水防工法

水防工法
【河川堤防の破壊と水防工法】
越水
・天ばりより水位が高くなり、水が堤防を越えて堤防内に流入する現象。
漏水
・ 水 位 が 上 昇す る こと に よっ て 、堤 体・堤 防の 地 盤な ど に水 が 染み 込 み、部分 的 なう み など を 生じ た
り、モグラの活動経路などにより、提体等に水の通り道としての穴が生じる現象。
洗掘
・河川の流速などの影響によって、堤防提体の表面が次第に削り取られていく現象。
のり崩れ
・長時間の高水位により、提体に多量の水分を含み、飽和状態になると、土の摩擦力・凝集力が減少
し、のり面が滑り落ちる。
亀裂
・亀裂部に雨水が流入し、提体の含水量が増大し、軟弱となり、のり崩れ・洗掘が促進する。
【河川の特質と破堤の原因】
・急流部
- 洗掘
・緩流部
- 越水・漏水・洗掘
・感潮部
- 越水・漏水
・天井河川 - 漏水
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水防工法
【越水の水防工法】
積み土のう工法
・一般河川
堤防天ばに土のうを数段積み上げる。
改良積み土のう工法
・急流河川
堤防天ばに土のうを数段積み上げ、防水シートを当てる。
せき板工法
・都市周辺河川
堤防天ばに杭を打ち込み、その前面に板を釘付けする。
鋼板防護工法
・急流河川
堤防天ばに支柱を綱板に通して打ち込む。
蛇かご積み工法
・急流河川・コンクリート堤防
堤防天ばに土のうの代わりに蛇かごを置く。
連結式水のう工法(水マット工法)
・都市周辺河川・地下室
堤防天ばに水のうまたは水マットに水を注入して置く。
護岸裏のり積み土のう工法
・胸壁護岸河川
胸壁護岸の裏のりから底部を広く土のうを積み重ねる。
【漏水(川裏)】
釜段工法(釜築き工法・釜止め工法)
・一般河川
裏小段・裏のり先平地に円筒形に積み土のうする。
鋼製釜段工法
・都市周辺河川
裏小段・裏のり先平地に鉄板を円形に積み上げる。
月の輪工法
・一般河川
裏小段・裏のり先平地に半円形に積み土のうする。
鋼製月の輪工法
・都市周辺河川
裏小段・裏のり先平地に鉄板を半円形に積み上げる。
【漏水(川表)】
詰め土のう工法
・水深の浅い部分
川表のり面の漏水口に土のうなどを詰める。
シート張り工法
・都市周辺河川
川表のり面の漏水口に防水シートを張る。
畳張り工法
・水深の深い部分
川表のり面の漏水口に畳を張る。
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水防工法
【洗堀・決壊】
シート張り工法
・芝付き堤防で比較的緩流
川表のり面の漏水口に防水シートを張る。
畳張り工法
・芝付き堤防で比較的緩流かつ水深の深い部分
川表のり面の漏水口に畳を張る。
木流し工法(竹流し工法)
・急流河川・砂利堤防
樹木(竹)に重り土のうを付けて流し、局部を被服する。
立てかご工法
・急流河川
表のり面に蛇かごを立てて、被服する。
フルコン砂筒袋工法
・急流河川
表のり面にフルコン砂筒袋を立てて、被服する。
水防 T 型マット工法
・急流河川
表のり面にT型マットを被服する。
鋼製マット張り工法
・急流河川で土のう・シートが入手困難
表のり面に鋼製マットを被服する。
竹網流し工法
・緩流河川
竹を格子状に結束し、土のうを付けて、のり面を被服する。
わく入れ工法(川倉工法)
・急流河川
深掘箇所に川倉・牛わく・鳥脚などの合掌を水に投入する。
築きまわし工法
・堤防の表が決壊した時、断面の不足を補うため裏のりに杭を打ち、中詰めの土のうを入れる。
矢板締め切り工法
・小規模の破堤
堤防の両面に木矢板を打ち込み、その中に土砂などを充填する。
【亀裂】
折り返し工法
・粘土質堤防
天ばの亀裂を挟んで、両肩付近に竹を刺し、折り曲げて連結する。
杭打ち継ぎ工法
・砂質堤防
天ば亀裂を竹の代わりに杭を用い、鉄線で繋ぐ。
継ぎ縫い工法
・砂質堤防
亀裂が天ばから裏のりにかけて生じる場合で、両端に杭を打ち、竹で連結して土のうで
押さえる。
【都市型水害に対する工法】
防水板活用工法
・地下室・地下街・地下鉄等の施設では、浸水用の防水板が整備されている場合がある。
積載はしご・防水シート工法
・ 地下鉄への浸水を防ぐため、消防隊の梯子に防水シートを巻いて防水板の代わりにする。
連結式水のう活用工法
・地下鉄への浸水を防ぐため、連結水のうで入り口を塞ぐ。
吸水性ゲル水のう工法
・吸水性ゲル水のうで建物への浸水を防ぐ。
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