医療ICT NEWS FILE 20160525 vol.014

診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える
医療
NEWS FILE
vol.
2016.5.25
株式会社じほう 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町1-5-15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351
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014
禁無断複写
患者情報利活用の代理機関
「17年中に法制上の措置」
政府・成長戦略素案
3 医療 ICT の点数評価は「コストよりも価値」
医療課・林補佐
8 コミュニケーションロボ 19 種類
介護現場に導入へ
AMED の実証調査
INFRASTRUCTURE
3
行政機関保有の個人情報活用法案を可決 参院総務委
3
財政審、社会保障改革「着実な実行が不可欠」 麻生財務相に建議提出
4
安倍首相「レセプト連結で社会保障費の効率化を」 諮問会議で塩崎厚労相に指示
5
健康医療分野などの個人情報収集、簡素化へ法整備を 自民・特命委が提言
5
テレビ電話の服薬指導特例、全国展開は「現時点で想定せず」 厚労省
6
成長戦略素案に PMDA の「ビッグデータ」 産業競争力会議
6
臨床ゲノム情報統合 DB 整備事業を開始 AMED
7
ウエアラブル活用し行動変容促進へ 経産省が IoT モデル事業
7
MID-NET のデータ、製造販売後調査に利活用へ 厚労省検討会で合意
8
ゲノム個別化医療と希少がんの体制強化へ がんセンター・中釜理事長
9
患者レジストリ活用、まず希少疾病・難病で CIN 研究班・武田氏 先駆け核酸医薬、18 年度申請へ
CONTENTS
10
医療 DB 活用でアンメットニーズの発見に期待 武田薬品・廣居氏
11
電子データ申請業務で提携 A2 と dms
EVENT & SEMINER
12
研究助成対象の公募開始 医療科学研究所
医療
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INFRASTRUCTURE
患者情報利活用の代理機関
「17年中に法制上の措置」
政府・成長戦略素案
政府は 19 日の産業競争力会議で、次期成長戦略の素案を示した。医療・介護関連では、
「600 兆円経済に向けた『官民戦略プロジェクト 10』」の柱の一つに世界最先端の健康立国を
目指す方針を掲げ、ICT 化の徹底などを主要施策に据えた。国の認定する「代理機関(仮称)」
が、医療機関の患者情報を集めて加工し、統計データなどを民間に提供できるようにする制
度については「来年(2017 年)中をめどに所要の法制上の措置を講じる」と明記した。
ICT 化に関しては、ビッグデータ活用による
整備し、地域の医療介護連携や医療機関の事業
イノベーション促進と医療現場・政策への活用
運営の促進に向けた情報発信を進める。
を目標に設定。治療や検査データを集め、安全
に管理・匿名化を行う代理機関について、関連
ロボットによる現場負担軽減
介護報酬上の評価検討も
の制度を次世代医療 ICT 基盤協議会などで検討
し、結果を踏まえて 17 年中をめどに法制上の措
置を講じる計画だ。代理機関に集約したデータ
は、医療支援に活用するなど、医療者や患者が
介護関連では、介護現場へのロボットやセン
メリットを感じられるよう関係各省で検討する。
サー技術の導入を促進させ、現場の負担軽減を
また、ウェアラブル端末などから日常的に取
図る。
「介護報酬や人員配置・施設基準の見直し
得される健康情報を分析し、個別に健康サービ
等の対応も含め、制度上、ロボット等を用いた
スを提供する事業を 16 年度中に開始するほか、
介護について、制度上適切に評価をする方針」
患者本人が生涯の医療情報などを経年的に把握
について検討を行い、本年度中に結論を得ると
する仕組みの構築に向け、同年度中に研究を開
の目標を打ち立てた。
始する。
地域医療連携推進法人の制度の具体化に向け
2016 年5月19日【MEDIFAX】 規制・GL
ては、使い勝手の良い制度を目指して政省令を
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INFRASTRUCTURE
医療 I CTの点数評価は「コストよりも価値」
医療課・林補佐
厚生労働省保険局医療課の林修一郎課長補佐は 13 日、都内で開かれた地域医療福祉情報連
携フォーラム(主催・地域医療福祉情報連携協議会)の講演で、医療分野における情報通信技術
(ICT)に関する診療報酬上の評価について、2016 年度診療報酬改定における取り組みを踏ま
えて、
「今後の方向ということでは、コストよりも価値・効果が重要だと考えている。
2016 年5月13日【MEDIFAX】 規制・GL
開発者の都合ではなく、患者や医療従事者の視点
出に関する評価(データ提出加算)▽遠隔医療に関
に立って、現場で機能しなければならない。その上
する評価(心臓ペースメーカー等の遠隔モニタリン
で大きな目的である地域包括ケアの推進に役立つか
グの評価)―を挙げた。特に遠隔医療の評価では、従
どうかを見ていくことになる」と述べ、効果や安全
来 4 カ月に 1 回算定していた遠隔モニタリングによ
性、機能に着目して評価していく考えを示した。
る指導管理料の評価について、ペースメーカーの添
16 年度改定における医療 ICT 関連項目への取り
付文書の改正などを踏まえて医師の判断によって受
組みについては、▽情報提供に関する評価(検査・画
診間隔が最大 12 カ月まで延長できるように改定され
像情報提供加算、電子的診療情報評価料)▽データ提
たことについて「一歩前進した」との認識を示した。
行政機関保有の個人情報活用法案を可決
参院総務委
2016 年5月19日【MEDIFAX】 規制・GL
参院総務委員会は 19 日、「行政機関等の保有する
同法案には、行政機関や国立病院機構などの独立
個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業
行政法人が保有する個人情報を、匿名加工情報とし
の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活
て民間事業者に提供するための仕組みを設ける内容
の実現に資するための関係法律の整備に関する法律
が盛り込まれている。
案」について、賛成多数で原案通り可決した。
財政審、社会保障改革「着実な実行が不可欠」
麻生財務相に建議提出
2016 年5月18日【MEDIFAX】 規制・GL
財務省の財政制度等審議会(会長=吉川洋・立正
に沿って「改革の着実な実行が不可欠」と強調。改革
大教授)は 2017 年度予算を視野に入れ、政府の「経
の具体的内容の検討に当たっては「これまでの当審
済・財政再生計画」の着実な実施を求める建議をま
議会の建議で示した改革の方向性や内容を十分に踏
とめ、18 日に麻生太郎財務相に提出した。社会保障
まえたものとすることを強く求めたい」と主張して
についても、政府が昨年 12 月にまとめた改革工程表
いる。
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INFRASTRUCTURE
上で「医療費適正化計画に関しては、入院について、
地域医療構想との整合性を確保するとともに、外来
について、データ分析に基づく重複投薬の是正等に
向けたきめ細かい行動目標を 16 年夏までに設定し、
都道府県による医療費適正化の取り組みを後押しし
ていくべき」と記した。
17 年度末に廃止が予定されている介護療養病床
については「療養病床の地域差の是正と併せ、患者・
利用者の状態に即した効率的な医療・介護サービス
を提供できるものとする必要がある」と指摘した。
麻生財務相(右)に建議を手渡す吉川財政審会長=18日、財務省
都道府県による病床再編や地域差是正に向けた努力
「医療の高度化」
費用対効果を考慮して保険導入を
を支援するため、高齢者医療確保法で定める診療報
酬特例の活用や、都道府県の権限の一層の強化など
も工程表に沿って検討・実施するよう主張。入院時
建議では社会保障費の伸びの要因として、高齢化
の光熱水費相当額の原則患者負担化、外来時定額負
のほかに「医療の高度化」があるとして、例として画
担の導入についても工程表に従って 16 年末までに
期的な新薬の創出を挙げた。医療の高度化について
結論を出すよう求めている。
は「その恩恵を患者が享受できるようにしていくこ
負担の公平性確保
まず高額療養費見直しの検討を
との重要性も踏まえつつ、費用対効果を考慮した上
で適切に保険制度に取り込んでいくことが望まし
い」と提言した。
また、負担の公平性確保や給付の適正化に向け、ま
医療費適正化計画
「入院は地域医療構想との整合性を」
ず高額療養費制度・高額介護サービス費制度の見直
しについて、工程表に沿って具体的内容を検討し、16
年末までに結論を得るよう促した。同様に16 年末ま
医療・介護提供体制については、改革の早期実現
でに結論を出す予定の介護納付金の総報酬割、
スイッ
を図る観点から、地域医療構想や医療費適正化計画
チ OTC がある医療用医薬品の保険償還率の在り方な
の早期策定を引き続き促す必要があると指摘。その
どについても、工程表に沿った対応を求めている。
安倍首相「レセプト連結で社会保障費の効率化を」
諮問会議で塩崎厚労相に指示
2016 年5月11日【MEDIFAX】 規制・GL
政府が 11 日に開いた経済財政諮問会議(議長=
検討に取りかかる。
安倍晋三首相)で、安倍首相は社会保障について「医
また安倍首相は、5 月中に「骨太の方針(経済財政
療・介護分野における徹底的な見える化を行い、給
運営と改革の基本方針)2016」をまとめる考えを示
付の実態や地域差を明らかにすることにより、より
した。順調に進めば、政府は 5 月末に骨太を閣議決
効果的で効率的な給付を実現していく」と述べた。
定するとみられる。
その上で塩崎恭久厚生労働相に対し、医療・介護の
この日の諮問会議では、骨太の骨子を決定した。
レセプトデータを全国的に連結して社会保障給付費
骨子は全体的な章立てのみを記しており、経済・財
を効率化していくための具体案をまとめ、会議に報
政一体改革の推進に向けて、「見える化」の徹底・拡
告するよう指示した。厚生労働省は今後、具体案の
大、先進・優良事例の展開促進などに取り組む方針
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INFRASTRUCTURE
を示している。社会保障分野での取り組みについて
口要因や診療報酬改定の影響などを除いて、従来は
も、今後より詳細な内容が盛り込まれる見通しだ。
「その他」に分類されていた伸びの要因について、受
また、成長と分配の好循環の実現に向け、
「介護の環
診動向の変化などに着目した分析や、地域差の分析
境整備等」の項目や、個人消費を喚起するための「健
が必要との認識を示している。
康長寿分野での新社会システムの構築」の項目など
また 2012 年以降、国民医療費の長期推計が実施
が入っている。
されていないと指摘し、厚労省に対し、医療費適正
化計画などに基づいて、長期的な医療費・介護給付
民間議員、社会保障の自然増
「エビデンスベースで検証を」
費の見通しを 16 ~ 18 年度の集中改革期間内に作成
するよう求めている。その際、一体改革の成果を把
握、検証できるようにすべきだとも主張している。
伊藤元重・学習院大教授ら民間議員は、骨太作成
一体改革推進委
「第 2 次報告」を提出
に向けた提言を諮問会議に提出した。医療保険給付
(決算ベース)は直近 3%超の伸びになっているとし
て、
「伸びの要因を精査するとともに、予算編成に当
たって過去の実績を踏まえた概算的な積み上げにと
諮問会議の下に置かれた経済・財政一体改革推進
どまっている社会保障関係費の自然増をエビデンス
委員会は、昨年 12 月に続く「第 2 次報告」をこの日
ベースで検証すべき」と主張している。例えば、人
提出した。
健康医療分野などの個人情報収集、簡素化へ法整備を
自民・特命委が提言
2016 年5月10日【MEDIFAX】 規制・GL
自民党の IT 戦略特命委員会(平井卓也委員長)は
施策の基本的事項など
10 日、最新技術を駆使し、世界最先端の IT 国家を
を定める「データ利活
実現していくための提言「デジタル・ニッポン 2016」
用推進基本法(仮称)」
を取りまとめた。2020 年に国内総生産(GDP)を 40
の制定なども求めて
兆円以上増加させる効果を目指したもので、健康医
いる。
療分野を中心とした重要分野を対象に、個人情報の
平井委員長は「ICTの
収集手続きを簡素化するための法整備を推進するこ
利活用や新しいサービ
とを求めている。
ス産業の創出なしに
本人の申請に基づく「パーソナルデータのポータ
は、安倍政権が掲げる
ビリティ制度」に関し、企業の責務、それに伴う負
GDP600 兆 円 は 実 現
担などを明らかにした上で、導入に向けた検討を進
できない。これからが
めるべきという内容も盛り込んだ。
勝負だ」と話した。
提言を取りまとめ、意気込みを語る
平井委員長=10日、自民党本部
このほか「官民データ」の活用を推進するため、
テレビ電話の服薬指導特例、全国展開は「現時点で想定せず」
厚労省
2016 年5月19日【MEDIFAX】 事 業
厚生労働省の森和彦大臣官房審議官は 19 日の内
る法律案」に盛り込まれたテレビ電話による服薬指
閣委員会で、「国家戦略特別区域法の一部を改正す
導の特例の方向性について触れ、現時点で全国的な
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展開は想定していないと説明した。櫻井充氏(民進)
確実に把握することは重要だとして「可能な限り対
の質問に答えた。
面の服薬指導もお願いしたい」との見解も示した。
櫻井氏は、特区には地域限定で酒類製造・販売を
また櫻井氏は、国際医療福祉大在籍の中央省庁勤
認める「どぶろく特区」のような一定地域内で行う
務経験者数を質問。文部科学省の義家弘介副大臣は
取り組みと、全国的に展開させる事業の 2 種類があ
「企画官相当以上の管理職職員が離職後 2 年以内に
ると指摘し、今回の取り組みがどちらに該当するの
再就職した場合などに届け出が義務付けられて公表
かを質問。これに対し、森審議官は「全国展開する
されるが、当該大学に再就職した中央省庁経験者は
ことは現在、想定していない」と述べた。今回の趣
7 人」と回答。厚労省の梅田珠実大臣官房審議官は
旨は、やむを得ず遠隔診療を行うことに伴う遠隔の
「これまでに把握した再就職は 3 人。現時点で就職し
服薬指導であることを強調する一方、患者の状態を
ているかは不明な点がある」と答えた。
成長戦略素案に PMDA の「ビッグデータ」
産業競争力会議
2016 年5月19日【日刊薬業】 事 業
政府の産業競争力会議は 19 日、「日本再興戦略
よる新たな薬効評価の指標・手法の開発やガイドラ
2016」
(成長戦略)の素案をまとめた。医薬品関係で
イン作成等とそれを通じた企業による開発促進の実
は、2018 年度の「レギュラトリーサイエンスセン
現に向けて、本年度から試行的に取り組みを開始」
ター」設置を明記したほか、クリニカル・イノベー
と明記した。その上で「18 年度には本格的な取り組
ション・ネットワーク(CIN)の構築や、日本発の革
みを行うレギュラトリーサイエンスセンターを設置
新的な医薬品の開発・事業化、信頼性の確保された
する」との方針を示した。
ゲノム医療の実現などを盛り込んだ。政府は今後、
CIN については「国立高度専門医療研究センター
(NC)や学会等が構築する疾患登録システムなどの
与党審査を進めて月内の取りまとめを目指す。
レギュラトリーサイエンスセンターは、医薬品医
ネットワーク化を行う CIN 構築を推進し、効率的な
療機器総合機構での取り組みとして記載。
「臨床試
臨床開発のための環境整備を進める」とあらためて
験成績等のビッグデータを活用し、データ解析等に
示した。
臨床ゲノム情報統合 DB 整備事業を開始
AMED
2016 年5月17日【日刊薬業】 事 業
日本医療研究開発機構(AMED)は、医療現場でゲ
オープンアクセス(非制限公開)が前提の情報は、本
ノム医療を実施するための基盤構築に向けてデータ
事業で別に公募する「臨床ゲノム情報統合データ
ベース整備事業を始める。まずは、疾患ごとに詳細
ベース」へ統合する。これにより、疾患を横断した
な臨床情報を含む「疾患ごとの臨床ゲノム情報デー
包括的な臨床ゲノム情報の利活用や、研究プロジェ
タストレージ」の構築を目指す。データストレージ
クト間のデータシェアリングを目指す。
は患者個人レベルの情報も含むため、共同研究者間
公募課題と採択数は▽希少・難治性疾患領域にお
での共有(制限共有)が前提。AMED は、疾患ごとの
ける研究(0 ~ 2 課題)▽がん領域における研究(0
データストレージを整備する研究を支援するため、
~ 3 課題)▽感染症領域における研究(0 ~ 3 課題)
研究開発課題の公募を始めた。公募期間は 6 月 7 日
▽認知症やその他領域における研究(0 ~ 2 課題)。
(火)正午(厳守)まで。
1 研究課題当たりの研究開発費は、希少・難治性
データストレージのうち、診断名や変異情報など
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疾患領域で 3 億~ 6 億円程度、がん領域で 2 億~ 3 億
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INFRASTRUCTURE
円程度、感染症領域で 7000 万~ 2 億 5000 万円程
万円程度とする。研究開発実施期間はいずれの領域
度、認知症領域やその他領域で 5000 万~ 2 億 5000
も原則 3 年度の予定。
ウエアラブル活用し行動変容促進へ
経産省がIoTモデル事業
2016 年5月13日【MEDIFAX】 事 業
経済産業省は、糖尿病の重症化予防や健康改善に
め、大規模な医療機関や大企業を単体の事業者とし
向けて個人の行動変容を促すためのモデル事業を始
て想定。単体で十分な参加者が得られない場合には、
める。大規模病院などを事業主に想定し、ウエアラ
地域の複数のクリニック・医師会・国保が連携して事
ブル端末を装着した参加者から健康関連データを日
業者となることもできる。参加対象は軽度の糖尿病
常的に収集。それを基に医師らが継続的に保健指導
有病者や、その前段階にある生活習慣病のハイリス
などを行うことで、健康状態が改善するかを実証的
ク者。体重や血糖値測定を日常的に実施するほか、
に調べる。本紙取材に応じた商務情報政策局ヘルス
ウエアラブル端末を装着してもらい、歩数や脈拍、
ケア産業課は「症状悪化の気づきの機会が増える」
血圧などの健康関連データを継続的に収集する。
とメリットを強調し、医療費抑制効果にも期待を寄
例えば体重増加などデータの悪化が検知される
せる。
と、自動的に医療者のタブレット端末やパソコンに
今回の取り組みは、2015 年度の補正予算事業
アラート(注意喚起)情報が送信され、当該の参加者
「IoT 推進のための新産業モデル創出基盤整備事業
に対して随時、頻回に指導を行う。参加者本人もデー
(企業保険者等が有する個人の健康・医療情報を活用
タを確認できるため、自発的な行動変容にもつなが
した行動変容促進事業)」。同課はこれまでの保健指
りやすい。
導の課題として「行動変容のきっかけにはなるが、
同課は今回の取り組みについて▽医師が患者の日
効果が見えにくいため、努力が継続せず悪化する可
常生活を把握しやすい▽症状の悪化の気づきの機会
能性もある」と説明。一方、新事業では日常生活の
として有効▽健康関連データを基に、医師が患者と
改善効果がグラフなどで経時的に「見える化」され
有効にコミュニケーションできる▽本格的な症状へ
るため、より効果的な行動変容が期待できるという。
の移行を防ぐことで、医療費の抑制にもつながる―
などのメリットを挙げる。
大規模病院は単体で参画
複数のクリニックの連携も
経産省では 20 日まで事業者を公募。6 月までに採
参加者を多くしてデータの信頼性を担保するた
ている。
択事業者を決定して事業を開始する。6 件(6 事業
者)程度を採択し、合計 1000 人程度の参加を期待し
MID-NET のデータ、製造販売後調査に利活用へ
厚労省検討会で合意
2016 年5月11日【日刊薬業】 事 業
厚生労働省の「医療情報データベースの運営等に
2018 年度から本格運用を始める際の対応。有識
関する検討会」
(座長=永井良三・自治医科大学長)は
者会議(仮称)が妥当性などを審査した上で利活用
11日、医薬品医療機器総合機構の「医療情報データ
を認めるとの枠組みも決めた。利用料が発生するも
ベース基盤整備事業」
(MID-NET)で収集・管理する
のの、製薬企業が従来の手法で調査を実施する場合
データを、製薬企業の製造販売後調査や市販後安全
に比べ、経費軽減などが見込める。
監視などに利活用できるようにすることで合意した。
同検討会は MID-NET の本格運用開始に向け、利
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2016.5.25
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行政機関や自治体、研究開発独立行政法人が助成す
る公的研究を対象にする。民間財団の助成などによ
る研究については今後、公益性を判断するための基
準を作り、利活用の範囲に含めることを検討する。
具体的な利用料の詳細は WGで検討
利用料など費用負担の在り方については今後、
MID-NETを市販後調査で活用できるようになることが決まった
ワーキンググループ(WG)を設置して検討を進める
活用に関する▽範囲▽ルール▽費用負担の枠組み▽
ことを決めた。利用者によって利用料の額に差を付
人材育成―などについて提言をまとめる予定。同日
けるのではなく、利用するデータ量や解析内容、利
の会合で合意した MID-NET を利活用する範囲は大
用期間を考慮する方向で検討する。厚労省は、利用
きく「リスク・ベネフィット評価を含む安全対策」と
料をカテゴリー化する案を示し、カテゴリーの例と
「公益性の高い調査・研究」の 2 つ。
して▽製造販売後調査(フルセット)▽同(一部)▽
安全対策としては、製薬企業の製造販売後調査の
同(オーファン)▽これら以外の調査・研究―を挙げ
ほかアカデミアが実施する「医薬品のリスク・ベネ
た。利用料の設定に関して、アカデミアの利用を阻
フィット評価を含む市販後安全対策に関する研究」
害しないよう配慮する必要性も指摘した。
や、行政の安全対策措置も対象にする。
6 月 15 日に予定する次回会合では、厚労省が中間
公益性の高い調査・研究については、厚労省の「医
報告書案を示し、取りまとめに向けて議論する。厚
療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」
労省は同検討会の中間報告書に基づき、MID-NET
の要請に基づく使用実態調査のほか、厚生労働科学
の本格運用に向けた体制整備に関する費用などを
研究や日本医療研究開発機構の研究費事業など国の
17 年度予算の概算要求に盛り込む考え。
ゲノム個別化医療と希少がんの体制強化へ
がんセンター・中釜理事長
2016 年5月10日【MEDIFAX】 事 業
4 月に就任した国立がん研究センターの中釜斉理
「SCRUM-Japan」の取り組みを引き続き推進する。
事長は 10 日、新体制の所信説明会を開き、特に強化
また、センター内の関係者が連携を高め、政府の
する課題として「ゲノム情報に基づく個々人に最適
施策にも必要に応じフィードバックすることを目指
化された医療の提供体制の整備」と「アンメット・メ
して、今月「NCC ゲノム医療推進本部」を設置した。
ディカル・ニーズ(希少がん、難治がん等)の研究・
アンメット・メディカル・ニーズについては、2014
診療体制の強化」を挙げた。
年に設置した「希少がんセンター」を中心に、診療・研
会見で中釜理事長は、遺伝子変異に基づく個別化
究に有用なネットワークを院内に確立し、診療科の枠
がん治療のための事業「TOP-GEAR プロジェクト」
を超えて患者に最適な診療を提供できるようにする。
を推進させる方針を示した。具体的には、センター
「希少がんホットライン」では、患者が最適な医療を
で整備した遺伝子検査ラボや遺伝子診療部門を運用
受けられるよう専任の看護師が電話相談に応じる。
し、▽遺伝子異常に応じた治療法選択▽希少がん、
医療経済学的検討も
若年がんの診療▽遺伝性腫瘍の診療―を展開する。
ゲノム医療実現に向けたネットワーク構築も進め、
研究に有用なデータベースの整備を目指す。このほ
中釜理事長は、がん治療に用いられる「オプジー
か、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業
ボ」など高額薬剤にも言及。
「薬価の策定はセンター
医療 ICT
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2016.5.25
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が関わることではない」とした上で、
「がんに関する
り組むべきと考える」とし、センターの臨床経済研
最低限の医療経済的な側面は、センターとしても取
究室で検討する方針を示した。
患者レジストリ活用、まず希少疾病・難病で
CIN 研究班・武田氏 先駆け核酸医薬、18 年度申請へ
CIN構築の意義を語る武田氏
2016 年5月9日【日刊薬業】 事 業
ク リ ニ カ ル・イ ノ
どを整理した。
ベ ー シ ョ ン・ネ ッ ト
武田氏は、CIN 構築に向けて具体的に取り組むべ
ワ ー ク(CIN)の 構 築
きこととして、治験の比較対象群として自然歴(疾
に関する厚生労働科学
病が進行する経過)を得るためのレジストリ構築を
研究(CIN特別研究班)
挙げ、
「患者が少なく、対象疾病の全貌をつかみやす
で代表者を務めた国立
い希少疾病や難病での医薬品開発がひな型になり得
精神・神経医療研究セ
る」との見方を示した。その上で「本来なら希少疾病
ン タ ー(NCNP)神 経
は対象患者がとても少なく一般的な二重盲検比較試
研究所の武田伸一所長
験の実施がとても難しいが、明確な自然歴がレジス
は、日刊薬業の取材に
トリなどから収集できる場合、疾病によっては、そ
応じ、「希少疾病や難
の結果をもって治験での対照群として代替して薬剤
病の臨床開発で疾患登録システム(患者レジスト
の効果を検討できる可能性がある」と説明した。
リ)を活用し、その事例をひな型として、他の分野・
具体的に取り組むべきこととしては、患者レジス
領域へ活用を広げながら CIN の構築を進めていく
トリを活用した製造販売後調査の実施も挙げた。
べき」と述べた。
PMDA の協力が不可欠
先駆け審査指定制度で対象品目に選ばれた核酸医
薬のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤 NS065/NCNP-01(開発コード、日本新薬と共同開発)
承認申請や安全対策に役立てるため、「医薬品医
について、NCNP の患者レジストリと病院ネット
療機器総合機構(PMDA)と共に取り組まなければ
ワークを活用し、2018 年度中の承認申請を目指す
ならない」とも語り、患者レジストリの登録項目や
ことも明らかにした。
規制要件への適合性などを検討する上で、「PMDA
CIN は、国立高度専門医療研究センター(NC)な
の協力が不可欠」と強調した。
どが構築を進める患者レジストリを総合的に活用し
このほか、製薬企業にとって利活用しやすくするた
て症例情報を集約化し、臨床開発で活用する構想。
めの環境整備として、倫理的課題の解決や改正個人
厚生労働省の臨床開発環境整備推進会議を中心に検
情報保護法下での安全性担保などが必要と指摘。
「あ
討を進めている。CIN 特別研究班は、各 NC での患
る一定の水準を満たした患者レジストリの構築が求
者レジストリの取り組みを横串で評価し、問題点な
められる」と述べ、統一的なルールの策定を訴えた。
医療 ICT
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コミュニケーションロボ19 種類、介護現場に導入へ
AMED の実証調査
日本医療研究開発機構(AMED)は 18 日、介護現場でのコミュニケーションロボットの活用
効果を調べる大規模実証調査で使用するロボットの候補を選定したと発表した。ソフトバン
クロボティクスの「Pepper」など 19 種類が選ばれた。
2016 年5月19日【MEDIFAX】 医療・介護
データ収集に利用するロボットを募集したところ、
応募する施設はリストの中から使用を希望するロ
25 種類の応募があった。外部専門家で構成する委員
ボットを指定して活用法を提案する。
会の指導・助言を受けて選定した。今後は 8 月中の
実証調査ではロボット約 1000 台を介護施設など
調査開始を目標に参加する介護施設などを公募する。
に実際に導入し、データを収集、分析する。
医療 DB 活用でアンメットニーズの発見に期待
武田薬品・廣居氏
2016 年年5月19日【日刊薬業】 医薬品
武田薬品工業メディカルアフェアーズ部の廣居伸
するのは困難」としたほか、医療データの標準化を
蔵主席部員が 19 日、医療データベース(DB)の現状
課題に挙げた。また、
「日本では個人情報を保護する
と将来性について記者向けの勉強会で講演し、DB
があまりに、本来活用されるべき人に十分な恩恵が
活用によるアンメットニーズの発見や治験の一部代
行き渡っていない」と指摘した。
替に期待感を示した。
また、同日講演したメディカル・データ・ビジョン
廣居氏は医療 DB の可能性として▽対象疾患の治
社の福島常浩副社長は、電子カルテの普及が OECD
療実態(患者背景、投与量、併用薬など)の把握によ
主要国中最下位であることや、各医療機関で医療情
るアンメットニーズの発見▽投与量、併用薬からの
報に関するフォーマットが統一化されていない点を
有効性の推定による治験・臨床研究の一部代替▽医
問題視。今後の医療情報活用の方向性としては、ス
療経済評価への利用による薬価交渉や再算定の対応
マートフォンやスマートウォッチなどのウエアラブ
―への活用に期待を寄せた。
ル端末の利活用や、医療機関の地域連携の推進など
一方で、DB の限界として「臨床研究を完全に代替
を挙げた。
医療 ICT
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電子データ申請業務で提携
A2とdms
2016 年5月11日【日刊薬業】 医薬品
エイツーヘルスケア(A2)とディジタルメディア
紙媒体で構成される医薬品承認申請文書の eCTD 化
システム(dms)は 11 日、承認申請時の電子データ
を早くから見据え、eCTD の編纂システムを開発し
提出に関する CDISC と eCTD 関連サービスを共同
てきた。両社の強みを合わせることで、承認申請間
展開することで合意したと発表した。
際の申請パッケージ作りをスピードアップし、今年
A2 は早くから申請時に CDISC 形式のデータ提出
10 月から始まる承認申請時の電子データ提出受け
が必須になると見通して、CDISC の知識習得や業界
付け開始に備える。
内での啓発活動を積極展開してきた。一方、dms は
診療報酬・薬価基準関連書籍のご案内
適応・用法付 薬効別薬価基準
レセプト事務のための
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薬業研究会/編
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医療 ICT
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マニュアル 2016
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診療報酬研究会/編著
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EVENT & SEMINER
研究助成対象の公募開始
医療科学研究所
2016 年5月10日【日刊薬業】
医療科学研究所(江利川毅理事長)は 10 日、2016
助成する。15 年度は 43 件の応募から「レセプトデー
年度の研究助成対象を募集すると発表した。募集要
タを利用した地域包括ケアのあり方に関する研究」
項をホームページ(http://www.iken.org)に掲載
(東京大医学部特任研究員・芦田登代氏)など 10 件
した。医療に関する研究計画を 6 月 30 日まで一般公
を採択した。
募し、10 件を目標に採択。1 件当たり 50 万円以内を
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