施 策 名 ストーカー・DV事案を始めとする人身安全関連

施 策 名
ストーカー・DV事案を始めとする人身安全関連事案及び警察安全相談
に対する適切な対応
施策目標
ストーカーやDV事案などの恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案
や行方不明事案、虐待事案等の凶悪犯罪に発展するおそれのある人身安全
関連事案に対しては、迅速・的確な対応により、犯罪被害を未然に防止す
る活動を徹底します。また、犯罪発生実態のきめ細かな分析により、地域
の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策を推進し、地域社会と連帯した
犯罪の起きにくい社会づくりの推進を図ります。
取組結果
第1 ストーカー・DV事案を始めとする人身安全関連事案への対応
1 ストーカー・DV事案等への的確な対応
(1) ストーカー事案への対応状況
平成27年中のストーカー事案の認知件数は1,103件で、前年と比べ
て45件(3.9%)、検挙件数は162件で同じく2件(1.2%)減少してお
りますが、検挙件数に占めるストーカー規制法違反事件検挙件数は51
件で前年と比べて9件(21.4%)増加し、過去最多となりました。
ストーカー事案の認知・検挙状況
1,500
200
150
1,000
100
500
0
(2)
50
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
認知件数(件)
1,016
1,163
1,285
1,148
1,103
検挙件数(件)
110
135
132
164
162
0
DV事案への対応状況
平成27年中のDV事案の認知件数は2,736件で、前年と比べて201
件(7.9%)、検挙件数は538件で同じく111件(26.0%)増加しました。
DV事案の認知・検挙状況
3,000
600
500
2,000
400
300
1,000
200
100
0
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
認知件数(件)
1,860
2,101
2,113
2,535
2,736
検挙件数(件)
215
328
361
427
538
0
(3)
広報啓発・関係機関等との連携
ストーカー・DV事案等の被害を防止するため、関係機関・団体、
事業者等と連携して、ストーカー・DV事案の現状や各種手続きに
ついて広報啓発に取り組んだほか、相談窓口での適切な防犯指導等、
被害の防止に向けた対策を推進しました。
ア 被害者等に対する支援及び広報啓発活動
(ア) 相談電話による被害者支援
「(078)371-7830皆一番に相
談し、悩みゼロ」をキャッチコ
ピーに、24時間体制で相談を受
理し、防犯指導や自衛手段等の
対応要領を教示するとともに、
必要に応じて相手方に注意をす
るなど、被害者への支援を行い
【相談電話による支援】
ました。
(イ) 街頭キャンペーンによる広報啓発活動
関係機関と連携し、駅前広場
等において通行中の女性に対し
て広報啓発用チラシやカイロを
配布するなど、ストーカー・
DV相談窓口の周知を図るとと
もに、早期相談による被害の拡
大防止の啓発を目的とした街頭
【キャンペーンの配布物】
キャンペーンを実施しました。
(4) 関係機関・団体と連携した被害防止対策の推進
ア 広報啓発活動の推進
ラジオ放送を活用し、本県が独
自に導入した「安心コールシステ
※
ム 」等を紹介したほか、各警察署
が行った街頭キャンペーンに対す
る取材を通し、県警察のストーカ
ー・DV事案に対する取組を広報
することにより、被害防止に向け
【ラジオ放送の状況】
た県民意識の啓発に努めました。
※
被害者の安全確保を図るため、チェックシート等を活用し、被害者への現況確認(連絡)
を、事案の緊急性・危険性等に応じて確実に行うためのシステム。
イ
関係機関・団体との連携の強化
関係機関が相互に連携を図り、被害者支援を効果的に推進する
ことを目的として設置されている「ひょうごDV防止ネットワー
ク会議」等の構成員として参画するとともに、関係機関との研修
会や連絡会議等にも積極的に参加し、ストーカー・DV事案等に
対する対応に当たっての知識、技術の向上や相互の連携強化を図
りました。
2 適切な行方不明者発見活動の推進
行方不明者発見活動に関する規則(平成21年国家公安委員会規則第
13号)に基づき、組織的な行方不明者発見活動を実施するとともに、
認知症に係る行方不明者対策を推進しました。
(1) 行方不明者届受理・解決状況
平成27年中の行方不明者届受理件数は4,932件で、前年と比べて
55件(1.1%)、解決件数は4,878件で同じく87件(1.8%)減少し
ました。
行方不明者の届出受理・解決状況
6,000
5,500
5,000
4,500
4,000
注
(2)
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
届出受理件数(件)
5,079
5,183
5,407
4,987
4,932
解決件数(件)
5,073
5,063
5,199
4,965
4,878
解決数には、過去及び他の都道府県警察で受理した届出を含みます。
県警ウェブサイトを活用した行方不明者に係る資料の公表
認知症に係る行方不明者
対策の一環として、県民か
らの情報が広く得られるよ
うに、県警ウェブサイトで
行方不明者に係る資料を公
表しました。
【県警ウェブサイトを活用した公表状況】
(3)
迷い人閲覧台帳の継続運用
自治体が保護する迷い人 ※の身元を特定するため、当該迷い人の写
真等を付した「迷い人閲覧台帳」を当該自治体の要請に基づき各警
察署生活安全課に備え付け、行方不明者届の届出人が閲覧できるよ
うにしました。
※
生活の本拠を離れ、その身元が明らかでない人のことをいいます。
(4)
認知症サポーター養成講座の受講
認知症高齢者に係る事案の増加が見込まれることから、認知症へ
の正しい知識と理解を深めるために市町と連携を図り警察職員に対す
る認知症サポーター養成講座の受講を推進しました。
3 高齢者・障害者虐待事案に対する迅速・適切な対応
虐待事案における危険性・切迫性の適切な判断と被虐待者の安全確
保を最優先とした的確な対処を図るとともに、被虐待者の住居地のあ
る市町への通報を徹底しました。
(1) 高齢者虐待事案への対応状況
平成27年中の高齢者虐待事案の認知件数は525件で、前年と比べて
19件(3.7%)、市町への通報件数は514件で同じく17件(3.3%)増
加しております。また、事件処理件数も63件と、前年に比べて12件
(21.5%)増加しました。
高齢者虐待事案の対応状況
600
70
500
60
50
400
40
300
30
200
20
100
0
10
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
認知件数(件)
258
356
403
506
525
措置状況:市町への通報件数(件)
249
340
389
497
514
措置状況:指導警告件数(件)
148
237
213
303
351
措置状況:事件処理件数(件)
29
29
38
51
63
措置状況:援助要請件数(件)
7
7
13
13
4
注
0
措置状況は複数計上になっています。
(2)
障害者虐待事案への対応状況
平成27年中の障害者虐待事案への対応件数は11件で、前年と比べ
て2件(22.2%)増加しました。また、措置として、市町に対する
通報件数は11件で、このうち3件を事件処理しました。
4 警察安全相談の充実
職員に対する教養を徹底し、相談者の立場に立った迅速・的確な対
応に努め、犯罪等による被害の未然防止・拡大防止に向けた取組を推
進しました。
(1) 警察安全相談体制の強化
ア 警察安全相談担当者等の指定
警察安全相談専従者や相談に対応する女性警察官を配置するな
ど、警察署における適切な相談業務の推進に努めました。
イ 犯罪行為の認知の機会を逃さないための取組
(ア) 広域相談指導係
複数の所属にまたがる相談については、警察本部に設置した
「広域相談指導係」において集約・分析の上、主として対応す
る警察署や部門を調整するとともに、必要な指示等を行うなど、
犯罪行為の認知の機会を逃さないための取組を推進しました。
平成27年中は、8,209件の相談を集約・分析し、相談等に対す
る迅速かつ的確な対応を徹底し、県民の安全安心の確保に努め
ました。
(イ) ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談
兵庫県と県警察の共同事業として運営している「ひょうご地
域安全SOSキャッチ電話相談(078)341-1324」においても、
県民から寄せられる日常生活の中で気付いた異変に関する相談
等について、犯罪行為を認知する機会を逃さないよう、適切に
対応しました。
平成27年中は、294件の相談を受理し、警察や県・市町の専門
機関と連携し県民の安全安心の確保に努めました。
(2) 職員に対する教養の徹底
警察学校における教養のほか、警察署の相談担当者等に対する講
習や巡回指導など、相談の対応に当たる職員が、常に相談者の立場
に立った迅速・的確な対応が執れるよう、教養を実施しました。
第2
犯罪抑止総合対策の推進
県民が安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指し、
地域の犯罪情勢に即した犯罪抑止総合対策を推進しました。
1 刑法犯の認知状況
平成27年中の県内の刑法犯認知件数は59,374件で、前年と比べて、
5,537件(8.5%)減少しました。
刑法犯の認知件数
80,000
70,000
60,000
50,000
認知件数(件)
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
76,532
75,642
70,532
64,911
59,374
2
ひったくり抑止対策
自転車の前カゴからのひったくり被
害が多発したことから、路上において
実践的な被害防止訓練を実施したほか、
ひったくり発生時には、「ひょうご防犯
ネット」を始め、各種広報媒体を活用
したタイムリーな情報発信に努めまし
た。
【実践的被害防止訓練の実施状況】
3 子どもと女性の安全対策
子どもや女性自身の犯罪に対する抵
抗力を高めるため、参加・体験型の防
犯教室や護身術訓練を実施するととも
に、防犯ボランティア等と連携した小
学校の登下校時における見守り活動を
行うなど、子どもと女性の安全対策の
強化を図りました。
【護身術訓練の実施状況】
第3
地域社会と連帯した犯罪の起きにくい社会づくりの推進
地域住民、事業所、自治体等の関係機関・団体と連携を図り、防犯
対策をより効果的に推進するための防犯ネットワークの整備・活用を
始め、街頭防犯カメラの設置促進、幅広い世代の参加による防犯ボラ
ンティア活動の活性化など、地域社会と連帯した犯罪の起きにくい
社会づくりを推進しました。
1 防犯ネットワークの整備・活用
(1) 関 係 機 関 ・ 団 体 と の 防 犯 ネ ッ ト
ワークの拡充
地域住民や各種防犯活動に取り組
む事業所・団体・自治体との防犯
ネットワークの拡充を図るため、各
種会議等を通じて、情報の共有や連
携強化に努めました。
【自治体、防犯協力事業所等との連携会議】
(2) 「ひょうご防犯ネット」登録拡大
メールにより防犯情報等を配信する
「ひょうご防犯ネット」を活用して、
県民の身近で発生する犯罪情報等を
タイムリーに配信し、県民の防犯意
識と地域の防犯力の向上を図るととも
に、より多くの県民に情報配信できる
よう、キャンペーンや各種会合等を
通じて登録者数の拡大に努めました。【「ひょうご防犯ネット」広報チラシ】
2
街頭防犯カメラの設置促進
防犯研修会などの機会を通じて自治
会等に対し、防犯カメラの有用性や
自治体が行う防犯カメラ設置補助事業
の紹介を行うとともに、自治体に対し
ては、設置補助事業の創設や拡充に向
けた働き掛けを行い、街頭防犯カメラ
の設置促進を図りました。
【伊丹市内の通学路に設置された防犯カメラ】
3 防犯ボランティア活動の活性化
各種防犯情報の提供や防犯パトロールへの同行など、各種防犯活動
に対する支援を行ったほか、大学生等の若い世代や社会人等の現役世
代に対して、自主防犯活動への参加促進を促すなど、防犯ボランティ
ア活動の活性化に努めました。
【青色 防犯 パト ロール 車に よる 合同パ トロ ール 】
【サッ カー 観戦 客への自 主防 犯活 動の 呼び か け 】
第4 地域住民が真に解決を望む事案への迅速・的確な対応
1 地域住民が求める安全安心のための犯罪抑止・検挙活動の推進
(1) パトロール
犯罪が多発する時間帯、地域を分
析し、犯罪の予防・検挙、不審者に
対する職務質問を行うとともに、
地 域住民の意見・要望に応えるパト
ロール活動を推進しました。
(2) 立番
【重点パトロール】
子どもの登下校時や人、車が多い
時間帯を重点に、交番前や交通量の
多い交差点において「立番」を実施
して、保護誘導や地域住民への声か
け活動を行い、制服警察官の存在感
を示すとともに親しみの醸成に努め
ました。
【交番前での立番勤務】
(3)
事件・事故への迅速な対応
地域住民が不安に感じる事件・事
故の抑止のための防犯パトロール及
び職務質問による犯罪の検挙活動を
推進するとともに、事件・事故発生
時における迅速な初動対応を展開し
ました。
【パトロール中のパトカー】
【検挙事例】
平成27年7月、神戸市内をパトロール中のパトカー勤務員が、職務
質問から大量の覚醒剤を所持していた暴力団組員を逮捕しました。
2 地域住民の相談・要望等に対する問題解決活動の推進
(1) 問題解決活動
地域住民のボランティア団体であ
る「地域ふれあいの会」と協働して、
地域住民の日常生活における身近な
問題等を解決するための各種活動を
行い、安全で安心なまちづくりを推
進しました。
【地域ふれあいの会との交通安全活動】
(2) 意見・要望把握活動
巡回連絡を始め、「地域ふれあいの
会」委員や自治会役員宅等への立寄
り、関係機関等との各種会合への出
席などを通じて、地域の実態や地域
住民の要望を把握して、地域住民が
不安を抱く事案等を解決する活動を
行いました。
【地元住民からの要望把握活動】
(3) 情報発信活動
身近な出来事や振り込め詐欺など、事件・事故の発生状況につい
ての情報を防犯講話により発信しているほか、防犯対策や交通安全
に関する情報を
交番だより・駐
在所だよりで提
供しました。
また、留守家
庭を訪問した際
には、パトロー
ルカードを配付
【夫婦漫才による防犯講話】
【パトロールカード】
することで警察
の存在を身近に感じてもらうなど、
安心感の醸成を図りました。
(4) 交番相談員の配置
交番に警察OBの交番相談員を配
置して、立番や地理案内、遺失・拾
得届及び各種相談の受理など、地域
住民の「いつも交番にいて欲しい」
というニーズに応えました。
(5) レディースサポート交番の運用
ストーカーや痴漢等の犯罪に関す
る相談などを安心して行うことがで
きるよう、県下24交番を「レディー
スサポート交番」に指定し、女性警
察官を配置して、女性が来訪しやす
い環境づくりに努めました。
3 迅速・的確な初動警察活動の推進
(1) 110番通報への迅速・的確な対応
通信指令室では初動警察の司令塔
として、通信指令システムなどを効
果的に活用し、110番通報の迅速・的
確な受理と指令を徹底しました。
(2) 緊急配備の発令
重要凶悪な事件が発生した場合、
緊急配備により警察官を大量動員し
て、組織的な初動警察活動を実施し、
早期の犯人検挙に努めました。
(3) 110番通報の適切な利用促進
毎年1月10日を「110番の日」と定
め、110番通報の正しい利用の促進と
シャープ
警察相談専用電話 「 # 9110」の利用
についての広報啓発活動を推進しま
した。
(4)
【交番相談員による届出受理】
【女性警察官による相談受理】
【通信指令室】
【110番の日キャンペーン】
現場執行力の強化
卓越した職務質問技能を有する指
導者が、若手警察官の職務質問の能
力向上を図るため、実践的な指導を
行い、現場執行力の強化に取り組み
ました。
【職務質問技能指導者による同行指導】
【検挙事例】
平成27年9月、尼崎市内でバイク使用のひったくり事件が発生しま
したが、付近検索中のパトカーがバイクを発見し、手配を受けたパト
カーと連携して、逃走する被疑者を追跡し逮捕しました。
4
雑踏事故防止対策の推進
雑踏事故の絶無を期するため、祭礼、
花火大会、興行及び競技などの行事に
ついて、主催者等に対して安全対策に
関する指導・助言を行うなど、雑踏警
備諸対策を推進しました。
【神戸まつりにおける雑踏警備】
【実施結果】
平成27年中、初詣、花火大会などの祭礼行事等、延べ4,252日の雑踏
警備を実施し、来場者等の安全と安心を確保しました。
今後の方針
県警察では、被害者等の安全確保を最優先に考え、事件化や保護措置等
を迅速かつ的確に講じるとともに、早期の相談を促すため、広報啓発活動
を継続して行うなどの諸対策を推進します。また、防犯ネットワークの更
なる拡充や、防犯ボランティアの裾野の拡大や活動の活性化に向けた支援
を行うほか、関係機関・団体等に対する防犯カメラの設置に向けた働き掛
けを継続するなど、県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現を目指
した犯罪抑止総合対策を推進します。
このほか、地域の実態に即し、地域住民が求める安全安心のための犯罪
の抑止及び検挙活動を始め、地域住民に不安を生じさせる身近な事案への
問題解決活動を強化します。