平成 28 年度 愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センター 研究成果展示発表会・普及講習会のご案内 1.開催日時 平成 28 年 6 月 7 日(火)10:30~14:35 2.開催場所 愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センター 研究交流棟2階 研修室 (四国中央市妻鳥町乙 127) 3.対象 紙産業関係事業者・一般 4.参加費 無料 5.受付 (10:00~10:30) 6.内容 1)研究成果展示発表会 ポスター発表(10:30~12:00) ①セルロースナノファイバー活用に関する取り組み ②シート状触媒の多機能化 ③機能性粒子を用いたシート状触媒の開発 ④高齢者の生活の質向上ビジネス促進事業 ⑤酵素ラッカーゼを固定化したシート材料の開発 ⑥乾式不織布製造法による炭素繊維のシート化 ⑦有機酸吸着シートの開発と文化財劣化の抑制 ⑧紙料調成工程におけるマイクロローズ合成の可能性調査 2)普及講習会 (13:00~14:35) (1)開会挨拶 センター長 青野 洋一 (13:00~13:05) (2)課題発表 ①機能性粒子を用いたシート状触媒の開発 研究員 藤原 健成 (13:05~13:35) ②酵素ラッカーゼを固定化したシート材料の開発 主任研究員 高橋 雅樹 (13:35~14:05) ③平成 27 年度新規導入設備について(事例紹介) 主任研究員 西田 典由 (14:05~14:35) 3)その他 普及講習会終了後、引き続き 14:45 から四国紙パルプ研究協議会 平成 28 年度総会、15:00 から四国紙パルプ研究協議会平成 28 年度第 1 回講演会が開催されます。 普及講習会 講演要旨 ①機能性粒子を用いたシート状触媒の開発 研究員 藤原 健成 現在、様々な機能を付加させた紙の研究、開発が盛んに行われている。本研究では、機能性 粒子の固定化による紙への触媒機能の付加の検討を行った。得られた紙において分析、機能性 評価を行ったので報告する。 ②酵素ラッカーゼを固定化したシート材料の開発 主任研究員 髙橋 雅樹 シリカ微粒子とセルロースナノファイバー(CNF)を主体とする塗料により紙基材表面 に塗膜を形成し、さらにシリカ微粒子に酵素ラッカーゼを固定化することで、染料色素の脱 色分解に応用可能なシート材料の開発を検討した。 ③平成 27 年度新規導入設備について(事例紹介) 主任研究員 西田 典由 平成 27 年度、当センターに「X 線 CT」 「生物実体顕微鏡」 「ナノ粒子分析装置」 「超高速液体ク ロマトグラフ」の4装置が導入された。これらの装置の概要および分析例を紹介する。 平成 28 年度 愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センター 研究成果展示パネル概要 No. 1 2 パネルタイトル 研 究 成 果 概 要 セルロースナノファ セルロースナノファイバー(CNF)は、再生可能資源でありながら、軽量 イバー活用に関する かつ高強度であるなど優れた特質を持っており、高い将来性を有する素 取り組み(H27~29) 材である。当センターでも、愛媛大学・製紙企業と共同で CNF に関する 研究を環境省事業により実施している。 ・独自の CNF 脱水プロセスによる CO2 排出量の削減 ・CNF 複合透明樹脂を用いた部材・製品の試作 などを目標としている。 シート状触媒の多機 酸化 NBKP とイオン液体(IL)を複合化させることによって、Pd を 能化(H26~27) 吸着させたシート状触媒の繰り返し性能の向上及び多機能化に関する検 討を行った。 1. IL 複合型シート状触媒に Pd を吸着後、還元処理することによって、 10 回の繰り返し利用に耐えるシート状触媒となった。 2. 鈴木-宮浦クロスカップリング反応以外に、溝呂木-Heck 反応にも適 応が可能な、多機能型シート状触媒となることが分かった。 3 機能性粒子を用いた シート状触媒の開発 (H26~H27) 繊維表面に金属触媒を固定化させたシート状触媒は、従来の触媒に比 べ加工性、リサイクル性に優れている。本研究では金属触媒を担持した 粒子を効率的に繊維に固定化することでシート状触媒の作製を行った。 1.金属触媒を担持したアミノ基修飾シリカ粒子を調製した。 2.TEMPO 酸化パルプやナノファイバーの使用により触媒機能を有し たシートが作製できた。 4 5 高齢者の生活の質向 本プロジェクトでは、高齢者、施設スタッフが生活するうえで感じる 上ビジネス促進事業 衣食住の3つの分野において「不のつく言葉(不安、不満、不足、不自 (H25~27) 由、不快、不味い等) 」解消を目的に、産業技術研究所を中心として、高 齢者や県内企業の参加型により研究開発を行った。 当センターでは、消臭機能を有する紙おむつの開発(協力:カミ商事 株) 、並びに柔らかく、トイレに流せるおしりふきの開発(協力:常裕パ ルプ工業㈱、丸三製紙㈱)を行った。 酵素ラッカーゼを固 シリカ微粒子とセルロースナノファイバー(CNF)を主体とする塗料 定化したシート材料 により紙基材表面に塗膜を形成し、さらにシリカ微粒子に酵素ラッカー の開発(H27) ゼを固定化することで、染料色素の脱色分解に応用可能なシート材料の 開発を試みた。 1.CNFとシリカ微粒子による塗膜化では、対CNF比 500wt%の添加 量まで、シリカ微粒子が脱落することのない複合塗膜が形成でき、さ らにポリエチレン樹脂の添加により、塗膜の耐水強度が向上した。 2.シリカ微粒子をシランカップリング剤で表面処理し、さらにグルタル アルデヒドによる架橋反応で、酵素ラッカーゼの固定化が可能となっ た。酵素ラッカーゼを固定化した塗工紙は、染料色素の脱色分解に繰 り返し利用が可能であった。 6 乾式不織布製造法による不連続な炭素繊維(CF)のシート化方法の確 乾式不織布製造法に よる炭素繊維のシー 立を目的に「炭素繊維シート開発研究会」を設立し、四国内の乾式不織 ト化(H26~) 布製造メーカーと、愛媛県紙産業技術センター・高知県立紙産業技術セ ンターとで研究開発を実施している。我々は、薄くて均一なシートの作 製を目標に、 サーマルボンド法によるシート化について取り組んでいる。 ・サンプルローラーカード機を用いてCFと合成繊維の混綿ウェブを作 製することができた。 7 8 有機酸吸着シートの 大気中に存在する酢酸やギ酸等の有機酸は文化財の劣化を促進させ 開発と文化財劣化の るため、大気中有機酸濃度を低減させることが求められている。しかし、 抑制(H27~29) 安価かつ手軽に有機酸を除去することは難しい。そこで、紙素材など安 価な材料を用いた有機酸除去シートを試作し、その性能評価を行った。 1.紙やカキ殻粉末などを用いた有機酸除去シートの試作を行った。 2.試作した有機酸除去シートを各地の博物館等に設置して性能評価を 行った。程度の差はあるものの、ほとんどの施設で有機酸濃度は低下 した。 炭酸カルシウムから合成されるマイクロローズは高い消臭性を有す 紙料調成工程におけ るマイクロローズ合 ることが知られているが、研究段階のものであり、実用化されてない。 成の可能性調査(H27) 今回の予備調査事業では、製紙会社で通常行われる紙料調成工程におい てマイクロローズの合成が可能であるか調査した。 1.ビーターによる紙料調成中にリン酸処理を行うことにより、マイクロ ローズが合成可能であることが確認できた。また、叩解することによ りマイクロローズの歩留まりが向上することも確認できた。 2.試作したシートの消臭効果を評価するため、アンモニアの消臭試験を 検知管法にて行った。その結果、炭酸カルシウム担持シートに比べ、 マイクロローズ担持シートの方が高い消臭能を有することが確認で きた。
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