Title Observations on Northern Japanese Plants (9) Author(s) Ito

Title
Observations on Northern Japanese Plants (9)
Author(s)
Ito, Koji
Citation
北陸の植物 = The Hokuriku journal of botany, 17(3): 63-68
Issue Date
1969-08-15
Type
Journal Article
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/45189
Right
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北陸 の
植物
第17巻
第3号
昭和44年 8月
地より係集され,中井博士により新種として発表された。1968年筆者は上川支庁管内の浮
島高層湿原(標高約 870 メ ー トル)で本種を採集した。北海道を含め,旧日本新産の種類
である。クロホシクサIC::似るも,花が2数性であるとと(総省片2,事片2,花弁2,雄
しべ4 ),雌花馨片は離生するが雄花では深裂して離生しない点などを特徴とする。
5 4) クシロホシクサ(新産地)ータイプロカリティ ー は釧路地 方であるが,筆 者 は
1963年根室支庁管内野付崎の湿地から採集した。
5 5) ムツイヌノヒゲ(新産地)一従来北海道には Eriocau/on miquelianum は産しな
いとされているが,乙の系統の一変種が下サロベツ原野の,ミズゴケ湿原中に 見 出 さ れ
る。北海道新産。
以上3種類の Eriocau/on 属種類の同定に当っては国立科学博物館佐竹義繍博士の御手
を煩わした。厚く御礼申上げる次第である。
56 ) サヤスゲ(産地整理)ー従来の標本に基づき産地を整理した。 大雪山高根ケ原の
ような高山帯にみられる他は専ら道東地方の湿原に見出される。また標本を多数検査する
と,var. Petersii を区別することが難かしくなってくる。
57) オニユキザサ(品種)と ミドリオニユキザサ(亜品種〉ーユキザサの広薬品で花
被片に 3 脈あるものをオニユキザサと称し,乙れはユキザサの一品種と考える。希 K 緑花
品あり,乙れをミドリオニユキザサと新称したい。
58)
エゾメシダーメシダ群の分類 は難かしいとされているが,北海道を中心に,本州,
樺太,千島,カムチャツカ,アリュ ー シャンの標品について比較検討を試みた。結局,葉
柄下部の鱗片の性質において,北千島,カムチャツカ,アリュ ー シャンのメシダ類は一つ
のまとまり(膜質,巾広く,摂れは少く,色彩は務褐色~褐色)があり,本fl'!中部のいわ
ゆるミヤマメシダは,革質で巾狭くなり,振れが多くなり,黒色を呈する点でやはりまと
まる。 北海道, 樺太, 南千島産のものは, 乙の両型の中間移行的性質を示している。結
局,葉柄鱗片の性質から,筆者は,上記地域のメシダ類については A. J官ilix-femlna var.
longiPes あるいはエゾメシダを用いたいと考える。
59) クロヌマハリイ(産地整理)一最近STRANDHEDE博士は Eleocharis i>ztersita
ZIN SERL.を E. ρalustris の中に含めた 見解を発表したが, 結局独立種とみるのは無理
なようである。北大標本庫所蔵の標本についてみると,樺太,千島産のものの中では,柱
基の形態において往々にして E. mamillata とまぎわらしくなるものがある。(つづく)
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