庁内検討会議資料(抜粋)(PDF:268KB)

参考資料
甲府市木質バイオマスエネルギー利用推進庁内検討会議資料(抜粋)
1 甲府市の取り組み
○ペレットストーブの設置
リサイクルプラザと中道交流センターに木質ペレットストーブを設置。
○地球温暖化対策導入促進助成金
木質ペレットストーブの導入を促進するため平成 25 年度より助成を開始。
1戸 30,000 円(1戸あたり1基まで)
○公共施設でのペレットの使用
上下水道局浄化センターにおいて、汚泥の燃焼補助材として木質ペレットを使用。
2 甲府市の木質バイオマスについて
甲府市内の市有林については、9割が標高1,000mの黒平町以北に存在する(市街地から
1時間以上はかかる)
。
比較的標高の低い箇所にある市有林(上帯那1箇所、下帯那2箇所)については、天然林が多
く、武田の杜の一角にあり市民活動の森として活用するため、木質バイオマス関連施策への利活
用に不向きである。
(1)甲府市有林の状況
甲府市の面積
21,241ha(212.47 ㎡)
甲府市の森林面積 13,633ha(63%)
国有林 1,169ha(9%)
、県有林 4,117ha(30%)
、市有林 2,868ha(21%)
金桜神社有林 1,227ha(9%)
、一般民有林 4,252ha(31%)
(2)賦存量及び利用可能量(試算)
木質バイオマスの資源量
①賦存(ふぞん)量
山梨県の森林の蓄積量 6,808万㎥(H24.3.31 現在)
甲府市の森林の蓄積量
216万㎥(H26.3.31 現在)
山梨県の森林の賦存量
66万5千㎥(H24.3.31 現在)
甲府市の森林の賦存量
3万4千㎥(H26.3.31 現在)
※賦存量は、林業活動の対象となる森林の1年間成長量の全量を利用した場合の数量として推計
した。ただし、この賦存量には、現在有効活用されている量も含む。
山梨県
甲府市
対象森林の年間成長量(㎥)
665,498
34,343
賦存量(TJ)
4,413
227
※対象森林は、施業の適さない森林(天然林・国立公園特別保護地区・第1種特別地域)を除い
た森林
②利用可能量
ア 未利用間伐財投
1
参考資料
(ア)林地残材の利用可能量
林例が標準伐期齢又は間伐を実施すべき林齢にある森林を抽出し、そのうち、使用する機
械の性能や集材方式によって伐採・集材する範囲を設定。当該伐採・集材量から林地残材利用
可能量(発生量)を算出。
[試算1]
架線を架設して集材を行なう場合
・・・路網から500m以内、かつ傾斜40°未満
山梨県 129,762㎥/年
甲府市
13,470㎥/年
[試算2]
スイングヤーダー、タワーヤーダー等の簡易架線集材機による集材を行なう場合
・・・路網から150m以内、かつ傾斜40°未満
山梨県 43,044㎥/年
甲府市
1,046㎥/年
試算1、試算2の結果[林地残材]
山梨県
路網から 500m以内か
年間伐採量
(㎥)
つ傾斜 40°未満
路網から 150m以内か
つ傾斜 40°未満
路網から 500m以内か
林地残材発生量
(㎥)
つ傾斜 40°未満
路網から 150m以内か
つ傾斜 40°未満
路網から 500m以内か
利用可能量
(TJ)
つ傾斜 40°未満
路網から 150m以内か
つ傾斜 40°未満
甲府市
408,950
41,252
間伐
70,756
10,941
主伐
338,194
30,311
136,388
3,033
間伐
21,253
1,371
主伐
115,135
1,662
64,881
6,735
間伐
14,152
2,188
主伐
50,729
4,547
21,522
523
間伐
4,251
274
主伐
17,271
249
860.4
89.3
285.5
6.9
※[試算1]利用可能量は、路網から500m以内、かつ傾斜40°未満に該当する林地での伐
採量を推計し、その伐採量に対して発生する林地残材の全量をボイラー燃料として利用した場合
の回収熱量を利用可能量として試算した。
※[試算2]利用可能量は、路網から150m以内、かつ傾斜40°未満に該当する林地での伐
2
参考資料
採量を推計し、その伐採量に対して発生する林地残材の全量をボイラー燃料として利用した場合
の回収熱量を利用可能量として試算した。
(イ)切捨間伐材の利用可能量
林地算材の利用可能量の試算における年間伐採量(間伐)をもとに、切捨間伐材の利用可能
量(発生量)を試算すると、次のとおり。
条件
材積
[試算1]路網から500m以
山梨県
60,143㎥
切捨間伐材利用可能量
内、かつ傾斜40°未満
甲府市
9,300㎥
(発生量)
(年間)
[試算2]路網から150m以
山梨県
18,065㎥
内、かつ傾斜40°未満
甲府市
1,165㎥
(ウ)未利用間伐材等の利用可能量
林地残材及び切捨間伐材の利用可能量をもとに、未利用間伐材等の利用可能量(発生量)を
試算すると、次のとおり。
未利用間伐材等利用可能
量
(発生量)
(年間)
条件
材積
[試算1]路網から500m以
山梨県 165,848㎥
内、かつ傾斜40°未満
甲府市
25,645㎥
[試算2]路網から150m以
山梨県
53,883㎥
内、かつ傾斜40°未満
甲府市
1,165㎥
合計
区分
[試算1]
[試算2]
未利用間伐材等利用可能量
山梨県 165,848㎥
山梨県 53,883㎥
(発生量)
甲府市
甲府市
25,645㎥
1,165㎥
25,645㎥ + 1,165㎥ =26,810㎥/年
(県有林・市有林・民有林のみ、国有林は含まず)
※あくまで試算であり、県有林などは、木材の販売と併せて木質バイオマスの対策を行なって
いることから、実際の数量はこれを下回ると思われる。
未利用間伐材等の利用については、林道150m以内が集材経費や運搬経費がかからないた
め、現実的に使用できうる量と思われる。 1,165㎥/年
3 木質バイオマスの活用方法
(1)市の施設で木質ボイラー等の設備を導入し活用
① 間伐材等を一箇所に集積
② 林業者等が加工場へ運搬又は加工業者が引取
③ 加工場でチップ・ペレット加工
④ 市で加工品を買い取り木質ボイラー等の設備で活用
3
参考資料
課題 ○木質ストーブ、ボイラーは煙より臭いに関するトラブルが多い傾向があり、住宅密集
地での導入は対策が必要。
(消臭対策)
○市の木材のチップ、ペレット化を事業者に依頼することは可能だが、現状では市内に
加工場がないため市外に持ち出しとなる。(運搬経費)
(2)木材の加工依頼
① 間伐材等を一箇所に集積
② 林業事業体等が加工場へ運搬又は加工業者が引取
③ 加工場でチップ等加工
④ 事業者において加工品の売却等
課題
○山梨県内には、専門のチップ工場が無いに等しく、林業事業体は他県のチップ工場に
売却しているケースが多い。
(チップ製品は主に製紙工場で使用されている。
)
○仮にチップ工場を造る(1 日 5t以上の処理能力を有する破砕機の導入等)場合には、
県への設置届が必要となり、添付資料として法で定める生活環境影響調査の報告等が
求められるため、長期的な計画で進めていく必要がある。
(3)災害時用としての薪の備蓄
① 間伐材等を薪に加工
② 避難所への備蓄を順次行う
③ 薪の保管期間である 1 年半~2 年を目安に薪の入れ替えを行う
課題 ○市有林の樹木はカラマツが多い。(薪としての価値は低い。)
○避難所における薪置き場の確保
*上記の3案は森林由来の木材を前提としたもので、剪定枝の場合は一般廃棄物扱いとなり、廃
棄物の処理及び清掃に関する法律等に沿った処理が必要。
(4)剪定枝を扱う場合
① 剪定枝を収集・ストック(直営又は委託)
② 中間処理施設許可業者において処理(チップ化等)し販売等
③ 売却先及び活用方法についての報告(市としての情報収集)
課題 ○収集運搬の委託先は一般廃棄物収集運搬の許可業者。
○剪定枝は農薬の問題や品質上、ペレットには向かず、焼却工場等で高温で燃焼し、熱
利用する以外の活用は現時点では考えにくい。
○剪定枝のチップ化を事業者に委託する場合は、中間処理施設の許可について、事前に
県へ相談することが必要。
4 活用案
実施に向けては様々な課題があるが、案については以下のとおり。
(1)現実的な事業
①市の施設で木質ボイラー等の設備を導入し活用
ア 木質ボイラー設備を導入(周辺環境の問題等からペレットボイラーが適)
イ 県内事業者から燃料を購入
4
参考資料
②市有林間伐材の売却
ア 市有林の間伐委託(委託料支払)
イ 間伐材の売却
③剪定枝の活用
ア 剪定枝を中間処理業者へ運搬(持込料支払)
イ 中間処理業者において燃料用として売却等
④木質ペレットストーブの購入助成
ア 木質ペレットストーブの購入助成金額の増額
イ 購入者へのペレット配布など、燃料のインセンティブをつける
ウ 事業者への助成制度
(2)実現してみたい事業
①林地等に木質循環施設を整備
ア 木材保管場所(木の駅)設置
イ 木材加工施設の設置(製材、木工細工体験教室など)
ウ 薪 or チップ化設備設置
エ いこいの里やマウントピア黒平に薪ボイラーor チップボイラーを導入
オ 熱供給により給湯(温浴施設)
②農業センターへハウス加温用木質ボイラー導入
ア 木質ボイラーを導入し、温室を加温
イ 導入効果、イニシャルコスト等の検証
③環境センターへ木質ボイラー導入
ア 剪定枝等を収集しチップ化
イ チップボイラーを導入(給湯設備)
ウ 様々な種類の木材で燃焼効果を検証
エ PR 設備として見学の受入
④観光地に温浴施設の整備
ア 昇仙峡などの観光地に温浴施設を設置
イ 給湯システムを木質ボイラーで賄う
ウ 太陽光や小水力など、再生可能エネルギーのみで施設運営
⑤ガス化発電等の先進技術の実験・検証施設を整備
ア 木質バイオマスガス化発電施設の導入
イ 企業と共同で実証実験
⑥雑草発電
ア 木質にこだわらない、雑草、もみ殻も活用した発電・熱供給設備の導入
⑦薪・木炭として活用
ア 市内のキャンプ場等に薪小屋、炭焼き小屋を整備
イ 体験学習等も行い、成果品は施設で活用
ウ 市内キャンプ場や防災倉庫に甲府の木炭を設置
5
参考資料
⑧学校との連携
ア 学校から出る鉛筆の削りかすを収集
イ ペレット化
ウ 中道交流センターやリサイクルプラザの木質ストーブの燃料として活用
エ ペレット化が出来ない場合は、ブリケット化(圧縮加工薪)し、着火材としてキャンプ
場や防災倉庫に提供
5 木質バイオマスの利活用に向けての課題
(1)市有林の整備
①路網整備
ア 市有林は9割が標高1,000mの黒平町以北。
イ 急勾配であるため、路網整備は進んでいないのが現状である。
ウ 国の目標である木材自給率 50%のため、整備が必要なことは承知しているが、国産材
の木材価格の高騰が見込めない状況と需要の増加が見込めない状況では、高密度の路
網整備は難しい。
エ 路網整備計画の策定及び実施。
オ 開設費が安価な作業路の導入。
②木材運搬方法
ア 急勾配が多く、路網密度も低いため搬出が難しい。既存の集材架線方式での搬出も行
なえるが、搬出費用が高額であり採算が見込めない。
(2)民有林の活用
①県の森林環境税を活用した整備補助制度(10/10 補助)はあるが、1 回の整備のみで、一定
期間の年間売買禁止等、制約があるため、利用者は少ない。
②所有者の高齢化や死亡により境界線が不明確になってきている。
③所有者が高齢化したことにより、林業を継続的に行なうことが難しく、また後継者もいな
いため林地の荒廃化が進んでいる。
④後継者が林業に魅力を感じていない。(無関心)また、山林をお荷物だと思っている。(固
定資産税の関係で)
(3)出口の確保
①材を搬出できるシステムが確立したとしても、国産の木材需要が無ければ搬出することが
出来ない。
(林家が搬出しない)
ア 助成制度を手厚くし、導入しやすいようにする。
イ 設備だけでなく、燃料費も助成する。
②需要が創出されると、製材所設置の動きがでてくる。
6