大牟田市人口ビジョン 福岡県大牟田市 平成 28 年 3 月 はじめに 日本の人口は、2008 年をピークとして人口減少局面に入っています。今後、2050 年には 9,700 万人程度となり、2100 年には 5,000 万人を割り込む水準にまで減少するとの推計がなされてお り、国全体で、この人口減少を克服するため地方創生への取組みが進められています。 この人口減少は、本市においても取り組むべき喫緊の課題であり、基幹産業であった石炭産業 の隆盛とともに歩んできた本市の人口は、昭和 34 年にピークを迎え、以降、これまで減少を続 けています。平成に入ってからは、社会減に加え、自然減も加わり、社会動態・自然動態ともに 減少が続いている状況です。 本人口ビジョンは、本市の人口の現状を分析するとともに、人口に関する地域住民の認識を共 有し、今後目指すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するものです。 大牟田市人口ビジョン 目次 1.人口動向分析 (1)総人口の推移と将来推計 ······························································1 (2)年齢3区分別人口の推移 ······························································1 (3)人口ピラミッドに見る年齢層別の変化 ·············································2 (4)出生・死亡、転入・転出の推移 ·····················································3 2.合計特殊出生率の推移·······································································4 3.年齢別・年齢階級別人口移動の状況 ·····················································5 4.本市の人口移動の趨勢(若年層流出の傾向) ··········································7 5.本市の人口移動の状況 (1)地域ブロック別の人口移動状況 ·····················································8 (2)転入出の状況(福岡県、熊本県)···················································9 (3)転入出の状況(定住自立圏域内)················································· 10 6.人口の減少が地域の将来に与える影響 (1)生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関等)の縮小 ·············· 11 (2)税収減による行政サービス水準の低下 ··········································· 12 (3)地域公共交通の撤退・縮小 ························································· 12 (4)空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地等の増加 ·························· 13 (5)地域コミュニティの機能低下 ······················································ 13 7.市内産業別の雇用状況 (1)市内事業所における産業別従業者数の推移 ····································· 14 (2)市内産業の雇用吸収力の現状 ······················································ 15 8.人口の将来展望 (1)人口推計シミュレーション ························································· 16 (2)将来人口の展望 ······································································· 18 0 1.人口動向分析 (1)総人口の推移と将来推計 石炭産業とともに発展した本市は、石炭の産出量の増大とともに、急激に人口が増加しましたが、 昭和 30 年代、わが国経済の高度成長の過程で行われた石炭から石油へのエネルギー政策の転換により、 基幹産業であった石炭産業及び関連産業の合理化・縮小がはじまり、それ以降、生産年齢人口の域外 流出を招くこととなりました。本市人口は、昭和 34(1959)年に 208,887 人(国勢調査推計人口) のピークとなり、以降、一貫して減り続けている現状です。直近(平成 22(2010)年)の国勢調査 人口では、123,638 人、国立社会保障・人口問題研究所(以下、 「社人研」という。)の推計では、平 成 52(2040)年には、78,862 人まで減少すると予測されています。 (人) 225,000 200,000 175,000 150,000 125,000 100,000 75,000 総人口の推移 205,766 201,737 193,875 191,978 国勢調査 社人研推計 175,143 177,034 165,969 166,438 163,000 159,424 147,028 150,453 145,085 138,758 138,629 130,002 131,090123,638 121,133 115,972 108,564 100,970 93,43886,104 78,862 50,000 25,000 0 T9 T14 S5 S10 S15 S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22 H27 H32 H37 H42 H47 H52 出典:国勢調査、国立社会保障人口問題研究所(H25.3 将来人口推計) (2)年齢 3 区分別人口の推移 0~14 歳の年少人口は昭和 30(1955)年をピークに、15~64 歳の生産年齢人口は昭和 40(1965) 年をピークに減少しています。65 歳以上の老年人口は、これまで増加を続けてきましたが、平成 32 (2020)年をピークに減少局面へ入り、平成 32(2020)年以降は全ての年齢区分で減少に入ると予 測されています。 人口減少は、第 1 段階(年少人口の減少、老年人口の増加) 、第 2 段階(年少人口の減少、老年人口 の維持・微減) 、第 3 段階(年少人口の減少、老年人口の減少)という大きく3つの段階を経て進むと されていますが、本市もあと5年ほどで 3 段階目に突入すると予測されており、人口減少がさらに加 速していくこととなります。 225,000 (人) 年齢3区分人口の推移 200,000 175,000 150,000 総数 0~14歳 15~64歳 65歳以上 125,000 100,000 75,000 50,000 25,000 0 T9 T14 S5 S10 S15 S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22 H27 H32 H37 H42 H47 H52 出典:国勢調査、国立社会保障人口問題研究所(H25.3 将来人口推計) 1 (3)人口ピラミッドに見る年齢階級別の変化 年齢階級別人口 1980年(昭和55年) 90歳以上 85~89歳 80~84歳 75~79歳 70~74歳 65~69歳 60~64歳 55~59歳 50~54歳 45~49歳 40~44歳 35~39歳 30~34歳 25~29歳 20~24歳 15~19歳 10~14歳 5~9歳 0~4歳 2,592 3,445 3,790 4,443 1,616 62 294 808 205 666 1,452 2,187 3,187 人口:163,000人 4,188 4,934 6,046 6,747 6,570 5,809 5,344 6,712 5,904 5,089 5,549 5,469 5,719 5,209 5,685 5,355 4,878 4,931 6,317 5,319 3,950 5,394 5,724 6,080 5,293 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2,000 4,000 6,000 年齢階級別人口 2010年(平成22年) 90歳以上 85~89歳 80~84歳 75~79歳 70~74歳 65~69歳 60~64歳 55~59歳 50~54歳 45~49歳 40~44歳 35~39歳 30~34歳 25~29歳 20~24歳 15~19歳 10~14歳 5~9歳 0~4歳 8,000 2,271 2,956 3,487 3,927 1,184 496 1,896 6,000 4,000 2,000 0 2,000 人口:123,638 人 2,951 4,000 6,000 1,529 1,813 2,056 2,244 2,482 2,901 2,647 2,544 2,283 2,227 2,162 1,878 1,734 1,578 1,343 1,369 1,320 1,236 1,139 6,000 4,000 2,000 男 8,000 ※単純に計算すると、小学校の1クラスあたりの児童数が約半分 年齢階級別人口 2040年(平成52年) 8,000 女 5 歳~9 歳人口:4,577 人⇒2,409 人 75 歳以上人口:20,940 人⇒21,140 人(微増) 65 歳以上人口:37,816 人⇒32,709 人(減少) 90歳以上 85~89歳 80~84歳 75~79歳 70~74歳 65~69歳 60~64歳 55~59歳 50~54歳 45~49歳 40~44歳 35~39歳 30~34歳 25~29歳 20~24歳 15~19歳 10~14歳 5~9歳 0~4歳 男 8,000 4,241 4,945 4,744 4,718 5,882 4,966 4,033 3,666 3,395 3,505 3,136 2,810 2,613 2,737 2,621 2,210 2,105 5,411 4,641 3,737 3,218 3,052 3,278 2,881 2,759 2,435 2,875 2,736 2,367 2,196 女 3,125 3,075 3,078 2,999 3,187 2,796 2,422 2,202 2,042 2,050 1,745 1,679 1,548 1,356 1,338 1,261 1,173 1,081 0 2 2,000 人口:78,862 人 4,220 4,000 女 男 6,000 8,000 (4)出生・死亡、転入・転出の推移 転入・転出の推移を見ると、昭和 30(1955)年以降、常に転出数が転入数を上回り、社会減が続 いています。また、出生・死亡の推移を見ると、出生数が死亡数を上回る自然増の状況が続いてきま したが、平成元(1989)年以降は死亡数が出生数を上回る自然減が続いています。死亡数は微増傾向 であり、さらに出生数も減少しています。こうした要因により、本市の人口は減少しています。 (人) 18,000 大牟田市の人口と出生・死亡、転入・転出の推移 16,000 250,000 総数 出生数 14,000 200,000 死亡数 12,000 転入数 10,000 転出数 8,000 150,000 100,000 6,000 4,000 50,000 2,000 0 0 T9 T14 S5 S10 S15 S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12H17H22H27H32H37H42H47H52 出典:大牟田市統計年鑑、国勢調査、国立社会保障人口問題研究所 3 2.合計特殊出生率の推移 本市の合計特殊出生率は、国・県の平均と比して、総じて高い状況であり、直近では、1.49 となって いますが、国民や県民の希望出生率 1.8 には届いていない状況です。 2.20 2.13 合計特殊出生率の推移 2.10 2.00 1.95 全 1.91 国 福岡県 1.90 大牟田市 1.80 1.83 1.75 1.76 1.74 1.70 1.75 1.60 1.54 1.50 1.52 1.57 1.44 1.42 1.40 1.47 1.45 1.49 1.44 1.46 1.46 1.38 1.42 1.43 1.32 1.43 1.42 1.37 1.37 1.34 1.39 1.39 1.41 1.45 1.46 1.39 1.36 1.29 1.30 1.25 1.20 1.61 1.60 1.26 1.30 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 S45 H2 S55 (人) H7 H12 H17 H22 H26 出生数・出生率※の推移 8,000 40 35.1 35 7,000 出生数 6,732 30 6,000 出生率 5,000 25 21.3 4,000 4,298 3,000 16.0 20 14.6 3,282 12.9 13.7 12.0 2,824 2,000 2,263 2,270 15 10.8 8.5 1,986 8.1 7.9 1,283 1,177 1,177 854 934 H2 H7 H12 H17 H22 6.6 7.6 10 1,729 1,000 5 0 0 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 ※人口 1,000 人あたりの出生数 4 3.年齢別・年齢階級別人口移動の状況 住民基本台帳人口における、平成 25(2013)年 10 月から平成 26(2014)年 10 月のコーホート変 化率を見ると、16 歳から 40 歳までの転出超過がみられます。合計特殊出生率が 1.49 にとどまってい ることとあわせて、子どもを産み育てる年齢層が市外に流出していることが、出生数の減少の要因とな っていると考えられます。 大牟田市のコーホート変化率 ~16歳から40歳までの転出超過が最大の要因~ 1.05 1 0.95 0.9 若年層の生残率は、ほぼ1なので、 1を下回っているということは、人口が流出しているということ。 0.85 0.8 0.75 0.7 1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101 5 男性 女性 また、国勢調査における、平成 17(2005)年から平成 22(2010)年の年齢階級別人口移動を見て も、男女共に、15~19 歳の年齢層が、20~24 歳の年齢層になる際に、市外へ転出している状況がうか がわれます。 平成17(2005)年→22(2010)年の年齢階級別人口移動(大牟田市:男性) ※国勢調査 200 0 純移動数(人) -200 29 -30 -48 -149 -214 -100 14 -46 61 43 114 40 38 -46 -15 7 -35 -400 -600 2005年→2010年 -800 -1000 -1,014 -1200 平成17(2005)年→22(2010)年の年齢階級別人口移動(大牟田市:女性) ※国勢調査 100 0 -100 39 -39 -13 -17 -49 -37 -30 -93 53 6 -13 -88 -98 純移動数(人) -200 -195 -300 -284 -251 -400 -500 2005年→2010年 -600 -700 -800 -775 -900 6 -65 4.本市の人口移動の趨勢(若年層流出の傾向) 近年の移動の傾向を見るため、 住民基本台帳人口における、平成 12(2000) 年 10 月から平成 13(2001) 年 10 月のコーホート変化率(上グラフ)と平成 25(2013)年 10 月から平成 26(2014)年 10 月の コーホート変化率(下グラフ)を比較したものです。近年、特に若年女性の移動が大きくなっている傾 向が見られます。 このことは、出生数そのものに直接影響を与えることとなります。この傾向が続けば、さらに、人口 減少につながることから、この傾向を改善していく必要があります。 大牟田市のコーホート変化率 平成12年10月~平成13年10月 1.1 1.05 1 0.95 男性 0.9 女性 0.85 0.8 0.75 0.7 1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101 大牟田市のコーホート変化率 平成25年10月~平成26年10月 1.05 1 0.95 0.9 男性 0.85 女性 0.8 0.75 0.7 1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101 7 5.本市の人口移動状況について (1)地域ブロック別の人口移動の状況 平成 15(2003)年以降の地域ブロック別の移動状況を見ると、総じて、九州・沖縄への転出超過 が顕著となっています。反面、東京圏への転出超過は減少傾向にあります。平成 23(2011)年は、 東北大震災の被災の影響により、被災企業が本市において増設を行ったことにより、東北ブロックか らの転入超過がみられます。九州・沖縄に限れば、福岡県内及び熊本県への転出超過が顕著な状況で す。中でも、福岡市への転出が最大となっており、九州における福岡一極集中を反映したものと考え られます。 地域ブロック別の人口移動 200 九州・沖縄 0 四国 東京圏 -200 中国 -400 関西 -600 中部 九州・沖縄 -800 東京圏 -1000 北関東 -1200 東北 -1400 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 北海道 出典:大牟田市統計年鑑 九州・沖縄ブロック内の人口移動 200 0 沖縄県 鹿児島県 -200 福岡県 宮崎県 -400 -600 大分県 熊本県 熊本県 長崎県 -800 佐賀県 福岡県 -1000 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 出典:大牟田市統計年鑑 8 (2)転入出の状況(福岡県、熊本県) 九州・沖縄ブロックのうち福岡県・熊本県の状況を見ると、福岡県で転入出が多い自治体は、福岡 市、久留米市、みやま市などとなっており、熊本県では、荒尾市、熊本市、玉名市などとなっていま す。 福岡県内への転出の状況 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成24年 転出先 福 岡 市 久 留 米 市 み や ま 市 北 九 州 市 柳 川 市 筑 後 市 筑 紫 野 市 春 日 市 八 女 市 大 川 市 転出者数 477 241 151 116 100 73 43 29 22 21 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成25年 転出先 福 岡 市 久 留 米 市 み や ま 市 北 九 州 市 柳 川 市 筑 後 市 筑 紫 野 市 八 女 市 大 川 市 春 日 市 10 平成26年 転出先 福 岡 市 久 留 米 市 み や ま 市 柳 川 市 北 九 州 市 筑 後 市 筑 紫 野 市 八 女 市 大 川 市 大 野 城 市 転出者数 順位 365 1 121 2 76 3 48 4 43 5 13 6 10 7 6 8 6 9 5 10 平成26年 転出先 荒 尾 市 熊 本 市 玉 名 市 長 洲 町 南 関 町 合 志 市 八 代 市 山 鹿 市 和 水 町 人 吉 市 転出者数 310 132 48 42 28 16 14 13 11 5 平成26年 転入元 福 岡 市 み や ま 市 久 留 米 市 柳 川 市 北 九 州 市 筑 後 市 八 女 市 大 川 市 筑 紫 野 市 小 郡 市 転入者数 347 149 120 107 80 32 29 20 19 16 平成26年 転入元 荒 尾 市 熊 本 市 南 関 町 玉 名 市 長 洲 町 菊 池 市 山 鹿 市 八 代 市 合 志 市 天 草 市 人数 334 99 59 56 44 29 20 19 10 7 転出者数 470 249 145 87 84 55 55 34 33 33 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 転出者数 456 217 143 96 78 53 36 35 34 27 熊本県内への転出の状況 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成24年 転出先 荒 尾 市 熊 本 市 玉 名 市 長 洲 町 南 関 町 山 鹿 市 合 志 市 菊 池 市 宇 城 市 阿 蘇 市 転出者数 順位 377 1 166 2 57 3 34 4 30 5 18 6 11 7 10 8 7 9 7 10 平成25年 転出先 荒 尾 市 熊 本 市 玉 名 市 長 洲 町 南 関 町 山 鹿 市 八 代 市 菊 池 市 菊 陽 町 宇 土 市 福岡県内からの転入の状況 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成24年 転入元 福 岡 市 久 留 米 市 み や ま 市 柳 川 市 北 九 州 市 筑 後 市 八 女 市 大 野 城 市 筑 紫 野 市 大 川 市 転入者数 303 157 131 128 77 63 39 29 25 19 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成25年 転入元 福 岡 市 み や ま 市 久 留 米 市 柳 川 市 北 九 州 市 筑 紫 野 市 八 女 市 筑 後 市 大 川 市 小 郡 市 転入者数 311 167 166 114 66 32 23 21 19 16 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 熊本県内からの転入の状況 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成24年 転入元 荒 尾 市 熊 本 市 玉 名 市 長 洲 町 南 関 町 山 鹿 市 天 草 市 益 城 町 和 水 町 八 代 市 人数 356 116 83 57 55 16 12 10 9 8 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平成25年 転入元 荒 尾 市 熊 本 市 玉 名 市 長 洲 町 南 関 町 山 鹿 市 天 草 市 合 志 市 八 代 市 菊 池 市 9 人数 391 111 62 54 33 25 12 11 8 7 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (3)転入出の状況(定住自立圏域内) 有明圏域定住自立圏域の市町間の転入出も多く、平成 24(2012)年、平成 26(2014)年の動き では、本市への転入超過が続いている状況です。また、平成 26 年(2014)には、全ての連携自治体 から転入超過となっており、中心市である本市への人口流入傾向が見て取れます。 有明圏域定住自立圏内の人口移動の状況 市町村名 みやま市 柳川市 荒尾市 長洲町 南関町 平成24年 平成25年 平成26年 転出者数 転入者数 転出入数 転出者数 転入者数 転出入数 転出者数 転入者数 転出入数 151 131 -20 145 167 22 143 149 6 100 128 28 84 114 30 96 107 11 377 356 -21 365 391 26 310 334 24 34 57 23 48 54 6 42 44 2 30 55 25 43 33 -10 28 59 31 転入超過⇒ 35 転入超過⇒ 74 転入超過⇒ 74 平成 26 年転入出 10 6.人口の減少が地域の将来に与える影響(国土交通白書より) 国土交通白書 2015(国土交通省)によれば、人口減少が地方のまち・生活に与える具体的な影響の主 なものとして以下のように述べられています。このように様々な影響が生じることが懸念されます。 (1)生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関等)の縮小 我々が日常生活を送るために必要な各種サービスは、一定の人口規模のうえに成り立っている。必 要とされる人口規模はサービスの種類により様々であり、その分布状況を示したものが図表 1-2-3 で ある。例えば、ある市町村に一般病院が 80%以上の確率で立地するためには、27,500 人以上の人口 規模が必要(50%以上の確率で立地するためには 5,500 人以上の規模が必要)である。人口減少によ って、こうした生活関連サービスの立地に必要な人口規模を割り込む場合には、地域からサービス産 業の撤退が進み、生活に必要な商品やサービスを入手することが困難になるなど、日々の生活が不便 になるおそれがある。 11 これに加え、サービス業等の第 3 次産業は地方圏の雇用の 6 割以上を占めており、こうしたサービ ス産業の撤退は地域の雇用機会の減少へとつながり、さらなる人口減少を招きかねない (図表 1-2-4) 。 (2)税収減による行政サービス水準の低下 人口減少は地方財政にも大きな影響を及ぼす。人口減少とそれに伴う経済・産業活動の縮小によっ て、地方公共団体の税収入は減少するが、その一方で、高齢化の進行から社会保障費の増加が見込ま れており、地方財政はますます厳しさを増していくことが予想される。こうした状況が続いた場合、 それまで受けられていた行政サービスが廃止又は有料化されるといった場合が生じることも考えられ、 結果として生活利便性が低下することになる。 こうした厳しい地方財政状況のなかで、高度経済成長期に建設された公共施設や道路・橋・上下水 道といったインフラの老朽化問題への対応も必要となる。 (3)地域公共交通の撤退・縮小 これまで、地域公共交通は主として民間の事業者によって支えられてきた。しかし、人口減少によ る児童・生徒や生産年齢人口の減少が進めば、通勤通学者が減少し、民間事業者による採算ベースで の輸送サービスの提供が困難となり、地方の鉄道や路線バスにおいて、不採算路線からの撤退や運行 回数の減少が予想される。他方では、高齢化の進行に伴い、自家用車を運転できない高齢者等の移動 手段として公共交通の重要性が増大しており、地域公共交通の衰退が地域の生活に与える影響は従前 より大きいものとなっている。 12 (4)空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地等の増加 人口が減少する一方で、総住宅数は増加しており、全国的に空き家数は一貫して増加傾向にある。 なかでも、賃貸または売却の予定がなく長期にわたって居住世帯が不在の住宅等を含む「その他の住 宅」が増加している。 「その他の住宅」は、管理・処分方針が未定のものもあり、他の区分の空き家と 比べて管理が不十分になりがちな傾向がある(図表 1-2-5) 。 また、地域の経済・産業活動の縮小や後継者不足等によって空き店舗、工場跡地、耕作放棄地も増 加しており、空き家の増加とともに、地域の景観の悪化、治安の悪化、倒壊や火災発生といった防災 上の問題等が発生し、地域の魅力低下につながってしまう。 (5)地域コミュニティの機能低下 人口減少は、地域コミュニティの機能の低下に与える影響も大きい。町内会や自治会といった住民 組織の担い手が不足し共助機能が低下するほか、地域住民によって構成される消防団の団員数の減少 は、地域の防災力を低下させる懸念がある。 また、児童・生徒数の減少が進み、学級数の減少、クラスの少人数化が予想され、いずれは学校の 統廃合という事態も起こり得る。こうした若年層の減少は、地域の歴史や伝統文化の継承を困難にし、 地域の祭りのような伝統行事が継続できなくなるおそれがある。 このように、住民の地域活動が縮小することによって、住民同士の交流の機会が減少し、地域のに ぎわいや地域への愛着が失われていく。 13 7.市内産業別の雇用状況 (1)市内事業所における産業別従業者数の推移 第二次産業の従業者数は、本市の人口動向と同様大幅な減少をきたしています。第三次産業におい ては、一旦は、約 46,000 人まで増えましたが、人口動向ともあいまって減少傾向となっています。 市内に留まれる「しごと」の創出も重要な取組みのひとつとなります。 ◆産業分類別従業者(市内事業所における従業者数:大牟田市統計年鑑) 昭和44年 第一次産業 23 23 農業・林業 漁 業 昭和50年 昭和56年 50 50 昭和61年 24 24 平成3年 4 4 平成8年 13 13 (単位:人) 平成13年 23 23 平成18年 43 43 平成21年 74 74 平成24年 74 73 - - - - - - - - 鉱 業 33,200 8,264 29,948 6,175 25,741 5,064 21,731 4,902 18,165 2,057 16,357 910 12,895 - 11,511 11 11,686 1 11,077 2 建設業 製造業 8,719 16,217 9,981 13,792 8,876 11,801 6,320 10,509 5,562 10,546 5,726 9,721 5,061 7,834 4,319 7,181 4,479 7,206 3,960 7,115 第三次産業 卸売業・小売業 37,529 19,360 40,643 19,912 44,503 21,515 46,005 20,478 44,919 19,976 44,750 18,951 43,750 17,285 41,499 11,458 43,289 11,208 40,809 10,897 金融・保険業 不 動 産 業 1,651 223 1,516 217 1,822 328 1,856 380 1,939 416 1,784 413 1,503 382 1,226 463 1,184 774 954 708 運輸・通信業 電気ガス・水道業 4,410 763 5,006 672 4,929 743 4,363 828 3,952 623 3,796 700 3,383 731 2,850 479 2,916 575 2,782 275 サ ー ビ ス 業 公 務 11,122 - 11,788 1,532 13,663 1,503 14,606 3,494 16,399 1,614 17,787 1,319 19,002 1,464 23,561 1,462 25,360 1,272 25,193 - 総数 70,752 70,641 70,268 67,740 63,097 61,130 56,688 53,084 55,049 51,964 第二次産業 1 78 78 - ※S44、H24の公務については調査項目に含まれていないため、記載していない。 産業分類別従業者数の推移 (人) 50,000 45,000 44,503 46,005 44,919 44,750 43,750 40,643 40,000 41,499 40,809 37,529 35,000 30,000 25,000 20,000 33,200 29,948 第一次産業 25,741 第二次産業 21,731 18,165 15,000 第三次産業 16,357 12,895 10,000 11,511 11,077 5,000 0 50 23 24 4 S44年 S50年 S56年 S61年 78 74 43 23 13 H3年 H8年 H13年 H18年 H24年 14 (2)市内産業の雇用吸収力の現状 男女別の産業人口を見ると、男性では、製造業、卸売業・小売業、建設業の順に多く、女性では、 医療・福祉が突出し、次いで卸売業・小売業、製造業、宿泊業・飲食サービス業の順になっています。 また、特化係数が1以上の産業(全国の就業者比率よりも高い産業)を見ると、男女ともに医療・ 福祉となっています。こうした本市の産業の状況を踏まえ、今後、どのような業種をのばし、どのよ うな「しごと」を作っていくかも重要な視点となります。 平成 22 年国勢調査 大牟田市の男女別産業人口 (人) 9,000 2.5 8,000 2 7,000 6,000 1.5 5,000 4,000 1 3,000 2,000 0.5 1,000 0 0 農 業 , 林 業 う ち 農 業 漁 業 鉱 建 製 業 設 造 , 業 業 採 石 業 , 砂 利 採 取 業 電 気 ・ ガ ス ・ 熱 供 給 ・ 水 道 業 情 報 通 信 業 運 輸 業 , 郵 便 業 卸 売 業 , 小 売 業 金 融 業 , 保 険 業 15 不 動 産 業 , 物 品 賃 貸 業 学 術 研 究 , 専 門 ・ 技 術 サ ー ビ ス 業 宿 泊 業 , 飲 食 サ ー ビ ス 業 生 活 関 連 サ ー ビ ス 業 , 娯 楽 業 教 育 , 学 習 支 援 業 医 療 , 福 祉 複 合 サ ー ビ ス 事 業 サ ー ビ ス 業 ( 他 に 分 類 さ れ な い も の ) 公 務 ( 他 に 分 類 さ れ る も の を 除 く ) 分 類 不 能 の 産 業 男 女 特化係数(男) 特化係数(女) 8.人口の将来展望 人口減少は、数十年間は止まらないと予測される中、減少をよりゆるやかにし、かつ、減少に適応し ていくことが必要です。若年層の流出が続いた状態では、合計特殊出生率が向上したとしても、限定的 な効果しかありません。 人口減少をよりゆるやかにするためには、本市の人口移動の収束とともに、 直近の合計特殊出生率 1.49 から、国民、県民の希望出生率である 1.8、さらには人口置換水準 2.07 まで向上させることが望まれま す。 (1)人口推計シミュレーション 本市の人口の将来展望をするにあたって、本市の合計特殊出生率や移動の傾向が現状のまま推移し た場合をはじめ、合計特殊出生率が向上した場合や社会動態が均衡した場合を想定し、シミュレーシ ョンを行いました。 ケース1 ➢人口移動は、直近(2005-2010)の移動傾向を投影 ➢合計特殊出生率は、直近5年間(2010-2014)の平均1.52で推移 ケース 2 ケース 3 ケース 4 ➢人口移動は、社人研推計に準拠 ➢合計特殊出生率は、2025年に出生率1.8、以降維持 ➢人口移動は、社人研推計に準拠 ➢合計特殊出生率は、2025年に1.8、2040年には2.07、以降維持 ➢人口移動は、2040年に社会動態が均衡(転出入が均衡) ➢合計特殊出生率は、2025年に1.8、2040年には2.07、以降維持 16 125,000(人) 123,640 本市の将来人口推計シミュレーション ケース1(移動率=直近(2005-2010)の傾向投影、直近(2010-2014) の平均合計特殊出生率=1.52) 115,000 110,994 110,664 ケース2(2025年合計特殊出生率1.8) ケース3(2025年合計特殊出生率1.8→2040年出生率2.07) 105,000 109,452 ケース4(2025年合計特殊出生率1.8→2040年2.07+2040年以降社会動態 均衡) 99,211 98,497 98,310 95,000 93,409 89,642 86,631 85,000 85,667 75,000 81,448 75,733 77,423 ケース4 75,320 73,871 ケース3 66,580 65,000 ケース2 63,823 62,460 55,000 ケース1 49,622 45,000 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年 H32 H52 H62 H72 H42 区分 2010年 2020年 ケース1(移動率=直近(2005-2010)の傾向投影、直近(2010 -2014)の平均合計特殊出生率=1.52) 123,640 109,452 93,409 77,423 62,460 49,622 ケース2(2025年合計特殊出生率1.8) 123,640 110,994 98,310 85,667 73,871 63,823 ケース3(2025年合計特殊出生率1.8→2040年出生率2.07) 123,640 110,994 98,497 86,631 75,733 66,580 ケース4(2025年合計特殊出生率1.8→2040年2.07+2040年以 降社会動態均衡) 123,640 110,664 99,211 89,642 81,448 75,320 17 2030年 2040年 2050年 2060年 (2)将来人口の展望 4つのケースを想定し、人口のシミュレーションを行ったところですが、シミュレーションからも わかるように、人口減少をゆるやかにするためには、合計特殊出生率の向上とあわせ、人口移動の縮 小を図ることが有効です。こうしたことから、本市としては、合計特殊出生率について、2025 年に、 国民・県民の希望出生率である 1.8、2040 年に、人口置換水準である 2.07 とし、加えて、2040 年 に社会動態を均衡させることで、2060 年の人口展望を 75,320 人とします。 大牟田市の将来人口展望 125,000 115,000 75,320人(2060 年) 本市の将来人口の展望 123,640 ケース1(移動率=直近(2005-2010)の傾向投影、直近(2010- 2014)の平均合計特殊出生率=1.52) 110,664 ケース4(2025年合計特殊出生率1.8→2040年2.07+2040年以降社会 動態均衡) 105,000 109,452 104,700 99,211 101,459 95,000 (人) 将来展望 89,642 93,409 85,000 81,448 75,000 ケース4 75,320 77,423 65,000 62,460 55,000 現状のまま推移 ケース1 49,622 45,000 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年 H32 H42 H62 H52 H72 18 この人口展望では、年齢別3区分の構成比は、0~14 歳の人口比率がゆるやかに増え、15~64 歳の 人口についても、2040 年以降、構成比がゆるやかに増えていきます。また、65 歳以上の人口の構成 比も、2030 年以降ゆるやかに逓減していき、人口構成の若返りが見込まれます。 年齢3区分別人口構成の推移 30.7% 36.6% 37.7% 37.1% 35.4% 32.7% 65歳以上 57.8% 52.1% 50.3% 49.5% 50.0% 52.4% 11.5% 11.3% 12.1% 13.4% 14.5% 14.9% 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年 2060年 15~64歳 0~14歳 おわりに 本市の人口動態を見ると、出生数の減少や若年層を中心とした市外流出が続いています。人口減少を よりゆるやかにするためには、合計特殊出生率の向上と社会動態の均衡を図ることが必要となります。 この実現には、雇用の場づくりをはじめ、若い世代の結婚・出産・子育ての希望を実現するとともに、 教育を含めた子育て環境の充実を図りながら、移住・定住の促進を図っていく取組みが重要です。 一方、人口減少が当面続く中にあって、人口減少下のインフラ整備、広域連携など人口減少を見据え た対応も必要となります。 大牟田市まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、本人口ビジョンを踏まえ、総合的な取組みの 展開が求められます。 19
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