Vol.59(2016年4月発行)

川崎病院ニュース
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ほほえみ
川崎病院開院
2 016 年4 月 発 行
発行責任者 病院長 中村 正
編集責任者 浦野 聖史
〒652−0042 神戸市兵庫区東山町3丁目3番1号
TEL (
: 078)
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Vol.59
8 0 周 年を迎えて
理事長 市 原 紀久雄
平生釟三郎社長像(西館北出入口前)
川崎病院は1936年(昭和11年)1月6日、当時の川
崎造船所平生釟三郎社長の「協同互助」の精神のも
と、全川崎関係企業の職員と家族の福利厚生のために
設立されました。当時の健康保険は未熟であったため、
会社の職員しかカバーしていませんでした。そのような
中で、職員の家族に対する診療も業務として取り上げ
たのは画期的なことであります。平生釟三郎社長は病
院と同時に東山学校と給食所を設立しました。東山学
校は造船所の工員さんの教育のための学校でした。給
食所は工員さんの弁
当のおかずがたくあ
ん二切れというよう
な状況にあることに
気づき、栄養改善の
ために給食を開始し
たとのことです。川
崎病院はこの平生社
長の理念から生まれ
開院当時の川崎病院
た三つの福利厚生事
業の一つとして誕生しました。これらの事業の範囲が企
業の労働者とその家族に限られていたとはいえ、当時
の社会情勢や日本人の生活水準を考えると、医療・福
祉・教育の重要性を認知した非常に先進的な高い理念
の元で川崎病院が誕生したことを私は誇りに思ってお
ります。
そして、創立以来80年が経過しました。この間、日本
の政治や社会、経済状態、人口動態の変化などの影響
を受けて、川崎病院は時には大きな、時には小さな変
革と変遷を重ねて現在に至っております。この80年の歴
史の中で特筆するべき事項は1950年(昭和25年)の医
療法人への移行です。敗戦処理ための財閥解体の結果、
川崎病院は企業病院から医療法人に改組され、診療の
範囲が川崎重工関係の職員・家族から地域の人々に拡
がり、兵庫区を中心とした神戸市街西部にお住まいの
人々のための病院となりました。以来、川崎病院は地域
の人々から信頼されるように努力を重ねて参りました。
現在の川崎病院のミッションは何でしょうか。現在の
日本は高齢化社会へ急速に変化しています。川崎病院
は神戸市の中でも高齢化が最も進行している地域に位
置しています。兵庫区や長田区などの高齢化率はすで
に30%を超えて全国のトップクラスです。このような地
域で川崎病 院は今後どのような役割を果たすべきで
しょうか。今までの急性期病院としての機能は、この地
域の高齢化がどれだけ進んでも必須の機能でありま
す。これからは施設や在宅医療を受けている高齢者の
急変時における迅速な対応が大きな使命となってきま
す。また、近年は地震や台風、洪水などの自然災害が多
発しています。川崎病院は神戸市の「災害対応病院」に
指定されています。災害時には高齢者の多い地域とい
う特性の中で救急医療に当たる覚悟です。
医療の内容にも大きく変化が求められます。まず、高
齢者の医療は完治することはまれです。その後の生活
をどのように充実させるかに重点を置かなければなり
ません。医療はこれまで以上に、患者さんの負担をい
かに軽減するかが求められるでしょう。医療内容の高
齢化への対応は今後の川崎病院の課題です。
急性期を過ぎた患者さんのその後の生活環境も考え
なければなりません。すでに存在する在宅医療支援室
や地域医療連携室は、急性期を過ぎた患者さんをス
ムースに地域の帰っていただくための重要な病院機能
です。逆に在宅や介護施設の患者さんの急変時の受け
入れも重要な任務です。これがうまく機能するためには
在宅医療や介護の施設との円滑な協力関係の構築は
必須です。私たちは創立時の「協同互助」の精神を現在
に生かさねばなりません。現代の「協同互助」は地域の
医療機関や介護施設、福祉関係の人々との協働作業に
より、お互いに助け合って共存共栄をはかり、地域の
人々が安心して暮らせる環境の整備、街作りに力を尽くす
ことではないでしょうか。行政が提案する「地域包括ケア
システム」の一員として、川崎病院は急性期医療を受け持
つことにより、地域の人々が安心して生活する空間をこの
地に共に構築し運営
することが 今 のミッ
ションです。創立時の
「協同互助」の精神に
立ち返り、多くの高齢
者がお住まいであるこ
の地 域の生 活を支え
る存在になれるよう努
現在の川崎病院
力したいと存じます。
「ただのむくみ」と 侮 らないでください
透析看護認定看護師 中 田 千鶴子
ることが多いです。
心臓病、腎臓病、肝臓病で起こるむくみの多くはこれら
の病気が進行してから起こってきます。ふだん健康な人が、
夕方にむくみが強くなるが、朝にはむくみが消えている場
合は様子をみてもよいと言われています。むくみに気がつ
いた時は以下の症状に気をつけてください。
むくみが一日中持続しますか
足のむくみに悩まされている方も多いのではないでしょ
うか。今回は体のむくみについてお話させていただきます。
むくみが何日も続きますか
むくみとは、体内の組織など血管の外に、余分な水分
体重が増えましたか
(血しょう成分)がたまった状態のことです。血しょう成
顔やまぶたがむくみますか
分とは血液の液体部分で、血液が運んできた栄養分や酸素
を、腎臓や肺などの組織に運んでいます。役割を果たした
尿の出方や出る量が変わりましたか
血しょう成分は、通常は血液に戻ります。しかし、何らか
坂道や階段で息がきれたり、疲れやすいなどの
の原因で組織液が血管に戻らず過剰にたまるとむくみとな
症状がありますか
ります。足のむくみは長い時間、立ち続けていると目立っ
てきます。それは重力に逆らって足の血液を心臓に戻すの
に大きな負担を強いられるからです。靴下のゴムあとが
くっきりと残ったり、靴が窮屈に感じるようになった時、
指で押さえてみるとくぼみができるようならむくみです。
<病気が原因で起こるむくみ>
むくみが下半身だけでなく全身
(特に顔や手など)に感じるなら
腎機能が低下している場合があり
むくみが起こる代表的な病気は、心臓病、腎臓病、肝臓
ます。1日経ってもむくみが続く
病、甲状腺機能低下症、足の静脈瘤などです。足の静脈瘤
場合やさまざまな症状が出る場合
は外から見てもみみずのように曲がりくねった静脈が分か
は医師の診察を受けましょう。
当院の退院支援教育プログラム
が神戸新聞にて紹介されています
入院患者さんが在宅医療にスムーズに移行するには看護
師やソーシャルワーカーなどの退院支援が欠かせません。
川崎病院では在宅医療支援室の鶴屋看護師︵老人看護専
門看護師︶が中心となって看護師への退院支援教育を積極
的に行っておりますが、先日この教育活動を神戸新聞様に
取り上げていただきました。在宅医療の需要はさらに高ま
ると思われますが、当院は地域に密着した急性期病院とし
て、退院後の患者さんの生活を見据えたサポートをこれか
らも行って参ります。
癌患者さんの 呼吸困難症状 について、地域の医療・福祉機関の方といっしょに考えました
3月3日(木)に森本医院の森本有里先生とNPO法人神戸なごみの家
から松本京子先生をお招きして、緩和ケア研修会を開催しました。当日
は院外からも多くの方にご参加いただき、会場は写真のようにほぼ満員
という状態でした。
今回は、当院には呼吸困難症状のある患者さんが多く入院されている
ことから、実際の事例を基にケーススタディを行い、経験豊富な両先生
からコメントやご指導をいただきました。参加した職員からは「呼吸困
難感に対して決定的な治療はなく、本人の苦しさを緩和させるための治
療が必要なこと、コントロールがいかに難しいかが分かりました。患者
さんが苦しいと訴えているとき、その訴えを最優先に尊重することや、
自身の苦しみに対して『やってくれている』と実感してもらえるケアが
大切であると学びました。今後の業務に活かしていきたいと思います。」
との感想を聞くことができました。
川崎病院では地域医療を推進すべく、これからもこのような研修会を
開催して参ります。
川崎病院は医療の質の向上に努めています
TQM発表会を開催しました
12月3日(木)に毎年恒例のTQM(Total Quality Management)発表会を行いました。
今年は以下の6チームが発表を行いました。
臨 床検査科 テーマ:再検再見(さい
放 射線科 テーマ:∼永遠の0∼
けん つぁいつぇん)
薬 剤部 テーマ:鑑別に関連した業務の効率化を図る
西 館7階病棟 テーマ:手術オリエンテーションにかかる時間を短縮する
西 館3階病棟 テーマ:タイムロスよ おさらば。。
西 館6階病棟 テーマ:Work Life Balance , a change for the better
どの発表も素晴らしいものでしたが、
審査の結果、1位から3位は次のようになりました。
1位 薬剤部
※優勝した薬剤部
2位 西館7階病 棟
3位 臨床検査科
TQM活動の目的は発表ではなく、医療サービスや経営の質の向上にあ
ります。この活動を一時的なもので終わらせるのでなく、日々の診療に活
かして、患者さんの健康や病院の健全経営に貢献していきたいと思います。
発表された部門のみなさま、お疲れ様でした。
12月5日(土)の午後に恒例のクリスマス会を開催しました。特設ス
テージでは、研修医とはばたんによるAED劇場(レクチャー)や、神戸
大学アカペラサークルによるクリスマスライブ、Mah-Kunによるマジッ
クショーが、東館1-2階のイベントブースでは白バイや消防車との写真
撮影会やバルーンアート、ダーツなどが行われ、小さなお子さんを中心
に多くの来場者で賑わっていました。また、今年も正面玄関前にぷち屋
台を出し、来院されたみなさまに美味しいおやつを食べて頂きました。
クリスマス会は川崎病院が地域にお住まいの方に我々の感謝の気持ち
をお伝えするために、毎年開催している催しです。毎年恒例の企画から、
今回初めて行う企画まで、多くのイベントが院内で行われていました。
これらはクリスマス会実行委員会や看護部総務委員会のスタッフが中
心となって、患者さんや近隣にお住いの方々に楽しんでもらいたいとい
う気持ちから、夜遅くまでかかって練り上げた企画です。実行委員会、
総務委員会のみなさま、お疲れ様でした。そして、ご参加頂いたみなさま、
ありがとうございました。
糖尿病(基礎・応用)講座のお知らせ(平成28年4月∼平成28年8月開催)
【外来糖尿病教室基本コース】
外来糖尿病基本コースは、はじめて糖尿病と診断された方とご家族、糖尿病について基本から知りたい方、糖尿病境界型の方を対象にして
開催しております。
(テーマごとに深く知りたい方は【糖尿病実践講座(外来糖尿病教室応用コース) 】にご参加下さい。)
目 的 糖尿病についての基本的知識の習得 内 容 ビデオ鑑賞、糖尿病の講義、栄養の講義
場 所 全コースとも西館4階 糖尿病教室 受講料 無料(テキスト代210円のみご負担下さい。)
第242回 平成28年4月22日(金)
第243回 平成28年5月27日(金)
第244回 平成28年6月24日(金)
第245回 平成28年7月29日(金)
第246回 平成28年8月26日(金)
午後1時30分∼4時
午後1時30分∼4時
午後1時30分∼4時
午後1時30分∼4時
午後1時30分∼4時
【糖尿病実践講座(外来糖尿病教室応用コース) 】
応用コースでは糖尿病について基礎知識のある方とそのご家族を対象に開催しております。
第87回 平成28年5月13日(金)
第88回 平成28年7月8日
(金)
※両日とも詳細は決まり次第、ホームページなどで報告します
申込方法
基本コース、応用コースともに東館1階の 内科外来にてお申し込み下さい。
※川崎病院糖尿病教室には川崎病院に通院していない患者さんも参加できます(診察不要)。
歯 科 口 腔 外科
部長就任ご挨拶
ご
と
う
い
く
こ
歯科口腔外科 部長 後 藤 育 子
専門分野または得意分野 口腔外科一般
趣
趣 味
味
ガ
ガー
ーデ
デニ
ニン
ング
グ
資 格 口腔外科学会認定医
これまでの経験をいかし、地域医療に貢献できるよう、また竹野々先生はじめ諸先輩方が築いてきた川
崎病院歯科口腔外科をさらに発展させられるよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
※竹野々先生は非常勤医師として今後も当院で手術を行ってまいります。
川崎病院医療理念
「 良質な医療を提 供 し 、 信 頼 さ れ る 病 院 に 」
基本方針
1.地域の人々の疾病の治療と健康の維持に、
患者様の権利
1.良質で適切な治療を受ける権利
他の医療機関と連携し貢献します。
2.医療上の情報の説明を受ける権利
2.患者様の権利と尊厳を尊重し、病状と治
3.セカンドオピニオンを受ける権利
療方針を充分に説明し理解していただく
4.人格を尊重され治療を自己決定する権利
よう努めます。患者様の個人情報は決し
5.プライバシーを尊重される権利
て第三者に漏らすことはありません。
6.尊厳を擁護される権利
3.患者様が心地よく治療に専念できるよう
患者サービスに努力します。
4.医療にたずさわる人間としての使命感を
すべての患者様が等しく、上記の権利を行使
できるよう、患者様には病院の規則を守り、
持ち、より高い知識と技術の習得に努力
他の患者様や職員、その他の人々に迷惑をか
し、安全で高度な医療を提供します。
けない責務があります。
5.働きがいのある職場環境を形成します。