が、北方ジャーナルで取材・紹介されました。

Medical Report
日本で年間約140万件の手術が行なわれる白内障。その最も新しい
治療法が低侵襲性で術後感染症のリスクを軽減したレーザー手術だ。
メディカルグループ・カルナメドが運営する「眼科手術クリニック カ
ルナメドアイ」
(札幌市中央区)では、このほど北海道内として初のレー
ザー白内障治療機器を導入。糖尿病やがんなどで感染症リスクが高い
患者にも安心して治療を受けてもらうため、オプションとしてレーザー
治療と免疫治療などを組み合わせた「カルナメド・スタイル」を提案し
ている。本道で始まった白内障治療の最前線をグループの核である医
療法人 芳佑会の高柳芳記理事長とレーザー治療の責任者である河原温
医師(カルナメドアイ釧路院長)に取材した。
多くの眼科で行なわれる
白内障手術に潜むリスク
代のロシア人男性で、白内障の
レーザー機器の前で執刀医が患者
に声を掛けた。患者は札幌近郊に住
む
率は
代 で 7 〜 8 割、
早い人では
〜
代 で 9 割、
代で症状が出る場
50
分程度で済
全自動で水晶体を破砕する
これに対してレーザー機器を用い
る白内障手術は、前のう切開と水晶
レーザー手術のメリット
れない。
前述のさまざまなリスクを大幅に低
このほどカルナメドアイでは、世
体の破砕までを全自動で行なうため
このため術後の合併症、特に感染
症のリスクの高い糖尿病患者や高齢
減できるメリットがある。
ケースもあった。
の合併症を引き起こす心配も拭いき
自動化と免疫 治療の相乗効果で
患者の感染リ スクをゼロにする
者には、すぐに手術を勧められない
角 膜 症 」な ど 失 明 の 怖 れ の あ る 術 後
に 水 が 溜 ま り 水 泡 が で き る「 水 泡 性
り炎症を起こす「術後眼内炎」や角膜
るリスク、さらに眼の中に細菌が入
ま た、 超 音 波 の 衝 撃 で 眼 の 細 胞、
特に角膜内皮細胞にダメージを与え
否めない。
験、症例の難易度に左右される面が
な技術を必要とし、医師の技量や経
求められるため、実際はかなり高度
わめて狭い眼内空間で繊細な作業が
易な手術と思われがちだ。だが、き
この外科治療は多くの眼科クリ
ニックで行なわれており、比較的容
み、日帰りできる。
の。難症例でなければ
畳んだ眼内レンズを入れるというも
時に吸引。空洞になった部分に折り
を挿入し、水晶体を細かく砕くと同
す。そこから超音波の出る別の器具
い る 前 の う( 袋 の 前 側 )を 丸 く 剥 が
用の器具を入れて水晶体を包んで
で麻酔をした後、角膜を切開し、専
による次のような手術だ。まず目薬
的に知られているのは、医師の手技
治療法は濁った水晶体を眼内レン
ズに取り替える手術しかない。一般
合もあるという。
40
歳以上でほぼ100%とされるが、
60
たら要注意だ。老人性白内障の有病
る 」「 目 が か す む 」な ど の 症 状 が 現 れ
て し ま う 病 気。「 光 が ま ぶ し く 感 じ
する水晶体のタンパク質が白く濁っ
今回のテーマの白内障は、加齢や
紫外線による酸化でレンズの役割を
した流れを象徴するものと言える。
度が飛躍的にアップしたのは、こう
レーザー手術の登場で安全性と精密
先と経験が頼りだった白内障治療が、
医療はより体の負担の少ない方向
へと進化している。医師の繊細な指
いう。
中でも瞳孔が開きにくい難症例だと
50
80
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THE HOPPO JOURNAL
2016. 6 .
2016. 6 .
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「では、これから始めます」
「カタリス・プリシジョン・レーザー」で治療を受けるロシア人患者。照射時間はわずかに 30 秒ほどだ
(札幌のカルナメドアイで)
70
20
最先端のレーザー白内障手術を
導入した札幌のカルナメドアイ
Medical Report
射するだけ。これで前のうが真円状
秒間ほど照
る。後は3次元モニターで進行を確
で、レーザー機器と眼球を密着させ
どを元に綿密な手術計画を立てた上
きさや角膜と水晶体の厚み、位置な
うなものだ。まず、患者の瞳孔の大
器による白内障手術の流れは次のよ
レ ー ザ ー」を 導 入。 こ の レ ー ザ ー 機
社製の
「 カ タ リ ス・ プ リ シ ジ ョ ン・
界最高峰と言われる米国・アボット
手術は眼内レンズに合わせて正確な
まうことがあった。だが、レーザー
うの不均一な収縮によってずれてし
経過するとレンズが傾いたり、前の
入らなかったり、挿入しても時間が
じるため、稀に眼内レンズが上手く
手技ではどうしても多少の歪みが生
リ ー ハ ン ド で 行 な っ て い た。 だ が、
従来の手術では、前述のように前
のうを丸く剥がす作業を医師がフ
アップしたという。
て低く、安全性と精密度が飛躍的に
えられるため合併症のリスクは極め
の、眼内で行なう手技が最小限に抑
帰っていった。
休憩してからしっかりした足取りで
う ご ざ い ま す 」と 挨 拶 し、
シ ア 人 男 性 は、 日 本 語 で「 あ り が と
わった。ベッドから立ち上がったロ
とされた手術は両眼で
い出し、眼内レンズを挿入。難症例
手つきで細かく砕かれた水晶体を吸
レーザー照射を終えた男性が手術
ベッドに移動した。執刀医が慎重な
推奨している。この多焦点レンズの
ントの合う眼内プレミアムレンズを
クは老眼を解消する遠・中・近でピ
ザー手術の強みだ。
感染症を限りなくゼロに
分ほど
分ほどで終
性能を最大限に引き出せるのもレー
に剥がされ、水晶体が細かく砕かれ
円で前のうを剥がすことができるの
認しながらレーザーを
た状態となる。
とがないという。
通常手術とレーザー手術の違い。大幅に工程が
短縮化されている
化しても少ない頻度で感染症は起こ
ります。それをゼロに近づけるため
に、カルナメドアイでは、がん免疫
治療、遺伝子検査を白内障手術に応
用しました」
こう話すのは、メディカルグルー
プ・カルナメドを率いる高柳理事長
んメディカルクリニックカルナメ
幌駅北口直結のビルに開院した
「が
出す際に超音波器具は使われるもの
リウマチ、全身性エリテマトーデス
カルナメドでは、この他に、①抗
がん剤を使用中のがん患者 ②関節
れている。
る一定の確率で発症することが知ら
これまで手術に使う眼内レンズは
単焦点が主流だったが、同クリニッ
カルナメドアイではそのリスクを回
症が術後に発症している現実があり、
在、年間約3000件の水泡性角膜
眼の悪性腫瘍の診断と治療にも免疫
れており、当クリニックではすでに、
「 た だ、 レ ー ザ ー で 手 術 工 程 を 自 動
遺伝子検査など
円(眼内レンズ費用込み)。免疫治療、
で、レンズの傾きやズレが生じるこ
一連の工程は0・03ミリ以内の
誤差にプログラムされたレーザーに
ド 」が 免 疫 治 療・ 遺 伝 子 治 療 を 柱 と
などでステロイド剤を長期使用中
避するための遺伝子検査も盛り込ん
だ。
上げているのは既報の通り。
の患者 ③免疫抑制剤を使用中の患
でいます。患者さんの生活の質を向
抑えるカルナメドスタイル
「カルナメ
高柳理事長が提唱する
ド・スタイル」
とは、がん治療で培っ
者 ④原発性免疫不全症候群 ⑤抗痙
上させるための〝先制医療〟をここで
齢者をはじめ糖尿病や消化器疾患な
白内障の手術において、感染症の
ハイリスクを抱えるとされるのは高
「カルナメド・スタイル」では、こう
注意を喚起している。
「免疫機能低下」の状態にあるとして、
の付帯メニューを
ニューを含んだ費用は税別160万
で、術後感染症予防の5つの付帯メ
手術を受ける場合は全額自己負担
同グループが2012年、JR札
た技術を白内障手術にも取り入れる
攣薬を使用中の患者 ⑥白血病など
実践していきたい」
どを抱える免疫機能の低下した人た
した患者の術後感染症を予防するた
含 む も の は 税 別 350 万 円( 眼 内 レ
ン ズ 費 用 込 み )と 高 価 だ が、 前 述 し
た疾患群を抱える人をはじめ、より
安全で長期にわたるリスク回避を望
む患者にとっては大きな朗報と言え
そ う だ。 問 い 合 わ せ は「 カ ル ナ メ ド
アイ」へ。
カルナメドアイ釧路・高柳クリニック
治療を応用しています。日本では現
こと。これにより術後の合併症のう
の血液疾患 ⑦脾臓摘出 ⑧再発性歯
ちで、このような患者の場合、手術
めの万全の措置が取られる。手術前
休診日:土曜・日曜・祝祭日 ☎ 011-222-1000
を実現しようというものだ。
自体は普通に成功していても、免疫
に患者本人の血液を採血し、細菌や
札幌市中央区南1条西4丁目 20-5
札幌エスワンビル3階
受付時間:
(午前)9時〜 12 時 (午後)14 時〜 17 時
した最先端医療に取り組み、実績を
ち特に感染症を予防する
〝先制医療〟
肉炎 ⑨再発性敗血症 ⑩アルコール
と河原院長は抱負を語る。
より自動化。砕かれた水晶体を吸い
40
カルナメド・スタイルのレーザー
機能低下に起因して術後眼内炎があ
ウイルス、がん細胞を駆逐する7種
類の免疫細胞を2週間ほどかけて培
養。手術当日の午前中にそれらの免
疫細胞を輸注したうえで午後に手術
する流れとなる。
患者の免疫機能を手術前に大幅に
アップさせることで、最悪の場合は
失明に至る怖れのある術後感染症の
発症を限りなくゼロに近づけるとい
うわけだ。
「免疫細胞の効果は内科的に証明さ
☎ 0154-43-0211
釧路市南大通1丁目 3-5 13
眼科手術クリニック カルナメドアイ
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THE HOPPO JOURNAL
2016. 6 .
レーザーで砕かれた水晶体を吸い出す
依 存 症、 低 栄 養 と い っ た 患 者 群 も
カルナメドアイが導入した
「カタリス・
プリシジョン・レーザー」
都心部に立地するカルナメドアイ(左)と幣舞橋近くの
カルナメドアイ釧路・高柳クリニック(右)
2016. 6 .
レーザー手術の進行は3次元モニターで正確に管
理する
高柳理事長(左)とカルナメドアイ釧路の河
原温院長
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