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これからの大学のトレンドを
大学事例から読み解く
大学レポート
教育は時代とともに変化していますが、特に大学教育は、
時代の変化の波を一番受けやすい場所といえるかもしれません。
国や企業に近く、国境を越えた大学間の連携や競争もあるためです。
大学キャンパスで今どんなことが起きていて、
これからどんな変化が起きそうか、
大学全体をトータルに見る視点と、
個別の大学をつぶさに見る視点とから読み解いていきます。
お子さんの大学選択や将来の方向性を考える際の参考にしてください。
保護者も知らないではすまされない!
これから
「大学」
も
「大学入試」
もこう変わる!
國學院大學 ……………………………………… p.30
帝京大学 …………………………………………… p.32
千葉商科大学…………………………………… p.34
東京家政大学…………………………………… p.36
東京農業大学…………………………………… p.38
27
for
Parent 2016
願 者は
万 人 を 超 え 、実 際にも 約
万 人が受 験し、
現 役 高 校 生の4割
校 教 育に配 慮 した 良 問が出 題 され
がら、高 校 生の学 力 保 証に一定の役
年 度 か ら ︶で
とめの後 、同 会 議では、記 述 式の導
心に評 価 する②﹁ 教 科 型 ﹂に加 えて
ました。代わりに、次 期 高 校 学 習 指
科 を 基 本に出 題 する方 針が示 され
型﹂
﹁ 総 合 型 ﹂という 文 言は消 え、教
その後 同 会 議 が9 月にま とめた
﹁中間まとめ﹂からは﹁合教科・科目
そうした意気込みの表れでした。
問 題 を 分 析 的に思 考・判 断 する能
知識偏重と批判していたセ
一方で、
ンター試 験に対しても﹁ 与 えられた
とは別日程で行うことにしました。
見 送 り、記 述 式はマークシート 方 式
た 。さらに複 数 回の実 施 も 当 面 は
程 度に限 定 する方 針が示 されまし
方 針 を 固め、 年 度からプレテスト
システム会 議の
工 程 表に従 え ば 、
最 終 報 告 を 受 けて 新テストの実 施
テストの議論なのです 。
き 合いながら進められているのが新
を 目 指 し、現 実の技 術やコストと向
このようなセンター試 験の良さも
認めながらも、思 考 力 等を測ること
力の評 価に優 れている ﹂な ど と 、評
生 徒は気が気でないことでしょう 。
に入ることになりま す 。中2以下の
28
Parent 2016
for
保護者も知らないではすまされない!
これから﹁大学﹂も﹁大学入試﹂もこう変わる!
大学入試センター試験を廃止して創設する﹁ 大学入学希望者学力評価テスト﹂︵ 仮称 ︶
のあり方が、新聞 紙上などをにぎわせています。
同テストは2020年度の高校3年生︵ 今年度の中学校2年生 ︶
からが対象なので、現在の高校1年生には直接 関係がありません。
大学教育と、
それに伴う個別選抜の、大きな変化です。
マークシート
解 答 形 式についても、
ながら組み合せによって複 数の正 解
年 度センター試 験は、国 公 私 立
を出題対 象とすることにしました。
の693大 学157短 大が参 加 。志
しかし、
なぜ新テストが必要なのか、
と考えると、
1年生どころか、来 春に受 験を控えた3年 生にまで関 係してくる状 況が浮かび上がってきます。
式 を 検 討 する⑦ 英 語は﹁ 書 く ﹂
﹁話
す ﹂も 含めた4技 能 をバランス良 く
評価する ︱︱ としています 。
が あるよう な﹁ 連 動 型 複 数 選 択 問
が受 けていま す 。作 問に当 たっては
実 行プラン﹂を 策 定しました。大 臣
次 期 指 導 要 領 下︵
年 度まで︶
で﹁ 短文 記述 式 ﹂、 全 教 科 書 を 読 み 込んで﹁ かな り 高
1点 刻 み
これまでの大 学 入 試は、
の
﹁知識の再生﹂にこだわりすぎてい
や 首 相 、あるいは政 権 が 変 わったと
大学・短大志願者という限定付きな
ている﹂と関 係 者の評 判 も 上々です 。
月の﹁ 高 大 接 続 改 革 答 申 ﹂で、 化のための﹁ 高 大 接 続システム改 革
割を果たしてきたのも事 実です 。
﹁ 合 教 科・科 目 型 ﹂
﹁ 総 合 型 ﹂の問 題
年 度 入 学 生 から 全 面 実
センター試 験を学 力 評 価テストに
替 えるのも、そのためです 。具 体 的
を 出 題 する③ 多 肢 選 択 式︵マークシ
導 要 領︵
施の見 通 し ︶
で創 設 される、数 学 と
価を微妙に変えています 。
には、
①思考力・判断力・表現力を中
ート 方 式 ︶だけでな く 、記 述 式 を 導
刻みではなく、段 階 別 表 示にする⑥
理 科にまたがる﹁ 数 理 探 究 ﹂
︵仮称︶
17
CBT
︵コンピュータ利用型テスト︶方
22
会 長だった安 西 祐一郎 を 据 えたのも、 に、﹁条件 付記 述式 ﹂で最 大300字
入 を 当 面、
国 語と数 学に絞るととも
23
会 議 ﹂を 設 置し、その座 長に中 教 審
24
領下︵
た。もっと思考力などを重視しなけ
するとしていました。しかし中 間ま
﹁より 文 字 数の多い記 述 式 ﹂を 導 入
4年
しても、
工程 表どおりに改 革を貫 く
文/教育ジャーナリスト 渡辺敦司
ためだ と 説 明 。翌2 月に答 申 具 体
題 ﹂のほか、記 述 式では現 行 指 導 要
56
16
ればいけない ︱︱ 。中央教育審議会
知識の再生から思考力重視へ
センター試 験を
新しいテストに変 更
答 申 を 受 けて 下 村 博 文 文 科 相
︵当時︶
は 年1月、﹁ 高 大 接 続 改 革
53
︵ 文 部 科 学 相の諮 問 機 関 ︶は201
15
入 する④ 年 複 数 回 実 施 する⑤1点
そう提言しました。
12
図1 大学のカリキュラム編成上の工夫の
具体的な取り組み状況(一部抜粋)
H25
77 56
424
大学で始まっている
カリキュラム見直しや
アクティブ・ラーニング導入
弊 害になっている大 学 入 試 を 変 える
ない。そのためには、教 育 を 変 える
教 育 を 変 えても らわな け ればなら
すが、元々は大 学 教 育の手 法でも あ
先 生 た ち から も 関 心 を 集めていま
次 期 指 導 要 領の目 玉 として高 校の
題材とする授業なども始めているの
企 業などと連 携して製 品 開 発 等 を
ン能 力などの育 成 を 目 的としたり、
︶。
り、
導入検 討が進んでいます︵図
︶。 はそういうわけなのです︵ 図
ことも 不 可 欠だ﹂という 論 議が起こ
変わる大 学 教 育に耐 え 得る学 生
を採ろうと、
各 大 学では入 試 方 法を
資料出所:文部科学省「平成25 年度の大学における教育内容等の改革状況について」
り、 年8月の答申・諮問を経て、始
教 科や学 問 領 域の勉 強 だけに終
始し、単位を積み上げて卒 業できれ
試から東 京 大 学が﹁ 推 薦 入 試 ﹂を、
工夫しようとしています 。今 春の入
557 75.5%
まったものでした。
も う な く なっていま す 。4年 間の大
ば将 来は安 泰 ︱︱ という 時 代では、
京 都 大 学が﹁ 特 色 入 試 ﹂を導 入した
433
しかし今 回の改 革が、今の高 校 生
にも 無 縁だとは言 えません。
﹁大学
つま り 高 大 接 続 改 革の究 極の目
的 は、大 学に入ってからの教 育で 学
学 教 育で何に取り組み、どういう 資
資格取得・就職対策等を
72 52
目的とした授業科目の開設
入 試 改 革 ﹂ではな く﹁ 高 大 接 続 改
生 を 鍛 え 、社 会 から 評 価 さ れる 卒
のは、
そのきっかけにす ぎません。
558 75.6%
革 ﹂と呼ばれているところに、それが
質・能 力 を 身につけ 、それを 基にど
きなければ、厳しい就 職 戦 線を勝ち
433
如 実に表れています 。
287 38.9%
い改 革に取 り 組んでいるかどうかを、
保 護 者としても、その大 学が真の
学 力を伸ばしていくためにふさわし
困るのは、今の生徒たちなのです 。
ればなり ません。大 学に入ってから
も 含めた﹁ 真の学 力 ﹂を 伸ばさなけ
体 験を行いながら、思 考 力や主 体 性
すでに変わりつつある大 学 教 育を
見 据 え、高 校3年 間で幅 広い勉 強や
改革に
取り組んでいるかどうかを
志望大学選択のポイントに
も問 題の一端があります 。
﹁ 試 験 対 策 ﹂に終 始 していることに
受験生が知識丸暗記で解こうと狭い
試 験は工夫 を 重 ねていても、肝 心の
う 仕 事に貢 献できるかをアピールで
1
現 在の﹁ 大 学 入 試 ﹂が知 識 偏 重と
批 判されているのも、実 際のセンター
368 49.9%
抜くことさえできません。
600
22
教育課程を通じ、
キャリアに関して
286 38.8%
身につけるべき知識や能力の明確化と 47
217
到達度の評価
17
大学と企業等とで連携して実施する、
200 27.1%
企業の課題解決や製品開発等を
149
題材とした授業科目の開設(PBLの実施)
34
0
200
400
520 70.5%
407
企業関係者、
OB、
OG等の
67 46
講演等の実施
592 80.2%
461
コミュニケーション能力、課題発見・
解決能力、論理的思考力等の能力の 72 59
育成を目的とした授業科目の開設
31
社会や経済の仕組み、消費生活の
286
安定・向上に関する知識の獲得・修得を 51
目的とした授業科目の開設
24
労働者としての権利・義務等、
労働法制上の知識の獲得・修得を 45
218
目的とした授業科目の開設
多 くの大 学 がキャリア 教 育 を 教
育 課 程 内で実 施 し、
コミュニケーショ
インターンシップを取り入れた
75 50
授業科目の開設
12
業 生を送り出すことにあるのです 。
高 大 接 続 改 革は、大 学 教 育、高 校
国 立 大 学 も 含め、各 大 学では、学
教育、そして﹁大学入学者選抜﹂を一
部 改 組やカリキュラムの大 幅な見 直
●キャリア教育を教育課程内で実施している大学
800
体で改革するものです 。元々は中教
●具体的な内容(一部抜粋)
しを進めています 。座 学だけではな
200
555 75.2%
437
今後の将来の設計を目的とした
69 49
授業科目の開設
■ 国立 ■ 公立 ■ 私立
審の大 学 分 科 会︵ 当 時の分 科 会 長
図2 大学のキャリア教育の教育課程内での実施状況
い、さまざまな活 動 をさせながら学
能動的学修(アクティブ・ラーニング)
:
教員の一方向的な講義形式の教育とは異なり、
学修者の能動的な学修への参加を取り入
れた教授・学修法を指す。発見学修、
問題解決学修、
体験学修、
調査学修等が含まれ、
教
室内でのグループ・ディスカッション、
ディベート、
グループ・ワーク等も有効な方法とされている。
は安 西 氏 ︶
で﹁ 大 学 教 育 を 変 えるに
349
622 84.3%
490
勤労観・職業観の育成を目的とした
75 57
授業科目の開設
454 61.5%
ばせる﹁アクティブ・ラーニング﹂は、
554
400
600
■ 国立 ■ 公立 ■ 私立
は 、学 生 を 送 り 出 す 側の高 校 にも
547
72
600
400
200
0
413
557 75.5%
75 57
2
わが子の志 望 大 学 選 定のポイントに
入れたいところです 。
Parent 2016
for
29
71
81
707 95.8%
81
平成25年度
699 94.1%
平成24年度
407 54.8%
301
能動的学修
(アクティブ・ラ H24 61 45
ーニング)
を効果的にカリキュ
H25 62 43
ラムに組み込むための検討
0
545 73.4%
H24
カリキュラムの体系性を明
確化する観点からの検討の
実施と検討結果の反映