平成27年度福井県観光アカデミーまとめ(PDF形式 801キロバイト)

●福井県観光アカデミーについて
福井県では、観光まちづくりや観光産業をマネジメントできる人材を育成するため、福井市の出
身で日本の観光産業を代表するジェイティービー代表取締役会長田川博己氏を学長に迎え、平
成27年8月に「福井県観光アカデミー」を開講しました。
観光産業をマネジメントしていくリーダーの育成と
いうこれまでにない研修でもあり、興味、関心が高く、
30名の募集に対し46名の応募があり、受講者の選
考が行われました。
県内14市町の 20代から50代の男性19名、女性
11名の計30名が受講生となり、うち民間事業者か
ら17名の参加があるなど、県の観光をレベルアップ
させたいという思いを持った方々が、官民、男女問わ
ず幅広く集まりました。
●第1回(H27.8.31 福井市国際交流会館)
講師:田川博己氏((株)ジェイティービー代表取締役会長)
【公開講座】
30名の受講生を含め180名が参加して、田川学長の公開講座
を実施しました。田川会長は、「真の学美(まなび)の福井へ ~福
井におけるイノベーションツーリズムとは~」と題して、これからの観
光ではストーリー作りが一番大事」「福井県は学びの習慣があるの
で、学びや体験ができる組み立てを各地域で作ってほしい」と講義
を行い、受講生は熱心に聞き入っていました。
【開講式】
公開講座の終了後に開講式が行いました。学長から受講生に対し、
「半年間で10回講義という濃密な内容だが、お互い切磋琢磨し力をつ
けていけるよう貪欲に学んでほしい」と激励がありました。
また、福井県の佐々木康男観光営業部長が「福井県の観光」として、
講義を行いました。
講義後には、受講者の意見交換会が行われ、参加者が自己紹介や
名刺交換などで打ち解けるとともに、次回からの講義に向けた意欲を
話していました。
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●第2回(H27.9.28 福井市国際交流会館)
●第3回(H27.10.15 福井市国際交流会館)
講師 加藤誠氏((株)ジェイティービー旅行事業本部観光戦略部長)
武田道仁氏((株)JTB中部交流文化部マネージャー)
加藤講師からは、前回の田川学長の公開講座の振り返りや、国の大
きな動向に加え、田川学長の講義をより具体化した「観光まちづくりの
マーケティング活動」「地域資源を活用した観光商品の作り方・売り方」
「旅行会社との「連携」・「協働」の留意点」などの講義が行われました。
また、武田講師からは、自地域の可能性の考え方として、成功している
地域での取り組みや地域資源の活用方法、商品化の事例と、地域資源を
いかにして磨き上げていくか、その整理の仕方などに関する講義が行わ
れました。
第3回講義の後半には、各地域ごとにわかれグループで、各地域の地
域資源の発掘や、整理についてディスカッションが行われ、参加者が自地
域について議論を深めていました。
●第4回(H27.10.26 敦賀市ウェルサンピア敦賀)
講師 宮口直人氏((株)JTBモチベーションズ ソーシャルビジネス局コンサルタント)
この回から、研修はグループワークの時間が大きく増えて、
グループ内の意見交換が活発になってきました。宮口講師から、
分析、戦略などの定義を理解する講義があった後は、グループ
で「地域の強み、弱み」や「観光まちづくり戦略」について考察を
行いました。
宮口講師が各グループでの議論の中に入って助言を行うこと
で、グループの議論が活性化し、理解も深まっていました。
●第5回(H27.11.18 福井市国際交流会館)
講師 犬養裕美子氏(レストランジャーナリスト)
日置圭子氏((株)粋まち代表取締役)
この回は、ゲストスピーカーによる講義を行いました。
犬養講師は「食から見る、観光」として、国外の事例の紹介
や、福井のお土産についての受講者との意見交換や、地方
レストランの作り方について、豊富な経験に基づく非常に熱
心な講義を行いました。
また、日置講師からは東京神楽坂のまちづくりについて、あ
るものを活かして、地域の人が次々主役となれるネットワーク
を作ることが大事で、行政の支援なしでもやれることはたくさ
んあるという事例の紹介に、受講者も関心を示していました。
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●第6回(H27.11.30 福井市国際交流会館)
●第7回(H27.12.14 越前市福祉健康センター)
●第8回(H28.1.12 福井市国際交流会館)
講師 宮口直人氏((株)JTBモチベーションズ ソーシャルビジネス局コンサルタント)
第6回から第8回は、宮口講師から最終プレゼンテーションに向けた商品やサービスの提案
に必要な観光マーケティングの講義と、グループディスカッションが行われました。
各グループとも観光アカデミーで学んだことを活かした地域振興策とその具体策である商品、
サービスの提案に向けて、宮口講師の的確なアドバイスや、丹念な指導などを受けて、それぞ
れの地域の特色を生かした企画の作成を進めました。
この時期には、各グループにパソコンを用意し、グループワークの中で企画書作成に取り組み
ましたが、講義時間以外にもグループで集まって議論するグループや、メールでのやりとりで企
画を詰めていくグループなど、各グループが企画のブラッシュアップに熱心に取組んでいました。
●第9回(H28.1.25 福井市国際交流会館)
講師 伊藤太陽氏((株)JTBモチベーションズ モチベーションコンサルティング局長)
第9回は「やる気を引き出す人と組織のマネジメントを学ぶ」と題して、モチベーションとは何
か、他者のモチベーションの高め方などについて、講義とグループワークを実施しました。
伊藤講師からは、モチベーションの特徴やその維持・向上について、アンケート式のチェック
シートや集計ツールを使ったわかりやすい講義が行われました。
●第10回(H28.2.15 福井市国際交流会館)
講師:小田禎彦氏((株)加賀屋代表取締役相談役)
【公開講座】
30名の受講生を含め230名が参加して、加賀屋の小田相談
役の公開講座を実施しました。小田相談役は、「おもてなしの心
で地方創生 ~すべては訪れるお客様のために~」と題し、「おも
てなしとは何か」「サービスの本質は正確性とホスピタリティにあ
る」など、加賀屋のおもてなしについて講義を行いました。受講生
は、日本一と言われる加賀屋のおもてなしの本質や心構えにつ
いて学びました。
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【受講者プレゼンテーション】
公開講座の終了後、田川学長やジェイティービー加藤観光戦略部長、県佐々木観光営業部長をはじめ
として県内市町観光担当者や観光協会など約60名が参加し、受講者プレゼンテーションが行われました。
各グループとも、7か月間観光アカデミーで学んだ知識、考え方を踏まえ、地域の現状や課題を整理し、
目指すべきビジョンと具体的な事業提案、その事業の運営体制について、各地域の特色を活かし、それぞ
れが異なった観光振興策の提案を行いました。
○Happy若狭路(嶺南地区)
(提案)
・嶺南全体を一つの観光地域と考えた、若狭路観光連携共同出資会社の設立
・若狭路宿泊者限定でレインボーラインでの盆踊り大会&イルミネーション、若狭路ウォーク
(コメント)
・DMOは出資と事業内容の作り込みがポイントでこの発表のままでは難しいかもしれないが、地域住
民の参加がDMOの本質なのでそこを考えたことが良かった。
○チームHESO(丹南地区)
(提案)
・地域内にある産業に関する施設、体験施設をつなぐ「越前モノづくり街道」を設定
・教育旅行、本物志向、インバウンドを狙い、「越前 ECHIZEN」ブランドをメジャー化
(コメント)
・教育旅行から始めるのが一番いいのではないか。
・これだけのものをやろうとすると宿泊が伴う、どこに泊めてどの時間帯で体験するといった流れを考
えるともっといい。
○コンシェルジュあじさい(福井地区)
(提案)
・福井の歴史文化を活かし、五感で楽しむ夜の戦国時代ツアーを実施
・お土産品の開発・販売、戦国文化の継承、唐門前での大宴会
(コメント)
・この提案がバスツアーとかでできるのであれば、できるだけ早くやってみてはどうか
・事例としては他県にもあるので、演出をしっかりして「コト」を伝える仕組みを作ることが大事
○OKEいこっさラボ(奥越地区)
(提案)
・3市町の道の駅、観光地などを巡る周遊バスを運行
・女性向けの「パワースポットコース」、お酒好きにたまらない「日本酒飲んべぇコース」などを用意
(コメント)
・具体的にルートをどう使うかが一番大事、バスや鉄道で使える地域のパスなどが必要ではないか
・二次交通が整備されていない理由を押さえて進めるともっといい。
○湯るさと倶楽部(坂井地区)
(提案)
・地域の観光事業者、その他産業、住民を巻き込み「幸せ地域づくり会議」の立ち上げ
・幸福ポイント制度を創設し、ポイントに応じた幸福商品を販売
(コメント)
・内容的に面白いが、作るまでに相当な仕掛けと仕組みが必要
・観光を基軸に考えるのであれば、もう少し具体的な観光に関する案があるともっといい
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受講者プレゼンテーションの様子
【閉講式】
受講者プレゼンテーション終了後に閉講式が行われ、29名の修了生の代表者に田川学長から修了
証が手渡されました。
学長から受講生に対し、「先ほどのプレゼンテーションで発表されていたような知識や考え方がこれか
らの観光に必要」「この福井県観光アカデミー1期生のネットワークを活かし、地域の観光振興を担う中
心的な存在になってほしい」「観光アカデミーの学長として、1期生皆さんの活動を支援していきたい」と、
温かい言葉が贈られました。
終了後には、田川学長なども参加した懇親会が行われ、7か月間ともにアカデミーで講義を受け、受
講者の仲間意識も高まったこともあり、名残惜しそうに交流を深めていました。
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●観光アカデミー受講生へのアンケート
平成27年度の福井県観光アカデミーの受講者に対する、アンケートの結果です。
(「非常に満足」、「満足」、「普通」、「不満」、「非常に不満」の5段階で評価)
○受講して、総合的にどの程度満足したか
・受講生の96.6%の方が「非常に満足」、「満足」と評価しました。
○講師はどうだったか
・受講生の96.6%の方が「非常に良い」、「良い」と評価しました。
●受講生からの声
30代・女性
・県内の観光に携わる関係者とのネットワークを築くことができたのが、非常に大きな収穫。
・観光まちづくりの基礎、成功事例、観光マーケティング等専門のスキルをプロの講師から学ぶこ
とができモチベーションアップにもつながった。
30代・男性
・地域の活性化にあたり、観光とどう向き合って進めていくか、地域の現状の分析の仕方、
マーケティングの方法などの勉強ができた。
・講師の説明も聞きやすく、理解しやすい事例を入れた説明で、困っているときにも豊富な知
識で各グループに対して適切なアドバイスをしてもらい大変助かった。
40代・男性
・観光分野に関する新しい発見、学習ができた。直ちに活かせるかはわからないが、多くの知
識を身につけることができた。
・今までの業界とは違う業種の方と幅広く交流ができ、自分のグループの方と太いパイプを作
ることができた。
30代・女性
・マーケティングの手法、考え方をしっかり学ぶことができた。
・ブランド化や地域の巻き込み方なども具体的に学ぶことができた。
・講師の方々は皆わかりやすく、熱意を持った講義を行ってもらい、有意義だった。
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