ウェアラブルデバイス世界市場に関する調査を実施

2016 年 5 月 16 日
プレスリリース
ウェアラブルデバイス世界市場に関する調査を実施(2016 年)
-スマートバンドが市場を牽引し、スマートウォッチも普及段階へ-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にてウェアラブルデバイス世界市場の調査を実施した。
1.調査期間:2015 年 9 月~2016 年 3 月
2.調査対象:携帯電話メーカー、ウェアラブル機器メーカー、ウェアラブルサービス事業者、通信事業者、国内半導体
メーカー、海外 ODM/EMS 企業
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、展示会取材、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<ウェアラブルデバイス市場とは>
ウェアラブルデバイスは、身体に装着して使用する IT 機器の総称である。スマートフォンとの連携、もしくは機器単独
でインターネット(クラウドサービス)に接続して様々なサービスやコンテンツを利用することが出来る。
本調査におけるウェアラブルデバイス市場は、①スマートウォッチ、②スマートバンド、③スマートグラス、④ヘッドマウ
ントディスプレイ(HMD) ⑤その他に分類し、メーカー出荷台数ベースで算出した。但し、スマートバンドの国内市場
規模は、活動量計や睡眠計等を含むスマートフォンと連携可能な健康器具のみを対象とした。
【調査結果サマリー】
◆ ウェアラブルデバイス世界市場規模は 2015 年 7,105 万 9,000 台、
2020 年には 3 億 2,278 万台を予測
2015 年のウェアラブルデバイスの世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで 7,105 万 9,000 台、カテ
ゴリ別ではスマートバンド 4,637 万台、スマートウォッチ 2,218 万台、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)87 万
4,000 台、スマートグラス 78 万台、その他 85 万 5,000 台であり、安価なスマートバンド、多数のメーカーが参
入したスマートウォッチが市場をけん引している。 2016 年の同市場は前年比 164.1%の 1 億 1,663 万 4,000
台を見込む。2020 年には全体で 3 億 2,278 万台になると予測する。
◆ ウェアラブルデバイス国内市場規模は 2015 年 209 万 2,000 台、
2020 年には 1,160 万台を予測
2015 年のウェアラブルデバイスの国内市場規模は、メーカー出荷台数ベースで 209 万 2,000 台、カテゴ
リ別ではスマートバンド 140 万 5,000 台、スマートウォッチ 61 万 5,000 台、スマートグラス 3 万 9,000 台、ヘ
ッドマウントディスプレイ(HMD)1 万 6,000 台、その他 1 万 7,000 台であった。健康志向の高まりもあり、スマ
ートバンドが市場をけん引している。2016 年の同市場は前年比 171.4%の 358 万 5,000 台を見込む。2020
年には全体で 1,160 万台になると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2016-2017 スマートフォン・タブレット・ウェアラブル/
スマートデバイス・世界市場動向調査」
発刊日:2016 年 3 月 11 日
体 裁:A4 判 518 頁
定 価:250,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 5 月 16 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1.ウェアラブルデバイス世界(グローバル)市場
1-1.2015 年の市場動向
2015 年のウェアラブルデバイス世界(グローバル)市場規模(メーカー出荷台数ベース)は 7,105 万 9,000
台だった。カテゴリ別ではスマートバンド 4,637 万台、スマートウォッチ 2,218 万台、ヘッドマウントディスプレ
イ(以下、HMD)87 万 4,000 台、スマートグラス 78 万台、その他 85 万 5,000 台であり、スマートバンド、スマ
ートウォッチが市場をけん引している。(図表 1 参照)
スマートバンドは米国及び中国が大きな市場となっている。米国市場では米国医療保険制度改革法(オ
バマケア)の影響でスマートバンドの需要が急増し、専業メーカーを中心に急成長を遂げている。中国市
場では、大手スマートフォンメーカーの周辺機器として低価格なスマートバンドが発売され、スマートフォン
人気と相まって出荷台数が急増した。
スマートウォッチについては、2015 年に大手スマートフォンメーカーの製品が世界中で発売され、大いに
話題となった。結果、スマートウォッチに対する市場の認知度は大きく高まり、その後スマートウォッチを市
場導入するメーカーが相次いだ。
スマートグラスについては、当初市場の関心は高かったものの、市場を開拓できる有力な製品やサービ
ス・コンテンツは登場しなかった。一方で HMD については、有力な製品が登場しなかったものの、アプリケ
ーション開発が急速に進み今後の市場拡大に向けた足掛かりとなった。
1-2.2016 年の市場見通し
2016 年のウェアラブルデバイス世界(グローバル)市場規模(メーカー出荷台数ベース)は 1 億 1,663 万
4,000 台(前年比 164.1%)の見込みである。カテゴリ別ではスマートバンド 6,700 万台(前年比 144.5%)、ス
マートウォッチ 4,226 万 3,000 台(同 190.5%)、HMD420 万 3,000 台(同 480.9%)、スマートグラス 130 万
8,000 台(同 167.7%)、その他 186 万台を見込む。
スマートバンドは価格が安価なこともあって急速に普及したものの、コモディティ化しており競合メーカー
間での差別化や、同じリストバンド型製品であるスマートウォッチとの棲み分け、収集するバイタルデータ
(vital sign:脈拍や心拍数などの生命に関する最も基本的な数値情報)の高度化等が求められている。ス
マートウォッチについて、本格的な普及が始まり携帯電話メーカーの多くが市場に参入しているほか、著名
な腕時計メーカーの一部が相次いで参入し始めている。それらの多くはスマートフォンとの連携を前提にし
ているものの、一部には 4G 通信モジュールを搭載した製品が出始めている。また、大手半導体メーカーに
よるプラットフォーム化の取り組みも本格化しはじめており、ハードウェア性能の更なる高度化が見込まれ、
製品としての完成度が高まることが期待される。スマートグラスについては、2016 年も有力な製品の登場が
期待できない一方で、HMD についてはスマートフォンと組み合わせて使用する製品が登場し、また大手ゲ
ーム機メーカーからゲーム機専用の HMD 製品の発売が見込まれている。対応ゲームソフトの開発も進ん
でおり、2016 年は大幅な拡大の見通しである。
1-3.将来予測
2020 年におけるウェアラブルデバイス世界(グローバル)市場規模(メーカー出荷台数ベース)は 3 億
2,278 万台を予測する。カテゴリ別ではスマートバンド 1 億 5,410 万台、スマートウォッチ 1 億 3,420 万台、
HMD1,775 万台、スマートグラス 670 万台、その他 1,003 万台を予測する。スマートウォッチ、スマートバンド
はスマートフォンの周辺機器としてだけでなく、ウェアラブルデバイス関連の中核機器への成長が期待され
る。特にスマートウォッチについては、4G 対応が進むと共に NFC を活用したアプリケーションやその利用シ
ーンが増加すれば「ポスト・スマートフォン」としての地位を確立する可能性が高いと考える。
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図表 1. ウェアラブルデバイス世界(グローバル)市場の推移と予測
単位:千台
322,780
300,000
17,750
269,420
ヘッドマウン
トディスプレ
イ(HMD)
13,580
214,265
200,000
154,100
9,900
160,905
その他
スマートグラ
ス
132,550
6,800
4,203
100,000
スマートバン
ド
110,100
116,634
87,300
スマート
ウォッチ
71,059
67,000
28,020
11,135
0
2013年
874
46,370
1,129
21,110
4,960
2014年
110,900
61,450
42,263
22,180
2015年
2016年(見込)
134,200
世界市場
合計
85,700
2017年(予)
2018年(予)
2019年(予)
2020年(予)
単位:千台
カテゴリー/年
2013年
2014年
2015年
2016年(見込)
2017年(予)
2018年(予)
2019年(予)
2020年(予)
スマートウォッチ
1,858
4,960
22,180
42,263
61,450
85,700
110,900
134,200
スマートバンド
8,192
88
21,110
418
46,370
780
67,000
1,308
87,300
2,085
110,100
3,250
132,550
4,800
154,100
6,700
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
887
1,129
874
4,203
6,800
9,900
13,580
17,750
その他
110
403
855
1,860
3,270
5,315
7,590
10,030
11,135
28,020
71,059
116,634
160,905
214,265
269,420
322,780
スマートグラス
世界市場 合計
矢野経済研究所推計
注 1:メーカー出荷台数ベース
注 2:2015 年までは実績値、2016 年は見込値、2017 年以降は予測値
2.ウェアラブルデバイス国内市場
2-1.2015 年の市場動向
2015 年のウェアラブルデバイス国内市場規模(メーカー出荷台数ベース)は 209 万 2,000 台だった。カテ
ゴリ別ではスマートバンド 140 万 5,000 台、スマートウォッチ 61 万 5,000 台、スマートグラス 3 万 9,000 台、
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)1 万 6,000 台、その他 1 万 7,000 台であり、スマートバンドが市場をけん
引している。(図表 2 参照)
スマートバンドは健康志向の高まりを背景に日本でも人気が高まっている。一部通信事業者でサービス
を提供しており、利用者が増加傾向にある。またスマートバンドの価格は数千円台の製品が多く、気軽に購
入できることも人気を後押ししている。スマートウォッチについては、大手スマートフォンメーカーの製品が
発売された。販路が限定されたものの、高いファッション性を持ち、対応する同一メーカー製スマートフォン
が広く普及していることもあり、堅調な販売を記録した。また、海外市場と同様、多くのメーカーが参入し大
手家電量販店が積極的に取り扱った結果、国内市場に於いても本格的な普及が始まりつつある。
スマートグラス、HMD については、話題のみが先行する形となり、全く普及が進まなかったが、法人市場
向けには用途開拓が始まっている。
2-2.2016 年の市場見通し
2016 年のウェアラブルデバイス国内市場規模(メーカー出荷台数べース)は 358 万 5,000 台(前年比
171.4%)の見込みである。カテゴリ別ではスマートバンド 188 万台(前年比 133.8%)、スマートウォッチ 140
万 5,000 台(同 228.5%)、HMD20 万 1,000 台(同 1256.3%)、スマートグラス 5 万 4,000 台(同 138.5%)、
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その他 4 万 5,000 台を見込む。
スマートバンドについては、低価格モデルを中心に市場拡大を見込む。スマートウォッチについては、ス
マートフォンメーカーや腕時計メーカーを中心に参入企業の増加が期待されている。スマートグラスについ
ては依然として参入メーカーは一部に留まる見通しである。HMD は海外市場と同様に、スマートフォンと組
み合わせて使う製品に加え、大手ゲーム機メーカーが VR(ヴァーチャルリアリティ)対応ゲームと併せて
HMD 製品の発売を計画しており、市場認知が急速に高まる見通しである。
2-3.将来予測
2020 年におけるウェアラブルデバイス国内市場規模(メーカー出荷台数ベース)は 1,160 万台を予測す
る。カテゴリ別ではスマートウォッチ 650 万台、スマートバンド 350 万台、HMD80 万台、スマートグラス 30 万
台、その他 50 万台になると予測する。
スマートバンドは、今後、日常的に使用する習慣づけが出来るアプリケーション、サービスが伴っていか
ないと一過性のものとなってしまう可能性がある。スマートウォッチについては、腕時計と比較して耐用年数
が低いとされており、プロダクトとしての信頼性の確立に加え、本来腕時計が持つ「嗜好品」としての価値に
対してどのような付加価値を消費者にもたらすことが出来るかが、国内における市場拡大の大きな鍵になる
と考える。スマートグラスについては、参入メーカーが非常に少ないこともあり大きな成長は期待できない。
一方で、HMD についてはスマートフォン、ゲーム機向けコンテンツの増加に伴い成長が期待される。
図表 2. ウェアラブルデバイス国内市場の推移と予測
単位:千台
11,600
その他
800
9,400
10,000
ヘッドマウント
ディスプレイ
(HMD)
680
3,500
7,100
5,080
スマートグラス
550
3,150
スマートバンド
5,000
400
3,585
2,092
457
0
2013年
201
2,700
2,200
5,000
1,880
1,194
16
59
920
185
2014年
1,405
3,500
615
日本市場 合
計
2,300
1,405
2015年
スマートウォッ
チ
6,500
2016年(見込)
2017年(予)
2018年(予)
2019年(予)
2020年(予)
単位:千台
カテゴリー/年
スマートウォッチ
スマートバンド
スマートグラス
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
その他
日本市場 合計
2013年
2014年
2015年
2016年(見込) 2017年(予)
2018年(予)
2019年(予)
2020年(予)
95
185
615
1,405
2,300
3,500
5,000
6,500
297
1
920
23
1,405
39
1,880
54
2,200
80
2,700
150
3,150
220
3,500
300
64
59
16
201
400
550
680
800
0
7
17
45
100
200
350
500
457
1,194
2,092
3,585
5,080
7,100
9,400
11,600
矢野経済研究所推計
注 3:メーカー出荷台数ベース、国内(日本)市場はウェアラブルデバイス世界市場の内数。
注 4:2015 年までは実績値、2016 年は見込値、2017 年以降は予測値
注 5:国内市場におけるスマートバンドは活動量計、睡眠計等を含むスマートフォンと連携可能な健康器具のみを対象とし
た。
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※参考資料:ウェアラブルデバイスについて
ウェアラブルデバイスは、身体に装着して使用する IT 機器の総称である。スマートフォンとの連携、もしく
は機器単独でインターネット(クラウドサービス)に接続して様々なサービスやコンテンツを利用することが出
来る。本調査に於いては、①スマートウォッチ、②スマートバンド、③スマートグラス、④ヘッドマウントディス
プレイ(HMD)、⑤その他に分類した。
表 1:ウェアラブルデバイスの概要
主な製品分野
スマートウォッチ
スマートバンド
スマートグラス
ヘッドマウントディスプレイ
(HMD)
その他
概要
腕時計型の小型コンピュータ端末の総称で、スマートフォンの周辺機器として機能する
「スマートフォン連携型」と、通信モジュールを搭載し、単独でインターネット接続可能な
ものがある。
インターネット接続・クラウドサービスとの連携を前提とした歩数計・活動量計及び睡眠
計。機能はバイタルデータ・ライフログ収集に特化している。
インターネット接続機能を持った眼鏡型ディスプレイ端末。
頭部装着型ディスプレイの総称。映像コンテンツ視聴やゲーム用ディスプレイなど家庭
用に開発されてきたが、最近ではスマートフォン向け周辺機器としても製品化されてい
る。
コンタクトレンズ内蔵型やウェア(衣服)型端末、リング(指輪)型端末、スポーツ用品(ラ
ケット、ボール、シューズ等)内蔵型端末、ペット用首輪、ペン型端末等が開発されてい
る。
矢野経済研究所作成
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