがポイントだ。中医
て議員立法を出すことも視野に入れる」と述べた。
協でも議論することになる」と付け加えた。
その際には、現在の「勉強会」を超党派の「議員連盟」
これに対して尾辻氏は「出産は病気ではないから
に格上げする方針だ。薬師寺氏は「議員立法を出す
保険適用していないが、出産費用は出している。
『救
としたら、来年の通常国会に間に合うようにしたい」
える命は救う』のが基本だ。出すべき金は、国が出
と語った。
せばよい。その金を何とか工面するのが政治家の仕
また尾辻氏は、ゲノム医療の研究開発でも日本企
事だ」と述べ、厚労省の背中を押した。
業に奮起を促した。
「『薬をいくらで売ろうが勝手
尾辻秀久発起人代表=25日、参院議
員会館内
だ』という米国文化の企業に市場を独占されたら、
来年の通常国会に提出か
医療費が足りない。日本の文化なら、そのようなこ
とをしないと思う。日本企業が最先端を走って薬を
会合後、尾辻氏と薬師寺みちよ参院議員は、遺伝
開発してくれれば、価格も常識の線に収まるのでは
医療の規制法を閣法と議員立法の両にらみで検討し
ないか」と語った。
ていることを明かした。尾辻氏は「ゲノム対策の法
成長戦略、医療 ID 導入「マイナンバーカード活用」は修正へ
政府
2016 年5月24日【MEDIFAX】 規制・GL
政府の「日本再興戦略(成長戦略)2016 案」に、医
について検討し、来年度から着実にシステム開発を
療保険のオンライン資格確認や医療等 ID の導入を
実行する」と記載。その際にマイナンバーカードを
進めるに当たり、マイナンバーカードを活用する内
活用する旨が書き込まれていた。
容が盛り込まれていることに対し、5 月 24 日の自民
この点について、党厚生労働部会長の古川俊治氏
党政調全体会議・日本経済再生本部合同会議で、複
は「マイナンバーカードを持たない人には、
(保険者
数の議員から修正を求める声が上がった。指摘を踏
を異動しても変わらない)資格確認用番号による ID
まえ、政府も修正に応じる姿勢を示した。
の付与を検討していると聞いている」と指摘。マイ
成長戦略案には「医療保険のオンライン資格確認
ナンバーカードを持たない人にも配慮した表現に改
および医療等 ID 制度の導入について、2018 年度か
めるよう求めた。
らの段階的運用開始、20 年からの本格運用を目指し
元厚生労働相の尾辻秀久氏も「これまで『医療に
て、本年度中に具体的なシステムの仕組み・実務等
ついては、マイナンバーは直接利用しない』と(政府
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INFRASTRUCTURE
は)説明してきた。しかし(成長戦略案には)
『マイナ
これに対し、政府側は的確に回答できなかったた
ンバーカードを活用し』と書かれている。この整合
め、尾辻氏は政府内で整理した上であらためて説明
性をどう取るのか」と問いただした。
するよう求めた。
MID-NET で市販後調査、
「比較」浸透の契機に
日薬連・青木氏、調査経費の大幅削減も
2016 年 6月3日【日刊薬業】 事 業
日本製薬団体連合
ついて▽他の治療法との比較が浸透する契機になる
会の「薬剤疫学およ
可能性▽市販後調査の経費節減▽緊急的な対応も含
び医療データベース
めた調査の迅速化―の 3 点を挙げた。
活用促進」ワーキン
他の治療法との比較について青木氏は、現在の国
グチームの青木事成
内での市販後調査は自社製品の情報収集のみに特化
リーダー(中外製薬
しており、科学的・合理的なアプローチとしては不
医薬安全性本部安全
十分と説明。
「自社製品のリスクが許容範囲かどう
性データマネジメン
か検証する手段として、他の治療法と比較する手法
ト部疫学グループマ
に転換すべきだ」と述べ、MID-NET 活用の意義を強
ネージャー)は日刊
調した。
薬業の取材に応じ、
経費節減については「調査規模によるが、数千万~
取材に応じる青木氏
医薬品医療機器総合
数億円かけているような現在の調査が、数百万~数
機 構 の「 医 療 情 報
千万円規模に節減できる可能性がある」と述べた。
データベース基盤整備事業」
(MID-NET)で収集・管
今後は、利用料など費用負担の在り方について厚
理するデータを、製薬企業の製造販売後調査などに
労省の医療情報 DB 検討会がワーキンググループを
活用する方向性が決まったことについて、「実臨床
設置して検討することが決まっている。青木氏は、
における自社製品の安全性を確認する手段として、
国費投入や業界の寄付を前提にするのではなく、イ
他の治療法との比較・検討が浸透する契機になる可
ンセンティブの付け方を工夫した自立自走の仕組み
能性がある」との見方を示した。
を理想に掲げる。
「例えば MID-NET にデータ提供
その上で、MID-NET の活用については「費用負担
する医療機関のうち、特定の病院のデータの質が良
の構造も含めて競争原理などが働く自立自走の仕組
ければ、利用が増える。病院には、その分の利用料
みにするべき」と述べ、2018 年度の本格運用に向け
が入るような工夫が必要」と提案した。
た仕組みづくりの検討で産業界が議論をリードする
さらに「“ 安全性を科学する ” 観点では、一般化の
必要があるとした。
可能性を確認するため、同じ研究デザインで複数の
MID-NET をめぐっては、青木氏が委員を務める
データベースを用いることが可能な体制が理想。
厚生労働省の「医療情報データベースの運営等に関
MID-NET での経験を、民間のデータベースの質向
する検討会」
(医療情報 DB 検討会)が、製薬企業の製
上などに活用できるような取り組みを求めたい」と
造販売後調査や市販後安全監視などに利活用するこ
も述べた。
とで合意した。青木氏は、MID-NET 活用の意義に
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東京大・京都大のオンサイト運用、基本方針を提示
厚労省、NDBで
2016 年5月25日【MEDIFAX】 事 業
厚生労働省は 5 月 25 日の「レセプト情報等の提供
厚労省は基本方針に沿ってガイドライン(GL)の整
に関する有識者会議」で、ナショナルデータベース
備、技術的課題の解決などを進め、今年度中に第三者
(NDB)の利活用に向けて東京大と京都大に設置し
利用をスタートさせたい構えだ。6 月には有識者会議
たオンサイトリサーチセンターについて、運用の基
のメンバーが東京大のオンサイトを視察する見通し。
本方針を示した。厚労省はこの方針について「利用
この日の有識者会議で、松田晋哉構成員(産業医
の前後に厳格な審査を行うことで、オンサイト内で
科大教授)はオンサイトの第三者利用に向け、標準
の一定の自由を確保する」と説明している。
的なテキストや、個人情報などに関する研修会が必
オンサイトについては、東京大で昨年 12 月から、
要になると指摘した。石川広己構成員(日本医師会
京都大で今年 2 月から試行的利用が始まっている。
常任理事)は、NDB を利活用した結果を一般に分か
厚労省が示した運用の基本方針は以下の通り。▽オ
りやすい形で示すべきとの姿勢を示した。棟重卓三
ンサイトの利用に当たっては、利用のための申し出
構成員(健保連理事)は、オンサイトからの情報漏洩
を行い、有識者会議分科会の審査を受ける▽オンサ
を防ぐ仕組みを整えるよう要望した。
イト内でのデータの集計・分析については申し出た
社会医療診療行為別統計へのNDB 利用
GLでルール化
利用目的の範囲内で一定の自由を認める▽オンサイ
トを利用する際は、各オンサイトの利用ルールを順
守する▽オンサイト内での集計などを外へ持ち出
し、公表する前には、原則として有識者会議分科会
また厚労省は同日、NDB の社会医療診療行為別統
の審査を受ける▽漏洩・不正利用などに対するペナ
計への利用についてルールを明確化するため、「レ
ルティーは従来の第三者提供とおおむね同等のもの
セプト情報・特定健診等情報の提供に関する GL」の
を整備する―。
改正案も示した。
民間要請受け、NDB の医療機器関連データを公表
厚労省
2016 年5月25日【MEDIFAX】 事 業
情報システム開発センター理事長)で、日本医療機
器テクノロジー協会の申し出を受け、ナショナル
データベース(NDB)から抽出した医療機器関連の
データを 17 日に厚労省のホームページで公表した
と報告した。データは同日、協会にも提供した。民
間の要請を受けて、NDB 抽出データを公表・提供す
るのは初めて。
データは、厚労省の「レセプト情報・特定健診等情
報の提供に関するホームページ」に掲載した。具体
的には 2013 年度診療分で、▽ PTA バルーンカテー
レセプト情報等の提供に関する有識者会議=25日、厚労省
テルを用いて四肢の血管拡張術・血栓除去術を行っ
厚生労働省は 5 月 25 日に開いた「レセプト情報等
た患者数▽人工股関節置換術を行った患者数▽持続
の提供に関する有識者会議」
(座長=山本隆一・医療
緩徐式血液濾過術を行った患者数―について、月別・
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INFRASTRUCTURE
15 年度のNDB 提供
申し出36 件、承諾 34 件
都道府県別の数値を公開している。ただし、患者数
が 10 人未満の場合は明らかにしていない。
民間からは日本製薬工業協会も、医薬品の市販後
安全性評価・臨床開発に関する NDB 抽出データを
厚労省は 25 日の有識者会議で、NDB データの第
求めており、すでに申し出は了承されている。厚労
三者提供に関する最近の状況なども報告した。15 年
省によると、対象とする数十種類の薬剤について現
度の申し出は 36 件で、承諾は 34 件。11 年度からの
在調整しており、今年度中にはデータを公表・提供
累計では、申し出は 143 件で、承諾は 94 件。この累
したい構えだ。
計の承諾 94 件について申出者区分を見ると、大学・
厚労省は今後、一般公表する「NDB オープンデー
大学院が 52 件で過半数を占め、国の行政機関が 21
タ」を作成する過程で民間からの提案も受け付け、
件、研究開発独立行政法人などが 7 件、都道府県が
有識者会議で審査・検討した後、抽出・集計できる項
6 件、国所管の公益法人が 5 件となっている。デー
目について公表していく考えだ。
タ提供を承諾してから実際にデータを提供するまで
の平均日数は、15 年度審査分で 124 日だった。
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適応・用法付 薬効別薬価基準
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平成 28 年版
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医療 ICT
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B5 判/ 600 頁/ 2016 年 4 月刊
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NEWS FILE
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薬効・薬価リスト
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B5 判/ 1,000 頁/ 2016 年 4 月刊
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医薬情報研究所/編
定価(本体 3,400 円 + 税)
A5 判/ 750 頁/ 2016 年 8 月刊
ISBN:978-4-8407-4811-7
8
平成 28 年
薬価基準点数早見表
平成 28 年 4 月版
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定価(本体 3,600 円 + 税)
A5 判/ 950 頁/ 2016 年 3 月刊
ISBN:978-4-8407-4804-9
診療所外来点数
マニュアル 2016
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診療報酬研究会/編著
定価(本体 3,400 円 + 税)
A4 判/ 400 頁/ 2016 年 4 月刊
ISBN:978-4-8407-4809-4
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CONTENTS
米メディデータ・デフリース社長「日本にチャンスあり」
政府の ICT 支援を評価
米メディデータ・ソリューションズのグレン・デフリース社長は 5 月 24 日、都内で開かれた
メディデータ主催のシンポジウムで講演し「日本の医療業界がどのように(ICT で)革新をと
げるか、どう手助けができるか政府も考えている」と述べ、医療情報を扱う産業を日本政府が
後押ししているとの認識を示した。
2016 年5月24日【日刊薬業】 医療・介護
現在、厚生労働省が ICT の活用を話し合う懇談会
を設けているほか、政府の産業競争力会議が成長戦
略の素案で、ビッグデータなどの活用を「第 4 次産業
革命」と位置付け産業振興を図る方針を示している。
デフリース氏は「日本にチャンスがある。われわ
れにビジネスチャンスをもたらしてくれる変革を政
府が後押ししている」と述べ、日本政府の対応を評
価した。その上で「日本には高齢化した人口を健康
に保ち生産性を上げるという課題がある」と述べ、
メディデータが提供するサービスを活用することで
製薬企業が効率的な治験ができるとした。
米メディデータのデフリース社長
日本法人の山本武社長も講演し、昨年国内で製薬
企業が承認を取得した 115 品目のうち、75 品目でメ
国、中国、シンガポールにもオフィスを持ち、国際
ディデータのソリューションが使われたと実績を紹
共同治験を支えるサービスインフラを持っている」
介した。
と述べ、グローバル、ローカル両方の製薬企業にサー
山本氏は「われわれはアジアで、日本のほか、韓
ビスを提供できるとした。
2 次医療圏と異なる構想区域の推計ツールを配布
厚労省
2016 年 6月3日【MEDIFAX】 医療・介護
都道府県が策定している地域医療構想で、厚生労
設定などを検討している 13 県(秋田、福島、千葉、
働省は 2 次医療圏と異なる構想区域で医療需要や必
神奈川、静岡、愛知、三重、兵庫、奈良、香川、長
要病床数を推計できる新たな支援ツールを配布した。
崎、熊本、宮崎)。千葉、静岡、奈良の 3 県はすでに
5 月 31 日付で事務連絡した。厚労省医政局地域医
地域医療構想を策定済みだが、同課は「第 7 次医療計
療計画課によると、新たな支援ツールを配布したの
画の策定に向けた議論などで活用すると聞いてい
は、昨年秋の段階で 2 次医療圏と異なる構想区域の
る」としている。
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構想区域ごとの医療需要などの推計に関して、厚
異なる設定とした場合、大まかな推計は可能なもの
労省は昨年 6 月に 2 次医療圏を構想区域として設定
の、詳細な推計についてはできなかった。このため、
して推計する支援ツールを各都道府県に配布してい
厚労省は各県が変更した場合の構想区域を設定し、
る。この支援ツールでは、構想区域を 2 次医療圏と
新たなツールを作成した。
自身の診療情報を確認、
「ポケットカルテ」を聴取
自民・特命委
2016 年5月26日【MEDIFAX】 医療・介護
自民党の IT 戦略特命委員会(平井卓也委員長)は
報をしっかりと管理
5 月 26 日、患者が自身の診療・検査情報をクラウド
し、治らなかった患
に蓄積できるサービス「ポケットカルテ」について、
者や重症化した患者
国立病院機構京都医療センターの北岡有喜医療情報
が、治った患者とど
部長からヒアリングを行った。北岡氏は、患者の医
のように違ったの
療履歴などを自ら時系列に集約・管理できる仕組み
か。そこを分析する
づくりの必要性を訴えるとともに、こうした仕組み
ことが重要。治らな
を通じた医療の質の向上、医療費抑制効果などに期
かった患者が重症化
待感を示した。ヒアリング後、平井委員長もこうし
するのを防ぐ施策を
た取り組みを後押しする意向を示した。
打つことで、医療の
北岡氏は、患者の医療履歴は医療機関ごとに個別
最適化、医療費の最
管理されており、普段かかりつけ医を受診する患者
適 化 が で き る 」と
が、総合病院の専門医を受診することになった場合、
語った。
「ポケットカルテ」を紹介する北岡氏
=26日、自民党本部
既往歴や家族歴・アレルギー情報などの「予診・問診
4月末時点で約 5 万人が利用
情報」の共有が不十分な事例が数多く見受けられる
と説明。診察での説明や検査・投薬が重複して行わ
れたり、医療機器の予約に時間が掛かるなど、費用
ポケットカルテ(全機能版)は 4 月末時点で約 5 万
や時間の無駄に加え、医薬品の飲み合わせによって
人が利用しているという。北岡氏は、特徴として▽
は患者が危険にさらされるケースもあると指摘した。
PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を実現するた
また、診療録の保存義務は 5 年間のため、例えば
めのサービス。どんな治療を受けたのかなど、患者
手術を受けても、最終受診から 5 年間経過すれば、
本人が自身の情報を時系列で確認できる▽「自己情
手術記録は破棄されている可能性があると説明。
「医
報コントロール権」を満たす唯一の生涯カルテ▽実
療は個人の履歴に頼らざるを得ない。逆に履歴さえ
在する個人の「ライフログ」で、介入効果の判定が可
あれば、かなり短期間に正しい診断をして、正しい
能▽医療費控除明細参考リスト作成機能を持ち、取
治療を開始することができる。医療の質を上げなが
り込まれたデータには一般用医薬品や特定保健用食
ら医療費を減らすことが可能だ」との考えも示した。
品、嗜好品などの購買データが含まれる―などを挙
医学研究基盤としての役割にも言及。
「個人の情
げた。
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ビッグデータ活用「医療費適正化にも」
がんセンター・石川氏
2016 年5月23日【MEDIFAX】 医療・介護
国立がん研究センター臨床経済研究室の石川ベン
ジャミン光一室長は 5 月 21 日、IT ヘルスケア学会
学術大会で、DPC データをはじめとした医療ビッグ
データの具体的な活用事例を解説した。診療実態を
施設別に比較できるほか、医療費適正化効果にも期
待感を示した。
石川氏は自身を中心としたグループが行った DPC
データの分析による研究結果を紹介。頭蓋内腫瘍の
摘出手術に関する医療機関 531 施設(患者数 6300
ITヘルスケア学会学術大会の会場となった国立病院機構本部
人)からのデータによると、患者の入院日数は中央
値で 26 日(術前 5 日、術後 19 日)だった。抗がん剤
データの提供者側に対して安心感や信頼感を生み出
など各種薬剤の使用状況のほか、放射線治療やリハ
すことの必要性を訴えた。
ビリの実施状況も分析することで、「(自院が)全国
宮田氏 「患者にメリットのある仕組みを」
の病院と比較してどうか、ということを見ることが
できる」とデータ活用のメリットを強調した。
よりマクロな視点では、各病院や地域全体での疾
同日は慶応大医療政策・管理学教室の宮田裕章教
患別症例数や平均在院日数、診療圏を把握すること
授も講演。ビッグデータの活用促進で「最も必要な
により、人口や患者数の将来的な変化に応じた、あ
のは、臨床現場と連携しつつ、患者や社会に何が必
るべき医療提供体制の分析が可能になると説明。
「医
要なのかを考えていくこと」と述べた。本紙に対し
療費の適正化にも使うことができる」と述べた。
ては「プライバシールール(個人情報保護に関する
石川氏は講演終了後、本紙の取材に対し、医療ビッ
規制)について、データ活用とのバランスをもっと
グデータを民間活用する際の課題について「社会的
考慮すべき」とし、
「代理機関」制度の整備と同時に、
なコンセンサスが成熟していない」と指摘。適切な
データの提供者である患者などにメリットのある仕
活用による具体的な価値や社会的な貢献を示し、
組みを整えることの重要性を強調した。
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