肺癌の外科治療 新潟市民病院 呼吸器外科 金沢 宏 胸郭と肺 肺の構造 肺の構造と機能 肺がんとは 原発性肺がん 肺の細胞から出た「がん腫」 転移性肺がん 肺以外の組織から出たがん腫細胞が着床、 発育したもの・・・「肺転移」ともいう 肺がんの特徴 ・高齢者に多い ・見つかりにくい(症状が でにくい) ・5年生存率が低い(10 ~30%) さらに症状が表われて から病院を受診し、発見 されるケースでは、がん が進行していることが多 く、生存率はさらに低くな る。 無症状のうちから定期的 に検診をうけることが大 切。 5年生存率 肺癌の罹患率 注:上記表中の「その他」には、口腔・咽頭、喉頭、卵巣、膀胱、脳・中枢神経系、甲状腺、悪性リン パ腫、多発性骨髄腫、白血病などが含まれる 出典:地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年∼2004年)(国立がんセンターがん対策 情報センター)より作成 男女別がん種類別死亡数 国立研究開発法人国立がん研究センター 罹患数と死亡数の推移 国立研究開発法人国立がん研究センター 60~70 × 肺がんの主な症状 • 咳・痰 • 血痰「血が混じって いる痰」 • だるさ • 発熱 • 息苦しさ • 胸の痛み・動悸 肺がんの主な危険因子 喫煙 受動喫煙 慢性肺気腫、COPDなどの肺疾患 環境や職業等による発がん物質の暴露 他 肺がんの検査 肺がんの治療の流れ 肺がんの「標準手術」 標準手術 肺がんの外科療法の中で最も 基本的な手術法 がんのある肺葉(はいよう)を 切除する「肺葉切除手術」を指 す。 左肺が二つ(上肺葉・下肺葉) に、右肺は三つ(上肺葉・中肺 葉・下肺葉)に分かれているが、 標準手術ではこの各肺葉のブ ロックごとに切り離す。 手術治療とは 楔状切除 縮小手術 標準手術 がんのあるところを含めて、がんより1〜2cm離 れた正常と思われる肺をくさび形に取り除く 区域切除 がんのあるところを含めて、そのがんのそばに ある気管支や血管で分けられる区域を取り除く 手術で、楔状切除より大きい範囲を取る 肺葉切除 がんのある肺葉を取り除く 片肺全摘 (一側肺全摘) がんのある側の肺をすべて取り除く 拡大手術 がんのある側の肺すべてと、がんが広がってい る臓器を取り除く 外科療法(手術)と副作用 通常は、がんが含まれている肺葉の切除 (肺葉切除)、もしくは片側の肺全ての切除 (片肺全摘)を行います。 患者さんの体力が通常の手術には耐えられ ないと考えられる場合や、早期のがんの場 合には、肺葉の一部のみを切除することも あります(縮小手術)。 ほとんどの手術でリンパ節を切除し(リンパ 節郭清りんぱせつかくせい)、がんがリンパ 節に転移しているかどうかを調べます。 開胸手術 胸腔鏡手術 当院での手術の創(開胸手術) 手術の後の呼吸 術後は、他の肺葉が残っているとはいえ、これまでと比べると 呼吸がしにくいと感じることが多いため、リハビリが必要。 腹式呼吸のトレーニングを受けると、 息苦しさから解放されやすくなる。 呼吸困難がひどい場合、必要に応じ酸素吸入や、抗不安薬の 投与などが行われることがある。
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