原油価格週間動向

2016/
原油価格週間動向
5/30
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
OPEC総会、協調合意は困難か
今後の世界原油需給を見極めるうえで重要となる OPEC 定例総会が 6/2 に開かれる。4 月のドーハ会合では
増産凍結が見送られ、結論は今回の総会に持ち越しとなっていた。総会では加盟国の産油量を今年 1 月の水
準で据え置くことが協議される見通しだが、今回も産油国の足並みが揃う(そろう)可能性は低い。WTI 原油先
物相場は 5/26、一時約 7 ヵ月半ぶりに節目の 1 バレル=50 ドル台を回復したが、総会後は需給改善の遅れを
嫌気した失望売りが広がることが予想される。非商業筋の買残が大量に積み上がっていることもあり、今後は
四半期末、半期末に向けて利益確定の売りに押される展開になるのではないかとみている。
国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週、
増産凍結に後ろ向
きな産油国
2015 年 10 月以来、約 7 ヵ月半ぶりに一時 1 バレル=50 ドル台を回復した。年初から
の騰落率は 5/27 時点で+34.2%と、他の主要商品と比較しても断トツに高い。
ただし、5/30 は米英が祝日に当たるうえ、6/2 には今後の世界原油需給を見極めるう
えで重要な石油輸出国機構(OPEC)定例総会が開かれる予定となっていることから、
足元では利益確定売りに押され、再び 50 ドルを下回る値動きとなっている。
今回の総会では、加盟国の産油量を今年 1 月の水準で据え置くことが協議される見
通しだ。4/17 にカタールのドーハで開かれた会合では増産凍結が見送られ、結論が
持ち越しとなっていた。しかし、今年 1 月に欧米による経済制裁が解除されたばかりの
イランは増産凍結に対していまだ後ろ向きな姿勢をみせている上、最大産油国である
サウジアラビアもエネルギー産業鉱物資源相が交代したばかりということもあり、増産
凍結の合意を形成することは難しいとみられている。OPEC の決議は全会一致が原
則とされているが、今回も産油国の足並みが揃う(そろう)可能性は低い。
原油価格動向
主要商品年初来騰落率
期間
WTI
北海
ブレント
(2016/1/4 → 2016/5/27)
2016/5/16
~
~
2016/5/23
WTI
ヒーティングオイル
北海ブレント
ガソリン
亜鉛
銀
鉄鉱石
金
錫
白金
アルミ
銅
パラジウム
ニッケル
鉛
天然ガス
前週比
2016/5/27
2016/5/20
始値
48.46
46.28
2.18
高値
50.21
48.95
1.26
安値
47.40
46.15
1.25
終値
49.33
47.75
1.58
始値
48.72
47.80
0.92
高値
50.51
49.85
0.66
安値
47.58
47.38
0.20
終値
49.32
48.72
0.60
▲ 10
34.2
0
10
20
(注)価格は 1 バレル=ドル
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
30
40
(%)
2016/5/30
原油価格週間動向
四半期末・半期末
を意識した利益確
定売りが増加する
可能性
年初からドル安の影響により非商業筋の売残が減少傾向にあったが、ここへ来てその
勢いに拍車がかかっている。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、
5/24時点の非商業筋の売残は18万88枚と昨年7月以来の低水準であった。また、
ネットポジションも+34万8,142枚と年初来最高水準となっている。しかし、OPEC総会
で再び交渉が決裂する可能性が高いことを考えると、このまま買いが続くとは考えにく
い。四半期末・半期末が迫っているということもあり、今後は利益確定売りに押される
展開となることが予想される。
ドル高進行もマイナス要因だ。5/27に米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は講
演で、「経済成長が見込み通り続けば、今後数ヵ月内での利上げがおそらく適切であ
る」と述べた。実際に追加利上げが行われドル高となった場合、ドル建てで取引され
る原油は割高感から売り圧力が強まることになる可能性がある。今後もドル高・原油安
の傾向が続くことが前提ではあるが、ここから先の上値は限定されるとみている。
WTI原油先物価格とドルインデックス
CFTC非商業筋建玉とWTI原油先物価格
(週次:2013/1/4~2016/5/27)
(1バレル=ドル)
120
(週次:2014/4/1~2016/5/27)
(万枚)
50
76
(1バレル=ドル)
120
78
110
45
80
100
84
80
86
40
70
92
50
94
40
13/7
14/1
14/7
60
50
25
98
40
20
30
100
20
13/1
30
96
WTI原油先物(左目盛)
ドルインデックス(右逆目盛)
30
80
70
90
60
90
35
88
15/7
15/1
16/1
15
102
(年/月)
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
20
16/4 (年/月)
(注)CFTC 非商業部門建玉は 5/24 現在
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
WTI原油先物オプシ ョン権利行使価格分布
米国原油在庫
(週次:2013/1/4~2016/5/20)
(千バレル)
600,000
110
100
WTI( 右目盛)
82
90
買残-売残(左目盛)
(枚)
40,000
35,000
550,000
(2016年5月27日時点)
プット(7月限・8月限合計)
コール(7月限・8月限合計)
30,000
2013年
500,000
25,000
2014年
450,000
2015年
20,000
2016年
15,000
400,000
10,000
350,000
5,000
0
300,000
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80
(1バレル=ドル)
10 11 12 (月)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/5/30
原油価格週間動向
■ エネルギー関連統計
日付
国・地域
6月2日
6月2日
6月2日
6月2日
6月2日
6月2日
6月2日
6月2日
6月3日
6月3日
6月3日
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
期間
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数
前回
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
5 月 27 日
6月3日
6月3日
6月3日
▲4,226
▲649
2,043
▲1,284
▲0.8%
16,686
9,929.1
5,037.4
404
87
316
■ 今週の経済指標
日付
国・地域
5 月 30 日
5 月 30 日
5 月 30 日
5 月 30 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
5 月 31 日
6月1日
6月1日
6月1日
6月1日
6月1日
6月2日
6月2日
6月2日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
6月3日
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
米国
米国
米国
米国
米国
米国
中国
中国
米国
米国
米国
米国
米国
欧州
米国
米国
欧州
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
期間
景況感
鉱工業信頼感指数
サービス業信頼感指数
消費者信頼感
失業率
CPI 予想(前年比)
CPI コア(前年比)
個人所得(前月比)
個人支出(前月比)
実質個人支出(前月比)
PCE コア(前月比)
S&P/ケース・シラー米住宅価格指数(季調前)
消費者信頼感指数
製造業 PMI
非製造業 PMI
MBA 住宅ローン申請指数
ISM 製造業景況指数
建設支出(前月比)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
ワーズ自動車販売台数合計(年率換算、台)
PPI(前月比)
ADP 雇用統計(人)
新規失業保険申請件数
小売売上高(前月比)
貿易収支(ドル)
失業率
平均時給(前月比)
労働参加率
不完全雇用率
ISM 非製造業景況指数(総合)
製造業受注指数
耐久財受注(前月比)
前回
5月
5月
5月
5 月 確報
4月
5月
5 月 1 次速報
4月
4月
4月
4月
3月
5月
5月
5月
5 月 27 日
5月
4月
4月
5月
5 月 28 日
4月
4月
5月
5月
5月
5月
5月
4月
4 月 確報
103.9
▲3.7
11.5
▲7.0
10.2%
▲0.2%
0.7%
0.4%
0.1%
0.0%
0.1%
175.61
94.2
50.1
53.5
2.3%
50.8
0.3%
17,320,000
0.3%
156,000
268,000
▲0.5%
▲40,400,000,000
5.0%
0.3%
62.8%
9.7%
55.7
1.1%
3.4%
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/5/30
金融商品取引法に係る重要事項
原油価格週間動向
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投
資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ
きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手
数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域
の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ
とがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ
ります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の
高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ
まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の
流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ
とがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基
づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額
は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで
お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込
み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対
して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お
よび諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負
担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を
委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理
料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替
レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け
資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160530-17
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