大学 ・ 専門学校 の 学び

今どきの
と 昔 前 とは大 違い。一方 的に講 義 を 受けるばかりではな く 、自 発 的に調べ、グループで討 論し、
あり方 を 理 解 してお くのは大 切 なこと 。 何 しろ 、 今 どきの大 学・ 専 門 学 校での学 びは、 ひ
お子 さんが今 後 進 路 選 択 を 進めるう えで、 保 護 者 自 身 も 最 近の大 学・専 門 学 校での学 びの
大学・専門学校の
学び
考 え 、 行 動 する。 そんな 学びの変 化 を 、 実 際に体 験している学 生の皆さんから 知ってみよう
年
奥 田 彩 亜 さん
という 企 画です 。 将 来のお子さんの姿 と 重ねてみませんか?
構成・取材・文/清水由佳
産業社会学部
京都の京北地区と都心部を
食と農でつなげる活動
今どきの学びを理解するためのキーワード
学生同士が互いに協力し合いながら、課
題などを解決していく学習方法。アクティ
ブ・ラーニングで行われている学習形態
の一つでもある。
年 まではラクロス部 で 部
が広がるかなと思い選びました﹂
時期で、
フィールドワーク中心で視 野
考えたときが、ちょうどゼミの選 択
活 中 心の大 学 生 活 。ケガで 退 部 を
﹁大学
という取り組みだ。
協働学習
2006年から経済産業省が提唱している「職
場や地域社会で多様な人々と仕事をしていく
ために必要な基礎的な力」。
「前に踏み出す
力」
「考え抜く力」
「チームで働く力」の3つの
能力と、それらをさらに詳しく
「主体性」
「課題
発見力」
「発信力」
など12の能力要素を提唱
している。現在、大学をはじめとした教育現場
で行われているさまざまな改革の基盤にある
考え方の一つ。
つなぎ 、地 域の活 性 化につな げよう
を通じて、
都市 部の人々と﹁ 京 北 ﹂を
提供すること。そしてそれらの活 動
菜 を 販 売し 、料 理してカフェなどで
主 な 活 動は 、京 都 市の京 北 地 区
の 市 民 農 園 で 野 菜 を 育 て 、その 野
ジェクトのリーダーだ。
プロジェクト﹂。奥田さんは、
このプロ
その言 葉どおり、 年 生から奥田
れている。その一つが、﹁リッツファーム・
さんの世 界は急 激に広がっている。
域 連 携プロジェクトが数 多く実 施さ
立 命 館 大 学の産 業 社 会 学 部では、
﹁ 社 会の現 場で学ぶ﹂をテーマに、地
一方的な講義だけでなく、
学生が主体的に授
業に参加し、仲間と深く考えながら課題を解
決していく授業形態。グループワークやディス
カッションなどを取り入れて行うことが多い。
「プロジェクト型学習」や「問題解決型授
業」
と言われることもある、何らかの課題
をグループで解決していく学び。企業や
自治体などから実際の課題を提示されて
行う場合も多い。
アクティブ・ラーニング
PBL( Project Based Learning)
課題発見&解決型学習
社会人基礎力
るところです 。また、同じように地
できるといいねと話が盛り上がってい
と知り合い、
一緒におもしろいことが
と交 流します 。先 日も 、木こりの方
イベント会 場でもいろんな 職 業の人
のほか、﹃ 京 北ふるさと祭り ﹄などの
﹁ 京 北 地 区の農 家の方々との交 流
3
立命館大学
農村地区の課題解決に
少しでも力になりたい。
やりたいことだらけです!
カフェの案内看板を手に。周囲の友
達から
「いつもキラキラしている!」
と言
われるとおり、何ごとにも好奇心いっ
ぱい。
「外に行けば行くほど、いろんな
人とつながって、そこからまた新しいこ
とが見えてきます。もうやりたいことが
いっぱいありすぎて(笑)」 2
3
※学生の皆さんの学年は、2016年1月現在のものです。
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市民農園では、
自分たちで作付け計画から
収穫まで、すべて行っている。学校もあって
毎日は来られないので、手間がかからず強
い野菜を中心に育てている。この冬は聖護
院大根と白菜がずらり。
サツマイモが大豊作。京
北ふるさと祭りで知り合
ったパン屋さんが「さつ
まいもクロワッサン」
とし
て商品化してくれたのが
うれしかった。
活動資金の確保のため
自分たちで助成金も申請
る ! 毎日がめっちゃ楽しいです !﹂
や り たいこ と が ど ん ど ん わいて く
でカフェでの料 理の提 供も始めたし。
とも 大 勢 知り合いになって 、その縁
域 活 動 を 行っている 他 大 学 の 学 生
人とのつながりで物 事が動くおも
しろさを 実 感し、社 会に出たらもっ
またおもしろかった。そういう人のつ
で、
いろいろ な 市 民 活 動 をしている
うドキドキでした。でも 、その会 場
﹁ 資 料を作って、プレゼンをして。も
行った。
め、市の助 成 金の申 請も自 分たちで
らみんなが同じ気 持ちで取り組んで
業というとやっぱり大 変 。どうやった
﹁ 最 初は楽しくても、継 続して農 作
ションはさまざま。
﹁ 今 日 本の農 村 地 区で起こっている
の夢は、海 外で農 村の力になること。
う奥田さん。そんな奥田さんの将 来
と 、社 会 人になることが楽しみとい
と 大 き なこと も 実 現 でき るのでは
ながりに、
ワクワクします ﹂
団 体の方たちと知り合えて、それが
とはいえ、
農 作 業が初めてのメンバ
ーも 多 く 、活 動に向けてのモチベー
いけるか。リーダーとしての壁にも 、
問 題は、将 来 東 南アジア諸 国にもき
っと訪れると思うんです。国 際 的に
いきなり直 面しました﹂
そんななかで、こまめに声をかけ、
自 発 的に取り組めるよう な 役 割 分
になりたい。まずは、
インドの農 村に
高校時代は、バレーボール部に所属し、部活一色の
高校生活。環境に関する社会問題に関心があり、
現在の学部を選択。実は、家庭菜園をしていたおじ
いさんの影響で、
自分も野菜を育ててみたいと、家の
屋上で家庭菜園に挑戦していた。
「そういう意味で
は、食べることや、育てることに、
もともと興味があっ
たんですね」。
リッツファーム・プロジェクトとは
2 0 0 7 年 度から、産 業 社 会 学 部 の 教員と学 生 、
NPO法人が京北地区の活性化に取り組む「京北
プロジェクト」を実施。そのスピンオフ活動として、
2012年から髙嶋正晴教授のゼミを母体に「リッツフ
ァーム・プロジェクト」が行われている。
メンバーは、髙
嶋ゼミのゼミ生と、京北プロジェクトに協力する学生
たち。2015年度はゼミ生16人を中心に活動。
地 域 活 性 化に貢 献できるよう な 人
担をしっかり行うことの大 切さも実
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ぜひ行きたいと思っています ﹂
プール学院高校(大阪・私立)卒業
感 。さらに、活 動 資 金を確 保するた
どんな高校生活?
大学の構内でも、
自分たちが
作った野菜を販売。
1日店長ができる京都市内の
カフェを紹介され、2015 年は
3 回、
「 京北やさいカフェ」
をオ
ープン。自分たちが育てた野
菜を中心に、
メニュー決めから
調理、
サービスまですべて行っ
た。
「お客様を呼ぶことの大変
さも実感しました」
渋川女子高校(群馬・県立)卒業
群馬県立女子大学
国際コミュニケーション学部
年
齋 藤 なつ希 さん
高齢者の認知症予防に
体操アプリを開発
並 行 。マルチタスクを 確 実に行 うこ
生は、﹃ 仕 事は必 ず 複 数 あって 同 時
て、議 論したり状 況 確 認したり。先
ちょうど 鹿 児 島 県の肝 付 町が募 集
ースがあると 知り、迷わず 選 択した。
型ロボットプログラミング入 門 ﹂のコ
修の授 業﹁リベラルスタディ﹂に、﹁ 人
医 学 部 生だけど、子どものころか
ら﹁ ものづくり ﹂も 大 好 き 。選 択 必
とが重要なんだ﹄
と。おかげで自分が
していたICTを 活 用した地 域おこ
しアイデアへの参 加も決 定。
﹁ 病 院 実 習で 、車 椅 子の高 齢 者の
このゼミを 取 るキッカケは、 年
次に履 修 した 安 齋 先 生 の﹁ ビジ ネ
大 阪 府 立 大 学の学 生とも共 同 開
に体 操アプリを 入れたら役
pepper
立つのではと開発に取り組みました﹂
認 知 症 予 防には運 動が大 事 と 聞き 、
提言 ﹂
﹁ 道の駅﹃ 玉 村 宿 ﹄女 子 大プロ
ス・リーダー論 ﹂。毎 回 席 替えしての
議論をし、人前で発表する
チームの力を実感
確実に成長しているのがわかります﹂
うまくいかない悔し涙をたくさん流した。
その分、着実に成長したと思えます
いくつものプロジェクトを
並行して頑張ることの意義
齋 藤 さん所 属の社 会 デザイン論
ゼミでは、
いくつものプロジェクトを
同 時 並 行に進める。
﹁ 東北復興応援
学 生 観 光まちづくりコンテスト﹂
﹁群
チャリティ・リレーマラソン支 援 ﹂
﹁大
ジェクト﹂﹁ 前橋企業魅力発掘プロジ
頻 繁 なディスカッションや 地 域の課
馬 県 立 図 書 館の更 なる活 性 化 策の
人。足並み
﹁ 夏 休 み も 、毎 日 学 校 にいまし た
をそろえるだけでも並大抵ではない。
鮮でワクワクした。一人では思いつか
題に取り 組 むグループワークが、新
交 換 す る な ど 、人 の 輪 が広 がった 。
や 技 術 者 の 人々とアイデアや 情 報
スプランを考える﹁ 前橋企業魅力発
たいと思いました﹂
をうかがい、もっといいものを開 発し
はなかなか見 られない ﹄というお話
しそうに pepper
をなでたり、話しか
けたり。施 設の方から、﹃ あんな笑 顔
⋮。でも、高齢 者の方々が、とても楽
﹁ ところが、当 日うまく 動かなくて
現場の人の意見を聞き
ますます開発意欲が高まる
人福祉 施 設でお披露 目も行った。
10
掘 プロジェクト ﹂では惜しく も 全 国
の技 術 を 活 用したビジネ
ョン優秀賞になり大よろこび。
一方で、
結 果として、﹁ 大 学 生 観 光まちづ
くりコンテスト﹂では、
ポスターセッシ
いると何でもできる気がする﹂
し合う。かけがえのない仲間と一緒に
とん話し合い、ときには悩みも 共 有
﹁メンバー全 員が納 得いくまでとこ
年生になってさらに痛感している。
ないことでも、
チームで頑 張ると思い
ェクト﹂など。ゼミ生は
のコミュニティサイ
発したり、 pepper
トなど を 通じてさまざまな 社 会 人
2
︵笑︶。とにかく、必ずみんなで集まっ
国際コミュニケーション学部の安齋徹先生の
ゼミナール。社会をよりよく変革し、新たなビジ
ネスを創造していくことが目標。
「日本一のゼミ
を目指そう!」が合言葉で、社会貢献、地域の
課題への取り組み、学外コンテストという3本
柱に積極的に挑戦する。プロジェクトのリーダ
ーは輪番で必ず回ってくるので、責任をもって
やり遂げる経験を全員がする。
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月 下 旬 には 、実 際 に 肝 付 町 の 老
社会デザイン論ゼミナールとは?
川上博紀さん
医学部 1年
獨協医科大学
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もよらない力が発 揮できる。それは
ダンス部に所属し、
ダンス三昧の高校生活。
ヒ
ップホップ、創作ダンス、八木節など、幅広いジ
ャンルに挑戦。高校1年次に、英語スピーチコ
ンテストで優勝し、アメリカに1週間語学研修
へ。もっと英語を勉強し、視野を広げたいと思
って、現在の学部に進学を決めた。
アプリを開発したpepperたちと。これからは、手
にしているSotaを活用した開発もしたいと思って
いる。
「医学の道を進んだら、ものづくりはあきら
めるしかないと思っていたのが、こんなふうに自
分の好きなことがつながるなんて。勉強は大変
だけど、
とてもやりがいがあります」
将来の目標は、循環器系の医
者になることという川上さん
一人で頑張るのではなく
みんなで頑張るのが、
大学の学びだと思う
同じ授業の仲間たちと、
グル
ープワークでアプリ開発。教
え合い、助け合いながら。
3
J
A
X
A
ビジネスプランのプレゼ
ンテーションの映 像を
前に。
「人前で話す機
会が多いので、自分の
意 見をしっかり考え伝
えることに慣れてきたと
思います。将来は、
メデ
ィアを通じて、社会に貢
献できる仕 事をしたい
と思うようになりました」
どんな高校生活?
﹁でも 、
アイデアとプレゼンテーショ
とを体 験している川 上さん。
プログラミングを 通じて 、
人 と 学 び合い、協 働 するこ
では数えきれない問 題が発 生 。結 果 、
ンティアに参 加したり 、人 と 関 わる
力 ﹂を並 行して学べる学 科の存 在を
﹁ ビジ ネススキル﹂と﹁ 社 会 人 基 礎
高 校の進 路 指 導 室で日 本 電 子 専
門 学 校の資 料を目にした野 中さん。
離の取り方や、議 論の進め方を感 覚
ねた 経 験によって 、徐々に人 との距
は続く。その繰り返しです。積み重
﹁ 気まず く なってもグループワーク
の難しさを痛感したそうだ。
で、心に残る思い出ができました﹂
苦 難の末やり遂 げた達 成 感は 格 別
成 長 したクラス全 員 でリベンジ !
情報ビジネスライセンス科とは?
2 年めに、
クラスで参加
した文化祭。フランクフ
ルトの屋台を実施。
「売
上 予 測や原 価 計 算な
ど、
ビジネスを意識してし
っかりやりきりました!」
弓道 部に所 属して部 長を務めた。
40人近い部員がいたため、
どうやっ
てとりまとめていったらいいのか、非
常に悩んだ。叱っても、
そこで自分が
伝えたいことがちゃんと伝わっている
のかなど心配だった。今の自分だっ
たら、
もっと上手に指導ができたので
はないかと思うことも。
基本医学情報教育部門の坂田信裕先生が指導する
人型ロボットのアプリ開発を通して、医療などの課題解
決を考える授業。坂田先生は、新入生の必修科目であ
る
「医学情報リテラシー」や「スタディスキルズ」
を担当
し、
グループワークなどを通じて、高校までとは違う大学
での能動的な学びの姿勢を身につける授業を実施。こ
の授業コースは、
その進化形とも言える。
大会に進めず、悔し涙を流した。
ンは絶 対 良かったと 思 うので 、次の
一方 で 、大 学 では 部 活 が 必
﹁ 高 校 時 代 、将 来の具 体 的 な 夢は
年 目の学 園 祭は、切 磋 琢 磨し
知り、将 来の選 択 肢が広がると感じ
で理 解できるようになりました。ま
お蔵 入りとなり 、
コミュニケーション
て入 学を決 意 。入 学 後は、日 本マイ
ビジネスの立案・運 営 方 法について、
架 空 企 業 を 用いた多 種 多 様 な 設 定
人のグループで
のグループワークを頻繁に体験。
﹁はじめは、たった
自分からボランティアに参加。
行動や視野が広がった
さに体得したと言えます ﹂
﹁
機 会を積 極的に増やすようになる。
なかった 地 元のマラソン大 会のボラ
していきたい﹂と思うように。興 味の
中さん。次 第に﹁ 人と関わる仕 事を
実 感しています ﹂
いく 。そんな 違いがあると
みんなで協 力して成 長して
だったけど 、大 学の学びは、
でひたすら力を伸ばす感じ
﹁ 高 校までは、勉 強は個 人
ついて教わることも多い。
修 でバドミントン部に。先
機会にはさらに磨きをかけたい﹂
野 中 麻 菜 美 さん
輩から、授 業や学 生 生 活に
年
そんな 、失 敗から立ち上がる逞し
さも、大学で身につけたようだ。
情報ビジネスライセンス科
人と関わる難しさを痛感。経験を積み重ね
やっぱり人と関わることが好きと確信しました
異があることに驚きました﹂
中学生のころ、父親の心筋梗塞がきっかけで、医者を
目指したいと思うように。そのため、高校も医科コースを
選択。高校1年次から朝から夜遅くまで勉強漬けの毎
日。
「おかげで自分を律する精神はついたと思います」
年 次に実 施 する学 園 祭の企 画は
高 校 時 代 と 違い、苦 手 な 人 と も
必 ず 関わらなくてはいけない。授 業
江戸川学園取手高校(茨城・私立)卒業
なく 、漠 然と﹃ とりあえず 大 学に進
グループワークで実感。
人の考えはこんなに違う!
どんな高校生活?
クロソフトなど企 業 人の特 別 講 義や、
学かな ⋮ ﹄と思っていました﹂
1
いかに自 分 と 違 う 人 の 視 点に立
てるかが楽しく なってきたという 野
川口総合高校(埼玉・市立)卒業
日本電子専門学校
大学ではフラダンス・サークルにも所属し、
こちらも全力投球。カレッジ・フラ・コンペテ
ィションで準優勝も!
も意 見が飛び交い、見 解に多 くの差
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2
どんな高校生活だった?
プロジェクトを進めるうえでは、本音でのぶ
つかり合いを避けることができない。
「その
分、深い絆で結ばれたと思います」
ディスカッションでは、ちゃんと自
分の意見を言うことも大事だと実
感。
「 視野が広くなった
と思います」
人型ロボットプログラミング入門とは?
あらゆる業界で活躍するための基礎的なパソコンスキルやビジネス
マナーのほか、
コミュニケーション力やマネジメント力などを中心とした
「社会人基礎力」
をアクティブ・ラーニングでしっかり身につけること
を目指す。野中さんも、
「 入学後頻繁に『コミュニケーション力』
『社
会人基礎力』
という言葉を聞き、意識するようになった」
という。
2
4
「高校時代は、これといって夢
もなく、何をしたいということも
なかったけれど、嫌でも人と関
わったことで、逆に人にすごく
関 心をもてるようになりまし
た。人材派遣会社の正社員
に内定し、
4月からの社会人生
活が今からとても楽しみです」
経営学部
年
﹁ 学生 主 体の授業は初めてで、大 学
の妨 げになる気がして控えていたの
なことを 発 言 するとグループワーク
ってほしいと 指 摘 され 、反 省しまし
の授 業は、自 分で作り出すんだと思
感じました。同 時に、勝ち抜いたグル
た﹂︵ 安 藤さん︶
ですが、
メンバーからはそれよりもも
ープは学 部 生400人の前でしっか
﹁グループワークは、とにかく失 敗の
いました。
一人が欠けただけでも成り
りプレゼンをしている 。自 分の未 熟
連 続でした。いいと思ったアイデアも、
っと批 判 的な視 点ももって話に加わ
さも 知って、でも 自 分 もああなれる
他が同じようなことを考えていてシ
立たないし、果たす 責 任の大きさを
かもという 成 長への期 待 もありまし
ら 選 抜 を 勝 ち 抜いたグループが、最
のやり方に固 執せず 、変えることに
半 年では、その反 省を踏まえて自 分
むことがな くて 挫 折 祭︵ 笑 ︶。人 と
自 分の考 えていることの違い、難し
ョック。自 分の考えていたとおりに進
そんなグループワークの洗 礼 後 、
前 期の半 年 間で、企 業から出された
さを痛 感した半 年でした。その後の
た﹂︵安 藤さん︶
新たな課 題に取り組む。 クラスか
終プレゼンを行い最 優 秀が決 定する。
も挑 戦しました﹂︵三谷さん︶
ひきつけるプレゼンテーション力が、
イデアだけじゃなく、人に伝える力 、
取りもち 、さまざまな 相 談に乗る。
ラスに1人つき 、先 生 と 学 生の間 を
授 業では、必 ず 学 年 上のステュ
ーデント・アシスタント︵SA︶
が ク
ステューデント・アシスタントで
さらに自分の成長を実感
﹁ 正 直 、最 終 プレゼンも 大したこと
ないんじゃないかと 思っていました。
ところが、同じ学 年で、同じプロセス
を 踏んできたのに、何でこんなに差
自 分 たちとはまったく 違っていたの
4人とも、現 在はそんなSAだ。
が出るんだ ってすごいショック。ア
に驚きました﹂︵ 木ノ下さん︶
場 面が結 構 あって、そこでの説 明の
入学と同時に
グループワークの洗礼
同じ課題で同じプロセスを踏むのに
大きな差が出る。挫折の連続が
成長のバネになります
立教大学
この次こそは、そんなライバル心
にも 火がつく 。さらにBLPの重 要
しかたや解 説 資 料 など 、もっとこう
ープになり 、企 業からの 課 題︵ 例 え
ば、タブレットPCの新しい使い方 な
ど︶
を話し合い、プレゼンで競う。
らえる。先 生と一緒に授 業を作ってい
4月 頭のウェルカム・キャ
実 際に、
ンプはSAがすべて 準 備 をし 、当 日
ると感じられます ﹂︵石井さん︶
受けたのが、自 分にとって新しい気づ
の運 営などもSA主 体で行われる。
﹁ 特に、
メンバーからフィードバックを
きになりました。自 分では、否 定 的
をていねいに振り返る。
マかけて、個 人とグループでプロセス
2
﹁ 授 業の中では、私たちも解 説する
立 教 大 学の 経 営 学 部では 、学 部
生全員必修の﹁ビジネス・リーダーシ
なところは、
﹁ 振り返り ﹂をしっかり
1
ップ・プログラム︵BLP︶﹂が行われ
月。
日の﹁ ウェルカム・キャンプ﹂で、
る。まずは、入 学と同 時の
泊
4
安 藤 沙 紀 さん 木ノ下 達 也 さん
18
してみたいと提 案 するとやらせても
1
行うこと。最終プレゼン終 了 後 、 コ
1
!?
左から、
安藤沙紀さん、
木ノ下達也さん、
石井有彩さん、
三谷真之さん。
皆、一様に口をそろえて、
「この1年で大きく成長した。自分が変わった」
と実感している。それは、真剣に課題に向き合い、学生同士で徹底的
に話し合いをしてきたからこそ実感できる成長だ。
初めて顔を合わせる学生同士がグル
2
2
石 井 有 彩 さん 三谷 真 之 さん
ビジネス・リーダーシップ・プロ
グラムの授業風景。お互いの
意見を、いかに出し合うか。妥
協せずに最後まで粘ることも
大事だと実感するという。
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新しい学びが、なぜ必要なのか
溝上慎一先生
どんな高校時代でしたか?
﹁ 数カ月かけて準 備を進めるので、
ものすごい達 成 感です。実 際の授 業
が始まると 、もう 終わったような 気
になるほど︵ 笑 ︶﹂︵三谷さん︶
そんななかで、授 業を受ける側か
ら教える側の視 点がわかるように。
﹁ どんなことにも 、何かしらの意 図
があったんだと気づきました。おかげ
で他の授 業でも 、何でこれをするの
かと、
よく考えるようになりました﹂
︵ 安 藤さん︶
そ ういう 気づきが日 頃 の 学 び を
深め、広い好 奇心につながっている。
﹁まずは海 外 留 学 。申 請をちょうど
したところ 。いろんなことに挑 戦し
度 化・専 門 化 など 、 多 くの社 会 的 要
今 、 世の中は大きく変 化しています。
グローバル化や情 報 化 、 ビジ ネスの高
他 者 との協 働 作 業は不 可 欠です 。 将
ない、 では 社 会 では 通 用 しませんし 、
ばかりでしょう 。 言 われたことしかし
人にとってみれば、 当 然と思える姿 勢
いうキャリア意 識 ﹂です 。 社 会で 働 く
は別です。
の子どもが将 来どうなるかということ
しかし 、 多 様 な 価 値 観の尊 重 と 、 そ
も尊 重すべき ﹂という声も聞かれます。
もくもくと問 題を解いたりする子ども
たいと思います ﹂︵ 木ノ下さん︶
因の変 化に伴い、従 来の教 育の考え方
来の 見 通し を 立て 、 未 来 と 現 在 をつ
なく 、 社 会といかにつなげ、 大 学で主
のです。
﹁ 個 性 ﹂として見 過 ごすのでは
働き、生活を営めるようにする。そう
ロジェクト学 習やアクティブ・ラーニン
るのです。
いう教育が重要なのです。
体的に学び、力強い大人として社 会で
にします 。 そこで、 社 会とつながるプ
大きな課題となっています。
そこでの 重 要 なポイントは 、 3つ。
﹁ 主 体 的な学 習 態 度 ﹂と、﹁ 対 人 関 係や
﹁ 話はできない。 声 も 小 さい。 でも 、
グなどによって 、 力 をつける 意 味があ
事・社 会へのトランジション
︵ 移 行 ︶﹂が
卒 者の無 業やニートなどが社 会 問 題 化
経営学部の1年生は全員必修、2年生の前期は、経営学科は必修、国
際経営学科は選択で履修する共通プログラム。企業の協力を得て、
企業から出される課題に対し、半年かけて調査・研究・話し合いを繰り
返し、
プレゼンテーションを行う。
どのような提案を行うかももちろんだが、
その過程で、
チームの中でいかに自分の力を発揮していくか、
チーム力
を生かすか、経験を通じて体験する。
「カリスマではないリーダーシップ」
を目指す。
が成り立たな く なってきています 。 新
ビジネス・リーダーシップ・プログラムとは?
大 学では 、 そのよう な 学 生 が社 会
で厳しい状 況に置かれる確 率がかなり
中学では生徒会長、高校でもバレーボール部部長など、何かしらリーダ
ーシップをとる役割だった。良い成績をとることが第一で、何が正解なの
か、
どういう行動をすればいいか、人の顔色から判断するようなところが
あった。でも、大学では正解のないことばかり。今とは全然違っていた。
なぐ力をつけると、驚くほど意欲的に
三谷さん●成田国際高校(千葉・県立)卒業
するにつれ、 学 校から仕 事への移 行に
石井さん●湘南白百合学園高校(神奈川・私立)卒業
高いことを知っています。 残 念ながら、
放送部には所属していたけれど、あまり活発に活動していなかったし、
自分もあまり力を入れず。一度だけ、
「 変えてやる!」
って言い出したこと
があったけど、
それも何もできずに失敗。口では「将来、大きなことをする
んだ」
など言っていたが、何も行動が伴わず、
ぼんやり過ごしていた。
社 会で求める力というのは確 実にある
木ノ下さん●立教池袋高校(東京・私立)卒業
行 動 し 、 さま ざ ま なこと を 貪 欲に学
ごりごりの体育会系野球部で、
ひたすら野球。部活以外はほとんど何も
していなかった。言われたことをひたすらやって、
でもなかなか成果も出
せず、耐え忍んで頑張っていた。
び、 強 くなっていく 学 生 を 目の当たり
人前で話すのが嫌いで、
自分から積極的に何かをすることがなかった。
テニス部には所属していたが、楽しければいいというタイプで、
リーダー
シップなんて考えたこともなかった。今、
自分がこんなことをしているなん
て、
自分でもびっくり。
うになりました。 まさに、﹁ 学 校から仕
社会で力強く生きる学生を
育てるには、
教育は変わらざるをえないのです
おける 構 造 的 な 問 題 も 指 摘 されるよ
安藤さん●香蘭女学校(東京・私立)卒業
コミュニケーション﹂、﹁ 将 来の見 通しと
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SAとして、
後輩学生たちのサポー
トをいかにしていくか。仲間同士
の 連 携や 打ち合わせも念 入り
に。1 年の成長を大きく実感でき
る瞬間でもある。
京都大学
高等教育研究開発推進センター教授
大学院教育学研究科兼任
撮影/平野 愛