マタニティハラスメント - 佐伯社会保険労務士事務所 大阪

「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して
雇用管理上講ずべき措置についての指針案について」意見書(メモ)
1 はじめに
・指針案には「以下『職場における妊娠、出産等に関するハラスメント』という」とありますが、マタ
ニティハラスメント(マタハラ)と広く報道され、一般でも理解されていますので、
「以下『マタニティ
ハラスメント』という。
」にしていただけないでしょうか。
・指針タイトルについても正式な名称につづけて「(マタニティハラスメント指針)
」と略称をつけてい
ただくと、マタニティハラスメントとして理解している事業者や労働者にとりインターネット検索をし
やすいと思います。例としては、
「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施 並び
に面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」は、ストレスチェック指針として略称で
理解されています。
2 職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの内容
(1)
・指針案には「業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動による
ものについては、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントには該当しない」とありますが、
「業
務上の必要性に基づく言動」にあたるかどうかについて明確で具体的な基準がない場合には、この記述
は言い訳に用いられるおそれがあります。とくに記載しなければならないとも思えませんので、削除し
ていただけないでしょうか。
(4)
イ 制度等
・指針案には「制度等の利用への嫌がらせ型」の制度等に産後休業が含まれていませんが、「産前休業」
ではなく「産前産後休業」にしていただけないでしょうか。
ロ 典型的な例
(ロ) 制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの
③
・指針案には「女性労働者が制度等の利用の請求等をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚が当該女性
労働者に対し、繰り返し又は継続的に制度等の利用の請求等をしないよう言うこと(当該女性労働者が
その意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含む。)
」とあります。
この場合、繰り返し又は継続的な行為がないとハラスメントに該当しないということでは、1回の行
為ならゆるされるような印象を与えています。たとえ1回の行為であっても、言動の内容があまりに酷
いケース、人前で怒鳴られるケース、長時間にわたるケースであれば、ハラスメントに該当する場合も
あります。
また、
「当該女性労働者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言う
ことを含む」とありますが、何が「明示」になるのか具体的に記載していただきたいと思います。さら
に、弱い立場にある女性労働者が、どこまで「明示」することができるのか、疑問に思います。
④
・指針案では、
「女性労働者が制度等の利用の請求等をしたところ、同僚が当該女性労働者に対し、繰り
返し又は継続的に請求等を取り下げるよう言うこと(当該女性労働者がその意に反することを当該同僚
に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含む。
)」とあります。
この場合、繰り返し又は継続的な行為がないとハラスメントに該当しないということでは、1回の行
為ならゆるされるような印象を与えています。たとえ1回の行為であっても、言動の内容があまりに酷
いケース、人前で怒鳴られるケース、長時間にわたるケースであれば、ハラスメントに該当する場合も
あります。
また、
「当該女性労働者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言う
ことを含む」とありますが、何が「明示」になるのか具体的に記載していただきたいと思います。さら
に、弱い立場にある女性労働者が、どこまで「明示」することができるのか、疑問に思います。
(ハ) 制度等の利用をしたことにより嫌がらせ等をするもの
・指針案には「女性労働者が制度等の利用をしたことにより、上司又は同僚が当該女性労働者に対し、
繰り返し又は継続的に嫌がらせ等(略)をすること(当該女性労働者がその意に反することを当該上司
又は同僚に明示しているにもかかわらず、さらに言うことを含む。
)
」とあります。
この場合、繰り返し又は継続的な行為がないとハラスメントに該当しないということでは、1回の行
為ならゆるされるような印象を与えています。たとえ1回の行為であっても、言動の内容があまりに酷
いケース、人前で怒鳴られるケース、長時間にわたるケースであれば、ハラスメントに該当する場合も
あります。
また、
「当該女性労働者がその意に反することを当該上司又は同僚に明示しているにもかかわらず、さ
らに言うことを含む」とありますが、何が「明示」になるのか具体的に記載していただきたいと思いま
す。さらに、弱い立場にある女性労働者が、どこまで「明示」することができるのか、疑問に思います。
(5) 「状態への嫌がらせ型」
ロ 典型的な例
(ロ) 妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの
・指針案には、
「女性労働者が妊娠等したことにより、上司又は同僚が当該女性労働者に対し、繰り返し
又は継続的に嫌がらせ等をすること(当該女性労働者がその意に反することを当該上司又は同僚に明示
しているにもかかわらず、さらに言うことを含む。
)」とあります。
この場合、繰り返し又は継続的な行為がないとハラスメントに該当しないということでは、1回の行
為ならゆるされるような印象を与えています。たとえ1回の行為であっても、言動の内容があまりに酷
いケース、人前で怒鳴られるケース、長時間にわたるケースであれば、ハラスメントに該当する場合も
あります。
また、
「当該女性労働者がその意に反することを当該上司又は同僚に明示しているにもかかわらず、さら
に言うことを含む」とありますが、何が「明示」になるのか具体的に記載していただきたいと思います。
さらに、弱い立場にある女性労働者が、どこまで「明示」することができるのか、疑問に思います。
以上
2016年6月1日 佐伯社会保険労務士事務所 大阪