非鉄金属市況と需給動向

非鉄金属市況と需給動向
 非鉄金属市況(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金)
平成28年5月17日
非鉄金属市況(2016.4/11~2016.5/13)
ベースメタル
4月に入ってからは概ね軟調に推移していたが、同月中旬は中国需要回復への期待感や原油価格の持ち直しが好材
料となり上昇。その後はドル高地合いを嫌気して下落傾向に転じたものの、月末に米国の追加利上げ見送り等による
急激なドル安が進んだことで急伸した。5月に入ってからは、中国の4月貿易統計が低調な内容だったことで同国経済
への懸念が高まる中、ドル高基調となったことも圧迫材料となり足元概ね軟調に推移。
貴金属
4月中旬はドル高地合いが下方圧力となって緩やかに下落したものの、下旬は中国の景気改善への期待感から概ね
堅調に推移。特に主要消費地が中国であるパラジウムは大幅に上伸。同月末はドル安が急激に進行したことに伴い上
昇したが、その後5月に入ってからは中国経済に対する懸念やドル高進行が下方圧力となり足元概ね軟調に推移。
米国経済
4月の製造業PMIは50.8。 労働省発表の4月非農業部門雇用者数は前月比+16.0万人(前月:+21.5万人)と市場予想の+20.2万人を
下回り、7カ月ぶりの低い伸びにとどまった。失業率は5.0%(前月:5.0%)と低水準を維持した。
中国経済
4月製造業PMIは、国家統計局発表が50.1(前月:50.2)、同HSBC発表4月速報値では49.4(前月:49.7)と市場予想に反して低下した。
欧州経済
4月製造業PMIは51.7(前月:51.6)と小幅に上昇。
欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI)
1
非鉄金属市況(2016.4/11~2016.5/13)
本報告期
期初
直近
最高値
2016年
(当年)
ニッケル
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
金
プラチナ
パラジウム
平均
1,742.5
1,871.0
1,943.0
4月29日
1,742.5
4月11日
1,874.1
8,555.0
8,585.0
9,555.0
5月3日
8,555.0
4月11日
9,014.6
1,251.0
1,270.5
1,295.3
5月3日
1,228.4
4月15日
1,258.3
976.5
1,048.5
1,082.5
5月3日
976.5
4月11日
1,028.0
545.5
593.5
626.0
4月29日
544.5
4月13日
589.2
3か月
4,654.5
1,880.0
8,620.0
-
-
-
12か月
24か月
4,655.0
4,665.0
4,645.0
4,660.0
5,103.0
3月18日
4,310.5
1月15日
4,723.8
6,309.0
4,702.0
6,448.0
5月12日
4,515.5
11月23日
5,493.6
1,882.0
1,842.0
1,600.0
1,871.0
1,943.0
4月29日
1,453.5
1月12日
1,737.2
2,183.5
1,600.0
2,405.0
5月6日
1,487.0
11月19日
1,927.9
8,835.0
8,940.0
8,515.0
8,585.0
9,555.0
5月3日
7,710.0
2月11日
8,625.7
14,880.0
8,665.0
15,455.0
1月7日
8,160.0
11月23日
11,806.4
-
-
1,077.5
1,270.5
1,295.3
5月3日
1,077.5
1月4日
1,204.6
1,193.6
1,062.3
1,294.1
1月23日
1,053
12月3日
1,159.2
-
-
885.5
1,048.5
1,082.5
5月3日
815.5
1月21日
946.9
1,108.0
872.0
1,283.0
1月21日
830
11月30日
1,052.1
-
-
550.0
593.5
626.0
4月29日
467.5
1月12日
542.5
775
547.0
829.0
3月5日
528
12月3日
690.1
期初
直近
最高値
最安値
2015年
(前年)
亜鉛
4,645.0
4,660.0
5,045.0
4月29日
4,645.0
4月11日
4,847.8
最安値
先物
(5月13日)
銅
平均
期初
期末
最高値
最安値
平均
銅市況と需給動向(2016.4/11~2016.5/13)
■LME価格:4月6日追加利上げを見送った3月FOMC議事録が公表され、世界経済先行き不安や中国需要懸念から、11日には2月下旬以来
の安値水準の4,645US$/tまで下落。その後、同月中旬に発表された中国の固定資産投資(1-3月期)等の景気指標が予想を上回る改善を見
せ、また下旬にかけ原油価格が持ち直したことから、銅価も回復。21日には約1ヶ月ぶりに5,000US$の大台に戻す。同日、ECBドラギ総裁が
金融緩和継続の姿勢を示しドル高に振れたため、4,900US$の下値抵抗線を窺う動き(5月初旬まで)。5月4日に4,900US$を割り込むと下げ足
速め、9日には4,800US$をも割り込み弱含みに推移。11日に原油高やドル安傾向からやや値を戻したものの、足元4,660US$/t(5/13)。
■需給動向:昨年後半よりLME在庫が減少する一方、SHFE在庫は増加。背景として本年1月頃より、人民元の先安を見越した投資家が上海
銅に買いを入れ、トレーダーが現物決済に備えLME倉庫から上海へ入庫。実需に基づかない裁定取引であり、需給へ悪影響の恐れもある。
✍ 国際銅研究会(ICSG)による2016年1月需給バランスは5.6万tの供給過剰。ICSG2016年春季大会予測では2016年は5.6万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:Glencore・ザンビアMopani鉱山、DRコンゴKatanga鉱山(総年間生産量:28万t)18か月間の操業停止(2015.9)。
Anglo/Glencore・チリCollahuasi銅鉱山で約3万tの削減計画を発表(2015.9)。カナダ・Huckleberry銅鉱山、2016年8月末までケアアンドメン
テナンス状態(2016.2)。Anglo、チリ・El Soldad鉱山従業員150名解雇へ(2016.2)。
LME在庫
COMEX在庫
SHFE在庫
需給バランス
2016/1
10
7
4,851
4
4,946
2016年4月
-400
2015/1
4,595
2016年3月
0
10
4,463
2016年2月
-200
7
2016年1月
2,000
4
4,629
2014/1
4,808
2015年12月
0
10
2015年11月
4,000
7
5,223
4
2015年10月
200
2013/1
5,208
10
5,089
2015年9月
400
6,000
7
2015年8月
4
5,457
2012/1
2015年7月
600
8,000
10
5,834
7
2015年6月
4
6.301
2011/1
2015年5月
800
10,000
10
5,494
7
2015年
4
6,862
2010/1
2014年
需給バランス /
LME在庫(千t)
1,000
銅地金の需給バランスと価格動向
価格(US$/t)
12,000
10
7,321
7
2013年
4
US$/t
2009/1
銅平均価格
LME価格(Cash settlement)
3
亜鉛市況と需給動向(2016.4/11~2016.5/13)
■LME価格:中国需要の先行き懸念から下落を辿っていた亜鉛は、11日に1,742.5US$/tまで値を落としたが、12日に原油相場上伸につられ
急伸し、同月中旬は中国需要回復への期待や在庫減少傾向の継続から続伸、21日には1,933US$/tまで上昇。その後はドル高を嫌気し下
落傾向に転じ、4月下旬は1,800US$/t台後半で推移したが、29日には急激なドル安を受けて1,943US$/tまで急伸した。5月に入ると、ドル高
進行を材料に下落に転じ、8日に発表された中国の4月貿易統計が低調な内容だったことで同国経済への懸念が高まり、1,800US$/t台半ば
で横ばい推移し、11日には原油高やドル安傾向からやや値を戻したものの、足元1,871US$/t(5/13)。
■需給動向:LME在庫は2月中旬約4万t増加したのち減少傾向が続いており、足元は39.0万 t(10.3日分)。
✍ 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG) による2016年1-2月の累計需給バランスは6.6万 の供給過剰t。2016年2月単月は1.7万tの供給過剰。また、
ILZSG 2016年春季大会の予測によると、2016年は35.2万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:MMG・豪Century鉱山資源量枯渇により7月末採掘停止、11月選鉱場停止(年間生産量48万t)。Glencore豪・Lady
Loretta鉱山とペルー・Iscaycruz鉱山の生産停止により年間50万tの削減発表(10/9)。中国亜鉛生産者10社が合計55万tの協調減産発
表(11/20)。Nyrstar社、経営改善のため米・Middle Tennessee亜鉛3鉱山操業停止、同社減産は計55万t(12/7)。
亜鉛平均価格
US$/t
2014年
2,164
2015年
1,928
2015年5月
2,290
2015年6月
2,087
2015年7月
2,002
2015年8月
1,810
2015年9月
1,719
2015年10月
1,728
2015年11月
1,582
2015年12月
1,522
2016年1月
1,512
2016年2月
1,711
2016年3月
1,805
2016年4月
1,862
4
ニッケル市況と需給動向(2016.4/11~2016.5/13)
■LME価格:当該期間8,555US$/tでスタートしたニッケルは、中国国家備蓄局が今年度買い上げ予定の第1弾とみられる3万tについて入
札を行ったとの情報が好材料となり上昇。その後も原油価格の持ち直しや、13日発表の中国3月貿易統計において輸出が9か月ぶりに前
年水準を上回ったことで上伸し、さらに中国人民銀行が大規模な買いオペを実施して需要喚起を図ったことや、ドル安地合いが好感されて
21日には9,430US$/tの高値を付けた。その後はドル高地合いに転じたことが下方圧力となってほぼ横ばい推移したものの、月末よりドル
安が急速に進行したことが好感され、5/3には当該期間最高値である9,555US$/tを付けた。その後は、ドル高の進行が嫌気された他、8日
に発表された中国の4月貿易統計が低調な内容だったことで同国経済への懸念が高まり下落傾向を辿り、11日には原油高やドル安傾向
からやや値を戻したものの、足元価格は8,585US$/t(5/13)。
■需給動向:LME在庫は12月に大幅増加した後、小幅に増減しつつ緩やかに減少を続けており、足元は41.2万t(78.5日分)。
✍ 国際ニッケル研究会(INSG) による2016年1-2月累計の需給は±0とバランス。2016年2月単月は 3.6千tの供給過剰となった。また、
INSG 2016年春季大会予測によると、2016年は4.9万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:KGHM社・カナダMc Creedy West鉱山(年産生産量17千t)10/1~操業停止(9/20)。中国主要ニッケル生産者8社、
12月~合計10万tの減産実施の見込み(11/26)。中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(12/15)。
LME在庫
SHFE在庫
LME価格(Cash settlement)
2016/1
7
10
4
2015/1
需給バランス
10
8,853
(50)
7
8,704
2016年4月
0
4
8,310
2016年3月
50
2014/1
8,483
2016年2月
5,000
10
8,692
2016年1月
150
7
2015年12月
10,000
4
9,232
10
10,344
2015年11月
250
2013/1
2015年10月
15,000
7
9,898
4
10,342
2015年9月
350
2012/1
2015年8月
20,000
10
11,386
7
2015年7月
4
12,780
450
2011/1
2015年6月
需給バランス /
LME在庫(千t)550
25,000
10
13,509
7
2015年5月
4
11,806
2010/1
2015年
30,000
10
16,867
7
2014年
一次ニッケルの需給バランスと価格動向
価格(US$/t)
4
US$/t
2009/1
ニッケル平均価格
5
金・プラチナ・パラジウム市況(2016.4/11~2016.5/13)
■金市況:当該期間1,251US$/ozでスタートした金は、ドル高地合いが下方圧力となって緩やかに下落し、4/15に1,228.4US/oz
の安値をつけた。その後は中国経済回復への期待感から下支えされほぼ横ばい推移していたが、4/28にドル安が急速に進行
したことで上昇、さらに低調な内容だった米雇用統計の結果を受けて利上げ先送り観測が広がったことで続伸し、5/3には
1,295.3US$/ozの高値を付けた。その後はドル高の進行が下方圧力となり緩やかに下落し、足元価格は1,270.5US$/oz(5/13)。
■プラチナ・パラジウム市況: 当該期間976.5US$/ozでスタートしたプラチナは、中旬までほぼ横ばい推移を続けていたが、下
旬は中国の景気改善見通しから概ね堅調に推移。4月末には急激なドル安進行に伴い続伸し、5/3には1,082US$/ozの高値を
付けた。その後は再びドル高が進んだことから軟調に推移し、足元1048.5US$/oz(5/13)。4月中旬はほぼ横ばい推移していた
パラジウムは、同下旬にかけて主要消費地である中国景気改善への期待感から大幅に上伸し、4/29には626US$/ozの高値を
付けた。その後はドル高の進行等から概ね軟調に推移し、足元539.5US$/oz(5/13)。
金・プラチナ
平均価格
金
US$/oz
プラチナ
US$/oz
パラジウム
US$/oz
2014年
1,244
1,423
734
2015年
1,159
1,052
690
2015年5月
1,198
1,146
787
2015年6月
1,182
1,090
728
2015年7月
1,131
1,014
643
2015年8月
1,118
984
595
2015年9月
1,125
967
607
2015年10月
1,157
976
690
2015年11月
1,087
886
576
2015年12月
1,068
860
551
2016年1月
1,097
854
499
2016年2月
1,197
919
505
2016年3月
1,246
968
566
2016年4月
1,242
994
573
6