更新日:2016/5/24 調査部:舩木弥和子 探鉱・開発停滞で石油生産減退が懸念されるコロンビア (Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas、Wood Mac 他) 1. 重質油が生産の主体であることや輸送コストが高いことから、原油価格下落によるコロンビアの探鉱・ 開発への影響は大きく、炭化水素部門への投資は減少し、活動は停滞している。ゲリラによる石油関 連設備への攻撃が続いていることも、探鉱・開発が停滞している理由の一つとなっている。 2. このような背景から、コロンビアで最も活発に活動を行ってきた Ecopetrol 等が、探鉱・開発を縮小さ せている。 3. コロンビアの石油生産量は 2013 年に初めて年間を通して 100 万 b/d を超え、その後は 100 万 b/d 前後で推移してきた。しかし、2016 年は 1 月が 98.6 万 b/d 、2 月が 95.5 万 b/d、3 月が 91.6 万 b/d と石油生産量が急減している。探鉱・開発の停滞、Ecopetrol の資本支出削減、治安に改善が見られ ないこと、油田の老朽化等から、コロンビアの石油生産量はさらに減少すると見られている。 4. しかし、カリブ海沖合では、Tayrona 鉱区、Fuerte Sur 鉱区で炭化水素が確認されており、コストは高 いものの、引き続き掘削が行なわれる計画である。非在来型に関しても、Middle Magdalena Basin で、ExxonMobil がタイトオイルを確認し、水圧破砕を行なう計画、ConocoPhillips がシェールオイル開 発に 8,500 万ドルを投じる計画で、進展がみられている。 5. Pacific Exploration and Production と Exmar はカリブ海岸からの LNG 輸出事業を計画していたが、コ ロンビア国内のガス市場の状況や LNG の国際市場の状況から、同国での液化事業は経済的に成り 立たないとし、両社間の契約を終了した。一方で、SPEC による LNG 受入計画は、予定通り 2016 年 に稼動する見通しだ。 6. 停滞する探鉱・開発を食い止め、生産量を維持するため、政府は探鉱・開発にインセンティブを導入 することを検討しているという。また、治安回復を目指して、ゲリラ組織との和平交渉が続けられてい る。 1.探鉱・開発停滞 コロンビアでは、探鉱・開発が著しく停滞している。 Baker Hughes によると、コロンビアで稼動しているリグの数は、2014 年までは 30 基台後半から 40 基 台で推移していたが、2015 年に入ると減少をはじめ、2016 年 4 月にはわずか 2 基となっている。 –1– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 コロンビアの稼動リグ数 (Baker Hughes より作成) また、Colombian Petroleum Association (ACP)によると、2015 年にコロンビアで掘削された坑井の数 は、2014 年の 113 坑から 78%減少し、25 坑と 2005 年以降最低となった。2016 年には最大で 35 坑が 掘削される計画とされているが、うち 27 坑は当初 2015 年に掘削が予定されていたものの、延期された 坑井である。また、その後、Ecopetrol が投資額を削減しており、掘削井数はさらに減少する可能性があ る。 コロンビアで掘削された坑井数 (Colombian Petroleum Association より作成) –2– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 コロンビアの地震探鉱実績(単位:千 km) (Colombian Petroleum Association より作成) 地震探鉱は 2014 年の 40,060km から 2015 年は 32,160km に 20%減少した。地震探鉱は主に沖合 で行なわれており、陸上での地震探鉱は 5 年連続で減少しているという。 コロンビアで生産される原油に占める重質油の割合は年々高まっており、コスト高の重質油が生産 の主体となりつつある。また、近年パイプラインの建設を急速に進めたことからコロンビアの輸送コスト は比較的高い。このような背景から、原油価格下落がコロンビアの探鉱・開発に大きな影響を与えたと 考えられる。 また、ACP の調査によると、高い輸送コスト、複雑な地層、政府取り分が多いといったコロンビア特有 の事情があるために、2015 年にはコロンビアで活動している企業の 30%が投資の一部をメキシコ、ア ルゼンチン、ペルー等に移転した1。油価下落に加えて、この点もコロンビアの炭化水素部門への投資 額が減少した原因となったと考えられる。同国の炭化水素部門への投資額は 2015 年まで 3 年連続で 減少しており、この傾向は 2016 年も続く見通しである。 ゲリラによる石油関連設備への攻撃も続いている。コロンビアでは、2015 年 9 月 23 日に、2012 年か ら和平交渉を進めてきた政府とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の代表が、半年以内に最終的な和 平協定を結ぶことで一致したと発表した。両者の和平交渉が進展していることにより、FARC による攻撃 1 Platts Oilgram News 2015/12/31 –3– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 は 2013 年の 225 件から 2015 年は 80 件に減少した。しかし、他のゲリラによる石油関連施設への攻撃 は続いており2、パイプライン爆破事件発生件数は、2015 年 1 月~3 月の 4 回から、2016 年 1 月~3 月 には 10 回に増加している。このように、ゲリラの活動が収束しないことも探鉱・開発が停滞している理由 の一つと考えられる。 2.主要企業が資本支出を削減 このような状況を背景に、コロンビアで最も活発に活動を行ってきた Ecopetrol と Pacific Rubiales Energy が、探鉱・開発を縮小させている。 Ecopetrol は 2014 年 12 月 15 日、油価下落、ゲリラによるインフラストラクチャーへの攻撃に加え、環 境許可の取得に時間がかかること、住民の抗議行動等を理由に、2015 年の生産目標を 100 万 boe/d から 76 万 boe/d に引き下げると発表した。同時に、資本支出を 2014 年の 106 億ドルから 2015 年は 78.6 億ドルに 26%削減した。このうち、探鉱・開発部門への支出額も 2014 年の 66 億ドルから 46.4 億ド ルに 30%削減するとした。 同社の 2014 年の生産量は、2013 年の 78.8 万 boe/d から 75.54 万 boe/d に減少し、年間の生産目 標 81.9 万 boe/d を達成できなかった。2014 年末には、2006 年以来初の生産量減退の責任を取って、 同社の CEO Javier Gutiérrez 氏が退任することとなった。 2015 年4 月に就任した後任の CEO、Juan Carlos Echeverry 氏は 5 月に、同社が 12~18 ヶ月以内に 送電事業に従事する子会社 ISA や通信事業を行う子会社 ETB、探鉱鉱区 18 鉱区等 10 億ドルのノンコ ア資産を売却するとともに、5 億ドルのコスト削減を図る計画であると発表した。そして、2020 年の生産 目標を 100 万 boe/d から 87 万 boe/d に引き下げ、年率 1~2%の生産増を図るとした。探鉱について はカリブ海沖合とメキシコ湾で集中して行うという。また、レイオフは検討していないとした。 Ecopetrol は 12 月 14 日には、原油価格下落により 2016 年の資本支出を 9 月発表の 67 億ドルから 48 億ドルに削減すると発表した。48 億ドルのうち、生産部門に 23 億 3,700 万ドル、精製・石化部門に 10 億 4,400 万ドル、探鉱部門に 6 億 6,000 万ドル、輸送部門に 4 億 7,300 万ドルがあてられる。また、 2016 年の生産目標は 2015 年の 76 万 boe/d から 75.5 万 boe/d に引き下げられた。さらに、重質油の 希釈にかかる費用を減らしたり、資産の効率的な運用を行ったりすることで、年間 7 億 6,000 万ドルのコ スト削減を達成するという目標を掲げた。 2 Business Monitor International 2016/4/28 –4– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2016 年に入ると、Ecopetrol は原油価格下落により生産を行なっても利益が上がらないとして、Meta 県の Cano Sur Este 油田及び CPO-9 鉱区の生産を停止した。また、新規雇用凍結や旅費削減等を実 施し、効率化及びコスト削減を図ると発表した。さらに、2016~2017 年に非中核資産を売却することで 4 ~9 億ドルを得られる見通しであると発表した。 同社は 4 月 27 日に、48 億ドルとするとしていた 2016 年の資本支出を、さらに削減し 30~34 億ドル とすることを明らかにした。うち、生産部門に 11 億ドル、探鉱部門に 2 億 8,200 万ドル、精製・石化部門 に 11 億 3,500 万ドル、輸送部門に 4 億 3,300 万ドルを投じる計画であるという。2016 年の生産目標も 75.5 万 boe/d から 71.5 万 boe/d に引き下げられた。 Ecopetrol は、5 月に同社の 2016 年第 1 四半期業績を発表した。純利益は対前年同期比 127%増の 3,630 億ペソ (1 億 2,100 万ドル)、生産量は 73.66 万 boe/d となった。その際に、同社は 27,000 人のレ イオフと給与半減を実施、これにより 2015 年に 7 億ドル、2016 年はこれまでで 1 億 4,000 万ドルのコス ト削減に成功、2016 年中にさらに 3 億 5,000 万ドルを削減予定であることを明らかにした。 なお、Ecopetrol は、2015 年 6 月に期間 11 年、総額 15 億ドルの社債を発行したり、2016 年 2 月に Bancolombia から 3 億ドルの融資を確保したりする等、資金確保に努めている。 Ecopetrol の資本支出と生産量 資本支出 うち探鉱・開発部門 生産目標 生産実績 2014 年 106 億ドル 66 億ドル 819,000b/oed 755,400boe/d 2015 年 78.6 億ドル 46.4 億ドル 760,000boe/d* 761,000boe/d 2016 年 48 億ドル** 29.97 億ドル 755,000 b/oed - 2016 年修正*** 30~34 億ドル 13.82 億ドル 715,000boe/d - *2014 年 12 月 15 日、当初目標 100 万 boe/d から削減。 **2015 年 12 月、2016 年の投資額を 9 月発表の 67 億ドルから 48 億ドルに削減。 ***2016 年 4 月 27 日修正。 (各種資料より作成) Pacific Rubiales Energy も、2015 年 1 月に、油価下落により 2015 年の資本支出を 15 億ドルから 11~ 13 億ドルの範囲に引き下げると発表した。しかし、生産量は 2014 年第 3 四半期の 148,790boe/d から 2015 年は 15~16 万 boe/d に引き上げるとした。また、操業コストは 2014 年第 3 四半期のバレルあたり 30.79 ドルから 28 ドルに引き下げることを計画しているとした。 –5– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Pacific Rubiales Energy はコロンビア最大の Rubiales 油田の権益の 40%を保有し、オペレーターを務 めてきた。しかし、同油田に関する契約が 2016 年 6 月で終了することから、その後どのように同油田の 開発を進めていくかについて、権益の 60%を保有する Ecopetrol と話し合いを行なっていた。2015 年3 月、Ecopetrol は Pacific Rubiales Energy とは契約を更新せず、Ecopetrol が権益の 100%を保有するこ とを決定した。Pacific Rubiales Energy は、Rubiales 油田の権益喪失後は、Castilla 油田及び Vasconia 油田での軽質油、中質油の生産にシフトする計画であるとし、2015 年 8 月に、Pacific Exploration and Production(Pacific E & P)に社名を変更した。 その後、Pacific E & P は原油価格下落を受けて負債が約 50 億ドルに膨らみ経営危機に陥った。会 社救済専門のカナダ企業 Catalyst Capital Group Inc.にテコ入れを要請していたところ、2016 年 4 月 18 日、Pacific E & P は 53 億ドルの銀行からの融資を株式と交換、一部の債権者と Catalyst Capital Group Inc.から 5 億ドルの融資を得て、再建を図ることで Catalyst Capital Group Inc.と合意した。 3.生産量減少 コロンビアでは、減退していた石油生産量を増加させようとウリベ前政権下で外資導入政策やゲリラ 対策がとられたことで、2005 年を底に石油生産量は増加に転じた。2011 年以降はゲリラの活動、地元 住民の抗議行動、環境許可取得に時間がかかること等により生産増のペースが落ちたが、当初計画よ りも 1 年遅れて 2013 年には石油生産量が初めて年間を通して 100 万 b/d を超え、100.7 万 b/d となっ た。2014 年はさらに石油生産量を伸ばすことが期待されていたが、2006年以降初めて生産量が減少し 988,100 b/d となった。コロンビアの主要企業 2 社が、2015 年の資本支出を削減することとなり、生産減 退が続くことが懸念されたが、2015年の生産量は 100.5 万b/dと生産目標100 万b/d(同年6月に 102.9 万 b/d から修正)をかろうじて超えた。 しかし、鉱山エネルギー省によると、2016 年のコロンビアの石油生産量は、1 月 98.6 万 b/d 、2 月 95.5 万 b/d、3 月 91.6 万 b/d と急減している。 油価低迷、探鉱・開発の停滞、Ecopetrol の資本支出削減、治安に改善が見られないこと、油田の老 朽化等から、コロンビアの石油生産量はさらに減少すると見られている。IEA (International Energy Agency)は、2016 年のコロンビアの石油生産見通しを 8 万 b/d 引き下げ、93 万 b/d とした。また、ACP は、原油価格の上昇や政府の探鉱・開発促進策がなければ、同国の石油生産量は 2016 年には 90 万 b/d に、2018 年には 78. 5 万 b/d 前後になる見通しだとしている。 –6– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 コロンビア石油生産量(単位:千 b/d) (出所:BP 統計、2015 年は鉱山エネルギー省) 4. カリブ海沖合及びシェールの探鉱は進展 探鉱・開発に停滞がみられるコロンビアだが、カリブ海沖合及びシェールオイル、シェールガスの探 鉱については、EcopetrolとAnadarkoがカリブ海沖合での掘削を行なうとし、ExxonMobil が同国初の水 圧破砕を計画する等、当初計画よりは遅れているものの進展がみられている。 2014 年 12 月には、Petrobras (オペレーター、40%)/Ecopetrol (30%)/Repsol (30%)がカリブ海 Tayrona 鉱区の水深 674m の海域で Orca-1 号井を掘削(掘削長 4,240m)、コロンビア深海で初めてガス田を発 見した。同コンソーシアムは 2015 年に 2 坑、2016 年に 2~3 坑を掘削する計画であるとしていたが、 現時点では 2017 年初に掘削が行なわれる予定である。 Anadarko はカリブ海沖合の COL 1、COL 2、COL 6、COL 7 鉱区で 2015 年第 4 四半期に地震探鉱 を実施、2016 年第 1 四半期以降も地震探鉱を実施する予定である。2015 年には、Fuerte Sur 鉱区で Kronos-1 号井を掘削(水深 1,584m、掘削長 3,720m)、相当量の炭化水素を発見した。続いて Fuerte Norte 鉱区で Calasu-1号井を掘削したが、商業量のガスを発見できなかった。Anadarko は 2016 年下 半期に Purple Angel 鉱区で探鉱井を掘削する計画である。 –7– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 カリブ海沖合鉱区図 (各種資料より作成) ExxonMobil は、2015 年 4 月末より Middle Magdalena Basin、VMM-37 鉱区で Manati Blanco 1 号井の 掘削を開始した。ExxonMobil はコロンビアで掘削する最初の非在来型の坑井 Manati Blanco 1 号井で タイトオイルを確認、同国で初の水圧破砕を行なうため環境許可を取得中である。 一方、ConocoPhillips/CME(Canacol 子会社)と ANH は Middle Magdalena Basin、VMM-3 鉱区のシェ ールオイル開発に 8,500 万ドルを投じる契約に 12 月 4 日に調印した。 なお、シェール開発時の環境汚染に関し、コロンビア水文地質学協会(ACH)はフラッキング等による 探鉱は帯水層や河川に影響を与える事は無いとの見解を 2016 年 4 月に発表した。ACH は、原油が抽 出される岩盤は湿地帯や河川、地下水層と繋がっていないとし、フラッキング等の探鉱が水源に影響を 与えるという考え方は科学的な根拠に欠けているとした。この ACH の見解にコロンビア石油エンジニア 協会(ACIPET)も賛同、石油業界は環境に配慮しながら事業を展開しており、動植物の保護に努めて いるとの ACIPET の立場を表明している。 –8– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5.LNG 輸出事業頓挫 2016 年 3 月、Pacific E & P と Exmar は、コロンビアのカリブ海岸からの LNG 輸出事業を計画して いたが、コロンビア国内のガス市場の状況や LNG の国際市場の状況から、同国での液化事業は経済 的に成り立たないとし、両社間の契約を終結すると発表した。 両社は 2012 年 3 月に、天然ガス液化、再ガス化、貯蔵、輸送サービスに関する契約を締結したと発 表、Exmar が FLRSU(Floating Liquefaction, Regasification & Storage Unit)を建造、操業し、Pacific Rubiales Energy(当時)がパイプライン(全長 88km、直径 18 インチ、当初輸送能力 100 MMcf/d、建設コ スト 1 億ドル)を建設し、La Creciente ガス田からガス 69.5 MMcf/d を 15 年間にわたり供給、液化すると していた。同年 6 月には Wison Offshore & Marine が Exmar から FLRSU の EPCIC(設計/資材調達/建 造/設置/試運転)を受注したと発表、バージにガス液化設備(最大液化能力約 50 万t/年)とタンク(貯 蔵能力 14,000m3)を設置し桟橋に係留する計画としていた。その後、同プロジェクトは、再ガス化を含 まない FLNG のプロジェクト Caribbean FLNG(液化能力 50 万t/年、貯蔵容量 16,000m3)に変更された。 2014 年 11 月には Wison の造船所で進水式が実施され、Pacific Rubiales Energy と Gazprom が、2015 年第 2 四半期より年間 50 万tの LNG を供給することで 2013 年 11 月に HOA を、2015 年 1 月に売買 契約(SPA)を締結していた。2015 年 1 月 29 日には、Pacific Rubiales Energy と Exmar が、市場が不安 定なため同プロジェクトの開始を延期すると発表したが、その後も Exmar が、Caribbean FLNG プロジェ クト用の FLNG の引き渡しを 2016 年第 1 四半期に受けるとしたり、Industrial and Commercial Bank of China (ICBC) より同プロジェクト向けに 2 億ドルの融資を受ける契約を締結したりしていた。なお、2015 年 12 月には Gazprom が LNG 売買契約をキャンセルしている。 一方で、Sociedad Portuaria el Cayao (SPEC:Promigas が株式の 51%、Baru LNG が 49%を保有) によ る LNG 受入計画は、予定通り 2016 年に稼動する見通しだ。 SPEC は 2014 年 11 月に Hoegh LNG と FSRU Hoegh Grace の定期傭船契約を締結した。Cartagena に FSRU を設置し、ガス化を行うもので、FSRU の貯蔵能力は 170,000m3、再ガス化能力は 4.1Bm3/年 である。契約期間は 20 年で 5 年、10 年、15 年に削減可能とされている。2015 年 7 月には、SPEC と国 家インフラ局が LNG 再ガス化ターミナルの建設/操業についてコンセッション契約を締結している。 –9– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 コロンビア主要鉱区図 各種資料より作成 おわりに コロンビアは、念願であった石油生産100万b/dを達成したものの長続きせず、ベネズエラへの天然 ガス輸出も 2015 年に終了してしまった。停滞する探鉱・開発を食い止め、石油生産量を維持するため には、原油価格の上昇とともに、インセンティブの導入や治安の回復が必要と考えられる。 政府はこれまでも沖合や非在来型についてロイヤルティを 40%削減する等のインセンティブを導入 してきたが、契約条件を調整し、さらに税制上のインセンティブを与えることを検討しているという。また、 投資ファンド等、探鉱・開発企業で無くとも参入できるよう制度を変更すること計画しており、国家炭化水 – 10 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 素庁 (ANH)は探鉱・開発企業のみ資本参加を認めるとの従来の外資規制を緩和、探鉱・開発の経験 の無い企業でも 70%まで資本参加できるとの新規定を設けるとしている。 政府は、 治安回復を目指して、ゲリラ組織との和平交渉も続けている。FARC とは 2016 年 3 月 23 日までに和平合意を実現させることで合意していたが、実現できなかった。しかし、政府、FARC ともに、 和平合意に向け交渉を継続させることでは一致しており、話し合いが続けられている。3 月 30 日には、 政府が FARC に次ぐ勢力のゲリラ組織コロンビア民族解放軍(ELN)との和平交渉を開始すると発表し ており、行方が注目される。 以 上 – 11 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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