より安全に安心して暮らせる 社会の実現にむけて 全国消防長会会長 高 橋 淳 危険物保安技術協会は、技術的な専門機関として屋外タンク貯蔵所の技術審査等をはじめ、危険 物施設等の安全性に係る技術援助及び性能評価、さらには、危険物等の保安技術に関する情報の収 集・提供などの幅広い業務を通じ、危険物等に関連する保安確保に努められ、国民生活の充実・発 展に重要な役割を果たしてこられましたことに対しまして、心より感謝申し上げます。 東日本大震災の発生から5年が過ぎ、地震による強い揺れと津波によって原子力発電所施設、石 油コンビナート施設などで被害が発生したことは、多くの教訓をもたらしました。関係機関では、 危険物施設等の安全性を保つための事故防止対策について、再検証が行われているところです。 近年、危険物に起因する火災や流出事故などの住民生活に及ぼす事象は、危険物施設数が減少し ているにもかかわらず、依然として高い水準で推移している現状があります。 また、平成27年6月に危険物の規制に関する規則が改正され、液化水素の貯槽を設置することが できるようになりました。水素エネルギーは、二酸化炭素を一切排出せず環境負荷の軽減につなが るものの、火災時には見えにくい炎となる場合もあることから、物質の特性を踏まえた消火方法な ど安全性の対策を講じる必要があると考えます。 全国消防長会といたしましても、危険物施設の安全対策の強化、危険物の取扱いに関する保安体 制を充実していく必要があることから、関係機関と緊密に連携した安全対策など、事故防止対策を 進めてまいります。 危険物施設の安全対策に対する住民の関心は高く、住民の皆様がより安全に安心して暮らせる社 会の実現に向け、全力を傾注していかなければなりません。危険物保安技術協会をはじめとする関 係各位には消防行政の推進に対し、引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 1 Safety & Tomorrow No.167 (2016.5)
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