Vol.22No.11 会報JAMT ホームページ掲載 平成28年6月1号 中井規隆 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 熊本地震における支援の御礼 P2 シリーズ業務拡大への取り組み 第3回病棟業務の取り組み3 P3 平成28年度定時総会電磁的方法による議決権行使サイトを設置!/ 平成28年診療報酬改定について(3) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熊本地震における支援の御礼 熊本県臨床検査技師会会長 増永 純夫 この度の熊本地震の際には、物的並びに人的支援 を頂き心より御礼申し上げます。 当時、熊本の医療機関では断水、停電などのラ イフラインが寸断された中で自施設の医療体制を 確保することに必死でした。エレベーターが使用 できないため、患者を病棟に移動させるにしても 担架で運ばなくてはならず、手が空いている人は すべて応援に回っていました。また、検査室でも 散乱した機材を片付けながらどのような検査がで きるのか確認するのが精いっぱいで、他の医療機 関の状況を把握することは困難な状況でした。 1.会員の被災状況 そのような中、日臨技からは震災直後から現地 調査員を派遣して頂き、熊本県技師会が対応でき なかった会員施設の被災状況を調査して頂きまし た。その後熊本県技師会担当で84施設の調査を行 い自宅の半壊4件、一部損壊21件の情報を得まし たが、まだ100施設ほどが未調査のまま残っていま す。なお、電話にて安否確認を行った会員からは 心配していただいてありがたいとの返事をいくつ もいただきました。 2.人的支援 また、被災住民の支援として、GW期間中にエコ ノミークラス症候群のフォローアップ検診を行っ た際にも、日臨技でボランティア募集の呼びかけ を行ってもらった結果、九州地区から70名、九州 以外からも39名の皆様に駆けつけていただき、3 日間で延べ680名の避難者の検診を行うことができ ました。震災直後は行政を含めいくつかの団体が 個別に検診を実施していましたが、お互いの情報 も共有されず数日前に別の団体が既に検診を行っ たということもありました。その反省をもとに熊 本大学を中心として、今まで個別の活動をしてい た団体がひとつにまとまり、KEEP Projectという 組織が立ち上がり、熊本県技師会もこの活動のメ 5月21日開催執行理事会で 経過を報告する増永会長 ンバーとして参加いたしました。また、日臨技も 支援団体として名を連ねていますので、今後とも ご協力の程宜しくお願いいたします。 3.物的支援 日本臨床検査医学会並びに関連企業のご支援に より、被害のあった施設への検査機器の貸し出し が実現しました。幸い支援要請のあった施設は1 施設のみでしたが、感染症発生地区へは850テスト 分の検査キットを提供していただき、大事に至ら ず終息を迎えました。 冒頭で申しましたように、熊本県技師会の会員 は被災者としての側面もありながら、自施設での 被災者診療のため持ち場を離れることもできませ んでした。今回の様々な活動にご尽力いただいた 皆様にあらためて感謝申し上げます。今後は私た ちが元気になった姿をお見せすることが一番の恩 返しになるとの思いで復旧、復興に向けて一歩一 歩進んでまいりますので、温かく見守っていただ きますようお願い申し上げます。 Vol.22No.11 会報JAMT ホームページ掲載 平成28年6月1号 第3回 各分野の職域拡大に関する日臨技の取り組みをシリーズでご紹介します。 ■ 病棟業務の取り組み3 病棟業務を既に実践している施設や導入の取り組みを開始した施設での事例を収集し、それに基づく導入までの経過や実際 の運用などについてシリーズで紹介しています。 第3回目は技師人数が少なく人的不足でありながらも、患者サイドへ出向くことにメリットを見出した事例です。小規模施 設であるがため職種を超えた協力関係が求められる状況を逆手に取り、職域拡大へつなげました。 事務局政策調査課 板橋 匠美 【施設名】 医療法人社団茶畑会 【実際の運用】 相馬中央病院 【病院概要】 診療科:内科、消化器内科、循環器内科、内視鏡内科、整形 外科、泌尿器科、外科、眼科、皮膚科、歯科口腔外 科、リウマチ科 1日平均外来患者数:約150名 病床数:2階急性期病棟49床、3階慢性期病棟は48床 計97 床の小規模病院です。 【検査部概要】 臨床検査技師3名 院内検査:検体検査・生理検査・糖尿病指導等 自動分析器:生化学60件/日、血算 40件/日、検尿40件/日 POCT機器・簡易キットでの緊急検査:15件/日 (感染症流行の時期はインフルエンザ・マイコプラズマ検査等 かなり検体数増加) 輸血検査:4件/月 生理検査:心電図、肺機能、聴力、ABIなど20件/日 外注検査:細菌・病理・細胞診・特殊検査 今年の3月にオーダリングシステムと検査システムの更新が ありました。50歳代以上の女性検査技師の職場から、マスタ設 定やPC操作に慣れる事に最も労を要しました。現在ようやく軌 道に乗ったところです。 【実践している取り組み】 病棟の血糖検査 で患者様との交流 が 図 れ ま す。糖 尿 病療養指導士資格 取得前の患者様と の 会 話 か ら は、勉 強材料を見つけま し た。資 格 取 得 後 は患者様の話に共 感 し、ア ド バ イ ス できる内容を探し て答えられるよう にしています。 SMBG手技チェックしながらの懇談風景 SMBG 指 導 は 手 技 指導からデータマネジメントシステムを用いたデータ提示、さ らにその解釈と対応について短時間で伝えます。糖尿病入院患 者の検査についての個別指導だけは30分以上の時間をかけて行 います。ICTは月1回の委員会参加と感染症の報告、担当制でラ ウンドにも参加します。NSTは栄養評価法の1つであるCONUT実 施。カンファレンスにあがっている方の個別データの提示など も行っています。健診・病棟の採取管は休前日を除き原則前日 に各部署に持っていきます。バーコードを手作業で添付してい ますので手間はかかりますが、採血管の間違いや検体不足の指 摘などをする煩わしさからは開放されています。 1.糖尿病指導(約15年前より): カンファレンス・病棟の血糖測定(夕方1回のみ)・SMBG指 導・検査に関する説明 2.ICT(約15年前より): 委員会・感染症報告・議事録作成・ラウンド(約2年前よ り) 3.NST(約10年前より): カンファレンス・検査データの提示・栄養評価法の1つCONUT 検査(約4年前より) 4.採取管準備: 健診用(約3年前より)・病棟用(今年の3月14日より) 【取り組みへの評価および実践後の課題】 【導入までの経過】 【結語】 小規模病院であることから、職種を超えた協力関係が常に求 められていました。糖尿病教育におけるSMBG指導や生理検査の 心電図検査さえも看護師が行っている時期がありましたが、看 護部の業務削減と専門性を高めたいとの意向で業務の再編が行 われました。取り組みにあたっては求めに応じたい、自分が役 に立つのであれば貢献したい。そんな思いが自然に業務拡大に つながった様に思います。糖尿病専門医の指導もあり、他職種 の方と日本糖尿病療養指導士の資格取得を目標に掲げた事も協 力関係を強めた要因だったかもしれません。同僚の協力もあ り、業務に支障のない範囲で色々な取り組みに参加させて頂き ました。 スタッフ不足の状況において、職域拡大への取り組みは一見 逆行しているようにも思われがちですが、他部署のスタッフと も良好な人間関係を築く事で、自分自身の見聞が広がったり、 患者との関わりから信頼関係が生まれたり、患者の笑顔で気持 ちが癒されるメリットは、かけがえのないものと感じます。自 分がやりたいことをやらせて頂いた様に、次の世代の人が職域 拡大にメリットを感じてやりたいことを見つけて頂けるような 取り組みをしていきたいと思っています。 SMBG指導後、熱心に糖尿病治療に取り組む姿勢が見られ、血 糖コントロールが良好になる患者様を身近に感じることができ ます。また患者様との関わりから、今まで見えなかったその方 自身が見えてくる事で、データの判読がより面白く感じられる 様になりました。反面、責任も感じており、患者様の情報共有 や知識構築の必要性などを強く感じています。 課題としては、マンパワー不足の業務状況においてコスト算 定されない業務に時間を割く事への罪悪感があります。ITなど を有効活用して時間を作り出す方法、または病院の収益に結び つくような方法を考えていかなければと思っています。 相馬中央病院 検査科主任 齋藤由枝 Vol.22No.11 会報JAMT ホームページ掲載 平成28年6月1号 当会HPトップページのこちらから 議決権行使サイトのログイン画面 が開きます。 スマホ用QRコード ■当日ご出席できない会員の方は電磁的方法または郵送(書面)にて議決権行使をお願いします。 ①電磁的方法の場合 議決権行使サイトより平成28年6月17日(金)正午までに議決権行使を行ってください。 議案内容はログイン後にサイトからも確認が可能です。 代理人を指定して議決権行使を委任する場合は電磁的方法をご利用ください ※電磁的方法でパスワードがわからない方は「平成28年度定時総会招集ご通知」に同封の仮パスワードをご利用ください。議決 権行使後に本パスワードも変更できます。(仮パスワードは平成28年度定時総会に限り有効です。) ※電磁的方法の場合は、締切時間までにやり直しを行うと新しい内容にデータが上書きされます。 ※電磁的方法で登録を行った場合は書面の郵送は不要です。 ②郵送(書面)の場合 議決権行使書の各議案に対する賛否をご記入の上、平成28年6月17日(金)までに到着するようにご送付ください。 ※書面・電磁の両方を重複して行った場合は、電磁的方法による議決権が優先されます。 ※書面において、出席の意思表明と表決の意思表明が重複する場合は、表決の意思表明が優先されます。 ※書面での代理人指定の委任は、本人委任や会員番号の記入ミスなど、無効票につながる可能性が高いことから行いません。 インターネット環境がある方は電磁的方法による議決権行使が簡単・確実です! 詳しくは5月20日発送の「平成28年度定時総会招集ご通知」をご参照ください。 (事務局) 微生物学的検査では、細菌培養同定検査(D018)の「血液又は穿刺液」が160点から180点、「その他の部 位からの検体」が140点から160点と増点されています。「鼻腔・咽頭拭い液採取」の5点(新設)と併せて 臨床検査技師が関わる検体検査への診療報酬配分が実現しています。 (政策調査課) (編集後記) 「18歳選挙権」が施行後、初めての国政選挙である参議院選挙がこの夏行われます。選挙で投票することは 自分の生活や将来そして職種に責任を持つことと思います。自分自身のことだから他人任せにはしたくないですね。私たち臨 床検査技師の要望も政治の世界でしか解決できないことがたくさんあります。要望は口にするだけでは実現しませんし、あきら めてしまってもだめ。この機会を、私たちの力で大きな壁を打ち破るチャンスととらえ、積極的に投票所へ行きましょう。あなたに 与えられた権利です。 【中井】
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