社保審 第95回 医療保険部会

社保審「第 95 回 医療保険部会」
医療費動向の速報では調剤費の伸びが顕著に
2016/5/26
5 月 26 日の社会保障審議会・医療保険
部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経
済学部教授)では、最近の医療費の動向
が報告された。報告は 2015 年 11 月まで
のデータによる速報という形で、労災保
険や自賠責保険を含まない概算だが国民
医療費の約 98%をカバーしている。
医療費全体で見ると 2012 年から 2014
年までの 3 年間で 2%前後だった伸び率
は、2015 年度の 4 月から 11 月で 3.1%と
その度合いを強めている。2015 年度の診療種別の伸びは、入院 1.6%、入院外 2.5%、歯科
1.2%、調剤 8.2%で、調剤の伸びが大きくなっている。調剤費において多くを占める内服
薬薬剤料を薬効分類別で見ると、伸びが大きいのは抗ウイルス剤、糖尿病用剤、その他の
腫瘍用薬で、それぞれ前年度同期との総額差は 1,305 億円、206 億円、283 億円と、抗ウイ
ルス剤の伸びが顕著だった。
抗ウイルス剤について、昨年発売された高額の C 型肝炎治療薬「ソバルディ」と「ハー
ボニー」が、皆保険制度にとって大きな負担になると懸念する声が出た一方、診療側委員
からは「C 型肝炎が治るということは未来の肝がん患者が減るということで、長期的には財
政にプラスになるはず」という見方も提示された。しかし支払側委員は「一時的であって
も財政の圧迫要因であることは間違いなく、この状況が何年続くかという話になる」とし
て、その推計を厚労省に要請する場面もあった。
また、2014 年度までのデータから、ここ 10 年ほどの医療費の伸びの構造についての分析
も示された。診療報酬改定及び消費税対応の影響を除くと、近年は高齢化の影響で 1.5%前
後の伸び率が続いている形になっている。診療種別の医療費の伸びの構造を見ると、入院
は約 32%、入院外は約 26%、10 年前よりも増加している。どちらの場合も受診述べ日数は
減少しているものの、1 日当たりの医療費が入院で約 3 千円、入院外で約 8 千円増加し、結
果として総医療費が増加となっている。
■高齢者および子どもの医療について取りまとめ
その他、後期高齢者医療制度など高齢者医療の現状について報告があり、フレイル対策
をはじめとした保健事業の充実を推進する方針が示された。また、
「子どもの医療制度の在
り方等に関する検討会」の取りまとめも報告された。現在、少子化対策として子どもの医
療費を減免している地方自治体に対しては、国庫負担を減額する措置が講じられている。
その措置を見直すべきという意見がある一方、医療費が全国一律でない状況は好ましくな
いとする意見等もあり、引き続き議論が行われる見通しとなっている。
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