2015年度春季国際ボランティア・インターンシップ活動報告

文部科学省【経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援】採択事業
2015 年度春季
国際ボランティア・インターンシッププログラム
活動報告書
法政大学グローバル教育センター事務部
グローバルラーニング課
目 次
国際インターンシップ(日本語・日本文化教育)[ヴェネツィア大学・ベイラー大学共催]
小島 有紗
人間環境学部
人間環境学科
4年
イタリア・ヴェネツィア
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
1
町田 大河
経営学部
市場経営学科
1年
イタリア・ヴェネツィア
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
4
堀田 真央
国際文化学部
国際文化学科
1年
イタリア・ヴェネツィア
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
8
長井 彩香
現代福祉学部
福祉コミュニティ学科
2年
イタリア・ヴェネツィア
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
12
鈴木 美朝
社会学部
社会政策科学科
2年
イタリア・ヴェネツィア
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
15
髙橋 良央
法学部
国際政治学科
3年
アメリカ・テキサス州
日本語学習クラスでの授業支援と交流、協働フィールドワーク
18
紀伊國屋書店本店、新宿南店及びクアラルンプール店での実務研修
23
国際インターンシップ(ビジネス)[紀伊国屋書店共催]
服部 圭
グローバル教養学部
グローバル教養学科
2年
マレーシア・クアラルンプール
人間環境学部 人間環境学科 4 年
小島 有紗
開始日:2016/02/03
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ヴェネツィア・カフォスカリ大学
派遣国・地域:イタリア・ヴェネツィア
内容:カフォスカリ大学における日本語学習クラスで
の交流と言語支援、協働フィールドワークに参
加しました。
③協働フィールドワーク
(調査テーマ:文化的景観としてのカナル・グランデ)
日本では『文化的景観』についてのゼミに所属し勉
強してきました。
『文化的景観』とは、ユネスコの定義
曰く「人間と自然の共同作品」のことです。
“人の手の
付けられていない絶景自然”の対にあたる考え方で、
人の手が加わり人の生活と密接に交わることで、その
景観が完成するのが『文化的景観』です。ヴェネツィ
アに流れる運河カナル・グランデは、自然の水路であ
りながら、ヴァポレット(水上バス)など人の生活・観
光に欠かせない実用的な面も兼ね備えており、また
人々によってそれは町のシンボルであると思ったため、
これは文化的景観であると仮定し研究を始めました。
「人々のカナル・グランデに対する印象や思い」を
探ることで、
『カナル・グランデと人々の関係性』が見
えてくると思ったため、まず初めに、フィールドワー
クパートナーと一緒にインタビューの質問を考えまし
た。
(1) 活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
日本語クラスは、鈴木朱音先生の担当する二年生の
会話の授業(4 コマ)と、吉田先生の担当する二年生の
会話の授業、それから杉山先生の担当する大学院一年
生の会話の授業に参加しました。二年生の会話の授業
では、会話に必要な文法を先生が教えた後に、学生同
士でペアを組み、習得した文法を使って会話の練習を
する時間があります。私はその際に、できるだけ多く
の学生がネイティブスピーカー(私)と会話をする機会
を得られるよ
う、毎授業違
う学生とペア
を組むことを
心がけました。
二年生の漢
字の授業では、
漢字テストの
採点を担当しました。その際、ただチェックし点数を
つけるだけでなく、一言メッセージを添えることで学
生の漢字学習に対するモチベーションを上げたいと思
いました。
また、大学院一年生の授業は、5 人編成のインタビ
ュアーグループを作り、その一つを監督しました。カ
フォスカリ大学の学生は、どの学生も非常に学習意欲
が高く、授業中にありとあらゆる質問を先生にしてい
た姿が印象的でした。
そして、パートナーが「どういった意味でカナル・
グランデと人々が関わっているかを探るため、様々な
観点からの質問を用意すべきだ」とアドバイスをくれ
ました。それに基づき、私たちは「経済的/環境的祖側
面からの質問」
「精神的/文化的側面からの質問」の二
種類の質問を用意し、フィールド調査に移りました。
フィールド調査では、用意したインタビューを、観
光客をはじめとする様々なタイプの人々にしました。
観光客に始まり、ゴンドラの運転手さんやお店のオー
ナーなどヴェネツィアの住民、または学生などです。
駅前からスタートし、道行く観光客の方々にインタビ
ューをしながらメモを取る…もし日本であったら警戒
心の強い国民性ゆえに上手くいかなかったのではない
かと思います。
しかし、イタリア(欧州)はフレンドリーな国民性の
ためか、ほとんどの人が立ち止まり、私たちのインタ
ビューに付き合ってくれました。断られたのは全体を
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
私が 4 月から就職することもあって、日本とイタリ
アの就職について話しました。日本では大学三年生の
ときに就職活動をして卒業前に内定を得ることが基本
です。しかしイタリアでは、卒業してから就職するこ
とが基本だと言います。そして就職先を得るまでの間
はフリーターであるらしく、日本ではたとえわずかな
時間でも「フリーター」であることがご法度のような
文化であるため、イタリアのその文化に驚きました。
1
通してたったの一人だけであり、
無事 32 人へのインタ
ビューを一日で終わらせることが出来ました。
その日は本当に疲れたのを覚えていますが、同時に
達成感で胸がいっぱいになったことも覚えています。
異国で、見知らぬ人とこんなにもコミュニケーション
が取れるとは思っていなかったのです。それは、自分
の英語力が充分にあったという喜びだけでなく、イタ
リア人パートナーがイタリア語で助けてくれたという、
協働への喜びでもありました。
そしてインタビューの翌日は、パートナーと集まっ
てインタビューの回答をまとめる仕事がありました。
この作業が、
一番大変でした(詳しくは苦労したことの
欄に書かせていただきました)。
しかしその後のパワー
ポイント作りや発表の練習などは、パートナーの英語
力やボキャブラリーの多さに非常に助けられ、協働の
素晴らしさも認識しました。
これから社会人になる私ですが、組織に所属する以
上、全て自分の感覚で行うなどという個人プレーは絶
対に許されないと思います。そんなときに、この言語
の壁を乗り越えて行った協働フィールドワークの経験
は、必ずや役に立つと思いました。改めて、この貴重
な機会を与えられたことの有難みを感じます。
(2) 特筆すべきエピソード
鈴木朱音先生との出会いです。初めて鈴木先生の授
業を受けた際、その授業の質の高さに驚きました。鈴
木先生の日本語の授業は、高い金額を払わないと通え
ないような語学学校や予備校の授業のように、本当に
生徒が文法を使いこなせるようになるための全段階が
詰め込まれていたからです。
学生たちは難しい文法(自
動詞や他動詞の状態を表す表現など)を、
講義の最初で
は全く理解していないのに、授業が終わるときには例
文を自ら作りながらロールプレイが出来るまでになっ
ています。
そんな圧巻の授業を目の当たりにした私が、
先生に話を聞きに行くと、なんと法政大学の出身であ
り派遣留学経験者だと言います。
それから 3 週間、私たち日本人学生は鈴木先生によ
くお話を聞きに行きました。そして最後の日に、
「私が
派遣留学をした当時から、
法政が
『この子は大丈夫だ』
って送り出す子のキャラクターとか特徴って今も変わ
らないな。
」
「
『出る杭は打たれる』の出る杭タイプだよ
ね、みんな!」と私たちを面白おかしく形容してくれ
ました。自分のようにグイグイ・ハキハキ前に出るタ
イプは日本社会ではあまり受けないですが、鈴木先生
のような海外に居る方には面白いと思われるのだな、
と一種の自信が沸いてきました。そして、私もいつか
鈴木先生のように、海外で(または海外の人を相手に)
格好良く仕事が出来る人間になりたいと思いました。
(3)苦労したこと
フィールドワークで、パートナーとインタビューの
回答をまとめる仕事があり、それがフィールドワーク
全体の中で一番大変でした。というのも、今までゼミ
でヒアリング調査をまとめたり仕分けたりするのは、
全て個人の仕事でした。それ故自分の感覚ひとつで、
結論に必要な情報を頭の中で仕分け、いらない情報を
切り捨てることが可能でした。しかしこのフィールド
ワークでは、その作業も協働しなければならない、ま
してや英語で仕分け方法を説明しなければならない、
これは思っていた以上に難しいことでした。
しかし、案を出し合いながら「まずは一人一人の回
答を清書しながらキーワードを箇条書きしていこう」
「最終的にこういう表を作るために、
こういう情報(出
身・ネガティブな意見かポジティブな意見か等)が必要
だから、そこにラインマーカーを引こう」
「一人がここ
を手書きでまとめて、二人がここを PC に打ち込もう」
などと一つ一つの作業を確認しながら行うことで、何
とか終わらせることが出来ました。協働とは、自分の
感覚に頼れず、
一つ一つを言語化しなければならない、
大変な面もあることを学びました。
(4)身についたこと
『協働する力』です。私は個人研究が主体のゼミに
入っていたり、所属しているサークルでは特に役職に
就いているわけでもなかったため、人より協働の経験
が少ない人間でした。しかし今回、協働しながら、イ
ンタビュー、答案のまとめ、プレゼンテーションの作
成、練習をすることで、協働の大変さや面白さ、そし
てその意義など、
様々なものを学ぶことが出来ました。
協働して何かを行うことは、自分の意思を逐一相手に
分かりやすく伝えねばならず、時には煩わしく大変で
もあります。
また一人一人が自分の中でのベストアンサーを持っ
ているため、それをお互いに認め合ったり、時には妥
協したりしながら、一緒に一つのアンサーを作ってい
く必要があり、大変です。しかし同時に、一人一人の
良い部分を活かせるというメリットもあります。この
協働する力を学生の間に得られて、非常に良かったと
思っております。
2
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
文化の違い・考え方の違いなどを面白いと思える人
だと思います。例えば、イタリア人の学生は非常に親
切で優しいですが、同時に約束などについて適当なと
ころもあります。遊びの約束も勉強の約束もなかなか
計画が決まらないということが多々ありました。また
決めた約束でも、リマインドをしないと忘れられてし
まうこともありました。しかしそういった予定通りに
いかない場合でも、日本の時間厳守の価値観を押し付
けるのではなく、イタリアの時間の流れ方などに標準
を合わせると、幸せに生きていけると思いました。
こういった相手の国の文化や考え方を尊重し、むし
ろ楽しむくらいの心構えが出来ることが「グローバル
人材」には必要だと思いました。
(6)後輩へのメッセージ
このプログラムに参加したことで、今まで気づかな
かった様々なことに気づいたり、今までと違う観点で
ものを見るようになったりしました。例えば、イタリ
ア人学生は非常に自立しており「自分の未来のために
勉強している」という意気込みや決意が明白な方ばか
りでした。
「お金の無駄だから良い成績を取って早く卒
業したい」と言っていたイタリア人学生の友人を見る
と、
「一生大学生でいた~い」と何も考えずに言ってい
る自分が恥ずかしくなりました。勿論、入学が難しく
て卒業が簡単な日本の大学と、その真逆のシステムで
あるイタリアの、制度上の違いもあると思います。
しかしそれだけでなく、自分の人生に対してしっか
りとした意識のあるのがイタリア人学生であると思い
ました。そして、そんな彼らを知ることは、来年から
社会人になる私にとって本当に意義のある学びでした。
後輩のみなさんも、自分とは違う価値観・環境の場所
で、違うバックグラウンドを持つ人とふれあうと、今
後の自分の人生に対する重要な学びが得られるかもし
れません。
以上
3
経営学部 市場経営学科 1 年
町田 大河
開始日:2016/02/03
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学(Ca'
Foscari University of Venice)
派遣国・地域:イタリア・ヴェネツィア(Venice)
内容:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学における日
本語学習クラスでの交流と言語支援、協働フィ
ールドワークに参加
り多いという実感を受けました。
とは言え、私の肌感覚ではありますが日本の大学生
が「勤勉」であるとはお世辞にも言えず、現地で彼ら
の勉強熱心な姿勢を見ていると、日本の教育も生徒参
加型の授業を増やして、スパルタであってもより一層
の負荷を学生に課すことが、日本の今後を見据えると
最良の方法のようにも、思えました。
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
フィールドワークのバディーたちと行った週 2 回の
language exchange(言語交換学習、以下 LE)は、主
にバディーの家で
コーヒーを御馳走
になりながら行う
か、移動中に行う
事が多かったです。
最初の LE はバル
で行ったのですが、
実は下ネタがテー
マでした(笑)
。インテル・ミラノに所属している長友
佑都選手も、移籍当初下ネタの話をしてチームに溶け
込んだと言っていましたが、
この一回で私は本当に
「溶
け込んだ」と実感したのが事実です。
「イタリアでは男
女関係なく日常的
にこういう話をす
るよ」と彼らは語
っていましたが、
以後彼らは私がい
る中でもイタリア
語で話すことが増
え、結果として私
が恐らく他のどの日本人よりもイタリア語に触れてい
る時間が長くなり、イタリア語で簡単な意思疎通がで
きるほどになりました。
バディー以外に
目を向けると、前
述の通り現地学生
はとても学びの意
識が強く私たちの
ことを積極的にバ
ルやパーティーに
誘ってくれました。
彼らの学ぶ意識故に、この場合は日本語での会話を行
うことがほとんどで、彼らの日本語スキルに常々驚か
されていました。内容は、お互いの国で現在若者の間
で流行っているもの(お笑い、音楽、スポーツなど)
が多かったです。
(1)活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
今回のインターンシップの中で、私は週7コマの授
業に参加をしましたが、1 コマの「漢字」の授業を除
いて全てが会話を中心としたインタラクティブな授業
でした。私はこの部分が日本とイタリアの教育制度の
大きな違いであると感じています。私が実際にヴェネ
ツィアで目にした
学生の姿は、
「自ら
進んで学ぼう」と
いう姿勢であり、
それは常日頃の授
業から生徒参加型
をメインとしてい
ることが大きな要
因なのではないかと感じました。
一方で、宿題の量や授業の内容・授業中の生徒の声
などを聞いていると、イタリアの教育はかなりスパル
タであるとも感じました。授業に内容は非常に難易度
が高く、特に漢字
はどの生徒も「苦
手」と言っている
にも関わらず毎回
の小テストはディ
クテーションスタ
イル。宿題はかな
4
幸いにもいいパートナーたちにも恵まれ、現地調
査では本当に様々な人からお話を伺うことができま
した。実はヴェネツィアにはセリエ A(イタリアプ
ロサッカーリーグの最上位カテゴリー)に所属する
チームがなく、定量調査(街頭アンケート式インタ
ビュー)はヴェネツィアだけに留まらず、ヴェロー
ナでも行いました。
実はイタリア人は意外と英語が通じない人が多い
ということもあり、定量調査でのインタビューはほ
とんどをパートナーが買って出てくれたので、本当
にありがたい限りです。いざインタビューをしてみ
ると本当に様々な出会いがあるもので、FC ヴェネツ
ィア(ヴェネツィア唯一のプロサッカークラブ)の
元オーナーさんであったり(写真上)
、経済学者の方
であったりといった方々からお話をお伺いできたこ
とは大きな経験です。
勿論、ヴェローナではセリエ A の試合を初めて実
際にスタジアム観戦しました。日本ではスタジアム
観戦に慣れている私ですが、やはりセリエ A の、し
かもダービー戦となると興奮もいつも以上のものが
ありました。
③協働フィールドワーク
調査テーマ:イタリアサッカーが現地住民に与える価
値
フィールドワークのテーマを決めたきっかけは、完
全に私自身の趣向に基づくものです。現在私が経営学
部でマーケティングを勉強していること、昔からサッ
カーが好きだったということ、そしてそのサッカー好
きが故に、かねてからイタリアで本場のサッカーに触
れたいと思っていたこと。純粋にこれらの理由に尽き
ます。
私は高校 2 年生の時からゼミでマーケティングを勉
強してきて、一つ、信条としていることがあります。
それは、
「マーケティングは誰かを幸せにするための活
動全てである」ということです。人それぞれ様々な定
義付けがあるとは思いますし、お金儲けの手段と考え
る人も多いのではと思いますが、私はこれを信条とし
て考えてきました。
そこで、この定義付けをイタリアサッカーに落とし
込んで考えてみると、
「はるか昔から市民に親しまれ、
サッカーが文化として根付いているイタリアでは、日
本サッカーとは比べものにならない程の『
(何らかの)
価値』を市民に与えているのではないだろうか?」と
いう仮説に至りました。これが、私の今回のフィール
ドワークにおける軸であり、問題意識です。
定性調査(デプスインタビュー)では、カ・フォス
カリ大学のマリオッティ先生のご紹介で、長友佑都選
手や本田圭佑選手の取材コーディネーターとしてご活
躍されている小川光生さまにインタビューをさせて頂
く機会を頂きました。
小川さまからは「イタリアサッカーと日本サッカー
の違い」や「イタリアサッカーの問題点」など、イタ
リア住民に対する定量調査では得られないようなご意
見を数多く頂きました。
5
う。そんな時、私たちは彼らほどのホスピタリティを
持って「おもてなし」できるのでしょうか?正直、か
つての私だったらできた自信がありません。でも、ヴ
ェネツィアで彼らから驚くほどのおもてなしを受け、
私も彼らのような人間にならないといけないと身を正
される思いでした。
それらの調査結果を踏まえ、私たちは「セリエ A の
チームは顧客により良いサービスを提供するために、
『ユベントススタジアム』に代表されるような自前ス
タジアムを新設し、もっとサポーターの憩いの場とし
ていつでも集まれるような空間を提供すべきである」
と結論付けました。
詳細は下記 URL のスライドとプレゼンテーション動
画をご覧頂ければと思いますが、当初は「イタリアサ
ッカーがどんな価値を市民に与えているのだろう?」
という興味本位な問題意識で始まったこのフィールド
ワークですが、最終的にイタリアサッカーに対する提
言をするに至ったというプロセスは、実際にイタリア
に訪れ、様々な方々からお話を伺ったからこその経験
であったと実感しております。
この場を借りて、ご協力頂いた全ての方に厚く御礼
申し上げます。
 スライド:
https://drive.google.com/file/d/0B_nF3YtP
stJSZTFxazB0dWZPZEU/view?usp=sharing
 動画: https://youtu.be/4YSunTNcdX8
 ブログ: http://taigam1.blogspot.jp/
(3)苦労したこと
正直、苦労したことはあまり思い当たりません。現
地学生たちともとても楽しく 1 か月間過ごせましたし、
イタリアのライフスタイルも日本人が馴染めない程の
変化はありませんでした。そして何より、最も心配し
ていた言語の壁の問題が思いの外問題なく生活できた
ということが大きかったと思います。強いて言うと、
苦労したことは「自炊」と「インターネット環境」の
2 つが挙げられます。
まず、自炊に関しては、私自身日本では実家暮らし
ということで料理をしない分、とてもよい経験になり
ました。ヴェネツィアで外食をしようとするとどうし
ても 20€近くかかってしまうため、現地ではほぼ毎日
パスタを作っていました。パスタに関してだけはだい
ぶ料理の腕が上がったと思います。
(2)特筆すべきエピソード
私の中で最も特筆すべきエピソードは、現地学生パ
ートナーたちのホスピタリティ精神です。正直に言っ
て、幾ら学校の単位に代える事ができるとは言え、授
業時間外に、しかも休日返上でフィールドワークをす
るということは大変な事でしょう。さらに、ただ休日
に調査に出向けばいいという訳でもなく、事前打ち合
わせや調査結果の共有、プレゼン準備等も合わせると
ほぼ毎日顔を合わせ、朝 9 時集合ということも多々あ
りました。
でも、彼らは嫌な顔一切せず、笑顔で「家来るかい?
(私の宿舎には Wi-Fi がないため)
」
と声をかけてくれ、
朝行くと決まってエスプレッソを作ってくれました。
いつか将来、きっと彼らも日本にやってくる事でしょ
6
問題は、
「インターネット環境」でした。渡航前、私
たちは「宿泊施設にも Wi-Fi 環境がある」と聞いてい
た中で、宿の Wi-Fi は使用できず、インターネットを
使うためには宿から歩いて 40 分かかる学校に行くか、
(たとえ夜であろうと)外に出る必要がありました。
(4)身に付いたこと
今回のインターンシップを通じ、最も身に付いたこ
とは、
「やり遂げる自信」です。
フィールドワークでは、ただ調査をするだけではな
くて調査から見えてきたことをマーケティング的視点
で分析をし、
「自分だからできる提案」をプレゼンに盛
り込みました。ヴェネツィアでの日常生活に関しては
普段行わない自炊に挑戦したり、Wi‐Fi 環境が整って
いない中でもブログを全日分書き上げたりもしました。
新しいことに挑戦するということは、誰しもが苦戦
することで、途中で投げ出したくなることも往々にし
てあると思います。ましてや今回は海外、環境までも
が違う世界での挑戦に、正直実際に何度かは手を抜こ
うとしたり投げ出したくなったりすることもありまし
た。
でも、それを乗り越えられた今、
「自分はできる」と
自信につながったと共に、今まで以上のものを自分に
求め、今まで以上の努力をするようになった気がして
います。
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
そもそも、
「グローバル人材」とはいったい何なので
しょうか。
「国際的な視野を持っている人のこと」と答
えるのが、模範解答なのかもしれません。しかし、今
回ヴェネツィアに行って私が感じたことは、真逆なこ
とでした。そう、
「グローバル人材像」などというもの
は存在しないと感じたのです。
実際にヴェネツィアに行って私が一番感じたことは、
たとえ言葉の壁があったとしても、たとえ文化の違う
人々と関わり合うとしても、一緒に助け合って楽しく
生きていくことができるということです。
言い換えると、私が感じたことは、
「自分は違う文化
を持っているんだ、だから頑張って溶け込まないと」
という意識を持ってしまうと、かえって萎縮してしま
って上手く溶け込めなくなるということです。だから
こそ、
「グローバル人材像」などと特筆して意識づけを
することは逆効果になると感じました。
7
強いて言うなら、どんな人(日本人同士であれ)と
でも協調するために必要なものとして、このインター
ンシップを通じて感じたものは
「行動できるかどうか」
です。
「考える前に動く」
、
これが重要だと感じました。
(6)後輩へのメッセージ
たとえ 1 か月という短い時間でも、
「留学」というの
はいざ実際に行くとなると非常にハードルの高いもの
だと思います。私自身も、当初は派遣留学制度の利用
を考えていましたが、
就活時期などを考慮して断念し、
経済的な側面から海外挑戦は断念するしかないと考え
ていました。そんな中で舞い込んできた、今回のイン
ターンシップの話。
私は今回のインターンシップを通じて、
「考える前に
動く」ことの大切さを知りました。そして、まだ帰国
後数日しか経っていない現在、自分でも「何かが変わ
った」と実感しています。だからこそ、皆さんにも言
いたいことは、
「考える前に動く」こと、そして、
「全
力で、動く」こと。この 2 つに尽きます。
皆さんにも是非、
自分の人生を変えるような経験を、
して頂けたらなと思っております。
以上
国際文化学部 国際文化学科 1 年
堀田 真央
開始日:2016/02/03
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学(Ca'
Foscari University of Venice)
派遣国・地域:イタリア・ヴェネツィア(Venice)
内容:カ・フォスカリ大学における日本語学習クラス
での交流と言語支援、協働フィールドワークに
参加した。
鈴木先生:会話
これも 1 年生の会話同様、隣に座って相手になって
いた。
学んだこと:
自分の国の言語にない概念を教えることの難しさを
知った。例えば「掃除をしておく」と「掃除をした」
の違いがよくわからないから説明してほしいといわれ
たときにきちんと説明できなかった。先生も説明はす
るものの学生はあまりわかっていないようだった。な
ぜならばイタリア語には~をしておくなんて概念がな
いからだ。
言語を教えるには、ただ翻訳だけすればいいという
ことではない。外国語を勉強するということは文化、
成り立ちが違うほど言い回し、ニュアンスなども変わ
る。そのことを頭に入れて学習者の母国語と比較しな
がら教えることの大切さを学んだ。
また言語とは変化するものであることも改めて感じ
た。面白い話があった。
“あげる”と“くれる”につい
てだ。この“くれる”は助詞「に」の前が自分と非常
に近い関係の人(子供や兄弟など)ならば使うことがで
きる。昔は兄弟に誰かが物を与えたとき“くれた”と
使っていた。しかし今は“あげた”を使う人が多いそ
うだ。
(ex 友達が弟に飴をあげた)最近は兄弟を自分
の所属ではなく一個人として考えるようになったから
“あげる”を使うようになったのではないかという話
を聞いた。言語は社会の影響を私の気づかないところ
でこのように受けているということを学んだ。母国語
を教えることは決して簡単ではないということを改め
て実感できる良い機会になった。
(1)活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
保田先生:1年生の授業(文法)ロールプレイの授業
文法の授業は基本的に講義形式だったが、実践的に
日本語を練習する場面もあったので毎週違う生徒の隣
に座り、会話の相手になった。ロールプレイの授業で
はテーマは課ごとに決まっているがどう表現するかは
生徒自身が考えるという内容だった。そのため主に、
その文章の直しをしていた。また、最近習った表現を
使っての会話も行った。
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
“クリスマスと伝統”について
私のフィールドワークのメンバーの一人はクリスマ
スの日は毎年家族で“家”に集まるそうだ。それも大
きな家族で 15 人くらいと言っていた。
そしてクリスマ
スにはそうすることが当たり前だと思っていた。
しかしルームメイトの友達は去年“外”で家族と外
食してきた。彼女はこの行動に驚いたという。なぜな
らば伝統的に考えれば“家”で集まらなければいけな
いからだ。最近若者のクリスマスの過ごし方が変わっ
てきているらしい。私はいまだヨーロッパでは伝統を
大切にしていると思っていた。なぜならばクリスチャ
ンにとってクリスマスは大切なものだと思っていたか
らだ。しかし話にもあったようにクリスマスの過ごし
方が変わってきているのが現状だ。
伝統はこのようにあっけなく簡単に終わってしまう
ということをこの話し合いで学んだ。だからこそ伝統
上田先生:発表練習
基本的には会話の練習をした(内容:イタリア人が
発明したものと日本人が発明したもの)
。
最後はプレゼ
ンテーションの発表を行い、質疑応答をし、意見を深
めた。
吉田先生:漢字、自由会話
漢字の授業ではテストの問題文を読み上げ、ネイテ
ィブスピーカーが話す言葉をどれだけ聞き取れるかチ
ェックした。またそのテストの採点をした。自由会話
では毎回違う内容のテーマを与えられそのテーマに沿
って話していた。
(内容:第1週目:スポーツ 第 2
週目:仕事
第 3 週目:携帯電話)
8
を必死に守ろうとする人がいるということもわかるき
っかけになった。
③協働フィールドワーク
調査テーマ:
(歴史的建造物)
私たちのテーマは歴史的建造物が若者の考えにどう
影響するかであっ
た。最初に私たち
はヴェネツィアの
歴史的建造物(伝
統)が若者の考え
方をモダンから伝
統に変えるという
仮説を立てた。そ
して、フィールド
ワークとして 32
人に 5 分程度の短
いインタビューを
した。
内容は、
Q1. どのくらいヴ
ェネツィアに住ん
でいるか。
(どのくらいヴェネツィアの建物に影響を受けている
か知るため)
Q2. サンマルコ広場、Palazzo Ducale et similoe な
どの歴史的建造物はよく訪れるか。
(どのくらい建物と若者が近い存在であるか知るため)
Q3. ヴェネツィアについてどう思うか。モダン様式に
変えたいか。
(本音を探るため)
Q4. 何をするのが好きか。趣味はなにか。
(今の若者の興味を知るため)
Q5. ヴェネツィアの歴史は知っているか。学校で勉強
したか。
(教育はどれほど関係しているか)
であった。
そして、
伝統的なものや歴史について勉強している学
生 4 人に 20 分から 1 時間程度、
深いインタビューをし
た。
内容は、
Q1. なぜ今勉強しているものに興味を持ったか
Q2. 若者の伝統に対する関心はどう思うか
Q3. イタリア人にとって伝統とは何だと思うか。
という質問をした。
Findings
私たちは「歴史的建造物は、若者の考え方を表面的
には伝統的という考え方に変えるが、すべてを伝統的
9
に変えてはいない」と結論づけた。Q3 の質問ではほと
んどの人がヴェネツィアをモダンな様式に変えてしま
ったらヴェネツィアではなくなってしまうと答えた。
なぜなのか。これは生まれた場所が人にとっての軸と
なり、かなり重要な文化になるからではないかと考え
た。自分の故郷に帰ったときに感じる安心感、自分の
部屋への愛着は誰にでもあることである。もし故郷に
帰ったときにすべてが変わっていたら、たとえそれが
周りから見ていかに素晴らしくあろうと、自分にとっ
ては何も意味が見い出せなくなる。ヴェネツィア、ヴ
ェネツィアではなくともイタリア自体、ほとんどの地
域でまだ古い建物が多く残っている。生まれたときか
らそのような環境で育つことによってそれが彼らのス
タンダードになり、基準になる。だからこそモダンな
様式に対するあこがれはなかったのではないか。
また、Q5 の質問から約 75 パーセントの人が教育と
して、学校で興味があるないに関わらず学校でヴェネ
ツィアの歴史について勉強していた。教育は単なる自
国の文化を大切にするするきっかけにしかならないか
もしれない。しかし少なくとも理解することでそうい
う感情が生まれる可能性は高い。だから教育も若者が
伝統的な様式を好む要因に関係しているであろう。
しかし今の若者にとってはもちろんポップカルチャ
ーの波も当然無視できない。多くの学生が趣味は音楽
を聴くことと友達と遊ぶことだと答えた。音楽を聴く
には YouTube や iTunes を使っているだろうし、
友達と
待ち合わせるのにもきっと SNS でのやり取りの上で成
り立っているだろう。イタリアの若者は、うまく伝統
もモダンも取り入れて生活しているということが調査
の結果分かった。
以上のことから、歴史的建造物からの影響は表面的
には出るが中までは変えられないということがわかっ
た。また、みなイタリア人であることを誇りに思って
いるということも要因になっているかもしれない。自
分の国の文化、歴史を維持することをそもそも大切に
しているので伝統的な建物が今でも残っているのだろ
う。
私は日本でDiscover Japanという留学生と一緒に日
本について調べるクラスに参加した。そこではどちら
かというと私たちが留学生を助けながらフィールドワ
ークを行った。つまりこのインターンシップと反対の
立場だったわけだ。
イタリアでのインターンシップで、
他のメンバーが私を立てるあまり意見を多く言ってく
れないことは私の中で少し不服だった。
しかし今、考えてみると私も日本での Discover
Japan のクラスではそのような態度を取っていたとい
うことに気付いた。なぜならメインは留学生だと考え
ていたし、それが気遣いだと思っていたからだ。しか
し、今回逆の立場を経験することによって、その気遣
いは必要がなく、むしろいらないということが分かっ
た。
やはり、
お互いのためにもいくら日本人がメイン、
留学生がメインだとしてもより良いものを作るにはお
互いがアイデアを出し合うことが大切だと思った。
下の図は、私のフィールドワークのメンバーが書い
てくれたイタリアの若者の図である。
(2)特筆すべきエピソード
私は、今回のインターシップの中で様々な人に日本
語の練習も兼ねて“なぜ日本語の勉強をしています
か?”という質問をした。なぜならば日本で大学へ行
く人々の多くは大学名で大学を決め、何をしたいかわ
からない人が多いことにショックを受けていたからだ。
私が聞いた中では、
“日本の文化に関心があるから”
“日本の文学に関心があるから”という理由が多く挙
げられ、感心していた。しかし、ある学生が大学に入
学するのが簡単になってから、軽い気持ちで何となく
入学する人が多くなってきているという現状を教えて
くれた(イタリアの大学は 5 年から 3 年になった)
。
保田先生によると、昔は日本の文化、文学に関心を
示す学生が多かったが、最近ではアニメ、漫画に惹か
れて日本語学科に来る学生が目立ってきたという。外
国文化(ここでいう日本文化)も伝統文化がポップカ
ルチャーに押されてきているというのが現状というこ
とであろうか。歴史的建造物に囲まれ、文化遺産が多
く残っているイタリアではあるが、そういう伝統的文
化に携わることができる仕事さえ少なくなってきてお
り、そういう仕事に就きたい人が就けないようになっ
ているという。
また、いろんな Art 作品も海外に流出しているらし
い。政府は経済にお金をかけるのではなく文化価値が
あるものにお金をかけるべきだと1人の学生が嘆いて
いた。時代とともにイタリアも日本も目の前のことば
10
かりみつめて、そのものの価値を考える人が少なくな
ってきているということが分かった。
また、現地の学生の学習意欲の高さも特筆すべきこ
とだろう。図書館やレジデンス、様々なところでたく
さんの人がテスト週間でもないにも関わらず勉強して
いる姿をよく見かけた。また、日本語、日本文化に対
する質問もよく受けた。日本語が上手だから「いつ勉
強を始めたの?」と聞くと「9 月から」と答える 1 年
生。日本にはあまり見られない姿で感心した。要因が
あるとすれば、上記にも書いたが、言語を勉強するき
っかけが興味・関心から出発しているからだと思う。
こういう気持ちは勉強をする上で一番の原動力になる。
その上、授業が難しいというのも意欲の高さの要因に
なっていると思う。相当な勉強しなければついていけ
ない、単位がもらえない。だからこそ勉強するのは当
たり前なのだろう。
私も今、第 2 外国語として朝鮮語を勉強している。
しかし正直、大学から始めたからできなくて当たり前
だと考えていた。しかしイタリア人の姿を見てそれは
ただの言い訳だということに気付いた。これからは言
い訳をせず、既修者を抜かすぐらいの気持ちで勉強し
たい。
(3)苦労したこと
苦労したことは特にないが書くとするならば、不便
であったことである。レジデンスのシャワーが少しし
か出ない、部屋が寒い、エレベータがない。段差が多
く、石畳で歩きにくい。車がないなど伝統を守るため
に景観を壊さないためにいろいろ制約があるのは理解
でき、我慢できる範囲内であった。しかし少し苦労し
た。
言語で苦労したことは、フィールドワークのメンバ
ーはお互い相手の言いたいことを予想するのが得意だ
ったので、スムーズに会話できたがそれ故に勘違いも
しばしば起きていた。それ以外の日本語のクラスでは
学年に合わせて単語のレベルを変えるのを考えるのが
難しかった。すべての授業を見学しているわけではな
いので自分の判断で簡単な単語、難しい単語の基準を
作っていたので伝わらないことも多かった。
(4)身に付いたこと
目上の人に対するマナーが身についたと思う。私は
今まで歳は関係なく誰とでも仲良くなれる一方、敬意
を示す態度が少なかった。お世話になるカ・フォスカ
リ大学の日本人の先生へのメールや提出物を出すとき
のマナーを周りからしっかり学ぶことができた。これ
からも自分の長所を生かしつつも、マナーを守ってい
きたい。
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
グローバル人材像とはよく語学力が高く、異文化を
理解できる人が挙げられる。
それは間違いではないし、
もちろんそういう人がグローバル社会で生きていくう
えでは優位であると思う。しかし、わたしが今回の経
験を経て感じたのは、そういう人でなくてもグローバ
ル社会できちんと活躍できるということである。語学
力はあればあるに越したことはないが、それより必要
なのはコミュニケーション能力で、語学が少しおぼつ
かなくてもコミュニケーション能力が高ければカバー
できる。異文化理解も無理に理解する必要はなくて拒
絶、敬遠するのは良くないが、ただ知識として知ると
いうだけでも十分であると思う。
私は、それよりも問題なのは異文化を理解しようと
して自国の文化を忘れてしまう人だと考える。深いイ
ンタビューでもあったが、イタリア人はイタリア人で
あることを誇りに思っている。私はこの考えが日本人
には欠けすぎているのではないかと思う。自文化も大
切にしてこそのグローバル社会が生きてくるのであろ
う。
最後に、今回、カ・フォスカリ大学の学生はホストと
して私たちが気持ちよく過ごせるように、様々な経験
ができるようにいろいろな配慮をしてくれた。そのお
かげで私たちも本当に楽しく 1 か月間過ごすことがで
きた。本当に感謝したい。お互いのスケジュールをし
っかり把握できなかったので、対応するのが少し大変
だったものの気持ちよく過ごせたと思う。もし私が今
度ホスト側になったとしたらイタリア人がしてくれた
ようにおもてなしの心をもって接したいと思う。
(6)後輩へのメッセージ
私はこのインターンシップを勧めたい。日本語を教
えるというプログラムではあるが、教えるというより
学ぶことの方が多いだろう。将来、日本語の教師にな
りたい人はもちろんだが、そうでない人にも良い経験
が得られるだろう。行って損はないと思う。
11
以上
現代福祉学部 福祉コミュニティ学科 2 年
長井 彩香
開始日:2016/02/03
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学(Ca'
Foscari University of Venice)
派遣国・地域:イタリア・ヴェネツィア(Venice)
内容:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学における日
本語学習クラスでの交流と言語支援、協働フィ
ールドワークに参加した。
(1)活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
私が参加したクラスの種類は主に三つあり、漢字、
ロールプレイ会話、そして自由会話の授業でした。ま
ず、漢字の授業では生徒たちの漢字の書き取りテスト
を担当しました。問題文を読み上げ、採点をする中で
同じ読みで違う意味の漢字を共通して間違えている生
徒が多いのに気づき、教え方の難しさを学びました。
ロールプレイの授業では教科書の会話例文に基づき、
生徒が自分で考えてきたアレンジ会話をみんなの前で
発表し、私たちは彼らの相手として練習しました。こ
れは会話を自分で考えることで力が付き、また、生徒
たちも他の生徒の会話を聞くことで学ぶことのできる
良い形式の授業だと思いました。
自由会話の授業では、
生徒たちと話題を決め、ディスカッションやプレゼン
テーションをして感想や意見を交換しました。生徒た
ちはテキストに頼ることなくその場で自分の日本語で
文章を作ることでしか話を進めることができないので、
この形の勉強方法もスピーキング力を伸ばすためには
必要だと実感しました。
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
休み時間など、空き時間に学生と近くのカフェで語
りました。彼らは一年生だろうと、日本語を間違える
ことを恐れずに私に話しかけてきて、話題も振ってき
て、普段の生活や趣味、ヴェネツィアで有名なお菓子
屋さんやジェラート屋さんを教えてくれたり、実際に
そこへ足を運んだりしました。彼らの日本語のレベル
は決して上級とは言えませんが、生徒のほぼ全員の姿
勢は学年に関係なく共通して同じでした。そして、そ
の姿勢があるからこそ授業の飲み込みも早く、すぐ実
践に移して日本語が上達していくのだと大切なことを
感じました。
12
③協働フィールドワーク
調査テーマ:イタリアの食文化についてフィールドワ
ーク
このテーマにしようと思ったきっかけは単純でした。
私自身、イタリア料理が大好きで、そのうえ日本でも
数多くのイタリア料理レストランが展開されているほ
ど、今では日本全体にも浸透してきたその文化に興味
があったからです。
特にイタリアは歴史ある国なので、
何か食文化にも歴史的な影響があるのではないかと考
えました。そして、果たして今現在私たちが世界中で
口にしているイタリア料理は、今と昔とどう変化して
きたのか、そもそも大きな変化があるのかどうか、な
どを調べようと考えました。
そして、現地に行ってわかったことがあり、レスト
ランの費用がとても高いということでした。日本では
レストランといってもピンからキリまで種類があり、
高級なものばかりではなくファミリーレストランもあ
るので学生でも毎日のようにそこで外食をすることも
不可能ではありません。イタリアのレストランのコス
トとスーパーマーケットの食材(比較的安価)は、家
庭料理のメニューに影響があるのでないかと考え、年
代別に家庭料理を調査。イタリアは伝統的かどうかを
明確にするために様々な国の食文化と比較した。調査
方法はインタビューで幅広い年代(14~71 歳)に調査
をし、主に母親と祖父母の作る家庭料理の変化につい
て焦点を当てました。
フィールドワークに取り掛かってインタビューをし
始めた頃は、思い通りにインタビューに細かく答えて
くれないことに焦りを覚えたが、イタリア人の学生た
ちが大学生の友人と会う機会を何度か作ってくたので、
普通の質問にもたくさん答えてもらうことができた上
に深い質問まですることができました。
まず、私たちはインタビューでいくつかの情報を集
め、プレゼンテーションの際に発表だけではつまらな
いと思ったので、実際に伝統料理を作り、その動画を
見せて紹介することにしました。私は日々わりとプレ
ゼンテーションを大学の授業の中で行う機会を多く持
っている方だと思います。
相手は日本人だけではなく、
留学生と混合でやることが多いです。今回の相手はす
べてイタリア人、そして日本語のレベルはバラバラな
ので、正直苦労することは多少ありました。
例えばどんな質問内容にするのかを話し合うとき、
なるべく日本語を使うように努力しましたが、結局全
員の日本語のレベルが異なるため、英語で話し合って
終わったり、みんなで課題に対する解決策を話し合っ
ているときに三人でイタリア語で話して私にはわから
ないことがあったり、ごくまれにコミュニケーション
不足で話し合いが十分に進まないこともありました。
しかし、そこでもあきらめずに相手が何を主張した
いのか、聞き出すことが大切だと学びました。そして
フィールドワークとはグループワークなので、みんな
の責任感がとても大切だったと改めて確認しました。
私のグループはメンバー一人一人の責任感が強く、集
まりたいときにみんなで集まれたのでとてもよかった
と思います。
割とたくさん集まり話を進めていたので、
誰かが一人でも面倒くさいと感じて集まりに来なくな
ると話が進まなかったと感じました。
メンバー全員で、
自分たちがこれからどうするのか、
何を中心に物事を進めていくのか、結論はどういう風
に持っていくのか、きちんと深くまで理解し合い、そ
のために一人一人がメンバーの一員である責任を持つ
ことが大切だと改めて学びました。そして意見の対立
を恐れずに考えを言い合うことが新しいアイディアを
生み出すので重要だと学びました。この経験はこれか
らに生かしていきたいと思います。
食文化の伝統を図るまでに至る過程は大変でしたが面
白かったです。
(4)身に付いたこと
言語面の力はもちろんのこと、それ以外でも例えば
研究テーマにつて何を結論に持っていくかなど分析し
てまとめる力や論理的に物事を考える力がついたと思
います。ただ調べて発表するのではなく、比較して背
景にある何らかの要因との関わりを考えて、実際に
人々の声を聴いてみる。それを一つの結論にまとめこ
むのは大変だけどとても身になりました。
プレゼンテーションでも、ただ調べて分かったこと
を聞かせるのではなくて自分たちでも実際に料理を作
ってみて動画にまとめて見せるなど、いくつかの工夫
をすることで見ている人にも面白いプレゼンテーショ
ンだと思ってもらえるようにしました。
聞いている人を楽しませるプレゼンテーションを作
り上げるすべも、以前よりは身についたと思います。
(2)特筆すべきエピソード
主に駅周辺でインタビューをしたのですが、街の
人々はとてもインタビューに積極的で快く受け答えし
てくれました。30 人前後にインタビューをしたのです
が、私たちのお願いに応えてくれない人は誰一人いま
せんでした。
むしろ感動した出来事があります。駅構内で一人の
イタリア人のマダムにインタビューした後、次の人は
誰にしようか迷っているとそのおばあさんは私たちの
ところへ駆け寄ってきて、
「さっき私の隣に座っていた
人がフランス人だからインタビューしてみたらどう?」
と親切にも声をかけてくださったのです。インタビュ
ーに協力してくれるだけでなく、私たちの活動を見て
協力してくれる街の人の優しさに感動しました。日本
だったらもしかして協力してくれるどころか忙しいと
インタビューさえ断られることが多いので、心が温か
くなりました。
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
まずは、言語の壁があっても意思疎通をあきらめず
にすること。例えば私は、日本語も英語もままならな
いイタリア人の女の子とコーヒーを飲んだとき、辞書
を片手にコミュニケーションをとりました。
二つ目に、相手の国籍や宗教、同性愛者に関係なく
軽蔑の眼差しで見ずに、相手を一人の人間として見る
ことができ、適切な対応ができる人が本当の意味でグ
ローバル人材だと感じました。なぜなら世界には当た
り前の基準はなくて、自分にとっても相手にとっても
驚くようなことは毎日のように起こるからです。
そして、様々な国籍の人とキャッチボールのように
会話ができること。つまり、ギブアンドテイクな関係
になること。相手の文化や考えを受け入れると同時に
自分のことも相手に伝えられることがグローバル人材
には必要だと感じました。
(3)苦労したこと
特に、
「イタリアの食文化」というテーマで、どうや
って内容を深めていこうかという部分で大変悩みまし
た。はじめは食文化といっても幅が広くて、何に焦点
を当てて面白くしていこうかとても悩みどころでした。
しかし何度も話し合いを重ねて、先生からのアドバイ
スをもらう中で焦点を当てるところを見出すことがで
きました。
世代ごとの家庭料理を比較して、経済的影響からの
視点も入れながら、ほかの国々と比較してイタリアの
(6)後輩へのメッセージ
日本語を他の国で教えることに少しでも興味があれ
ば、とても良い経験だと思います。特にヴェネツィア
大学の日本語学科は、イタリアでも日本語教育がとて
も有名な有数の大学です。ですから本気で日本語や日
本の文化に興味があって勉強しにイタリア中から来て
いる学生がたくさんいます。それに私たち日本人には
当たり前の事を、学生たちは日本の事を勉強している
がゆえに疑問を持ちます。学生たちの話を聞けるのは
新鮮で、
学生たちと街を歩いて交流する時間も大切で、
13
実際にイタリアの学生は普段どんな場所でどんな事を
しているのだとか、日本にいて話を聞くだけでは知る
ことの出来ないことも肌で感じることができます。
何よりも、日本を客観視して改めて学べる機会なの
で、日本の良さも悪いところも感じることができて良
い機会だと思います。是非興味が少しでもあれば参加
してほしいです!
以上
14
社会学部 社会政策科学科 2 年
鈴木 美朝
開始日:2016/02/03
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学(Ca'
Foscari University of Venice)
派遣国・地域:イタリア・ヴェネツィア(Venice)
内容:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学における日
本語学習クラスでの交流と言語支援、協働フィ
ールドワークに参加しました。
姿勢から、私も見習うべき点が多くありました。
(1)活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
私は、漢字、会話、発表練習のクラスに参加しまし
た。漢字のクラスでは、授業の始めに行う漢字テスト
の採点を行いました。会話のクラスでは、現地学生に
混じって日本語で会話を行い、
発表練習のクラスでは、
現地学生の発表の準備の手伝いをしました。クラスを
通して1番気づいたことは、学生の勉強に対する意識
が高いということです。日本の大学でよく見られるよ
うな、授業中に居眠りをしたり、スマートフォンをい
じったりする人もいません。学生はわからないことが
あればたくさん質問もします。印象に残ったのは会話
の授業で、日本人と話せる貴重な機会を逃すまいと、
間違いを恐れずに積極的に話しかけてくれる学生が多
かったことです。
これらの授業に対する意識の違いの要因の一つには、
教育システムの違いがあると思います。日本の大学は
入るのが難しく、出るのは簡単あるのに対し、イタリ
アの大学は入るのが簡単で、
出るのが難しいそうです。
だからイタリアの学生は必死に勉強して、単位をもら
えるようにします。
また、イタリアの学生が教育を受ける権利を重要視
していることも要因ではないかと私は考えます。イタ
リア人学生と話していた時に、学費の話題が挙がりま
した。私たち私立文系の大学生は、年間約 100 万円の
学費を払っているので、イタリア人学生が彼らの学費
は年間で 20 万円くらいだと言ったとき、
安くてうらや
ましいと思いました。しかし、彼らは他のヨーロッパ
諸国に比べたら高く、イタリアももっと学費を安くす
るべきだと言いました。また別の学生と格差社会につ
いて話していた時、教育の格差があらゆる社会の格差
を生み出すので、教育の機会は均等であるべきだ、と
彼らは主張していました。
イタリアは失業率が高いということもあり、教育に
ついて真剣に考える学生が多いのではないかと感じま
した。いずれにせよ、イタリア人学生の勉強に対する
15
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
交換言語学習では、フィールドワークのパートナー
にイタリア語を教えてもらったり、日本語で会話をし
たりしました。週末にはパートナーたちにヴェネツィ
アを案内してもらいました。私のパートナーは日本語
を勉強したいという意欲がとても強かったです。パー
トナーが会話中に日本語がわからなくなったので、私
が英語で話しかけようとしましたが、それを止めよう
とする勢いで、何度も簡単な日本語で言い直し、コミ
ュニケーションをとっていました。また、クラスで知
り合った学生にもカフェやパーティーに誘われたりし
ました。彼らの日本語を話したいという意欲がとても
伝わってきました。
③協働フィールドワーク
調査テーマ:ヴェネツィアの人口減少について
ヴェネツィアは歴史のある美しい場所であるのに、
住民が減ってきているという話を聞いて疑問に思った
ので、このテーマを選びました。
フィールドワークは主に週末に行いました。ヴェネ
ツィア在住の若者から高齢者まで幅広い年齢層にイン
タビューしました。インタビューは基本的には英語で
行いましたが、主に高齢者はイタリア語しか話せなか
ったので、パートナーにイタリア語から日本語に翻訳
してもらいました。
インタビューの結果、人口減少の要因は①ヴェネツ
ィアには観光業以外の職業が少ないこと、②物価が高
い、
車が使えないなど、
生活するのに不便であること、
③ヴェネツィアが観光客向けの街に変わってしまった
こと、が挙げられました。①については、ヴェネツィ
アには大学があるのにも関わらず、卒業後には就職や
進学のためにヴェネツィアから離れてしまうという結
果が得られました。②についてはインタビューで、ヴ
ェネツィアに住む良い点と悪い点を聞いて得られた結
果です。
確かに物価も高いし、
交通の便は良くないし、
橋がたくさんあって歩くのは大変だし、不便なことは
多いけれど、それでもヴェネツィアが好きで、住みた
いという人もいたので、全員がこれにあてはまるわけ
ではないということもわかりました。①と②は仮説と
して予想していましたが、③の結果はインタビューを
通して初めてわかった結果です。
ヴェネツィアに長年住む方々は口をそろえて、
「今の
ヴェネツィアは、昔と全然違う」ということを言って
いました。昔は、観光客も少なく、地元の人々が商売
をし、生活を営み、地元の人のための居場所がたくさ
んありました。しかし現在は、街は観光客にあふれ、
外国人が観光客向けの店を開き、家は観光客向けのホ
テルになり、病院の数は減り、大学の校舎もヴェネツ
ィアの外に移転されて観光客向けの建物になってしま
ったそうです。
また政府も、ヴェネツィアが観光業で十分栄えてい
るため、住民のための政策を怠っているという話も聞
きました。このように、③ヴェネツィアが観光客向け
の街に変わったことで、①仕事も観光業に関連したも
のとなり、②物価が高いなど、生活するのが不便にな
り、人口が減少するのではないか、という結果が得ら
れました。
日本と比較するとどうでしょうか。大都市への人口
流出と少子高齢化が原因で、日本の地方では人口が減
ってきています。そのような地方を活性化させるため
に、観光業は重要な資源の一つとなりえます。多くの
人を呼び込んで、そこでの消費を促し、リピーターを
増やして、地域を PR するためです。ヴェネツィアにと
っても、確かに観光業は大切な資源ですが、それが行
き過ぎて様々な問題も生じていることも事実です。
そのため、ヴェネツィアの人口減少は日本の地方の
それとは簡単に比べられない、特別なものだといえま
す。
ヴェネツィアでの人口減少に歯止めをかけるには、
政府が観光客のためではなく、第一に住民のための政
策を展開し、住民と観光客との間の関係を調和してい
く必要があると考えます。
(2)特筆すべきエピソード
このプログラムでは、現地の学生に日本語を教える
という目的でヴェネツィアに行きましたが、学生との
交流だけでなく、現地の日本語の先生方にもたくさん
お話を伺うことができました。中でも私と同じ、法政
大学社会学部出身の先生に出会えたことには驚きまし
た。
私はこれといった将来の夢がなく、いつか海外で働
けたらいいな、というような漠然としたことしか考え
16
ていないので、これからの大学生活や就職活動につい
てとても不安でした。しかしその先生は、大学を卒業
して 1 年間働いた後、イタリアに渡り、そこからイタ
リア語を学び、仕事を探したそうです。良い意味で人
生なんとかなるというアドバイスを受けたので、将来
について深く考えすぎずに、今を一生懸命生きようと
いう気持ちになることができました。
(3)苦労したこと
私たちの泊まったレジデンスは、
夜の 11 時になると
暖房が完全に止まってしまい、毛布も薄いものが 2 枚
だけだったので、
寝るときにとても寒くて大変でした。
そのせいで風邪をひいてしまいました。レジデンスの
長にこの寒さはどうにかならないのかとたずねたとこ
ろ、レジデンスの管理会社に、毛布をもっと借りられ
ないか聞いてみるといわれたので待っていましたが、
結局毛布は借りられず、
一か月間寒い中生活しました。
長期でレジデンスに住む学生は自分たちで毛布を買
えばよいですが、私たちのような短期滞在者はそうす
ることはできません。どこに滞在する場合もそうです
が、滞在先の生活環境に慣れることは大変だと感じま
した。
(4)身に付いたこと
相手の話をしっかりと聞く力です。私はこのプログ
ラムに参加する前まで、どちらかといえば自分の話を
したがるタイプでした。しかし、このプログラムでは
日本語を学ぶたくさんの現地学生と話す機会があり、
たくさんの話を聞きました。彼らは私たちと日本語で
話したいわけですから、学年問わず、勉強した内容を
駆使して積極的にコミュニケーションをとろうとして
きます。もちろん、全員がぺらぺらに話せるわけでは
ありません。
そこでそれを簡単に聞き流すのではなく、
相手は何を一番言いたいのかを考えながら聞くように
心がけました。そしてわかりやすい日本語で答えるよ
うに心がけました。
そのおかげか、日本に帰ってきてからも、以前より
も円滑にコミュニケーションをとれている気がします。
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
「グローバル人材」とは単に外国語でのコミュニケ
ーション能力がある人だけでなく、積極性と行動力の
ある前向きな人だと私は考えます。これらは現地学生
と日本語教師の方々を見て思いました。学生なら、日
本語を積極的に話し、たくさんの日本人に話しかけ、
間違いをおそれずにコミュニケーションを楽しもうと
する人がどんどん日本語が上手くなり、
「グローバル人
材」として将来活躍していくのではないかと考えまし
た。
また、教師の方々は明るく前向きな方々ばかりで、
現在はイタリアで働くという大きな行動を起こして、
「グローバル人材」として活躍しています。
このように積極性と行動力、前向きであるという要
因は、
「グローバル人材」を考えるうえで必要不可欠な
のではないかと考えます。
(6)後輩へのメッセージ
今回のインターンシップは、自分の将来を考えるう
えでとても貴重なものとなりました。また、異なるバ
ックグラウンドを持つたくさんの人と出会い、共に困
難を乗り越えることは、人生において良い経験となる
と思います。
自分に自信がなくてこのようなプログラムに挑戦し
ようか迷っている人は(実際に私もこのインターンシ
ップに参加しようか迷いました)
、
是非参加することを
お勧めします。
絶対に参加して良かったと思えるはずです。
以上
17
法学部 国際政治学科 3 年
髙橋 良央
開始日:2016/02/08
終了日:2016/02/28
派遣先団体:ベイラー大学(Baylor University)
派遣国・地域:アメリカ・テキサス州ウェーコ(Waco)
内容:ベイラー大学における日本語学習クラスでの交
流と言語支援、協働フィールドワークに参加し
た。
②現地の学生との教室外での交換言語学習・交流
(1)活動内容
①日本語クラスでの言語学習支援・交流
(だるまさんが転んだの際の写真)
(授業中の写真)
(おりがみ体験の写真)
月水金の週三回日本語の授業に参加した。授業時間
はいずれも 50 分で、一年生の授業 3 コマ、二年生の授
業 2 コマの 1 日合計 5 コマであった。先生はプレフュ
ーメ先生か藤井先生のどちらかで、生徒はそれぞれ一
年生のクラスが 15 人ほど、
二年生のクラスが 8 人ほど
であった。毎回の授業で 5 分程日本の文化についての
プレゼンをし、質問やコメントの時間も設けた。自分
が発表した内容は温泉、祭り、トイレ、歌舞伎、ポケ
モン、法政、コスプレ・渋谷、オタクなどについてで
ある。言語は主に英語を使用したが、簡単な単語は日
本語を使った。
授業中は、主に生徒が漢字を練習している時に、間
違いを指摘したり、日本語ゲームをファシリテートし
たりしたが、授業準備を手伝うことはなかった。火曜
木曜にも授業はあったが、それらはフィールドワーク
の時間とし、前日に文化紹介のプレゼンが遅れてでき
なかったときなどに、それだけを発表しに行ったりし
た。基本的には参加しなかった。
毎週月曜日の 16 時から 17 時に「お茶の時間」とい
う日本茶を飲みながら日本文化交流をする時間があり、
それを 2 回ファシリテートした。1 週目は自己紹介や
雑談をし、2 週目は折り紙と剣玉の紹介をし、みんな
で鶴を折ったり、剣玉で遊んだりした。3 週目はお茶
の代わりに日本から持参した味噌汁を配り、屋外に出
てだるまさんが転んだで遊んだ。
③協働フィールドワーク
調査テーマ:テキサスにおける銃規制の現状について
(Japanese Honor Society とのディスカッション)
来年度法政大学に留学予定の 2 名と、ベイラーイン
ジャパン参加予定の 2 名と自分の合計 5 人でチームと
なり、ブレインストーミングを行ったり、合計で 4 回
ほど全体のミーティングを行い、お互いに改善点を指
摘したりした。自分はベイラー大学内でフィールドワ
ークを行ったが、彼らは、日本に来た時に調査を行う
予定である。言語は常に英語を用い、自分が彼らの日
本語を訂正したり、彼らが自分の英語を訂正したりし
た。2 人の留学予定者のうち、この課題に取り組むの
は一人で、
彼は
「日本の若者の選挙への意識について」
、
18
2 人のベイラーインジャパン参加者のうち、1 人は「栄
養学から見た日本食の分析」
、もう一人は「日本人の移
民への考え方」について調査を行う予定であり、彼ら
のフィールドワークや文章の訂正に関してはこれから
も引き続きできる限りの協力をしていくつもりである。
自分のフィールドワークの概要としては、合計三日
間で 20 名のベイラーの大学生と、
ホストファミリーの
中年男性一人に意見を伺った。学校内のフィールドワ
ークの際は毎回チームのメンバー1 人に同伴してもら
って、インタビュー中の写真撮影やビデオ撮影をして
もらったり、事前に用意したインタビュー協力者への
承諾書を携帯してもらったりした。
また、実際自分が協力者の回答を理解できなかった
際に、後ほど彼らが何を言っていたのかを易しい言葉
で言い換えてもらったり、センシティブな自分の調査
テーマを聞いて不信感を抱く彼らに自分の調査の正当
性と、不信感の払拭をしてもらったりした。
質問の内容は、
ベイラー大学の生徒かどうか、
年齢、
出身地(外国人であったら、いつアメリカに来たか)
などの基本的な質問から開始し、
「あなたは銃を所有し
ていますか?」
「もし、所有していたら何丁所有してい
ますか?」
「テキサスにおいてより、厳しい銃規制を希
望しますか?」
「希望するのであれば、それは現実的だ
と思いますか」などの質問をし、一人当たり 3 分ほど
を要した。
ションをしたりした。
これらの調査結果を第 3 週目の木曜日に日本語をと
っている学生の親睦会の最中に時間をいただき、発表
した。20 名程度の学生と現地の先生 2 名、そしてスカ
イプ中継している村田先生の前で 20 分程のプレゼン
テーションをし、5 分程質疑応答の時間を設けた。
学んだことは、ベイラー大学の生徒の銃に対する消
極的な態度である。
彼らは 30~40 パーセントの人が銃
を所持する州にいながらも、20 パーセントしか銃を所
持していないということがわかったし、その所持数も
一人当たり 0.45 丁と、テキサスの平均 0.81 丁より半
分ほどの数であった。
(2)特筆すべきエピソード
(スピーチコンテストの写真)
第 2 週の週末にダラスでスピーチコンテストが開
催された。自分は当日、運営のボランティアとして参
加したのだが、ベイラー大学からは 4 名がエントリー
し、そのうち 3 名が予選通過、そして、その 3 名が一
位から三位を独占するという快挙であった。
原稿は彼ら自身が書き、先生が手直しをしていたの
で、自分が彼らの為にしてあげたことはほとんどない
のだが、それでも立派なベイラー大学の生徒をみて自
分はとても彼らを誇らしく思ったし、その中の一人の
東日本大震災の内容を孕んだスピーチは本番当日に聞
いていて涙がこぼれそうなほどで、鳥肌が立ってしま
った。上位 2 人は三月にテキサス州の週大会へと参加
する。きっと今頃、心強い先生方と練習に励んでいる
ことだろう。彼らの検討を心より祈っている。
ホームステイ先の男性からは実際に過去に銃を人に
向けて構えたことがあるというお話をお伺いすること
ができたので、その話も組み入れた。
第 2 週の火曜日には、
大学寮の生徒 15 名程と1時間
銃についてお話をすることができ、第 3 週の火曜日に
も、20 名程の学生に有名なフレーズ「獣が人を殺すの
ではない。人が人を殺すのだ」について話し合っても
らったり、ベイラー大学内の日刊新聞「Lariat」の 2
月 17 日発行記事の、州として認められている
「Open-carry law」について、私立大学であるベイラ
ー大学は例外としてその所持を認めないという決断に
対する個人としての賛否を表明してもらいディスカッ
19
(3)苦労したこと
(4)身に付いたこと
(寮の学生との話し合いの写真)
(家に泊めてくれた生徒とのディナーの写真)
お茶の時間や、Japanese Honor Society や、Japanese
Society Association や、寮の学生や、日本語が学生
交流会や、日々の授業など、20 人ほどの人数を仕切っ
たり、その前でプレゼンをしたりする機会を沢山用意
していただいたおかげで、人前で喋ることに抵抗がな
くなり、自信がついた。
特に大きな苦労はしていないが、宿泊場所はダラス
のホテル一泊を除き、先生の家、隣町での週末のホー
ムステイ、学生のアパート、学校の寮など、普段みん
なが住んでいる場所にお邪魔させていただくという形
であったので、プライベートな空間やベッドが約束さ
れているわけではないことは留意すべきである。学生
にはその学生の生活があるので、深夜までルームメイ
トの誕生日パーティーをしているなか眠ることもあっ
たし、翌日授業のない学生が会話しているなか、床に
寝袋で寝ることもあった。
個人的にはどんな状況でも寝られるので、気を使わ
ずに過ごしてくれと伝えたが、自ら進んで宿泊先を提
供してくれる学生達なので、気になることがあれば配
慮もしてくれたはずである。
また、Waco は車なしでは学校以外のどこにもいけな
いような場所なので、できることが限られていた。ア
パートの学生の家に泊まるときは登下校ですら自分一
人でできないのに情けなさを感じた。
(5)今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像
(ベイラー像の前での記念撮影)
英語が流暢に喋れるというのは、グローバル人材に
求められる重大な一要素であるが、それだけでは絶対
的に不十分である、なぜならこの判断基準をもとに考
えるとすべてのアメリカ人がグローバル人材で、その
他の言語を母語としている人たちは皆、それ以下とな
ってしまうからである。複数の言語を流暢に話せるに
越したことはないが、言語はコミュニケーションの1
ツールにすぎないのである。
今回の 3 週間の経験を通して、私は言葉を超えた普
遍的に適応できるコミュニケーション能力を備えた人
こそが、真のグローバル人材であると感じた。相手と
の適切な距離感を感じとり、距離を近づけつつも無礼
にならない、そのような態度が必要なのである。
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(6)後輩へのメッセージ
藤井先生の二人だけとのことであった。他には現在一
人福岡の西南大学から交換教授として短期的に滞在し
ている方もいたが、基本的には長年日本人は二人のみ
とのことであった。
しかし、二人は自分の目にはとても上手く順応して
いるように思えた。彼女らは他のロシア語や、スペイ
ン語、フランス語を教えている教授方と連ねてオフィ
スをもっており、まさにグローバルな環境でお互いに
支え合い生き延びているように感じた。しかし、その
背景には定時外の要望に対応してくれない事務との対
応などへの苦労も見えた。
また彼女らは他の誰よりも朝早く起床し、誰よりも遅
くまで勤務しているように思えた。自宅に宿泊させて
いただいたプレフューメ先生に関しては家に帰っても
授業準備などを続け、日をまたいで仕事をすることも
少なくなかった。勤勉で仕事熱心であるというイメー
ジが日本人には多くつくがその顕著な例を私は、ここ
で見たように思えた。
(最後の授業での写真)
2016 年から始まったこのプログラムは、法政大学と
ベイラー大学の長年の協定校としての信頼関係の元、
さらには田中さんを初めとする、グローバル教育セン
ターの方々、村田先生、そして現地での自分の母とも
言えるように、優しくフレンドリーで常に自分のこと
を気にかけてくださったプレフューメ先生のご支援な
しには決して成り立たないプログラムであったと強く
感じた。
また、法政大学から毎年派遣留学でやってくる生徒
は、みんな立派だとの大変嬉しいご意見を現地の先生
方からもお伺いすることができた。英語力などは自己
の問題として取り組んでもらって構わないが、私が一
番みなさんに伝えたいのは周りの人への感謝と自分が
法政大学、さらに言えば日本を代表とする人間として
の立ち振る舞いを忘れずにいることである。
そして、もう一点は自分に言い聞かせるようではあ
るが、このプログラムがインターンであるということ
を忘れないことである。同年代の学生達とできるだけ
遊んでいたいという気持ちもわかるが、このプログラ
ムの本分はあくまでインターンである。自分が主体的
に授業をするという経験はなかったが、それでもでき
るだけ先生方をサポートし、同年代の私たちだからこ
そ伝えられる日本の素晴らしさを存分に伝えてきて頂
きたい。
(2)自分の DJ での役割と、今回の現地の学生が果た
した役割にどのような共通点や違いがあったと思うか。
Discover Japan が 5 人程度で同じ発表内容に向けて
準備するグループワークなのに対し、今回は一人一人
が主役で周りはみなサポート役といった感じで、より
主体度が高いように感じた。
また、Discover Japan は法政大学市ヶ谷キャンパス
の生徒がメインな為、
生徒は主に英文学や、
国際政治、
国際文化などの文系科目を専攻しているものが多かっ
たが、ベイラー大学は一つの広大なキャンパスに全学
部を有しており、音楽や映像、心理学などありとあら
ゆる事故の学問背景をもった人たちがいて面白さを感
じた。
しかし、その分学問的な分野での個人の負担が大き
いようにも感じた。例えば、参加者の一人に栄養学専
攻の観点から日本の食生活を分析したいと表明した人
がいたが、周りの栄養学に関する知識を有さないみん
なは具体的なテーマには足を踏み入れづらい雰囲気が
あった。調査を行う際に客観性は決して度外視できる
ものではない。グループワークは作業を分担するだけ
でなく、考え方の偏りを防ぐことにも繋がり、とても
意義のあることなのだと改めて実感した。
以下は、村田先生からの課題に対する私の考えであ
る。
(1)
グローバル人材である彼らの労働環境については
どう思いましたか。先生方が苦労されていることはあ
りませんでしたか。先生方が海外で働くことの厳しさ
はどのようなことだと思いますか。
ベイラーという大きいコミュニティーのなかで、言
語として日本語を教えているのはプレフューメ先生と
21
日程表
以上
22
グローバル教養学部 グローバル教養学科 2年
服部 圭
開始日:2016/03/07
終了日:2016/03/11
派遣先:紀伊國屋書店 クアラルンプール店
派遣国:マレーシア、クアラルンプール
内 容:紀伊國屋書店本店、新宿南店及びクアラルン
プール店での実務研修
(1)活動内容
講義、実習の詳細内容については、情報の機密性の
判断が困難な為、本報告書には記載致しません。
<紀伊國屋書店本店> 2 月 4 日
1.会社概要についての講義
目的:店舗での実務研修に向け、紀伊國屋書店の社
史、概要、組織についての理解を深める。
紀伊國屋書店について、組織的部分から、海外への
進出経緯や現状についての講義をして頂いた為、そ
の後の実務実習における講義内容がスムーズに理解
することが出来た。
2.出版業界概要についての講義
目的:出版業界のシステム概要を知ること。
出版業界の概要に留まらず、日本の出版流通におけ
る問題点や、
それに対し紀伊國屋書店が行ったこと、
新しい出版業界の動向に至るまでの講義をして頂い
た為、実習中においてその実務の前後に行われてい
ることを実感しながら実習を行うことが出来た。
3.会社で働くということについての講義
目的:会社ということを概念的に理解し、働くとは
どういう行為であるかについて理解すること。
会社の概念から、用語、利益の算出方法、経営状態
を知る方法、小売業で働くということに至るまでの
講義をして頂いた為、接客業における心構えなど、
実務中にも意識しながら実習を行うことが出来た。
<紀伊國屋書店新宿南店> 2 月 22 日〜2 月 26 日
1.レジ操作実習、ロールプレイング
目的:カウンター実務に備え、レジ操作の基本、接
客の基本を習得する。
言葉使いから、表情の作り方、お辞儀の仕方など、
少し気を使うだけでお客様への印象が変わること学
んだ。
2.新宿南店及び店売洋書概要についての講義
目的:紀伊國屋書店における南店の立ち位置、洋書
販売の役割について理解する。
紀伊國屋書店における洋書の重要性や、e-book やネ
ット販売が新しい動向としてあげられる中でのリア
23
ル店舗としての差別化の方法について学んだ。
3.6F 洋書売り場 カウンター実務
目的:実際にお客様と接することができるカウンタ
ー業務をすることで、小売業に必要とされる、お客
様のニーズを知ることを経験する。
実際にカウンター業務を経験してみると、発送をご
希望されるお客様や、ラッピングをご希望される方
など、お客様のご希望は様々であるということを実
感した。
4.K-note 在庫検索
目的:紀伊國屋書店の在庫検索システムについて知
ること。
K-note は紀伊國屋書店特有の検索システムであり、
お客様の要望に答えるための様々なポイントが詰め
込まれている。
5.和書仕入講義
目的:和書の仕入システムについて理解する。
判型から、本の分類、ISBN、から番線コードや、制
度についてまで、和書の仕入システムについて深く
理解することができた。
6.南店売り場 自由閲覧
目的:6F 以外の各フロアの閲覧。
各フロアやセクションには棚担当の方のそれぞれの
個性が見受けられ、お客様に本を手にとって頂く
様々な工夫が施されていることを実感した。
7.洋書仕入講義
目的:洋書の仕入システムについて理解すること。
洋書は和書と全く別のルートで仕入がされ、和書と
は異なり価格設定も可能なため、その方法について
など理解することができた。
8.品出し補佐、棚づくり、カバー掛け、POP 作成、返
品抜き取り
目的:6F 洋書売り場のフロアオペレーションを体
験する。
品出しや棚づくりには、お客様に本を手にとって頂
く工夫がなされていると共に、限られたスペースの
中でどの本を追加発注するか、棚から下ろすかなど
それぞれの売れ行きを見ながら判断することが必要
とされることを実感した。
9.選書、発注講義
目的:洋書における選書、発注について理解する。
洋書における選書は、
本国でそれが流行していても、
それが必ずしも日本で流行するとは限らず、和書と
は異なる選書の難しさがあると感じた。
10.売り上げ確認講義
目的:紀伊國屋書店の売り上げの確認方法を理解す
る。
海外店舗を含む他店舗の売り上げや、店舗の売り上
げを確認しながら、追加の発注や、非補充の判断を
行っていく。
11.Intermax ピッキング
目的:海外マガジンのネット販売用マガジンのピッ
キングの実習
前日に注文のあったマガジンを抜き取る作業には、
お客様ご自身が本を持ってくるのとは異なり、正確
性が必要とされる。
12.海外マガジン講義、
ネット販売サイトのコメント添
付作業
目的:海外マガジンの仕入システムについて理解す
る。
マガジンは、
他の書物に比べサイクルスパンが短く、
トピックによって売り上げも左右されるため、売れ
そうな刊に関しては様々な方法で在庫を確保してい
る。
13.海外展開講義
目的:紀伊國屋書店の海外展開について理解する。
海外展開していく中でどのように、紀伊國屋書店の
固有性を出していくか、またどのように海外店舗と
協力していくかについて理解することができた。
14.ポータル、SNS 発信講義
目的:紀伊國屋書店の SNS を使用した宣伝方法につ
いて理解する。
ネットが大きな情報源となっている現代社会で、そ
れを利用した本の宣伝方法について理解できた。
<紀伊國屋書店クアラルンプール店> 3 月 7 日〜3 月
11 日
1.クアラルンプール店についての講義
目的:紀伊國屋書店クアラルンプール店の概要につ
いて理解する。
クアラルンプール店の歴史や部門の分け方、OFFICE
一体型であることの理由についてなど理解すること
ができた。
2.和書販売部についての講義
目的:和書販売部のオペレーションについて理解す
る。
日本での和書販売とは異なり、現地のお客様と日本
人のお客様双方のニーズを理解し仕入を行わなけれ
ばならない。また、宗教的な背景から輸入について
も様々な配慮が必要であることを学んだ。
3.洋書販売部についての講義、品出し作業
目的:洋書販売部のオペレーションについて理解す
る。
クアラルンプール店内における最も大きなセクショ
ンであり、その中でも幾つかに区分されており、お
客様に本を手にとっていただけるような展示方法や、
24
様々な工夫が施されている。
4.中国書販売部についての講義
目的:中国書販売部のオペレーションについて理解
する。
和書同様に、輸入の難しさや、同じタイトルの雑誌
でも中国版、台湾版、などで中身が変わるなど、把
握しておかなければいけないことが多いと感じた。
5.ロジスティックについての講義、ラベル作り、返品
作業
目的:ロジスティックのオペレーションについて理
解する。
クアラルンプール店では、本にラップを掛け最高の
状態でお客様に本を提供できるようにしている。ま
た、ラベルも管理情報を含めた新しいラベルを貼る
ため、本一冊一冊に手が掛けられている。
6.客注、発送についての講義、発送作業
目的:客注から発送に至るまでのシステムの理解。
発送には本が傷つかないよう様々な気遣いが施され
ており、
お客様とのやりとりも丁寧に行われている。
7.Customer Service 部についての講義、カウンター実
務
目的:Customer Service のオペレーション方法につ
いて理解する。
日本企業としての日本企業らしい Customer Service
がクアラルンプール店でも実施されていることに驚
いた。多民族国家ならではの、様々なお客様の要望
に答える為の工夫がなされていると感じた。
8.ローカル店視察
目的:ローカル店舗を視察することで、いかに差別
化を図っているかを理解する。
実際にローカル店舗を見学することで、クアラルン
プール店の強みを実感することができた。
(2)特筆すべきエピソード
新宿南店で実際に本の POP を書かせていただいた際
に、本当にその本が売れてほしいという気持ちになっ
た。手をかければかけるほど、商品に対する思い入れ
が強くなり、売れてほしいと思うようになるものだと
いうことを実感した。
(3)苦労したこと
マレーシアは多民族国家である為、様々な英語のア
クセントがあり、それぞれを聞き取ることには苦労し
たと同時に、自分の今後の課題になった。
(4)身に付いたこと
人が何を求めているのか、こちらから何が提案でき
るのかを常に考える姿勢。
(5)
今回の経験を経て感じる「グローバル人材」像とは
私は、グローバル人材とは、自国のアイデンティを
しっかり保持しつつも、他の文化や宗教、習慣を受け
入れ、そこから新しいアイディア、環境を作り出せる
人のことであると考えます。
私は、マレーシアに以前暮らしていたことがありま
したが、クアラルンプール店での Customer Service
には驚きました。というのも、マレーシアであれほど
まで丁寧なお店はあまりないからです。そこで、担当
の方に日本式のCustomer Serviceをローカルのスタッ
フの方々に教えるのは大変ではないのか伺いました。
その際に、全てを押し付けるのではなく、相手の文化
や習慣を理解しつつお互いの want を見極めつつ丁度
いいところで行っていく、とおっしゃっていました。
また、海外で働くことの難しさを伺った際のお話の
中で、
「文化や背景の違いを受け入れることが大切であ
る。だけど根無し草になってはいけない」というお言
葉を頂きました。
自己の習慣を押し付けるのではなく、他を受け入れ
る。だからと言って、受け入れたがままになるのでは
なく、自身の良さ、相手の良さを持ち合わせ新しい何
かを作り出す力。これこそが、グローバル人材に求め
られていることだと私は考えます。
(6)後輩へのメッセージ
私は、この歳でこの様な貴重な体験ができ、本当に
良かったと思います。自分の進路を決める前に、自分
の知らなかった部分や、今後の可能性、欠けている部
分に目を向けることができたからです。
もしこのインターンシップに参加したいと思うなら、
私はぜひ参加してみることをお勧めします。様々な不
安があるかもしれませんが、不安がる前に試してみる
ことが大切だと私は思います。
これは、インターンシップ中に頂いた言葉ですが、
always be prepared でいることが大切です。先に起こ
りうることに準備をして挑めば、不安になる必要はあ
りません。そして、人に迷惑をかけない範囲で、時間
がある今の時期に色々なことに挑戦してみることが大
切だと思います。
以上
25
発行
2016 年 6 月
編集
法政大学 グローバル教育センター事務部 グローバルラーニング課
Tel.
03-3264-4088
E-mail
[email protected]