消費税増税再延期と税制への影響

平成 28 年6月特別号
消費税増税再延期と税制への影響
平成 29 年4月に予定されていた消費税率 10%への
引上げが平成 31 年 10 月に2年半見送られることとな
りました。当初は平成 27 年 10 月の予定でしたので、
再延期により、実に4年見送られたともいえます。
さて、飲食料品の消費税率を8%に据え置く軽減税
率の導入も実施が延期される見込みですが、実はそれ
直系尊属の住宅資金贈与の非課税措置へ
の影響
また、直系尊属の住宅資金贈与の非課税措置につい
ても、平成 31 年6月までの贈与税の非課税枠につい
て優遇幅が大きくなっています。
以外にも消費税増税を前提にした税制があるため、こ
の記事では、各制度とその影響をご紹介します。
各制度については、今後、具体的な取扱いが正式に
<図表>
贈与税の非課税枠(良質な住宅の場合)
契約締結時期
消費税率 10%で
契約した場合
左記以外
決定されるため、現時点ではあくまで予想である点
H28.1∼H28.9
―
に、ご留意ください。
H28.10∼H29.9
3,000 万円
H29.10∼H30.9
1,500 万円
1,000 万円
H30.10∼H31.6
1,200 万円
800 万円
住宅ローン控除への影響
1,200 万円
※上記以外の一般住宅の非課税枠は 500 万円減
まず、住宅ローン控除は、現在、消費税増税後の反
動減を考慮して、次のように平成 31 年6月まで優遇
幅が大きくなっています。
しかし、図表のうち下線部については、あくまで平
成 29 年4月から消費税率 10%になること前提とした
場合です。2年半延期されると、この優遇措置の対象
<図表>
区分
現行の「住宅ローン控除」
となる時期は後ろ倒しになる可能性が高くなります。
居住
控除
各年の
例えば、平成 28 年 10 月から平成 29 年9月までの
時期
期間
控除額
間に消費税率8%で契約した場合は、図表の右欄のと
一般
年末残高×1%
住宅
H26.4
認定
∼H31.6
住宅
10 年
(最大 40 万円)
そのため、非課税枠を見込んで住宅取得を検討して
年末残高×1%
いた場合には、資金計画の見直しが必要となります。
(最大 50 万円)
しかし、平成 31 年 10 月に消費税増税が延期される
ことを考えると、この終了期間も延長されると予想さ
れます。
なお、期間だけの単純な延長であれば、優遇幅が大
きい時期が続くことになるため、納税者にとってはメ
リットが継続します。
おり、非課税枠は「1,200 万円」となります。
地方法人税(国税)への影響
消費税増税を前提としているため、地方法人税の税
率の改正(4.4%→平成 29 年度:10.3%)の先送りも
予想されます。
この場合、欠損金の繰戻還付制度や連結納税制度の
損益通算の対象拡大も先送りになります。