デジタルサイネージ

特集
デジタルサイネージ
駅や空港、ショッピングセンター、図書館、ホテルなど、人々が行き交う多くの場所で日常的に見られるようになったデジタル
サイネージ。ITやネットワークとの連携が強化される中、その役割は魅力的なコンテンツを発信する「電子看板」
としてだ
けでなく、運行トラブルや災害発生時に人々の安全・安心を支える「社会インフラ」へと進化しつつあります。今回の特集
メ デ ィア ス ペ ー ス
では、日立のデジタルサイネージソリューション「MediaSpace」の幅広い適用領域と、さらなる付加価値創造に向けた
新機能や導入事例などをご紹介します。
社会に欠かせない存在となった
デジタルサイネージ
たことを契機に普及が加速しました。
デジタルサイネージは、印刷した掲示
物とは異なり、ネットワークを介してリアル
しての活用も期待されており、国際的
なイベントや観光などに対応するため、
一層の普及が見込まれています。
公 共 空 間や屋 外、店 頭、交 通 機 関
タイムで情報を書き換えることができま
などさまざまな場所で、ディスプレイなど
す。設置場所や時間に応じて、ターゲッ
企画から運用までの
の表示機器を使って情報を発信するデ
トを絞った情報発信が可能であるほか、
トータルソリューションを提供
ジタルサイネージ(電子看板)。1980年
ニュースやキャンペーン告知など刻々と
代はじめの米 国で、録 画されたファッ
変化する情報を提供することもできるた
日立は、日本におけるデジタルサイネー
ションショーの様子を小売店の大型テレ
め、人々の注目を集めやすく、既存のマ
ジの黎明期ともいわれていた2002年に、
ビに映し出したのが始まりだとされてい
スメディアでは訴求が困難だったフレキ
インターネットを介して多様な映像コンテン
ます。その 後 は 欧 米を中 心 に、食 品
シブルな広告媒体として幅広いシーンで
ツを多拠点のディスプレイに表示するクラ
チェーンストアやレストラン、商業施設で
導入が進められています。
ウド型のデジタルサイネージソリューション
設置が進み、1990年代後半にプラズマ
最 近では、災 害 対 策やインバウンド
「MediaSpace」の提供を開始。流通店
や液晶の薄型ディスプレイが開発され
(訪日外国人)向けの情報伝達手段と
舗、交通機関、金融機関、自治体など多
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日立の取り組み
くの人々が行き交う通路上に設置され
たディスプレイは、遠くからでも連続して
見える視認性の良さ、同じ場所で多数
のサイネージ画面を同時放映する認知
率の高さから、広告出稿元であるクラ
イアントから高く評価されています。
デジタルサイネージの
災害対策機能を強化
デジタルサイネージの役割と意義が見
直される大きな契機となったのが、2011年
3月11日の東日本大震災でした。当時、デ
ジタルサイネージでは広告や企業情報が
流れており、臨機応変にテレビで見るよう
なニュースや緊急情報を映し出すことが
できなかったため、ほとんどのサイネージ
は電源を落とす結果となりました。その後、
サイネージにはテレビ放送機能が求めら
種多様な業種・業態向けに、コンテンツ
持っています。
やMediaSpaceからの自動切り替えが難
の企画・編成から配信・運用、稼働監視
まで一貫したデジタルサイネージシステム
幅広い導入実績を持つ
の構築に取り組んできました。
日立のデジタルサイネージ
それぞれの時代におけるお客さまの
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れるようになってきましたが、法的な問題
しいなどの課題もありました。
そこで日立は株式会社日立ケーイーシ
ステムズとともに国内でいち早く、デジタ
ニーズを的 確に反 映したMediaSpace
デジタルサイネージの導入が進んで
ルサイネージの災害対策機能の強化に
は、独自性と多くの実績を持っています。
いるといわれる鉄道分野では、複数の
取り組み、災害情報や自治体の避難情
例えば、流通大手のイオングループで
鉄道事業者の駅・改札口で列車の運
報を配信する災害情報共有システム「L
レジ付近に大型モニターを設置して情報
行情報を表示するシステムの対応に取
アラート」
とMediaSpaceの連 携 機 能を
発信を行う
「イオンチャンネル」
(2009年
り組んでいます。
開発しました。平時は広告や交通情報
開始)は、現在では全国大型店を中心
また同じ鉄道分野で、広告媒体とし
などを表示しているデジタルサイネージ
に約180店舗・モニター数約1,400台とい
てのデジタルサイネージも現在、首都圏
に、災害発生時はLアラートからの緊急
う規模で展開されており、店舗別での素
の主要ターミナル駅を中心に展開して
情報を自動的に配信・表示するほか、日
材切り替えなどの機能により、セグメントさ
います。通勤客や空港などに向かう旅
立 が 提 供 する自治 体ソリューション
れたお客さま層に圧倒的なリーチ力を
客、ショッピングを楽しむ観光客など多
「ADWORLD 災害情報一元配信シス
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デジタルサイネージ
多様な先端技術とデジタルサイネージ
施設内の監視カメラによりリアルタイムな人流、滞留検知などを実施。必要に応じてそ
の状況を通知。スタッフはスマートフォンなどでその状況を直接確認・判断可能。サイ
ネージなどを利用して適切な連絡や指示を実施。
を融 合した付 加 価 値の高いテクノロ
ジーやコンテンツをグローバルにアピー
ルする“ショーケース”
としての役割も期
待されるでしょう。
滞留情報把握
映像分析サーバ
デジタルサイネージは、カメラによる画
人流計測
像認識で視聴者の性別や年齢別のリア
ルタイムな表示内容の変更、人の動きに
合わせたインタラクティブな情報提供、
周辺状況や指示表示
拡張現実(AR)技術を使った効果的な
プロモーション、スマートフォンと連携した
パーソナルな情報取得など、先進的な
技術が次々と投入されるイノベーティブ
滞留情報通知
退場者
なソリューションとして今も進化し続けて
デジタルサイネージ
移動軌跡
入場/退場計測エリア
入場者
状況判断のうえ、
サイネージへ配信
います。
日立は今後も、広告メディアの枠を超
え、社会インフラとしての存在感を増して
監視カメラ(人流計測)とサイネージの融合
いるデジタルサイネージの新たな技術開
発と、お客さまとのビジネス協創を推進
テム」
と組み合わせることで、設置場所
準化の推進にも注力し、人々の安全・安
し、より付 加 価 値の高いシステムとソ
周辺のみを対象とした情報を配信・表
心を支える社会インフラとしての役割も
リューションを提供していきます。
示することも可能となります。
果たすデジタルサイネージソリューション
このLアラート連携機能が採用されて
いるのが、神奈川県の秦野市観光協会
を実現していきます。
※ Social Networking Service
が運用するデジタルサイネージです。今
後は全国の宝くじ売り場(国内最大級
デジタルサイネージの
の5,000拠点へ配信)などへも採用が予
需要がさらに加速
定されています。
Lアラート連携機能は、災害・避難情
観光客や国際的なイベントなどによる
報の多言語対応、高齢者や障がい者に
インバウンドの急増に向けて、デジタル
も工夫された情報提供、スマートフォンや
サイネージは競技場や交通機関の多
SNS※と連携した双方向性の強化など
言語案内、パブリックビューイングなどの
に取り組む一方、災害時の相互運用性
用途を中心に、さらに需要が加速する
の確保や海外展開などに向けた国際標
と予想されています。そこでは、日本の
お問い合わせ先
(株)日立製作所 産業・水業務統括本部
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/infrastructure/jp/urban/form.jsp?UM_QNo=6
■ 情報提供サイト
http://www.hitachi.co.jp/products/infrastructure/product_solution/industry/digitalsignage/
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