Ⅱ設備(4.伝熱) ①重要項目の解説

Ⅱ設備(4.伝熱) ①重要項目の解説
「4.伝熱」で2回以上繰り返し出題のある重要項目(H8~H27)は、下記の通りで、そのポイントを解説する。
本内容は、「出題問題一覧表」の色分け問題と連動する。
ア
イ
ウ エ
高
(1)外壁の温度分布
・最も出題の多いのは、右記2例から間違いを探す問題である。
⇒ここは、「②外壁の温度分布」で詳細に解説する。
ア
ウ
イ
エ
θr
屋内
屋外
θr
屋内
屋外
温度(θ)
θo
低
θo
A
B
(2)結露
・結露とは、壁体等の温度が空気の露点温度以下の時に水滴等ができる現象である。
・暖房室につながる北側の非暖房室、および外壁の出隅部分の室内側表面は、結露しやすい。
・二重サッシの間の結露を防止には、室内側サッシの気密性を高くし、外気側サッシの気密性を低くするとよい。
・気密性が低く、すき間風の多い住宅においては、結露しにくい。
・結露や雨水の浸入によって壁の含水率が増加すると、熱伝導率は増大する。
・冬期における窓ガラス面での結露防止対策として、窓ガラスの屋内側にカーテンを設けることは、効果的ではない。
(3)熱伝達率
・外壁表面から、その近傍の空気層への熱の伝わり易さを示したものが熱伝達率である。
・伝熱計算を行う際に用いる壁体の総合熱伝達率は、対流熱伝達率と放射熱伝達率とを合計したものである。
・壁体表面の対流熱伝達率は、風速が大きいほど大きくなる傾向にある。
・壁体表面の熱伝達率は、平滑面よりも粗面のほうが大きい。
(4)密閉空気層の熱抵抗
・二重窓のガラス相互の熱抵抗は、4cmまでは増加するが、それより空気層を増加しても対流の影響で変わらない。
(5)複層ガラスの真空効果
・複層ガラスが完全な真空でも、対流熱は0でも、放射熱は0でないので、複層ガラスの熱貫流率は0とならない。
(6)グラスウールのかさ比重
・グラスウールは、かさ比重が大きくなるほど熱伝導率は小さくなる。
⇒かさ比重とは、単位体積当たりの物質の重量(重量が一定のまま体積が増えるとかさ比重は小さくなる)。
(7)アルミ箔による輻射熱の反射効果
・壁体内の中空層の表面の片側をアルミ箔で覆うと、壁体の熱抵抗は大きくなる。
(8)日射遮へい係数
・日射遮へい係数は、すりガラスではなく、普通透明3mmガラスの日射熱取得量に対する比のことである。
(9)発泡性断熱材の熱伝導率
・発泡性の断熱材で、気泡寸法が大きいものほど、対流による熱移動が多くなるので、熱伝導率は大きくなる。
(10)ガラスからの入射熱
・窓ガラスの日射熱取得率は、ガラスに入射した日射量に対する、透過日射量と吸収後放射された熱の合計である。