愛媛県言語聴覚士会の今昔 (2011年度版)

愛媛県言語聴覚士会の今昔
(2011年度版)
年4回のニュース発行③各種アンケート調査
等ですが,近年は④講師派遣⑤各種問い合わ
せなども増え,少しずつ職能団体としての地
域社会への貢献と言語聴覚士の社会的地位の
向上が図られつつある段階です.
発足から6年間はまさに基盤作りの時代で
愛媛県言語聴覚士会は2000年(平成12年)
した.前身の愛媛県聴覚言語障害研究会も各
9月3日に「言語聴覚士の知識,技術,資質の
分野から集まり,互いの情報交換はしていま
向上並びに言語聴覚士の社会的地位の確立,
したが,一部の集まりであり,横の繋がりの
向上に努め,県民の保健,医療,福祉,教育
乏しい会でした.しかし1997年(平成9年)12
の発展,充実に寄与すること」を目的に発足
月に言語聴覚士法が成立し,1999年4月に
しました.
4,003名の言語聴覚士が誕生してからは養成
会の前身は『愛媛県聴覚言語障害研究会
校が増え,毎年1,000名程が合格する時代とな
(1991年12月より隔月)』であり,更に遡れ
りました。更には2002年の診療報酬改定で言
ば2病院2~3名で始めた『失語症研究会(1981
語聴覚療法の診療報酬が引き上げられると言
年4月より毎月)』や四国4県のSTが集まり
語室を開設する病院が増加し,新卒者しかも
情報交換をし合った『四国失語症研究会
一人職場の言語聴覚士が増え,相談の場を求
(1982年4月より隔月)』等が上げられます.
める声をよく聞くようになりました。
会員は①正会員(県内に勤務または居住す
2000年(平成12年)1月には日本言語聴覚
る言語聴覚士の免許を有する者)②準会員(指
士協会(以下協会)が発足したこともあり,
定校を卒業した者)③賛助会員(本会の趣旨
職能団体としての県士会発足の気運が更に高
に賛同する個人及び団体)で構成されており,
まり当会も無事発足.しかし慣れない大所帯
正会員・準会員の入会金2,000円・年会費5,000
の会の運営と何と言ってもシャイで慎重,な
円と賛助会員の年会費10,000円で運営してい
かなか初対面の人とは交流できない県民性が
ます.平成23年3月末で正会員148名・賛助会
邪魔をしてギクシャクした船出でした.そこ
員11団体となっています.
で1,2年度は会員をグループ分けし,テーマ
毎年4月に総会が開催され,年度内の事業内
に沿って研究・発表するという苦肉の策まで
容が決定されますが,その活動は25名の理事
飛び出しました.多少の文句は出ましたが,そ
によって支えられています.理事会は偶数月
れでも会員全員が真面目に取り組んだお陰で
に開催され,会長・副会長はそのための準備
互いが馴染み,意見交換も出来るようになり
会を奇数月に行います.理事会は会長1名・副
ました.今後は「外に向かってしっかりとアピ
会長2名の他,事務局・財務部・広報渉外部・
ールできる県士会」を目指して,会の組織を
学術教育部で組織され,2006年(平成18年)
整備し,会の体力をつけ,一般の方々への広
からより会員交流の円滑化を図ろうと福利厚
報活動にも力を入れていきたいと考えていま
生部を配置しました.
す.
主な事業内容は①研修会,講演会の開催②
発足当初より懸案であった協会の下部組織
としての都道府県士会協議会への加入は当会
を受講したい方も多いのではないでしょう
にとって大きな弾みとなったように思います.
か? どうぞお早めに受講されることをお勧
先ずは協会より会長・副会長にご来県いただ
めします.
き,協会の役割について詳しくご説明いただ
このように様々な恩恵を協会から受ける一
いた上で,再度協議会加入への賛否と組織率
方で,我々にも協会活動には出来るだけ協力
(県下有資格者の6割が県士会会員であり,
したいという役割意識が生まれ,「言語聴覚
且つ当時は会員の7割が協会員という条件が
の日」には協会の要請に応じ,一般市民に向
ありましたが,7割の条件は2008年度から撤廃
けに講演会,相談会を開催し,2010年度には
されました)を調査しました.僅かに足りなか
“言語聴覚士”のロゴの入ったうちわ1,000
った協会加入率を説明と同意で何とかクリア
枚を製作し,一般の方々に配布するといった
し,2007年(平成19年)3月に全国で20番目,
取り組みも実施しました.今年は中予地区で
四国で最初に協会の都道府県士会協議会に加
の開催を予定しています.一人でも多くの言
入するに至りました.加入してのメリットは,
語聴覚士の皆さんにご参集いただき,啓蒙活
何と言っても情報が早いことです.協会ホー
動にもご協力いただければと思います.
ムページ掲載よりも早い時点で協議会宛にメ
県士会活動も協会活動も,先ずは参加して
ールが届きます.また,資金的にも3ヶ月前ま
みること.そして与えられること,期待される
でに申請すれば『活動支援補助金』として講
ことには前向きに取り組み,成長の糧にする
師謝金+経費10,000円(計50,000円以内)の
ことだと思います.
援助が得られ,2007年度には矢守真奈先生,
「愛媛の真面目なジュースです」――真面目
2008年度館村 卓先生,2009年度大槻美佳先生,
が勝ち過ぎて二の足,三の足を踏んでしまい,
2010年度西尾正輝先生をお迎えし,それぞれ
発展に結び付けられないところもありますが,
大変有意義な講義をしていただきました.他
必要と思えば「四国初」のことでも大胆にや
にも生涯学習プログラム基礎講座を開催する
ってのける真面目さとパワーがある愛媛の言
ことが出来ることになったことで,2008年度
語聴覚士です.これからも言語聴覚障害者を
には四国初の『全国研修会(基礎2・専門1)』
はじめ地域・社会のため,互いに力が尽くせ
を開催すると共に,2009年度からは県士会新
たらと思います.
人教育プログラムに併せて,県内講師での基
礎講座を,更に2010年度は四国言語聴覚学会
(愛媛大会)に併せて専門講座を開催するこ
とができました.
協会では2008年度から認定言語聴覚士制度
がスタートしましたが(現在『摂食・嚥下領
域』と『失語・高次脳機能障害領域』の2領
域),これには満5年を超える臨床経験と生涯
学習システム専門プログラムの修了が受講条
件となります.そのためにも早く多くの講座
文責 岡田純子・古田伸治