INFORM - honto

世界の本屋さん
vol.53
インド
ニューデリー
オックスフォード ブックストア
店 ら し く な る こ と も こ の 店 の 特 色 で あ る。
ンフロア二〇〇坪はある。奥に行くほど書
ノセ事務所
能勢
仁
オックスフォード書店は一九二〇年創業
レストランと文具売場の前は絨毯の敷かれ
売場につながっているのは自然の姿であっ
の老舗である。本部はコルカタ︵旧コルカッ
て、良い。文具売場と雑貨売場は隣り合っ
たこどものプレイランド広場である。遊具、
し か し 出 版 は 別 で あ る。 英 語 出 版 は 米、
ている。その前が雑誌売場であるから、回
タ︶にあり、十八支店をもった大型チェー
英に次いで世界三位である。出版社数一一,
遊 性 に 合 わ せ た 売 場 で あ る こ と が わ か る。
ぬいぐるみ、ブロックが置かれてあり、こ
〇〇〇社出版点数五万点︵二〇〇七年︶で
その隣はペーパーパックスのロマンス、ミ
ン 店 で あ る。 イ ン ド は イ ギ リ ス の 植 民 地
ある。雑誌の発行の多いことも特色である。
ステリー、ホラーと続いている。奥の壁面
ども、家族が自由に遊べる広場になってい
ここで紹介するオックスフォードブック
には画集、デザイン、インテリア、建築書、
だったので英語主流と思いきや、公用語は
ストアはニューデリーの名物 SCのコン
写真集が面陳列されている。大型書店らし
る。連続して絵本、こどもの本、読み物と
ノート・プレイスNゾーンの真ん前にある、
い風景であった。
ヒンディ語で、英語を話す人は全体の五 %
サロン風の大型書店である。入口を入って
しかいない。
左側はレストランで、右側に回ると文具売
場、本の売場と繋がっている。全体ではワ
(表紙題字・陳舜臣)
5月
泡 と 一 緒 に、 白 い 樺 の 花 び ら が 天 井 を た く
さんすべって来ました。
﹃こわいよ、お父さん。﹄弟の蟹も云いました。
光 の 網 は ゆ ら ゆ ら、 の び た り ち ぢ ん だ り、
花びらの影はしずかに砂をすべりました。
﹃新編
風の又三郎﹄
宮沢賢治著︵新潮文庫︶より
世界の本屋さん
月
著書を語る
○ ﹁凸凹地形からみた京都
﹁書標﹂歳時記
然
科
書
書
芸
術
学
学
1
︱﹃京都の凸凹を歩く﹄刊行に寄せて﹂
梅林
秀行
2
書標・書評
﹃村上春樹は、むずかしい﹄ほか
特集
偶然と必然
ホネのある生活をしませんか?
自
ホネライフへようこそ。
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
インフォメーション
本屋うらばなし
﹁悪童日記︵♂♀版︶﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
4
5 53
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
27 26 24 22 19 17
6
11
28 26 25 23 20 18
30 29
529
凸凹凸凹凸凹凸
著書を語る
○
︱︱
凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹
凸凹地形からみた京都 ︱﹃京都の凸凹を歩く﹄刊行に寄せて
ま す。 そ し て ま ち な か の 凸 凹 地 形 に 着 目 す る と、 断 層
な 物 語 か ら 逸 脱 し た 起 伏 が、 か な ら ず や 表 現 さ れ て い
凸 凹 地 形 と は﹁ ま ち の 履 歴 書 ﹂ で す。 そ こ に は 平 坦
に 加 え ら れ た 紆 余 曲 折 の 歴 史 こ そ、 人 び と の 生 活 史 そ
す が た を 現 し て い る と い う こ と で す。 そ し て 凸 凹 地 形
し て さ ま ざ ま な 改 変 が 加 え ら れ た 結 果、 私 た ち の 前 に
の よ う に 維 持 保 存 さ れ る の で は な く、 紆 余 曲 折 を 経 由
梅林
秀行
運動や浸食堆積といった地質学的なタイムスケールの
のものだろうと感じられるのです。
活 史 へ の 理 解・ 共 感 へ の 道 筋 を 拓 く も の で あ る は ず で
折 を 通 過 し た 経 緯、 つ ま り ま ち に 暮 ら し た 人 び と の 生
套 句 で 語 ら れ が ち な 京 都 に と っ て、 さ ま ざ ま な 紆 余 曲
は、﹁ 千 年 の 都 ﹂﹁ 昔 な が ら の ﹂ と い っ た 紋 切 り 型 の 常
の 数 百 年 間 を 通 じ て﹁ 畑 ﹂ や﹁ ゴ ミ 捨 て 場 ﹂ と し て 活
当 時 の 堀 や 石 垣 を 原 因 と し つ つ、 実 際 は 聚 楽 第 廃 城 後
し 本 書 で 解 説 し た よ う に、 そ れ ら の 凸 凹 地 形 は 聚 楽 第
多 く の 痕 跡 を 凸 凹 地 形 と し て 今 に 残 し て い ま す。 し か
廃 棄 さ れ た 城 郭﹁ 聚 楽 第 ﹂ は、 段 差 や 凹 地 と い っ た 数
た と え ば、 安 土 桃 山 時 代 に 豊 臣 政 権 に よ っ て 築 造・
変 化 に 加 え て、 そ こ に 生 活 を 営 ん だ 人 び と の 微 細 な 活
す。 し た が っ て 本 書 の 内 容 は、 人 び と の 生 活 が す べ て
用 さ れ た か ら こ そ、 宅 地 化 な ど の 破 壊 を 免 れ て 現 代 ま
動 に も 自 ず と 視 線 が 向 か う こ と で し ょ う。 同 時 に そ れ
そ う で あ る よ う に、 お の ず か ら 多 面 的 で 領 域 横 断 的 な
で す が た を 留 め て い ま し た。 人 び と の 生 活 が、 聚 楽 第
ま た 二 〇 一 五 年 一 月 に N H K の 番 組﹁ ブ ラ タ モ リ ﹂
の痕跡を後世まで維持したのです。
る ま で の プ ロ セ ス で す。 つ ま り 凸 凹 地 形 か ら 見 て 取 っ
で大きく紹介された、京都のまちを囲んだ城壁﹁御土居﹂
ま ず 大 切 に し た 視 点 は、 凸 凹 地 形 が 今 の す が た に な
内容となりました。
た 痕 跡 は、 そ れ が 生 ま れ た と き の ま ま タ イ ム カ プ セ ル
−2−
529
貧 困 と い っ た 今 日 的 課 題 に 関 わ る 機 会 と も な り、 本 書
す。 す な わ ち、 凸 凹 地 形 を 歩 く と い う こ と は、 差 別 や
う 凸 凹 地 形 は、 残 り 続 け る 社 会 的 な 要 因 が あ っ た の で
能 し 続 け た か ら こ そ で し ょ う。 こ の 場 合、 御 土 居 と い
なった、京都の﹁内﹂﹁外﹂を区切る社会資源として機
な 状 態 で 残 し て い ま す が、 そ れ は 包 摂 と 排 除 が 一 体 と
に つ い て も 詳 し く 解 説 し ま し た。 御 土 居 は 遺 構 を 良 好
本 書 を 携 え て、 京 都 の﹁ 平 地 で は い ら れ な い 物 語 ﹂ を
生 ま れ る よ う に と 願 い な が ら の 執 筆 作 業 で し た。 ぜ ひ
な く、 そ こ に 暮 ら し た 人 び と の 生 活 へ の 共 感 と 納 得 が
い て み ま し た。 観 光 対 象 と し て 消 費 さ れ る ば か り で は
る の か、 今 日 的・ 社 会 的 な 視 点 を 重 視 し な が ら 読 み 解
徴的な風景がどのようなプロセスを経て成り立ってい
に 紹 介 し て い ま す。 す べ て の 内 容 を 通 じ て、 京 都 の 特
城 ﹂ と、 さ ま ざ ま な エ リ ア に つ い て 凸 凹 地 形 を 切 り 口
かにとどめている、﹁土地の記憶﹂に満ちた風景が広がっ
で も 強 調 し た よ う に、 地 形 の 高 低 差 と は そ の ま ま 社 会
園 ﹂ の 段 差 地 形。
探 し に 向 か っ て く だ さ い。 そ こ に は、 凸 凹 地 形 が た し
さ ら に、 本 書 の 巻 頭 を 飾 っ た﹁
ていることでしょう。
〝地形は変えられない。変えても、土地が覚えている。〟
−3−
内部の高低差でもあるはずと感じています。
園のまちが近代以
素 通 り し て し ま い そ う な 微 妙 な 起 伏 に 過 ぎ ま せ ん が、
こ の 凸 凹 地 形 に 着 目 す る こ と で、
︵日本坂道学会副会長・森田一義氏︶
『京都の凸凹を歩く』
青幻舎・1,600 円
降の新規開発という独特の歴史を秘めていることに気
園 の 風 景 に つ い て、
づかされます。﹁京都らしさ﹂や﹁昔ながらの﹂といっ
た視点や言葉で消費されがちな
﹁異物﹂としてたしかに存在している要素=凸凹地形を
取 り 出 す こ と で、 紋 切 り 型 や 常 套 句 で 満 た さ れ た 風 景
園のまちを今に至
が 一 転 し て、 ま る で 新 た な も の と し て 迫 っ て く る よ う
に 感 じ ま す。 そ し て そ れ こ そ が、
る ま で 伝 え て き た 人 び と に 対 す る、 共 感 や 納 得 の き っ
このほかにも本書では﹁巨椋池﹂﹁大仏﹂﹁伏見指月﹂﹁淀
&
14
かけであるように思えてなりません。
*梅林秀行トーク サイン会のお知らせ
丸善京都本店にて
6月 日︵土︶ 時∼
青幻舎﹃京都の凸凹を歩く﹄刊行記念
18
くある﹁村上春樹の成功の秘密﹂みたいな
る、正当な継承者であること﹂なので、よ
上文学が正当な日本の純文学の系譜上にあ
ないけれど、ここで評価されているのは﹁村
れないし、私も意味が判っているわけでは
達成って村上春樹が気にしていないかもし
能による人類滅亡を描いている。
る。 鉄 腕 の 著 者 は、﹁ 火 の 鳥 ﹂ で は 人 工 知
鉄腕など、人類の友として描かれるものあ
争、大量虐殺まで様々だ。一方、ネコ型や
原則といった古典を始め、殺人、逃亡、戦
り上げられる題材だ。ロボットの反乱や三
機械が人間を滅ぼす。SFで繰り返し取
﹃村上春樹は、むずかしい﹄
村上春樹の読者になってから、随分と月
本ではない。﹁信奉者﹂たる私からしても、
もちろんこの本は村上春樹のヨイショ本
ぐためには、工学的技術論に終止せず、自
憎悪を抱けば敵となる。黙示録を未然に防
芽生えた時、人類に愛情を抱けば友となり、
るとの予測がある。もし人工知能に自我が
ではないので、著作への分析やこれからの
然 科 学・ 医 学・ 心 理・ 思 想・ 倫 理・ 宗 教・
岩波新書・八〇〇円
日が経つ。最初に読んだのがベストセラー
村上春樹が漱石や三島、大江といった人た
活動への予測などもある。信奉者にもアン
加藤典洋著
﹁ノルウェイの森﹂発表後の最初の長編﹁ダ
ちと並んで評価されるのはうれしい。
三十年後に、人工知能が全人類を凌駕す
ンス・ダンス・ダンス﹂だったので、もう
に手を伸ばしたのは、同じ頃文学部の学生
チにも、是非読んで貰って、今後の作品を
三十年近くになる。一方で加藤典洋の著作
として評論なぞも読まねばと、背伸びして
見守る糧にして欲しいと思う。
教育・芸術など多方面からのアプローチが
購入した﹁アメリカの影﹂だった。その後
必要だろう。個人的には人工知能への教育
年月を加藤典洋氏も読者として村上春樹を
い 間、 人 間 に 及 ば な か っ た 人 工 知 能 だ が、
人工知能が導き出した驚愕の答えだ。長
﹁はい、人類を滅ぼします﹂
児玉哲彦著
そういえば先だって大手電機メーカーが
研究者まで誰にも読みやすい。
文 章 で 網 羅 し て い る。 入 門 者 か ら 大 学 生、
工知能に至る百年を、豊富な事例と平易な
本は、小説を織り交ぜながら、計算機が人
報工学の前線に従事した著者が記したこの
漠然とした恐怖は知識で克服したい。情
の仕方が鍵だと思う。
見続けたのだと思うと、それなりに感慨が
急 速 に 進 化 を 遂 げ 智 慧 を 得 て、 ク イ ズ や
接客応対ロボットを発表していた。もしか
︵江︶
の我が読書を振り返ると、背伸びしたもの
は身に付かなかったことを痛感するが、村
上春樹の読者としてはかなり着実に、それ
ある。
チェス・将棋で勝利し、脚本・小説を執筆
すると人類滅亡を待たずして、書店員が滅
ダイヤモンド社・一六〇〇円
された村上春樹を、例外的に好意を持って
し、絵画も描く。さらにはアニメやマンガ
亡してしまうかもしれない。
﹃人工知能は
私たちを滅ぼすのか﹄
迎え、批評を続けてきた。そしてその評価
を熱く語り、人種差別的発言を繰り返した
なりに誠実に齢を重ねた。それだけに同じ
が真逆になり、村上春樹を批判しにくい状
挙句、人類滅亡を宣言するまでに至った。
加藤氏は当初先進的な批評家達から否定
況となった現在、改めてその文学的達成を
︵み︶
評価したいとしてこの本を書いた。文学的
−4−
の折れること﹂であり、
﹁民主主義とはすべ
民主主義はありえない。それは﹁大変に骨
そ う し た 一 人 ひ と り の 成 長 に よ っ て し か、
故彼のもとを訪れ、動こうとしなかったの
になった頃、ついに恐竜は立ち上がり、何
やがて恐竜と過ごす日々が当たり前のよう
竜に食べさせ、うんちも捨てに行きました。
﹃人をつなぐ対話の技術﹄
民主主義とは、多数決ではない。多数決
て の 市 民 が 賢 く な け れ ば な ら な い と い う、
かが明かされます。
育が真の道徳教育﹂という著者のことばに
﹁倫理の期限には感情がある﹂﹁対話の教
年に発行された月刊誌﹁こどものとも﹂十二
て美しい絵本だろうと思いました。イラス
書 籍 化 されたこの本をひと 目 見 た 時、なん
福音館書店・九〇〇円
文が合わさることでひとつの世界が息づき、
るかのようですが、そこへ市 川 宣 子 さんの
丁寧に描かれた絵はまるで画 集 を捲ってい
なども手掛けるデザイナーの方で、一枚一枚
ト を 担 当された矢吹申彦さんは雑 誌 の 表 紙
そして、﹁対話の技術﹂とは﹁対話の困難﹂
﹃きょうりゅうがすわっていた﹄
から逃げない覚悟だと、思う。
︵フ︶
この絵本が初めて世に出たのは二〇〇〇
だから、政治は﹁数の論理﹂に従うと考
月号でした。それから十 五 年 の 年 月 を 経 て
日本実業出版社・一七〇〇円
は、 し ば し ば﹁ 多 数 派 の 専 制 ﹂ を 結 果 し、
無茶苦茶を要求する制度﹂だと著者は言う。
えるのも大きな間違いである。ぼくたちの
共感する。
山口裕之著
それは民主主義とは真逆である。
一票は、党派の数の争いのためにではなく、
妥当な結論を見つけ出すべく対話を行う代
選んでしまった後は対話を議員に任せて
表の選出のためにある。
しまうのも、民主主義ではない。主権者で
﹁きみがうまれたときのはなしをしよ
市川宣子作
矢吹申彦絵
が、 民 主 主 義 の 種 子 で あ り、 滋 養 で あ る。
登場する生き物たちに命が宿るのです。
あるぼくたち同士が対話を行い続けること
民主主義とは﹁利害が異なる人々が合意す
う か 。﹂
み 手 の 首 筋 へ 熱 い 恐 竜 の 吐 息 を 吹 き か け、
飾りなく優しく紡がれる言葉は、ときに読
父 親 が 息 子 に 語 り か け る 口 調 の ま ま に、
ること﹂であり、対話こそ﹁立場や意見を
だしたのは、
﹁きみ﹂が生まれるまでにあっ
六歳の誕生日を迎えた息子へ父親が語り
たとても不思議なお話でした。出産を控え
大きな瞳に見つめられるのを感じ、冬の冷
異にする人と話しあい、互いに納得できる
た母親が病院にいた頃、マンションでひと
たい雨や静かな夜に身を包まれるのです。
何 を す る で も な く、 た だ 交 差 点 の 真 ん 中
と思い、男の子と一緒に父親へ話の続きを
にふと、﹁あの恐竜はどうしているだろう﹂
あらかじめ皆が合意している﹁正義﹂は、
民主主義とは概ね無関係だ。世の中には、﹁正
り息子の誕生を待ち望んでいた彼のもとへ
合意点を見つけること﹂だからである。
義﹂の名のもとの暴力が横行している。正
突然大きな恐竜が訪ねてきたのです。
に座り込んだ恐竜は、辺りで騒ぐ人間たち
ねだってしまうような、素敵な絵本です。
これは空想のお話ですが、読み終えた後
しさは第一原理から演繹されるようなもの
にも知らん顔。それでも心配になった父親
ではなく、対話によって生み出されるもの
は、毎日キャベツを三十個買って帰ると恐
なのだ。
対話を通して他者の情況、他者の意見を
︵諒︶
知り、自らの意見を鍛え、時に変えていく。
−5−
必然の果実である﹂︱︱デモクリトス
﹁ 宇 宙 に 存 在 す る も の す べ て は、 偶 然 と
しかし、偶然と必然って、何なのでしょ
う。どうちがうのでしょう。
法則や因果関係から予測される結果が
も良く調べると必然だったことがわかる
出 た と き に 人 は そ れ を﹁ 必 然 ﹂ と 言 い、
こともありますよね。では、偶然と必然
そうならなかったとき﹁偶然﹂と言うの
現 代 生 物 学 の 思 想 的 問 い か け ﹄︵ み す ず
は私たちが知りえることと知りえないこ
このカッコいい引用から始まる本をご
書 房・ 二 八 〇 〇 円 ︶ で す。 原 著 刊 行 は
と の 境 界 の 問 題 な の で し ょ う か? い
でしょうか。でも、偶然と思われたこと
一九七〇年。当時、生物学を一新しつつ
や、そうでない絶対的な﹁偶然﹂﹁必然﹂
/渡辺格・村上光彦訳﹃偶然と必然︱︱
あった分子生物学の視点から、進化の偶
があるのでしょうか?
存知ですか? はい、ジャック・モノー
然の産物に過ぎない生命が、いかに精緻
−6−
な合目的︵必然︶性を備えているかを解
説。さらにマルクス主義などの旧来の世
界観に挑戦状をつきつけたセンセーショ
ナルな内容で、世界的なベストセラーに
なりました。第一線の科学者︵ノーベル
賞受賞者︶が書いた科学啓蒙書のハシリ
現代の観点からみたらどうなるかを検証
のか、そして同書刊行から数十年を経た
然﹂と﹁必然﹂とはけっきょく何だった
モノーの﹃偶然と必然﹄に書かれた﹁偶
『40 年後の
『偶然と必然』』
年後の﹃偶然と必然﹄︱︱
したマニアックな本があります。
佐藤直樹﹃
40
で、もはや古典と言っていい名著です。
『偶然と必然』
が出版されたときに大学一年生だったと
︵東京大学出版会・三八〇〇円︶
モノーが描いた生命・進化・人類の未来﹄
訳﹃パンセ﹄︵中公文庫・一〇九五円︶
ブレーズ・パスカル/前田陽一・由木康
られています。
率論や意思決定理論の先駆けと位置付け
﹁ 期 待 値 ﹂ を 初 め て 提 起 し た も の で、 確
キングよりわかりやすく解説しています。
の賭の議論について、簡潔ですが、ハッ
易 な 解 説 書 で す が、 こ の 本 も﹃ パ ン セ ﹄
ムネス︵デタラメ︶と確率についての平
ムロディナウの﹃たまたま﹄はランダ
肯できるかなど、実に詳細に語られてい
準からみてモノーの言っていることは首
ような反響を呼んだか、現代の科学の水
必然﹄が日本を含むいろいろな国でどの
な ト リ ビ ア だ け で な く、 当 時、
﹃偶然と
そんなことは書いてないとか︵ ! ︶そん
らしく、デモクリトスのどこを読んでも
ば、前記のカッコいい引用はどうも捏造
イアン・ハッキング/広田すみれ・森元
すが⋮⋮︶。
す︵やや専門的で難しいところもありま
ハッキングが詳細に解説してくれていま
ながるかについて、現代の哲学者イアン・
その後の確率論や意思決定理論とどうつ
よくわからないところがあります。幸い、
而 上 学 的 な も の だ か ら か、 正 直 言 う と、
いか﹂という議論に関連した神学的・形
た だ、 こ の 賭 の 話 は、﹁ 神 が あ る か な
めます。
たいことに、日本語で、しかも文庫で読
3角形の用法﹂というのですが、ありが
れるべき賭の分け前を定めるための数
回勝負をする2人の賭博者の間でなさ
にも﹁賭﹂を扱ったものがあります。﹁数
ちなみにパスカルの書いた数学論文
学する﹄︵ダイヤモンド社・二〇〇〇円︶
レ ナ ー ド ・. ム ロ デ ィ ナ ウ / 田 中 三 彦 訳
﹃ た ま た ま ︱︱ 日 常 に 潜 む﹁ 偶 然 ﹂ を 科
生物学者で﹃偶然と必然﹄の日本語訳
いう著者が、同書をめぐるあれこれを実
ます。すべての名著にこのような検証本
ブレーズ・パスカル/原亨吉訳﹃パスカ
−7−
にネホリハホリ解析していきます。例え
があればどんなにいいことでしょう !
良 太 訳﹃ 確 率 の 出 現 ﹄︵ 慶 応 義 塾 大 学 出
ル 数 学 論 文 集 ﹄︵ ち く ま 学 芸 文 庫・
は最近出た良書を二点ほど。
も注目が集まっている分野です。ここで
近年、ビッグデータなどと絡めて一般に
確 率、 偶 然 と 不 可 分 な 学 問 が 統 計 学。
統計学
一五〇〇円︶
版会・三八〇〇円︶
パスカルの賭
﹁偶然﹂について考えた思想家は古今
東西あまたいるでしょうが、何はともあ
れパスカル︵一六二三︱一六六二︶は外
せません。彼の遺稿集である﹃パンセ﹄は、
の鼻がもっと短かったら⋮⋮﹂などの言
﹁人間は考える葦である﹂﹁クレオパトラ
収録されています。その文章は今でいう
葉で超有名ですが、賭についての断章も
『確率の出現』
率 て こ の 法 則 ﹂﹁ 近 い は 同 じ の 法 則 ﹂ を
法則﹂
﹁超大数の法則﹂
﹁選択の法則﹂
﹁確
理﹂を構成する五つの法則=﹁不可避の
蓄があります。本書は﹁ありえなさの原
見舞われた大災害を考えると、何とも含
もいずれ必ず起こる﹂は、昨今、日本が
=﹁ゼロに等しいほど確率の低い出来事
がある。著者の言う﹁ありえなさの原理﹂
到底起こりそうにない出来事にも法則
一八〇〇円︶
訳﹃﹁ 偶 然 ﹂ の 統 計 学 ﹄︵ 早 川 書 房・
デ イ ヴ ィ ッ ド・J ・ ハ ン ド / 松 井 信 彦
二四〇〇円︶
星訳﹃異端の統計学 ベイズ﹄︵草思社・
シャロン・バーチュ・マグレイン/冨永
も、ベイズの手法だったとか。
チューリングがエニグマ解読に用いたの
く知られるようになりましたが、なんと
は映画﹁イミテーション・ゲーム﹂で広
スドイツのエニグマ暗号を解読したこと
チューリングが第二次世界大戦中、ナチ
コ ン ピ ュ ー タ の 父 と 言 わ れ る ア ラ ン・
一 五 〇 年 の 物 語 を 詳 細 に 綴 っ て い ま す。
す。﹃ 異 端 の 統 計 学 ベ イ ズ ﹄ は、 そ の
しました。いわゆるベイジアン統計学で
るが永遠に共約不可能なものとみなす﹂
と人間の連帯の要求を、互いに同等であ
論への要求を棄て去り、自己創造の要求
︶をふまえ、﹁公
的な偶然性︵ contingency
共的なものと私的なものとを統一する理
これはもしかしたら、社会現象の本質
︵ハヤカワ文庫NF・八六〇円︶
ダンカン・ワッツ/青木創訳﹃偶然の科学﹄
構想しているようです。
二十一世紀に対応した新たな社会科学を
理 学 な ど の 最 新 の 諸 理 論 を 総 動 員 し て、
ネットワーク理論に加えて、経済学、心
る故ローティの哲学とも共鳴するかもし
ズム﹂に基づく﹁ユートピア﹂を提唱す
こ と か ら 出 発 し、﹁ リ ベ ラ ル・ ア イ ロ ニ
順 々 に 説 明。﹁ 偶 然 と は 何 か ﹂ を 考 え る
ちなみに前出のムロディナウ﹃たまた
れません。
偶然性と社会
︵岩波書店・四二〇〇円︶
連帯︱︱リベラル・ユートピアの可能性﹄
龍一・大川正彦訳﹃偶然性・アイロニー・
ンドの牧師ベイズが発見した﹁ベイズの
パスカルから約一〇〇年後、イングラ
者ダンカン・ワッツは、お得意の社会的
のか? スモールワールド理論の第一人
の私たちの常識は、これからも通用する
未来予測なんてできるのか? これまで
式市場。株価の変動は、非常に複雑な数
あり、しかし現代経済のカナメである株
確率とギャンブルに限りなく親和性が
株式市場の数理
のにも好適で刺激的な本です。
ま﹄
、
後出のクレッグ﹃世界はデタラメ﹄も、
﹁偶然﹂とどうつきあうかは、未来の﹁予
リチャード・ローティ/齋藤純一・山岡
ベイズについてページを割いています。
測﹂とも関連します。さまざまな要素が
法則﹂は、その後一五〇年を経て、統計
複雑にからみあう現代社会で、そもそも
学に大きなパラダイムチェンジをもたら
『「偶然」の統計学』
−8−
場 の 攻 略 に 切 磋 琢 磨 し て い る そ う で す。
いまたくさんの物理学者がいて、金融市
理 現 象 で す。 こ の た め ウ ォ ー ル 街 に は、
T出版・二八〇〇円︶
木 俊 一 郎 訳﹃ 意 思 決 定 理 論 入 門 ﹄︵N T
イツァーク・ギルボア/川越敏司・佐々
パスカルの賭に言及しています。
グリーンです。彼らは﹁データマイニン
連の技術や動向を論じるのがイーグルと
という視点から、現代のビッグデータ関
人間の生活の改善にいかに役立てるか
ウェザーオールの本は、十九世紀末に株
という言葉を使いますが、これは人間の
グ﹂に代えて﹁リアリティ・マイニング﹂
生きる現実世界の中から新しい価値を
価の研究から生まれた﹁ランダムウォー
ビッグデータ
思想を表しています。
ク﹂理論から始まり、現代の金融理論の
ネイサン・イーグル&ケイト・グリーン
﹁ 掘 り 出 す ﹂ こ と こ そ が 重 要 だ、 と い う
果を完璧に予測したことで勇名をはせた
/ドミニク・チェン監訳﹃みんなのビッ
ビッグデータにも触れておきましょ
ジェイムズ・オーウェン・ウェザーオー
データアナリスト、シルバーの本は、情
グデータ︱︱リアリティ・マイニングか
う。二〇一二年のアメリカ大統領選の結
ル/高橋璃子訳﹃ウォール街の物理学者﹄
報の洪水の中からいかに﹁ノイズ﹂では
ノーベル賞受賞の物理化学者プリゴジ
物理学、SFなど
−9−
天才たちの群像にまで至る好著です。
︵ハヤカワ文庫NF・九八〇円︶
なく﹁シグナル﹂を見つけるかがテーマ
ら見える世界﹄︵NTT出版・二二〇〇円︶
ギャンブルなど、多彩な事例に溢れてい
などを通して、カオスと複雑系の自然観
ン は、 ベ ス ト セ ラ ー﹃ 混 沌 か ら の 秩 序 ﹄
的な科学と訣別し、現実世界に取り組む
パラドックス﹂の解決を通して、決定論
では、﹁時間のパラドックス﹂﹁量子論の
いかもしれません。遺著﹃確実性の終焉﹄
ジンはモノーの発展的継承者と言ってい
への応答として書かれたそうで、プリゴ
ると、﹃混沌からの秩序﹄は﹃偶然と必然﹄
を広めました。先述の佐藤直樹先生によ
ネイト・シルバー/川添節子訳﹃シグナ
﹁予測学﹂
﹄
︵日経BP社・二四〇〇円︶
ル&ノイズ︱︱ 天才データアナリストの
ます。
ら野球、チェスの勝負、インフルエンザ、
です。経済予測、天気予報、巨大地震か
意思決定理論
不確実な未来に向けて、いかに﹁より
良い選択﹂をするかという問題を考える
のが意思決定理論です。ゲーム理論、心
理学、行動経済学などと相まって、ここ
でも確率論やベイジアン統計学が重要な
役割をしています。ギルボアは意思決定
理論の世界的な権威。ちなみにこの本も
『シグナル&ノイズ』
『ウォール街の
物理学者』
強 記 の 怪 作 が ク レ ッ グ﹃ 世 界 は デ タ ラ
これでもかこれでもかと詰め込んだ博覧
宙 に ま で い た る さ ま ざ ま な ト ピ ッ ク を、
について、カジノのルーレットから大宇
本稿でとりあげたランダムネスや確率
書房・四三〇〇円︶
論、 二 つ の パ ラ ド ク ス の 解 決 ﹄︵ み す ず
佳津宏訳﹃確実性の終焉︱︱時間と量子
イリヤ・プリゴジン/安孫子誠也・谷口
が含まれる⋮⋮。
物理学の基本法則の定式化の中にも確率
は や 確 実 性 と 同 一 視 さ れ る こ と は な い。
複雑性の科学が提唱されます。科学はも
然世界﹄
︵ハヤカワ文庫SF・七〇〇円︶
フィリップ・K・ディック/小尾芙佐訳﹃偶
です。
﹁ミニマックス原理﹂に触発されたよう
まだ若々しい学問だったゲーム理論の
彼の処女長編で、一九五五年発表。当時
キュレーションの世界ですが、この本は
も 選 ば れ る ⋮⋮ デ ィ ッ ク お 得 意 の ス ペ
そして同様に、その権力者を狙う﹁刺客﹂
種 の﹁ く じ ﹂ で ラ ン ダ ム に 選 ば れ ま す。
共偶然発生装置︵ボトル︶と呼ばれる一
最高権力者は選挙でも武力でもなく、公
ります。時は二十三世紀。この世界では、
に左右される未来世界を描いた作品があ
ところでSFの鬼才ディックに、確率
二五〇〇円︶
に な る ︱︱ 運 命 論 の 運 命 ﹄︵ 講 談 社・
入不二基義﹃あるようにあり、なるよう
一一四〇円︶
九 鬼 周 造﹃ 偶 然 性 の 問 題 ﹄︵ 岩 波 文 庫・
ています。
で す が、﹃ 偶 然 性 の 問 題 ﹄ に も 言 及 さ れ
さんの本は厳密には﹁運命論﹂について
の 構 造 ﹄ の 著 者 ! と い う 感 じ。 入 不 二
な ん て エ ピ ソ ー ド は、 さ す が﹃﹁ い き ﹂
田 五 十 鈴 が 山 田 五 十 鈴 艦 長 を 訪 問 し た、
長が山田さんという人だった、つまり山
が軍艦﹁五十鈴﹂に慰問に行ったら、艦
彩な事例が楽しいです。女優山田五十鈴
︵NTT出版
柴︶
メ﹄。﹁偶然と必然﹂についての、たぶん
今回で一番肩の凝らない読み物です。
店一階エレベータ前と福岡店三階、丸善
紹介した書籍は、ジュンク堂書店池袋本
*愛書家の楽園・特集﹁偶然と必然﹂でご
名古屋本店一階と京都本店地下二階に
偶然の哲学
よくわからないですね。つまるところは
て、五月十日∼六月九日までフェア展開
⋮⋮しかし、結局﹁偶然と必然﹂って
哲学の出番なのかもしれません。そこで
中です。
ブライアン・クレッグ/竹内薫訳﹃世界
最後に、新旧二人の日本人哲学者による、
プルーストから新聞記事にまでいたる多
ド な 哲 学 書 で す が、 漢 籍、 フ ッ サ ー ル、
﹃偶然性の問題﹄はクラシックでハー
しょう。
偶然性についての考察を挙げておきま
はデタラメ︱︱ランダム宇宙の科学と生
活﹄︵NTT出版・二二〇〇円︶
『世界はデタラメ』
− 10 −
でもござれ﹂というわけにも行かず、﹁出
生 ま れ た ば か り の 市 民 団 体 ゆ え、﹁ な ん
もなく結成一年を迎えるかどうかという
切り出す理工書担当の彼女。私たちも間
コーナーではあるんですが⋮⋮﹂謙虚に
ぎ て い く 人 の 方 が 多 い よ う な、 そ ん な
﹁ 専 門 書 ば か り で、 用 が な い 人 は 通 り 過
二 〇 一 五 年 の 夏 も 終 わ り か け た あ る 日。
理 工 書 担 当 の 方 と 連 絡 を 取 っ た の は、
M ARU ZEN& ジュンク堂札幌店の
私 た ち え ぞ ホ ネ 団 Sap p o r o が
展示用に標本を作っている。
存を考えるツールとして、教材の開発や
る。また、事実を学び、人と自然との共
迎えた罪なき動物たちの生きざまを伝え
しくは駆除や交通事故などで不遇の死を
に暮らしながらも潰えてしまった命、も
り方に謙虚に対峙している。長く人と共
されて学ぶ人間だ。その生き物の命の在
議の解明に心躍らせ、好奇心を突き動か
あくまでも生き物を愛し、その謎と不思
本 を 作 り、 鑑 賞 し て い る わ け で は な い。
来る事と出来ないことがあるものですか
まだまだホネホネ人口の少ない北海道
屋さん、会社員、コンビニ店員、教員など、
に飲食店経営者、中学生、高校生、美術
ぞホネ団Sapp oro は主婦をメイン
一人、と寄り集まって結成した団体、え
作っているマニアな趣味人が一人、また
生物骨格標本などを自宅や学校などで
してきた個人である。携帯端末とSNS
ものだ。我々はもともと一人でホネ活を
が、大丈夫。ホネホネ活動は基本一人の
か顔を合わせて活動することは難しい
や生活リズムが全員ちがうため、なかな
んでいる。広い北海道、住んでいる場所
本を増やし、その技術と知識の研鑽に励
な団長のおかげで順調に活動を続け、標
ではあるが、私たちは結成以来せっかち
﹁ホネ﹂というキーワードだけでつなが
の発達で、今でこそ仲間同士で気軽に写
ら⋮⋮﹂と奥ゆかしく対応した。
るまさに老若男女、職業、性別、社会的
真をアップし、動物、植物、昆虫たちの
生態や状況について情報を共有しアドバ
誤解の無いように事前に申し上げてお
イ ス を 求 め た り で き る よ う に な っ た が、
地位、世代などを越えた人間の集まりだ。
を下して人間の一方的なエゴのために標
くが、私たちは生きとし生けるものに手
− 11 −
た個人である。
それ以前は一人でもくもくと活動してい
るエピソードを聞いた。
の中で常にそばにあった本たちにまつわ
知識を垣間見ることができ、彼らの人生
やした。この間に何人かの団員の経験や
披露してくれている。写真も綺麗で、丁
きで生き物の面白い情報を惜しげもなく
松田素子文・一五〇〇円︶は好奇心あり
西澤真樹子監修/解説・大西成明写真・
﹃ホネホネたんけんたい﹄︵アリス館・
あなたの周りにもいるだろう。幼稚園
で友達と遊ばず、ずっと虫を追いかけて
寧に解説されている。著者の方々の生き
﹁ ホ ネ の あ る 生 活 を し ま せ ん か? ホ
は 教 科 書 レ ベ ル の 話 を し て く れ る だ け。
トもあまり興味を示してくれない。先生
た。親は言葉が見つからず、クラスメイ
戚の子。⋮⋮私たちもそんな子どもだっ
ういうことなの?とずっと尋ねてくる親
どこへ行くのか? 生きている、ってど
な ぜ 生 ま れ る の か? ど こ か ら 生 ま れ、
説できるようになっていただければ⋮⋮
生動物のホネの価値を道民自ら認識し解
果ては道内そこらじゅうで燦然と輝く野
ホ ネ 層 を 増 や し、 仲 間 の 底 上 げ を 図 り、
ことで、まだまだまばらな北海道のホネ
生きてきた団員たちの生活と活動を知る
ンだ。まさにホネをバックボーンとして
あると同時に、今年の我が団のスローガ
これは今回のブックフェアタイトルで
ぞホネ団﹂が二つあり、一つは十勝の帯
あやかっている。じつは北海道には﹁え
o ﹂の名前は、このなにわホネホネ団に
もしれないが﹁えぞホネ団Sapp or
立ち上げたホネ界のドンだ。お気づきか
いう標本製作のボランティアグループを
自然史博物館に﹁なにわホネホネ団﹂と
著者の一人である西澤真樹子さんは大阪
ネライフへようこそ。﹂
いる男の子。ザリガニや魚も平気でつか
﹁だれも私の不思議に答えてくれない﹂
と言うのは望みすぎでも、生物・自然史
広畜産大学で活動している標本製作サー
み、ぐっちゃり捕ってくる女の子。人が
⋮⋮そんな孤独感に苛まれた時に私たち
系への興味・知識・関心を心置きなく掘
物への愛情と感動がふんだんに盛り込ま
の探求心を満たしてくれるもの⋮⋮それ
り下げて行けるツールとしての本を実例
ホ ネ ホ ネ シ リ ー ズ は い く つ か あ る が、
クル。お互い情報共有はしているものの
別の団体なので差別化するために話し合
とともにご紹介していこうと思う。
い、こちらは﹁Sapp oro ﹂を後に
つけ、あちらは﹁帯蓄﹂と付加するよう
になった。帯蓄のえぞホネ団も動物園と
コラボしてラクダの全身骨格標本を作る
⋮⋮おっと、閑話休題。大人になって
など精力的に活動している。
− 12 −
れている。
が﹁本﹂だ。
本は探求心の入り口。好奇心と不思議
に丁寧に答えてくれる。それを今回、我々
えぞホネ団Sapp oro とコラボして
M&J 札幌店がブックフェア企画という
形で一般社会に昇華してくれた。最初は
我々だけで何が出来るものかと自信がな
らいこの春までコツコツと準備期間に費
く、当初は年末開催の予定を延期しても
『ホネホネ
たんけんたい』
クシの四肢発生の謎を探る、と言う研究
年生で透明骨格標本を作りオタマジャ
この本で息子さんを育て、彼は小学校五
ネシリーズはお勧めだ ! うちの団長は
ている健全な少年少女にはこのホネホ
∼小学校くらいから生物好きの芽が出
書を手に取ることも多かろうが、幼稚園
を専攻したり生物部に入ったりで専門
からホネ界に入る人は中学、高校と生物
貴重な本だ。
術と知識になって実践として身につく
興味、好奇心、感動がしっかりとした技
界へといざなってくれる。本能的である
ネの趣味がある人間を高尚な学術の世
ウモリの骨だ。この上品で美しい本はホ
表紙のアールヌーボー風の装丁はコ
世界なら﹁風姿花伝﹂なのだ︵たぶん︶。
で 言 う と こ ろ の﹁ 点・ 線・ 面 ﹂、 お 能 の
で言うところのバイエル。デザイン業界
を惜しげもなく公開してくれているとこ
魅了される。非常に実利的なハウトゥー
少しでも生き物の世界に興味がある人は
エ ッ セ イ 風 の 語 り 口 で 描 写 さ れ て い て、
ない数のフィールド経験が、読みやすく
ている。その卓越したスケッチと尋常で
はなく、植物や昆虫の本も非常に充実し
ことになるようだ。
人はもれなく続編と同じホネ歴をたどる
ろも魅力である。
盛口満さんの著書は骨についてだけで
を成し遂げた。今中学生の彼はクマムシ
﹃僕らが死体を拾うわけ﹄
みながら手順や方法を自分で探求できる
校高学年・中学生になって長い文章を読
写真やイラスト解説だけでなく、小学
﹃骨の学校﹄には沖縄放浪篇︵一七〇〇
精を出している若手のホネホープだ。
で足を延ばして貴重な虫の採取や記録に
トドの骨を研究し、実地研修では沖縄ま
る。北海道の大学に進学してシカやクマ、
山を駆け巡り、キノコを観察し、自室で
響で小さい時から昆虫採集に勤しみ、野
ン、S団員。S団員は実のお兄さんの影
ても過言ではないのが我が団のブレイ
そんな盛口さんの著書で育ったといっ
− 13 −
著者の盛口満さんと安田守さんは埼玉
県にある自由の森学園という学校の理科
︵ちくま文庫・盛口満著・七八〇円︶
ようになってくる頃、世のホネ好きは全
円 ︶ と コ ン・ テ ィ キ 号 篇︵ 一 七 〇 〇 円 ︶
に夢中だ。
教員だった方で、わが団にはその自由の
森学園の卒業生、Iくんがいる。彼は自
由の森に入学して初めて伝説として語り
継 が れ る﹁ ゲ ッ チ ョ 先 生︵ 盛 口 満 氏 ︶﹂
の こ と を 知 り、 こ の 本 を 手 に し た そ う。
彼はまんまとこの本に誘われ、若くして
員﹃ 骨 の 学 校 ﹄︵ 木 魂 社・ 盛 口 満 + 安 田
の 続 編 が あ る。﹃ 骨 の 学 校 ﹄ を 手 に し た
ちょっと名の知れたホネ人に育ってい
守著・一七〇〇円︶を通る、と言っても
『僕らが死体を
拾うわけ』
過言ではないだろう。この本はピアノ界
『骨の学校』
を開催するにあたり、我々の制作した標
の人間も少なくない。今回ブックフェア
技。標本の世界は、そんな人間の英知の
廃業してしまい、現在コンビニ店員とし
本も同時に展示し、興味を持った方は自
結晶でもある。だからこそ、芸術、美術
て働く彼がこんな素晴らしい技術と経験
宅 で 実 践 で き る よ う、﹃ 家 庭 で で き る 豚
く ビ ジ ュ ア ル と し て 語 ら れ た 写 真 集 だ。
彼は前述の﹃骨の学校﹄に出会い、こ
を 持 ち 合 わ せ て い た な ん て、 今 回 こ の
足︵ 骨 格 ︶ 標 本 の 作 り 方 ﹄ と、﹃ 家 庭 で
S団員が勤めていた剥製会社は骨格標本
のホネ界に入ってきた。昆虫、植物の世
ブックフェアのために団員からネタ集め
できる剥製の作り方∼ネズミ編∼﹄と言
は沢山の観葉植物を育てる生物の申し子
界にもともとハマっていた彼が骨にハマ
を す る ま で 誰 も 知 ら な か っ た。 他 に も、
だ。まじめで信心深い彼は素直に生物の
るのに時間はかからなかった。すぐに博
生き物好きの自然ガイドとしてなかなか
うブックレットも制作した。
えぞホネ団の主要メンバーには美術系
物館や剥製屋さんに出入りし始め、海岸
良 い 特 集 を 組 ん で く れ る 雑 誌﹃ こ の は ﹄
分野の人間も突き動かすのかもしれない。
で解体も体験してしまう。とうとう剥製
のホネホネ博物館の特集号︵文一総合出
などを大学博物館や動物園に収めていた
会社の門を叩き、見習いとして働くこと
版・一二〇〇円︶にもS団員の組んだホ
仕組みに感動し、生き物の構造を分かり
になった。そんなS団員が手掛けた骨が
ネは載っている。
のだ。時代の波に流されて剥製屋さんは
﹄
︵早川
REAL BONES
書房・湯沢英治写真・東野晃典構成/文・
何よりもその製品から得られる知識と学
名は残さずともその技術と製品が、⋮⋮
− 14 −
易くちびっこに教えてくれる。
載っているのが﹃
手に取っていただければこの本が自然
問が後世に受け継がれていく尊い職人の
九〇〇〇円︶だ。
科学、と言うよりは芸術分野のものであ
ホネ組み
︵骨格標本作り︶
という工程は、
『このは No.8』
ることがわかる。ホネの美しさがつくづ
『REAL BONES』
「えぞホネ団 Sapporo」のブックレット
M&J 札幌店までお問い合わせ下さい。
れた。
小限の工具と材料で見栄えよく飾ってく
什器の固定など、短い搬入時間の中で最
ち ろ ん の こ と、 標 本 収 納 ケ ー ス、 配 電、
たち。ブックレットの編集デザインはも
その時に大活躍したのが美術系の団員
がこんなにもわが団に居るのだな、とつ
分哲学的である。だから、美術系の人間
﹁ 文 系 ﹂ 人 間 に は 縁 が 無 さ そ う だ が、 十
コ ー ナ ー と 言 う と﹁ 理 系 ﹂ に 分 類 さ れ、
というのは学問の王道的手法だ。理工書
対極を知ることで自らに気づきを得る
し持っていたものだ。団長が﹃ホネホネ
せられない秘密の宝箱を幼少の頃より隠
造形の美しさには常に惹かれ、親には見
実や魚の骨、カブトムシの頭など、その
の本に出会うのも遅かった。ただ、木の
ネ団の存在も知らなかったし、盛口満氏
ネ団を結成するまで大阪のなにわホネホ
たんけんたい﹄を我が子に読み聞かせ子
育てしたのに対し、私は次男出産のとき
に 美 術 系 の 友 人 か ら﹃ 好 奇 心 の 部 屋 デ
ロール﹄︵福音館書店・今森光彦文・写真・
一三〇〇円︶をプレゼントされた。
かくいう、この文章をしたためている
書だ。好奇心の部屋デロールというのは
分野の深いポイントをついてくれる児童
学、建築、生活⋮⋮非常に多岐にわたる
− 15 −
くづく思う。
生き物の機能美、自然の完成された美
しさはやはり人類が永遠に追い求める
ところだ。今回は動物の標本を作ってい
私もえぞホネ団Sapp oro で副団長
フ ラ ン ス に あ る 理 科 系 教 材 の 老 舗﹁ デ
福音館書店たくさんのふしぎシリーズ
から排除したが、人類の自然への好奇心
を務めながら美術・デザインの基礎を教
は、生物のみならず、歴史、暮らし、地
はやはり﹁人間とは何か﹂を探る哲学な
える教員である。美術系の私は、えぞホ
る我々のキャラクターを前面に出すた
の だ。 自 然 の 反 対 語 は 人 工。﹁ 人 工 的 ﹂
は英語で﹁
﹂⋮⋮Ar t である。
Artificial
め、﹁ 人 体 ﹂ や﹁ 医 学 ﹂ 的 な 要 素 は 選 書
『好奇心の部屋
デロール』
重な標本が所狭しと並ぶ店舗内の写真が
ロール﹂のこと。普段は撮影禁止で、貴
一八〇〇円︶
︵岩波書店・阿形清和文・土橋とし子絵・
﹃切っても切ってもプラナリア﹄
なぜこんなにも時間と手間をかけ、展示
触れる﹁おさわり体験デー﹂を実施した。
団長が丸善&ジュンク堂に赴き、標本に
切っても切れない。そこで、今回のブッ
子 育 て と 生 き 物、 自 然 と の か か わ り は
世 界 を 受 容 で き る 感 受 性 も 育 つ だ ろ う。
からこそ想像力が刺激されて、不思議な
ように、動物のスケール感を知っている
ぶ く ろ ﹄︵ 福 音 館 書 店・ 一 〇 〇 〇 円 ︶ の
からない話もある。ウクライナ民話﹃て
る よ う な、﹁ 生 物 ﹂ を 知 っ て い な い と わ
気軽に水槽を持って移動は出来ないの
い が、﹁ プ ラ ナ リ ア っ て こ れ で す よ ﹂ と
をわざわざ標本に ! と思うかもしれな
を与えておけば勝手に増えるプラナリア
リア﹂の標本化に成功している。レバー
は大変なじみ深く意外と身近な﹁プラナ
高く、また生物を専攻するものにとって
る ! と い う 根 性 で、 再 生 生 物 と し て 名
りの探求心と何が何でも標本にしてや
我が団の団長は、その卓越した標本作
渡邉洋子︶
︵えぞホネ団Sapp oro 副団長
か? ﹁ホネのある生活﹂を。
さ あ、 み な さ ん も 一 緒 に 送 り ま せ ん
のだ。ホネライフは愛に満ち溢れている。
なのだ。
﹁好き﹂が我々のバックボーンな
られる。でも﹁好き﹂ってそういうこと
現に我々は家族にそんな言葉を投げかけ
か ら な い、 ⋮⋮ と い う 方 も 居 る だ ろ う。
に心を尽くし献身するのか、どうにもわ
この本にはたっぷり詰まっている。その
歴史を重ねた空気感がアートなのだ。
思 え ば、 子 ど も の 本 に は ネ ズ ミ や 豚、
シカ、鳥、カエルやヘビ、様々な動物が
出てくる。擬人化して描かれているもの
が多いが、イソップ物語の鶴とキツネの
ごちそうの話のように、その動物固有の
クフェアでは私たちが展示した標本の動
だ。団長は﹁プラナリアをもっと身近に﹂
体形がものを食べる時の便・不便を伝え
物︵ カ ラ ス、 ネ ズ ミ、 カ エ ル、 豚 な ど ︶
ネライフを伝えるべく週に一回土曜日に
今回のブックフェアでは、私たちのホ
た。非常に貴重な珍品である。
と可愛いストラップに仕上げてしまっ
が出てくる絵本も選書した。
ただ、さすがにプラナリアが出てくる
おとぎ話や童話が見つからない。やはり
そこは科学絵本に頼るべきだろう。ある
のだ。こんなニッチな本が。
− 16 −
『切っても切っても
プラナリア』
独自CPU開発で学ぶ
コンピュータのしくみ
ドキュメント作成システム構築ガイド
開発に挑み、すぐれたITイノベータの
大学時代にオリジナルコンピュータの
ラミングにおけるテストコードのように
車の両輪の関係といえる。本書はプログ
ウ ェ ア な ど の 制 作 物 と ド キ ュ メ ン ト は、
アルといった技術的文書のこと。ソフト
ドキュメントとは、
仕様書や製品マニュ
伊藤敬彦・吉村孝広著
証である﹁未踏スーパークリエータ﹂の
伊藤剛浩・川田裕貴著
認定を受けた若き著者二人。その成果を
コンピュータ
アルゴリズムの基本
二四八〇円
効率を高めるための方法論。先駆者デビッ
は、トヨタ生産方式を源流とする、開発
ザインタビューは﹃ Gene Mapper
﹄
︵ハヤ
カワ文庫・七〇〇円︶のSF作家、藤井
た長文の作成に適している。巻頭のユー
多彩な機能を持ち、小説やレポートといっ
異なる形式の資料を一元管理できるなど
向井領治著
は文書作成ソフ
Scrivener
トウェアの一種。動画や Web
ページなど
考えながら書く人のための
入門
Scrivener
技術評論社
品質の高いドキュメント作成を目指す。
ジ ョ ン 管 理 シ ス テ ム GitHub
などを用い
ることで、ソフトウェア技法に基づいた
やバー
RedPen
トーマス・H・コルメン著
CPU
文章の誤りを検出する
をもちいたオリジナル
FPGA
まとめたものが本書だ。ハードウェア編
では
長尾高弘訳
M I T︵ マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 工 科 大 学 ︶
の開発を、ソフトウェア編ではその CPU
にコンパイラとアセンブラを移植する方
三二〇〇円
法を、詳細に解説している。
秀和システム
カンバン仕事術
、 Joakim Sunden
著
Marcus Hammarberg
原田騎郎他訳
ド・アンダーソンの﹃カンバン
ソフト
ウェア開発の変革﹄
︵ リ ッ ク テ レ コ ム・
太 洋 氏。 執 筆 作 業 の 大 半 を Scrivener
で
おこなっているという藤井氏がどのよう
ソフトウェア開発におけるカンバンと
三四〇〇円︶が知られるが、本書は会話
二五〇〇円
形式の導入や豊富なイラストなど、分か
ビー・エヌ・エヌ新社
に活用しているかを知ることができる。
三六〇〇円
りやすさに重点を置いているのが特徴だ。
オライリー・ジャパン
− 17 −
が教科書に採用している名著﹃アルゴリ
ズムイントロダクション第3 版
総合
版 ﹄︵ 近 代 科 学 社・ 一 四 〇 〇 〇 円 ︶ の 姉
妹書。より広い読者向けに、プログラミ
ング未経験でも読めるように書かれてい
る。コンピュータがどのように問題を解
二四〇〇円
決しているかに興味があるひとは、ぜひ。
日経BP社
コンピュータ
自 然 科 学
小田康平の多肉植物
叢
小説﹃ボーイミーツガールの極端なもの﹄
として山崎ナオコーラ氏とコラボした
も颯爽と答えることができるはず。理系
本書で、周囲から投げかけられる質問に
るのである。著者は広島にある植物屋の
からすると﹁納得いかない﹂姿をしてい
どのページの植物も、一般的なイメージ
ウ ネ ⋮⋮ 言 葉 で は 上 手 く 表 現 で き な い。
ばかり。トゲトゲ、もじゃもじゃ、ウネ
とんどの人が見たことのないような植物
ただしちょっと珍しい、いや、きっとほ
﹁多肉植物の写真集﹂をご紹介したい。
から、子どもに聞かれても困らない理科
最新の科学ニュースを正しく読むコツ
いの書である。
る、本書はそんな苦労から開放される救
の下でスマホ片手に必死に答えをググ
い ん で し ょ?︶﹂ と い う 質 問 の た び に 机
れはなんでこうなるの?︵あなた頭が良
友人、知人、家族から浴びせられる﹁こ
いわけではない。ふとした疑問をもった
ているものの、実際はそこまでできが良
周囲の人間から勉強ができると思われ
素人にもわかるよう平易に解説されてい
水艦設計部長である著者によって文系の
が用いられているのか、元川崎重工の潜
計からメンテナンスまでどのような技術
リア必須の問題が山積みの代物。その設
のこと、居住性や髙機動性の保持などク
る性格上、潮流耐圧防食などはもちろん
水艦について書かれた本である。
前提として開発された乗り物﹂である潜
艦ではなく﹁過酷な環境下で動くことを
ずれだろう一冊。兵器軍備としての潜水
一〇〇〇円
デビューにも使えるお得な一冊。
青春出版社
潜水艦のメカニズム
完全ガイド
店 主。﹁ 叢 ︱ Qusamura
﹂ は、﹁ い い 顔 し
てる植物﹂をコンセプトに独自の美しさ
雑 学 ま で カ バ ー し た、 ま さ に ネ タ 全 書。
る。数多の最先端技術が俯瞰で登場する
二五〇〇円
︵ イ ー ス ト・ プ レ ス・ 一 六 〇 〇 円 ︶ も 併
せておすすめしたい。
現代企画室
理系のネタ全書
を提案する多肉植物専門店である。
解説文も非常に簡潔で、どれだけ長くて
艦これファンや軍事マニアには期待は
サボテンを含む多肉植物は、ゆっくり
も一ページあるかないか程度。扱うネタ
佐野
正著
時 間 を か け て 大 き く な る。 成 長 期 に は、
ので、工学系を志す人にはなおさら面白
話題の達人倶楽部編
そのへんてこな名前や姿からは想像も
によっては図解も載ってあり、具体的な
く読めるだろう。
小田康平著
つかない美しい花を咲かせる。かと思え
イメージをしつつスラスラ知識を吸収す
秀和システム
一八〇〇円
潜水艦は海中を隠密裏に長時間移動す
ば、その花はたった一日で枯れてしまう
ることができる。
最小の努力で最大の効果を発揮できる
こともある。人間の生き様も同じような
ものではないかと思う。著者が植物監修
− 18 −
自然科学
して一般的に杉田玄白が有名だが、主と
評価もあるが、当時知られていなかった
の出版に奔走している。誤訳が多いとの
国下の日本でそれまでになかった翻訳本
画家・小田野直武など、様々な人々が鎖
ことに尽力した桂川甫周、付図を描いた
庵、公表にあたって幕府への了解を得る
のご家族との対話を重視し、医療関係者
メッセンジャーナースとは、患者やそ
誕生した。
二〇一〇年十月メッセンジャーナースが
あ る。 こ の 両 者 の 想 い を 汲 み 取 る べ く
満がありながらも受け入れている状況で
少なく、また患者やその家族は不安や不
い医療者から十分な説明を行う時間は
今、急性期病院は在院日数の短縮に伴
甲州
優・武田美和・川口奏子編
緩和ケアの壁にぶつかったら読む本
概念や言葉を苦心惨憺の末に訳出したで
と医療の受け手をつなぐ懸け橋となる看
して翻訳に携わった前野良沢や中川淳
西
智弘著
患者や家族の思い・考え
が大切になる緩和ケア。緩和ケアはすべ
あろう事はその行間から滲み出るようで
護師のことを指す。今後、看護師の得意
書
てのがん診療に携わる医師が身につける
あり、何よりその後つながる日本の近代
学
べき考え方・技術であるが、答えが出に
医学を切り開いたかけがえのない書とし
医
するケースもあり、日常臨床の現場で必
分野の力量を発揮出来るようなシステム
− 19 −
くい︵決まった答えがない︶領域に直面
て今もその魅力は色褪せない。
の構築や地域の特性を生かした病院・施
ず﹁壁﹂にぶつかる。本書は、﹁余命告知﹂
設の再編成にメッセンジャーナースとし
三〇〇〇円
て参加していくことで、地域づくりの支
西村書店
ケースファイル・ケーススタディで紹介
﹁身体拘束﹂などの様々なエピソードを
し、乗り越えるための視点や方法を考え
一五〇〇円
援につながっていくのではないだろうか。
や統計学などを初学者向けにわかりやす
四二〇〇円
看護の本質に迫る
医学書院
メッセンジャーナース
村松静子監修
く書かれた本。
書院・二八〇〇円︶よりも、複雑な疫学
前 著 書﹃ エ ビ デ ン ス を つ く る ﹄︵ 医 学
川村
孝著
臨床研究の教科書
看護の科学社
る。患者の幸せを守り、その人らしく最
後まで生きて人生を全うできるよう支え
二六〇〇円
る医療のあり方、医師の役割を問う。
中外医学社
解体新書 ︻復刻版︼
西村書店編集部編
一九一六年創業の医学書出版社・西村
﹃ 解 体 新 書 ﹄ が 完 全 復 刻 さ れ た。 著 者 と
書店の一〇〇周年記念出版としてあの
医学書
社 会 科 学
Who Gets What
アルビン・E・ロス著
著者はスタンフォード大学教授で
一九五一年生まれ。専攻はゲーム理論や
よる争奪戦になっているという。訳者あ
メリカ、ロシア、デンマーク、カナダに
の採掘や航行をめぐる問題に発展し、ア
の北西航路の氷が解けることで天然資源
温暖化でグリーンランドとカナダの間
六年の歳月をかけた取材は十二章に及ぶ。
社会が紛争を解決できない今、傭兵の役
器の情報も多く、読み応えがある。国際
兵たちが登場する。写真の掲載や使用武
兵士を捕まえる賞金稼ぎなど、様々な傭
アメリカ人兵士、ローデシアで反政府軍
ト。イラクの雇われ兵や、南レバノンの
二八〇〇円
割はさらに拡大すると予想される。
原書房
とがきでもふれられているが、解決策や
提案は示されておらず、読者に警鐘を鳴
ベル経済学賞を受賞している。本書は著
業はこの流れを反転させるためどんな手
で問題が起こるのだが、国・自治体・企
阿部正浩編著
少子化が進むと、労働
力や社会保障の財源が不足する。多方面
少子化は止められるか?
者の研究成果であるマーケットデザイン
を打ってきたのか。経済学の研究者たち
二〇〇〇円
らし、判断を仰いでいるようである。
や マ ッ チ メ イ キ ン グ な ど を、 臓 器 移 植
がその対策ごとに分析した。これまで数
ダイヤモンド社
マッチングや学校選択など様々なエピ
多 く の 政 策 が あ り、 各 々 一 定 の 効 果 は
マーケットデザインなどで、二〇一二年
ソードを通じて解説をしていく。いわゆ
あったのに、残念ながら全体としての解
にはロイド・シャープレーとともにノー
る経済学のテキストの体裁ではなく、数
た傭兵活動を紹介した一冊である。著者
二〇〇〇円
本書は大反響のNHKスペシャル﹁シ
NHKスペシャル取材班著
老後親子破産
有斐閣
課題の多さが気にかかる。
あり方にまで言及しているが、とにかく
式は登場しない。エピソードを追いなが
ドキュメント 世界の傭兵最前線
決には至っていない。本の終盤に今後の
二〇〇〇円
本書は、世界初の民間軍事会社︵PM
アル・J・フェンター著
ら概念を理解していくという形である。
日本経済新聞出版社
地球を﹁売り物﹂にする人たち
は国際的に活躍する戦争ジャーナリス
ウトカムズ社と周辺の関係者を中心にし
C ︶、 南 ア フ リ カ の エ グ ゼ ク テ ィ ヴ・ ア
変動とそこから起こる現象を利用して儲
著者は若手のジャーナリストで、気候
マッケンジー・ファンク著
け よ う と し て い る 人 々 を 取 材 し て い る。
− 20 −
社会科学
い恐ろしい現実が書かれている。前回は
げた内容で、誰もが他人事ではいられな
日本の超高齢化社会の最前線をとりあ
リーズ
老 人 漂 流 社 会 ﹂、 そ の 第 四 弾 の
書籍化。
社 会 問 題 が あ り、 そ れ こ そ が 彼 ら の ス
や、先行きのみえない経済的不安などの
うした犯罪背景には、人間関係の希薄化
を確かめるために暴走する者もいる。こ
大事にしていると思う者もいれば、愛情
フリカは今、転換期を迎えつつある。
になってきた。資源の搾取も進行し、ア
民地化を危惧する声も最近聞かれるよう
だが、現地ではチャイナパワーによる植
国の経済発展に大きく貢献した中国移民
チャンスを感じている。この十数年で各
二二〇〇円
トーカー心理と深く関わることが指摘さ
てられず失速していく企業は多い。しか
優れた業績を残しながら、後継者を育
シドニー・フィンケルシュタイン著
スーパーボス
白水社
独 居 老 人 の 貧 困 問 題 だ っ た が、 今 回 は、
一四〇〇円
れている。
河出書房新社
家族がいても生活が苦しい、家族の存在
が実は却って裏目に出てしまう、という
ケースを掘り下げて取材している。介護
や病気、非正規雇用、ひきこもり、生活
親子共倒れとなる過程が報告されてい
し、自身も優れた業績をあげながら、優
の 相 違 点 を 明 ら か に す る。 最 終 章 で は
る行動や戦略、通常のよいマネジャーと
− 21 −
保護制度の限界など、様々な負の連鎖で、
る。札幌地区での事例が中心だが、同様
本書では名経営者の他、マイルス・デ
イビスやアリス・ウォーターズなど、様々
な業界で人材を育て、業界に影響を与え
てきた人=スーパーボスを調査分析。性
地球最後の巨大市場、アフリカ。中国
スーパーボスになる/みつける/その下
格も背景もばらばらの彼らが共通してと
は官民ともにアフリカ進出に熱心で、既
で成功するための実践論まで落とし込ん
一三〇〇円
秀な人材を多数輩出する人もいる。
中国第二の大陸アフリカ
の一家破綻危機は、全国で今まさに進行
中だと感じさせられた。
講談社
ストーカー加害者
に百万人の中国人が移住してビジネスを
であり、実用性も十分。千万無量のリー
ハワード・W・フレンチ著
なってしまうのか。本書はNNNドキュ
展開している。アメリカの新聞記者だっ
ストーカーと一口に言っても、取材の
ダーシップ論の中でも読むに値する一冊
な ぜ 人 は、 あ る 日 突 然 ス ト ー カ ー に
メントディレクターが、ストーカー加害
た著者はアフリカ各地をまわり、働く中
田淵俊彦著
者たちの心の闇に迫った一冊。
国人の素顔を取材。彼らは母国には不平
一八〇〇円
中で執着型や求愛型、一方型といくつか
だろう。
日経BP社
のタイプに分かれる。自分が相手を一番
不満を抱いているが、新天地には自由と
社会科学
人 文 科 学
︿こころ﹀はどこから来て、
どこへ行くのか
大山猫の物語
クロード・レヴィ=ストロース著
河合俊雄ほか著
伸ばして、お互いに今の姿になったとい
を押し縮め、大山猫は相手の鼻面を引き
諍いを起こして、コヨーテは相手の鼻面
うに似ていた大山猫とコヨーテはある日
トロースの神話研究の到達点。双子のよ
ゴの唄﹂
、L I N E、 フ ィ ボ ナ ッ チ 数 と
に 軽 く 目 を 通 し て い た だ き た い。﹁ リ ン
多彩かつ豪華。まずはディスカッション
新一、広井良典、下條信輔、山極寿一と
要約からなる。講演者は河合俊雄、中沢
つの講演と、最後のディスカッションの
本書は﹁京都こころ会議﹂における五
﹃ 神 話 論 理 ﹄ に 連 な る﹁ 小 神 話 論 理 ﹂
街中で、たまに見かける﹁スケートボー
う。南北アメリカ先住民神話に表れるこ
話題が次々とんで楽しい。
三冊の最終巻として出されたレヴィ=ス
ド禁止﹂の看板や、スケートボーダーら
の﹁双子であることの不可能性﹂を通し
都市に刻む軌跡
しき若者たちの集団。その集団に属して
て、西洋古代神話との対比を浮かび上が
田中研之輔著
いない者にとってはその世界の構造がど
らせ、新世界における﹁自己と他者﹂に
二一〇〇円
うなっているのか知る由もない。本書は
茶色のシマウマ、
世界を変える
岩波書店
そんなスケートボーダーたちの世界を描
ついての重要な視点を提起する。
五四〇〇円
日本初の全寮制インターナショナル高
石川拓治著
高野山大学名誉教授であり、インド古
中から募集し、奨学金全額支給の生徒も
成し遂げた小林りんの物語。生徒は世界
として設立するという前代未聞の偉業を
校を、しかも教育基本法上の正式な学校
代思想から日本仏教まで広く研究をして
いる。授業はアクティブな学びや、グロー
存在とコトバの深秘学
きた著者による本書。空海存在論の核心
高木訷元著
空海の座標
みすず書房
いたエスノグラフィーである。誰に強要
されるでもなく、彼らがスケートボード
に 没 頭 す る 背 景、 意 味 と は? 調 査 に
三二〇〇円
十七年を費やした著者渾身の一冊。
新曜社
となるマンダラ思想について、空海の生
バル教育の理想を先取りしている。
ダイヤモンド社
一六〇〇円
命感から生まれた感動のドキュメント。
﹁本物のリーダー﹂を育てたいという使
きた時代、著作とともにその思想の生成
の過程をたどる。時に難解で神秘的な印
二八〇〇円
象を持たせる空海思想に迫る一冊。
慶應義塾大学出版会
− 22 −
人文科学
文学・文芸
ツバキ文具店
マチネの終わりに
主 人 公 の 真 理 奈 は 高 校 三 年 生。 両 親 と
学受験を前に将来への不安に苛まれて
何 不 自 由 な く 暮 ら し て き た け れ ど、 大
じ じ ば ば︵ 二 組 ︶ と 老 犬 の 七 人 家 族。
お恥ずかしい話なのだが、実は私、芥
平野啓一郎著
川賞受賞作﹃日蝕﹄はおろか、その他の
いた。
れ は ま さ し く 現 実 逃 避 で あ っ た の だ が、
祖父・晴じいと旅に出ることになる。そ
そんな時、ひょんなことから風来坊の
作品も難解なため、何度となく挫折した。
良い小説に出会えた喜びに、思わずあり
で も 本 作 は、 気 が 付 け ば 最 後 の ペ ー ジ。
がとうー ! と本を握りしめた。
への謝絶状、亡くなった夫から妻へのラ
る。ペットのお悔やみ状からお金の無心
一風変わった不思議な依頼がやって来
店﹂を営む雨宮鳩子のもとには、今日も
るとも言えるし、変わってしまうとも言
は常に過去を変えてるんです。変えられ
思い込んでいる。だけど、実際は、未来
﹁ 人 は、 変 え ら れ る の は 未 来 だ け だ と
じた。
じ ゃ な い、 も っ と 深 い 人 生 ド ラ マ を 感
恋 愛 小 説 と 聞 い て い た が、 そ れ だ け
とりでは生きてゆけないこと、助け合い、
愛され、守られてきたのかを実感し、ひ
描かれている。真理奈は自分がどれだけ
いく様が清々しくユーモアたっぷりに
がら、一緒に生きることを確かめあって
鎌倉で文具店兼代筆業の﹁ツバキ文具
小川
糸著
様々な事情を抱えた依頼人になり代わ
える。過去は、それくらい繊細で、感じ
二人にとって自分と家族を見つめ直すよ
り、言動の裏にこもった思いを汲みとり
互いを想いやることの大切さを理解す
いけるであろう勇気を晴じいにもらった
るのである。そう、これから強く生きて
ケンカをしながら、他人とまじわりな
この文章を読んだ時、思わずハッとし
のだ。
一五〇〇円
− 23 −
い機会となる⋮⋮。
ながら、今日も日々奮闘する鳩子。そし
やすいもの﹂
た。他にも何度ハッとしたことか。あと
ブレター等々⋮⋮。
てそんな彼女の日常を彩るちょっぴり変
はクラシックに精通していれば、もっと
わった友人・知人たち。
古都鎌倉の四季折々の美しい景色・風
双葉社
よね。
ホロッときた。もう、心配しなくていい
ラスト、彼女の少し大人になった姿に
景 を 背 景 に、 手 紙 に 込 め ら れ た 人 々 の
笑 い あ り、 涙 あ り の 家 族 小 説 で あ る。
坂井希久子著
ハーレーじじいの背中
一七〇〇円
楽しめるのかも?
一四〇〇円
毎日新聞出版
様々な思いが交錯する、ちょっぴり笑え
て、ほろりと泣ける素敵な物語。
本書を読んだ後は、きっと誰かに手紙
幻冬舎
で思いをつたえたくなるはず。
文学 ・ 文芸
文庫・新書
マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼著
の対象である﹁怪談﹂について調べてい
カに命じられるままに動き、彼女の興味
を心地よく刺激されて、読む前と読んだ
しかし、脳の普段使っていないところ
六〇〇円
後ではきっと世界が違って見えるはず。
ちくま文庫
く。そうして集められた情報を元にマツ
リ カ が 導 き 出 す 答 え は ど こ か 物 悲 し く、
トウガラシの世界史
日本では今や一番作られている漬物が
山本紀夫著
キムチになったとはいえ、ショウガやニ
六四〇円
真相を告げられた祐希は、少しずつ自分
自身と向き合っていく。
角川文庫
ンニクに比べると、あまり派手にスポッ
高校一年生の柴山祐希は、クラスに馴
染むことが出来ずに鬱屈した日々を送っ
の西インド諸島からヨーロッパにトウガ
ていた。そんなある日、祐希は、学校の
ラシを持ち帰ってから世界各地に広ま
しかしながら、コロンブスがカリブ海
つもりかもしれないと感じた祐希は、自
トライトを浴びることのないトウガラシ。
殺 を 止 め よ う と 廃 墟 に 脚 を 踏 み 入 れ る。
メインに躍り出る食材ではないかもし
り、今やさまざまな形で食されている。
近 く に あ る 廃 墟 ビ ル に 人 影 を 見 つ け る。
しかしそこに待ち受けていたのは、マツ
タ レ 男 子 と 謎 を 持 つ 少 女 と い う 構 図 は、
少年と、廃墟に棲みつく少女の物語。ヘ
相沢沙呼が贈る、クラスに居場所がない
たない。日常エッセイのようであり、し
もちろん、この本は英語学習の役には立
る の か な? と う っ か り 思 っ た り す る が、
学習に役に立つことが書いてあったりす
翻訳家の書いた本と聞くと、外国語の
別の記述がわかりやすく、興味あるとこ
のキムチ、日本の京野菜などなど、地域
ンドのカレー、四川の豆板醤、朝鮮半島
る地域もあった。トウガラシはどのよう
れないが、食卓に革命が起こったと言え
リカと名乗る、美しくも傲岸不遜な、一
窓から身を乗り出すその姿に、自殺する
なんらかの事情
﹁酉乃初の事件簿﹂シリーズでもおなじ
かしSF小説のようでもあり、何と分類
岸本佐知子著
みである。しかしその度合にはかなりの
ろから読んでいける。
﹁ 酉 乃 初 の 事 件 簿 ﹂ シ リ ー ズ の 著 者・
人の不思議な少女だった。
差があり、今作における両者の立ち位置
していいか迷ってしまう世界が広がって
に生まれ、広がったのか。食文化にもた
は、女王様と犬。パシリとなった祐希は
いる。
中公新書
八六〇円
アンデスの多様な野生トウガラシ、イ
らした役割と魅力を伝える一冊。
﹁ 柴 犬 ﹂ 呼 ば わ り さ れ な が ら も、 マ ツ リ
− 24 −
文庫・新書
芸
術
若冲
その尽きせぬ魅力
狩野博幸監修
今年生誕三〇〇年を迎える絵師・伊藤
東京JAZZ地図
ジャズが誕生して一〇〇年余り。今な
交通新聞社編
お多くの人々に愛され、進化を続ける音
楽であるジャズと、東京で直接触れ合う
若冲。
ことができるスポットを紹介したものが
ニューアルオープンのお店や生演奏を聴
十年という歳月をかけて描かれた全
く こ と の で き る ラ イ ブ ハ ウ ス な ど な ど、
三十幅の﹁動植綏絵﹂や、桝目描きの手
今にも動き出すのではないか、と思う
老 舗 の ジ ャ ズ 喫 茶 か ら 新 装 開 店、 リ
ほど躍動感に溢れた動物たち。その煌び
それぞれのお店の特徴や、辿った歴史
実に八十軒近くのお店が紹介されている。
本書である。
二〇一五年、人気漫画﹃ ONE PIECE
﹄
が歌舞伎になるらしいというニュースを
やかな色彩も、思わず目を奪われるほど
法で描かれた﹁鳥獣花木図屏風﹂などは
初 め て 聞 い た 時 に は、 度 肝 を 抜 か れ た。
だ。はたまた、モノクロームが美しい版
あまりにも有名である。
そ の 名 も﹁ ス ー パ ー 歌 舞 伎 Ⅱ ワ ン ピ ー
についても書かれているので、なんだか
一二〇〇円
− 25 −
猿の眼
僕ノ愛スル器タチ
市川猿之助著
ス ﹂、 手 掛 け た の は 市 川 猿 之 助 で あ る。
紙面からジャズが聴こえてくるかのよう
交通新聞社
みてはいかがだろうか。
近くにお越しの際は、一度足を運んで
に感じることができる。
画作品など、様々な絵画を描いた若冲の
二〇一六年五月二十四日︵火︶まで東
魅力が詰まった書籍である。
京都美術館でも展覧会が開催されている
古典だけではなく新作歌舞伎にも意欲的
ぐものがあるのをご存じだろうか。それ
に取り組む彼が、歌舞伎以外に情熱を注
が本書で語られる﹁骨董蒐集﹂という趣
ので、既に観に行った方にも、これから
ん ぼ の 本・ 一 六 〇 〇 円 ︶﹃ 若 冲 原 寸 美 術
︵小学館・
館100%Ja kuc hu ! ﹄
﹃若冲ワンダフルワールド﹄︵新潮社と
観に行く方にも是非オススメしたい。
味である。
一つ一つの骨董との出会い、その時々
三〇〇〇円︶﹃若冲への招待﹄︵朝日新聞
に演じていた役とも奇妙に繋がり、一章
は器によってもたらされる人々との出会
出版・一六〇〇円︶など、関連書も続々
ごとに様々な物語を作り出す。面白いの
い。器のもつ力なのか、市川猿之助とい
一八〇〇円
刊行されているので、併せてご確認くだ
CCCメディアハウス
さい。
う 人 の 持 つ 力 な の か、 き っ と 両 方 が 相
二〇〇〇円
まって奇跡的な出会いを生むのだろう。
淡交社
芸術
実
用
書
地図・旅行書
て甘いお菓子ではない。ケンタッキーフ
ライドチキンで売っているあれ、と言え
英国一家、
インドで危機一髪
マイケル・ブース著
寺西のぶ子訳
アニメ化もされた﹃英国一家、日本を
ばお分かりいただけるだろうか。アメリ
食べる﹄の第三弾。今回はぐっと目先を
変えて、行き先はなんとインド。しかも
カ南部のソウルフードとも呼ばれる、無
一方コーンブレッドは、コーンミール
帯には、﹁今回は、食べ歩きはしないの、
発酵パンのことである。
と重曹を使った、やはり無発酵パン。こ
[ポケット版]
﹁暮しの手帖﹂とわたし
家族のために。﹂とある。
ん ん ん? ど う し た の? な に な に、
ちらは﹃大草原の小さな家﹄に出てくる
と、文章で書くよりも、とにかく実際
カ ッ セ ン か ら 遠 く 遠 く 離 れ て し ま っ た。
るレストランやワインショップやデリ
余波で郊外に移住せざるを得ず、偏愛す
家を担保に借金をして生活費を補ってき
に見ていただきたい。ふんわりサクサク
に﹁まともな食べ物﹂としてよく出てく
﹁とうもろこしパン﹂、カポーティの短編
大橋鎭子著
四月から始まった、NHKの新しい朝
ド ラ﹁ と と 姉 ち ゃ ん ﹂。 毎 朝、 今 日 は ど
にしている方も多いはず。著者の大橋鎭
おいしそうな写真の数々。おうちで作る
そしてご本人は認めていないけれど、ア
た︵ ! ︶ け れ ど、 世 界 的 な 経 済 危 機 の
子さんは﹁とと姉ちゃん﹂のモデルとなっ
ル コ ー ル 依 存 症 と う つ 病 の 疑 い が あ る、
るものだ。
た女性で、彼女の唯一の自伝が本書。
パンにチャレンジしたいけど、ちょっと
と。 そ ん な 夫 を 見 る に 見 か ね て、﹁ こ の
んなドラマが繰り広げられるかと楽しみ
ドラマをご覧になっている方々はもち
難しそう、と二の足を踏んでいる方にも
KADOKAWA
る、軽快かつ愉快な一冊。
一八〇〇円
方にもきっとスッキリ笑っていただけ
中年という年齢に苛立ちと焦りを感じる
旅行好き、食道楽なあなたはもちろん、
旅行を企画したんですって !
と六歳の子ども達を連れて三ヶ月の家族
ないわ﹂と一念発起した奥さまが、八歳
ままでは、うちの家族はもう長くは持た
ろん、ご覧になっていない方でも、落ち
一六〇〇円
おすすめだ。
グラフィック社
着きのある親しげな語り口に魅了される
のではないだろうか。激動の時代を駆け
九〇〇円
抜け、戦後の暮しに灯をともし続けた一
人の女性の物語である。
暮しの手帖社
朝食ビスケットとコーンブレッド
原亜樹子著
ビ ス ケ ッ ト と 言 っ て も、
本 書 で 取 り 上 げ ら れ て い る の は﹁ ク ッ
キーとどう違うの?﹂という、あの薄く
− 26 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
英語のスピーキングが驚くほど上達する
NOBU式トレーニング
徹底比較
日本語文法と英文法
プットだけしていても、発信力を支える
則 と 言 わ れ て い る。 た だ 闇 雲 に ア ウ ト
はインプット↓アウトプットの順番が原
プットが必要だ。人が言葉を習得するの
まとめが載っており、短時間で復習する
で読み易い。見開きの右上には各項目の
右ページに英語の説明と分かれているの
結 し て お り、 左 ペ ー ジ に 日 本 語 の 説 明、
一つの項目の説明が見開き二ページで完
万 人 に お 勧 め で き る 本 格 的 な 入 門 書 だ。
日本語と英語の比較文法の本の中でも
畠山雄二編
下地のインプットがなければ、言葉は出
英語を話すためには下地であるイン
山田暢彦著
海外旅行で全く英語が話せなかった著
てこない。
悪あがき英会話
者は、夫婦で英会話教室に通うことを決
効く ! 英語のツボ﹂として、専門家に
各エピソードの間には﹁アラフォーに
日々が面白おかしく描かれている。
ル プ レ イ を 展 開 し た り と、 教 室 通 い の
う﹂とやさぐれたり、漫才のようなロー
つまずきやすい英文法﹂では、英文法の
例文へと進んでいく。巻末の﹁日本人が
まずは易しい例文で始め、徐々に複雑な
だ。レベルは中学一年レベルからなので、
語に訳すという、とてもシンプルなもの
トのための英文を読んだ後、日本文を英
本書のトレーニングは、まずインプッ
でも英語でも、ある二つの要素が意味と
こうした名詞の動詞化が起こる時日本語
な ど 名 詞 を 動 詞 と し て 使 う も の が あ る。
が、
英語にも﹁bo tt le ﹂や﹁bug ﹂
クる﹂など名詞が動詞化した言葉がある
でいる。例えば日本語には
﹁ググる﹂
や
﹁パ
かったような興味深いことにも踏み込ん
松本ぷりっつ著
意 す る。﹁ い ー よ 日 本 語 し ゃ べ れ れ ば も
よるアドバイスも載っている。各話にち
基本事項と前置詞のコア・イメージなど
形を決定しているという説明にははっと
また、出版社ホームページにNOBU
章ごとにおすすめの本と論文も載って
を見ていただきたい。
させられた。ある二つが何かはぜひ本書
さらに本書は今まで触れられていな
なんだコラムであるため、興味を持って
がまとめられており、読むだけで文法の
先生の生講義動画もあり、これを観てト
おり、より深い勉強へも進み易い。あら
一八〇〇円
ゆるレベルの人におすすめできる一冊だ。
くろしお出版
− 27 −
ことも可能だ。
知識を身につけることも可能である。
苦手項目が少なくなるだろう。
自ら通うことを決意したのに、イヤイ
しかし、覚えた英会話で会話が成り立っ
レ ー ニ ン グ 方 法 を 直 接 聞 く こ と に よ り、
ヤ通っていると言ってはばからない著者。
た時の感動を糧に、レッスンをちょっと
効果が更に高まるだろう。
一六〇〇円
した冒険として楽しんでいるのだという。
一〇〇〇円
IBCパプリッシング
その後ろ向きだけど前向きな姿勢とエピ
KADOKAWA
ソードにクスリとさせられる。
語学・辞典
児
童
書
ミからエベレスト登頂隊で起きた真実を
打ち明けられます。その頂に立つことを
夢みて、時には人生すら変えてしまうほ
水はみどろの宮
どの抗いがたい魅力を持つ世界の最高峰。
一五〇〇円
石牟礼道子作
山福朱実画
渡し守の物知りなじい様に大切に育て
絵本に魅せられて
佐藤英和著
こぐま社を創業した佐藤
英和氏のこれまでの講演などをまとめた
年、出版されました。佐藤氏の児童書編
七〇〇円
小学館
られたお葉の日常は不思議に満ちていま
ごんの守、片目の猫おノンの黒御前、自
孤高の存在に魅せられた人々の物語です。
あったかいな
分を包む山の神秘をその柔らかな心に溶
す。山の姫神のお使い犬らん、千年狐の
くすのきしげのり作
た美しい物語です。
け込ませていきます。すべてが音に満ち
片山
健絵
ねこのミーちゃんは、
もうすぐあかちゃ
んをうみます。必死に頑張り出産するそ
集者としての思いが詰まっているのみな
本が、こぐま社創立五十周年を迎えた今
人のおんなのこは、じぶんのおかあさん
らず、日本の児童書の礎を築いた編集者、
福音館文庫
のことを思い、そして生まれてきた命の
の母ねこの姿とあたらしい命にふれた二
尊さや温もりを全身で受け止めます。
岩波書店のいぬいとみこ氏・石井桃子氏、
居直氏など先達の思い、東京子ども図書
至光社の武市八十雄氏、福音館書店の松
館の松岡享子氏や作家との対談など、貴
一六〇〇円
おはなをあげる
廣済堂あかつき
ジョナルノ・ローソン作
になって今も読み継がれている児童書が
重な一冊になっています。ロングセラー
こんな思いをもって作られ、それを手渡
まるものがあります。絵本と子どもの心
エベレスト・ファイル
シドニー・スミス絵
誰にも気づかれずそっと道端の花を摘
と言葉の関係の捉え方が継承されて欲し
こぐま社
一八〇〇円
す図書館・文庫・書店があることに感極
マット・ディキンソン作
原田
勝訳
山が人を呼ぶのか、エベレスト登山隊
シェルパたちの山
に参加しその後行方が分からなくなった
み、通りすがりにプレゼントをしてゆく
かに、少しずつ色鮮やかに輝き始めます。
少女。モノクロだった彼女の世界は、静
小さな優しさと幸せを絵だけで表現した
いと思います。
頼まれて行方を突き止めた主人公は、カ
シェルパ族の少年カミ。少年の幼馴染に
一四〇〇円
文字のない絵本です。
ポプラ社
− 28 −
児童書
中尾
智子
もそばにいる人を見かけないと不安で落ち着かない。娘
﹃長いお別れ﹄を読んで
後期高齢者と呼ばれる年齢となって、つい手に取るの
う。 誰 に で も 起 こ り う る 現 実。 認 知 症 で な く て も、 介
達 が と も 角 も か け つ け た も の の、 一 日 で へ と へ と に な
護ということがいかに大変なことか、デイサービス・訪
は 高 齢 者 を 扱 っ た 本 が 多 く な っ た。 小 説・ エ ッ セ ー・
中島京子の本を読みたいと思ったのはまずタイトルに
問 介 護 と 支 援 は あ る と は い え、 四 六 時 中 見 守 っ て い る
る。 教 育 者 と し て あ れ 程 威 厳 の あ っ た 父 が ま る で 子 供
魅かれた。主人公は妻により行動の変化に気付かれて、
ノ ン フ ィ ク シ ョ ン と 実 に 多 く 出 版 さ れ て い る。 本 を 読
﹁もの忘れ外来﹂を受診し治療︵投薬︶を始めるが、徐々
者の負担はいかほどのものか。作者の介護される者・介
に 帰 っ て い る。 そ う し て 徐 々 に 遠 く の 方 に 行 っ て し ま
に 認 知 症 が 進 行 す る。 そ の 間 の 本 人 と 家 族︵ 主 に 妻 ︶・
護 す る 者 へ の 眼 差 し が 温 か く、 読 後 暗 い 思 い を せ ず に
む人も高齢者が多くなったからなのか。
介護師やケアセンターの有様がまさに経験している様
すむ。
*﹃長いお別れ﹄︵文藝春秋・中島京子著・一五五〇円︶
︵七十五歳︶
に 現 実 味 を 帯 び て 描 か れ て い る。 子 供 三 人 は す で に 自
立 し、 二 人 は 家 庭 が あ り、 三 女 は 仕 事 で、 め っ た に 実
家 に 集 ま る こ と も な い。 妻 が 一 人 奮 闘 し て デ イ サ ー ビ
ス・ 訪 問 介 護 を 受 け な が ら 自 宅 で 介 護 を 続 け て い る。
し か し、 そ の 妻 が 入 院 す る こ と に な っ た と き、 夫 を ど
う す る か、 た と え 妻 を 識 別 出 来 な く な っ て い て も い つ
− 29 −
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
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しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
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六一一一
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FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
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│
TEL
│
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アを紹介するページは、今月
はM&J 札幌店。えぞホネ団
ボ企画・ホネライフフェアだ。
Sapp oro さんとのコラ
﹁えぞホネ団﹂で検索すると
フェイスブックを見ることが
︵緒︶
できて、これがまた興味深く
て面白い。
https://www.facebook.com/
ezohone/
− 32 −
│
│
│
誌上で各店のおすすめフェ
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
たった。おそらく僕の両親も、この﹁子
さて、僕は自力で本を読む大人になっ
有 益 で 楽 し い こ と が 山 ほ ど あ る だ ろ う。
たが、今後彼らはどうなるだろうか。い
僕 が 午 前 中 か ら お 菓 子 と フ ァ ミ コ ン、
で も、 も し 彼 ら が 本 を 読 む よ う に な り、
や、別に本を読まない人間に育っても全
眠くなったら寝る、というダメな子ども
﹁これ面白いから読んでみなよ﹂と薦め
られたら⋮⋮ここで﹁感動 ! 号泣 ! ﹂
どもをどこかへ連れていかねば ! ﹂感
の休日を過ごしたいと思っていても、両
な ん て 書 く と 収 ま り が 良 い の だ ろ う が、
然かまわない。たぶん世界には読書より
本屋のうらばなしというより僕のうら
親に山やら海やら街中やらと連れまわさ
を休みのたびに感じていたのだろう
ば な し な の だ が、 我 が 家 の 双 子︵ ♂ ♀ ︶
れ た も の だ。 当 時 は﹁ め ん ど く せ ぇ な ﹂
悪童日記︵♂♀版︶
も 二 歳 半。 傍 若 無 人 ぶ り に 磨 き が か り、
僕は人から本を薦められるのがど∼にも
なぁ、と想起したのだ。
ますます目が離せない。
苦手なのだ。それは家族であっても変わ
ん に よ る と、 小 規 模 書 店 は あ と 二 十 年、
と 思 っ て い た が、 今 で は 感 謝 し て い る。
大型チェーン書店でも四十年で﹁世界か
それもあって僕と奥さんは出来るだけ
ない。活字に縁遠かったのだろう。対し
ら﹂無くなるそうだ。嘘か真か、今は知
らず、想像するとむず痒くてダメ。ごめ
てうちの奥さんは奇しくも元某大型書店
る 由 も な い が、 本 を 好 き で 読 む よ う に
しかしそんな両親でも全く連れていって
チューハイ、パソコンいじって眠くなっ
員。 僕 と も ど も 自 然 と 書 店 に 足 が 向 く。
な っ た 我 が 子 ら に﹁ そ の 昔、〝 本 屋 〟 と
保育園の休みと重なるように休んでお
たら寝る、というダメな大人の休日を過
しかし我が子らにとってまだまだ書店は
いう物があってな⋮⋮﹂なんて言うのは
んな。ところで、アメリカの偉い学者さ
ご し た い と こ ろ だ が、 そ う も 行 か な い。
寂しいので、今のうちに頑張らなくては、
と母が雑誌以外の本を読んでいた記憶は
というか、休日にどこへも行かず彼らを
つ か り、﹁ 顔 が パ ン の あ の ヒ ー ロ ー﹂ の
﹁ 暴 れ る 場 所 ﹂ だ。 走 り 回 っ て は 人 に ぶ
と思う。
く れ な か っ た 所 が あ る。﹁ 本 屋 ﹂ だ。 父
家の中に閉じ込めておくのは不憫に思え
本の山を崩し、笑顔で﹁ウンチ出たっ ! ﹂
ある。僕一人の休日なら、午前中から缶
て、とにかく外へ連れまわすようにして
と教えてくれたりする。
り、 休 日 は﹁ 家 族 全 員 集 合 ! ﹂ 状 態 で
いる。先日もどこに連れて行こうか⋮⋮
653- 1600013 0008
︵丸北サト︶
と考えていたら、ふとあることに思い当
二〇一六年五月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
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旺
社
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450