在宅復帰のリスクを見すえて 一昨年の冬、私はリスクマネジャー 様々な状況の中で生活されています。 養成講座を受講、試験を経て資格を 当施設をご利用いただくにあたり、安 取得しました。 定的な経過が見込めるかどうかの見極 リスクマネジャーの役割は非常に めが必要になります。施設運営の根幹 重要かつ広範に及ぶものと思います に関わる部分ですので、当然の視点と が、私の場合、恥ずかしながら施設 はいえ、非常に重要なことです。 内で十分に役割を果たせているとは また、情報量が膨大となり、これ 思えません。 アルカディア(東京都) 当施設は2年前より在宅復帰に取 り組み、在宅復帰・在宅療養支援機能 かしわ 支援相談(RM) ぎ じゅん い ち 柏 木淳 一 加算算定施設となっております。私は も基本である「報連相」の必要性がよ り高まります。当たり前のことはと もすれば疎かになりがちですが、リ スク管理の基本は「当たり前をびっく 相談員として仕事をしておりますが、加算算定施 りするほどちゃんとやる」ことが大前提です。 設になったことで、以前より多くのご利用者が入 知識経験共に至らない私ですが、相談員として 退所されるようになりました。当然、そこにもリ ご利用者、ご家族、そして職員が困らないよう考 スクがあります。相談員として心掛けているのは え、部下にも指示をしているつもりです。その結 ご利用者の体調はもちろんですが、ご家族の状況 果が、在宅復帰されるご利用者の笑顔なのだと をはじめ、社会的状況の把握です。ご利用者は 思っています。 私の 仕 事 私 の 思 い 伊勢赤十字老人保健施設虹の苑は“人道に基づ き人々に笑顔と安らぎを”を基本理念とし、様々 症等の難しさに悩み、考えさせられることが多く ありました。 な取り組みをしています。 私はご本人だけでなくご家族との信頼関係を大 そのひとつにR4システムを平成26年より導入 切に考えています。ご家族が利用者の方の現状や し、多職種が情報を共有して、在宅強化型施設と 今後について、なかなか受け入れられず不安な時、 して在宅復帰支援に協働して取り組んでいます。 ご家族の思いを少しでも軽減できるように支援す 最期を安らかに迎えられるよう看取 ることも私たちの重要な役割だと考 りケアも行っています。 えます。特に、ご家族に認知症につ また地域に根差した施設でありた いての知識や理解を深めていただく いと願い、地域の人を対象に高齢者 ことは、私の大きな課題でもあります。 介 護 講 座 を 開 催 し て い ま す。 私 は、 自分自身も新しい知識を得るため、 施設長と共に心肺蘇生法(AED)を 認知症ケア専門士の資格を取りまし 実施しました。 た。まだまだ勉強中です。 看護師になり26年目ですが、急性 期病院を経て、虹の苑で11年が過ぎ ました。老健施設で看護を行う中で、 利用者の方の重症化、看取りや認知 今後も、ご家族との時間も大切に 虹の苑(三重県) ふじ もり ひろ こ 藤森浩子 看護 して「虹の苑でよかった」と思って いただけるよう日々努力していきま す。 虹の苑でよかったと思っていただけるように 50 ●老健 2016.6 050-052私の仕事私の思い_1606.indd 50-51 「あなたがいてくれたから」 私が日々のケアの中で大切にして 重なったことがきっかけで、一時的 いることは、“話を聴く” “ご利用者の に食欲の低下や排泄動作の失敗をさ 言葉に寄り添う” ことです。 れてしまう方がいらっしゃいました。 介護技術は経験年数を重ねていく 会話の中で解決の糸口になるような 中で培われていきますが、コミュニ 言葉をお伝えしたわけではありませ ケーションについてはその日その日 んが、最後に「聴いてもらえて良かっ で意識しなければ、いくら意気込ん た。あなたがいてくれたから、あり でも良いときばかりとは限りません。 がとう。 」と言葉をかけていただきま グリーンヒル与板(新潟県) 悩んでしまうこともあります。 した。ご自分の思いを伝えることが ま す ま さ お り ですが、家族のように血の繋がり できる、受け止めてくれる相手がい 介護 増間沙織 はなくとも、その方の人生のほんの ることを嬉しく感じてくださったそ 一部の時間、限りある時間を一緒に うです。 過ごさせていただく。その中で私たちができるこ 認知症に限らず、ケアとは症状の改善だけでな とは限られていますが、だからこそ一日一日を大 く、安心して毎日をすごせることだと思います。 切に、少しずつ関係を築いていきたい…そう思え ご利用者の中にはご自分の思いを伝えることが難 るのは、何より私自身がご利用者の皆さんから安 しい方もいらっしゃいますが、そのとき、その瞬 心・やすらぎを与えていただいているからです。 間の思いをくみ取り、ケアに反映させることが大 あるご利用者で、対人関係・ご家族への心配が 切なのだと感じています。 私の 仕 事 私 の 思 い 今年で創立 25 周年を迎える当施設は、建物の なりました。 あちらこちらで老朽化が目立つようになってきま 入所ご利用者が台風等の災害時でも安心して生 した。 活できるようにすること、そして、職員が安心し 私は、これまで主に施設関係の保守管理を担当 て仕事ができるようにすることが私の役割です。 おきの え ら ぶ じま してきましたが、ここ 沖 永良部島は沖縄本島に近 施設の建物の維持・管理はもちろん、実はそれ以 く、毎年平均 10 個以上の台風の脅威にさらされて 上に、職場の内部環境の改善が大切になります。皆 います。 が生き生きと、やりがいをもって働く このように、年中潮風にもあたって ためには、トップから新職員まで、ま おり、さびによる傷みも激しく、また、 ず自分たちがやるべきことを 100% やっ 台風の暴風により頻繁に停電します。 たうえで、互いに尊重しあうことが大 当施設では、地下水をくみ上げて利 切です。 用していますが、停電による断水で3 「人は城、人は石垣、人は堀、情け あだ 日間水が使えなかったことがあり、ご は味方、仇は敵なり」 どんなに城を堅固にしても、人の心が 利用者や現場スタッフには多大なる迷 離れてしまえば世を治めることはできな 惑をかけたことがあります。 おきのえ ら ぶ いという武田信玄の言葉ですが、これか 4年前にやっと町の水道を施設まで 沖 永良部寿恵苑(鹿児島県) きし だ とおる らもこの言葉を胸に、さらに人材を育成 引くことができました。いまでは停電 事務 岸田 徹 できる老健施設にしていきたいと思います。 時でも安心して水が十分使えるように 建物だけでなく人こそ大切に 老健 2016.6 ● 51 2016/05/06 15:17
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