使用実績の少ない素材に対しての設計・施工上の注意

(特別管理事項-怠るな-5)使用実績の少ない素材に対しての設計・施工上の注意
開発後まもない「新製品」と呼ばれるメーカーの製品は僅かな試験データしかなく、当然、
使用実績も少ないため、メーカー側もその性能を十分に把握できていない場合があり、時と
して欠陥品となる可能性がある。
敢えて使用する際は、「使用部位の機能に製品性能が適合するか」を重点に確認しておく
必要があり、メーカーの「新製品」に対する説明に多少でも不安があれば、試験データの提
出を求めて品質安全部に相談する。または、メーカーの保証書を受領する等の対策を講じて
おくことが重要となる。
材料の選定に当たっては、目新しさよりも製品性能や安全性を優先して検証し、他に使用
実績が多く、性能が実証されている同等品があるならば、その製品を選定した方が、結果的
にお客様に迷惑を掛けることが少なくなる。
【
追記
】
最近の事例として、新製品ではないが使用実績の少ない部位での施工等でのクレームが多くなっ
ている。実績の少ない部位では、耐久性の確認を実証できるデータをメーカーから入手する等の裏
付けを取って施工を行う事。
① ドライ厨房の床軸組み
チェーン展開する軽飲食店舗の厨房床に木軸床上げ工法を用いて施工した、本来、ドライ厨房と
いうことで清掃等で水等の散布は行わない条件で施工したが、2~3 年の経年で床敷きの木工パネ
ルが腐食・または厨房機器の重みに耐え切れず床板の傾きが発生(厨房水廻りでの木軸床上げの事
例は少なく、竣工当初のドライ厨房との機能が数年後にも継続されていないこともあり、検証不足
を指摘され当社へのクレームとなった)。
②セラミックタイルの割れ、欠けの多発
物販店舗にて床セラミックタイルを施工した。クリーニング・メンテナンスの容易さ及び材料の
加工性の良さが利点であったが、後者の加工性の良さが災いして柱際等での L 字加工や端部の切欠
き部分での割れ・欠けのクレームが多発。指定材で多店舗展開しているため、同様のクレームが施
工の度に起きるが、仕様を変更する事が容易ではない。これも事前検証や数店舗等での実績の結果
を経てから指定材料とするなどの手順を踏む必要があったと思われる。
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