工業会の皆様へ 福井大学長 眞 弓 光 文 国立大学の法人化から 12 年が経過しました。国立大学は 6 年間の中期目 標・中期計画期間を重要な区切りとしており、H28 年度からは第 3 期中期 目標・中期計画期間が始まりました。その前半 3 年間、私は学長 2 期目を 勤めます。 福井大学は、優れた専門人材の育成と「知」の創出を通して社会に貢献し、 社会から高く評価され必要とされる国立大学であり続けることを目指し、 改革を進め、教育研究機能を強化してきましたが、第 3 期 6 年間は福井大 学が将来にわたって輝き続けることができるかどうかの勝負の時と捉えて います。 福井大学は、H27 年度から、県内の 4 年制大学 5 校すべてが連携し福井 県と協働で実施する、文科省の「地(知)の拠点大学による地方創成推進事業」の中心を担い、地域創 生に貢献する観点からの改革を推進しています。また、H28 年度から、工学部をこれまでの 8 学科 から5学科に改編し、広い工学分野の専門人材の育成に対応すると共に、福井の地域特性を踏まえ、 独立専攻であった繊維と原子力の学部段階からの学びを充実させました。さらに、教育地域科学部の 地域科学課程を廃止して国際地域学部を創設し、工学部、医学部、教育学部(学部名称変更)と併せ て 4 学部となり、総合大学としての機能がさらに強化されました。国の財政支援が減少し、人件費削 減が避けられない中、教員がその力を最大限に発揮するための改革も実施しました。H28 年度から、 教員が所属組織以外でも力を発揮できるように、これまで学部等に所属していた全教員を新たに「学 術研究院」の所属とし、教育組織と教員組織を分離しました。 福井大学はこれからも機能強化のための改革を不断に実施し、卒業生の皆さんに誇りに思ってもら える母校であり続けられるよう、教職員一同、一丸となって進んでいく所存です。 一方、法人化後の 12 年間に、福井大学の財政状況は非常に悪化しました。国立大学の主な財源で ある国からの運営費交付金は、法人化時点に較べて 15 億円、率にして 16%減少しました。H28 年 度は、運営費交付金は削減されませんでしたが、もうひとつの重要な国からの財政支援である補助 金が削減され、国の支援の合計は、附属病院分を除いて、H27 年度より約 7,000 万円減少しました。 さらに、 「少子化が進む今、国立大学は多すぎる」という議論が行われており、来年度からはより厳し い予算削減があるのではないかと危惧されています。 5 年前、福井大学は文科省の Go Global Japan プロジェクトに採択され、毎年 7,000 万円程度の 支援を受けて、ネイティブの英語教育専門家を多数採用して英語教育を充実させ、また、海外留学を 支援する体制を整備して、海外に留学する学生数を大幅に増やすことができました。この数年は、工 学部を中心に毎年 250 名程度の学生が海外留学や海外研修に行っています。しかし、このプロジェ クトへの国からの支援は今年度で終了します。せっかく芽が出たキャンパスのグローバル化や学生の 内向き思考からの脱却の流れを途切れさせたくはなく、どのようにして来年度以降もこの流れを繋い でいくのか、頭を悩ましています。 大学が財政的に厳しくても学生の修学は支援したいという思いで創設した、学生の修学支援を目的 とする「福井大学基金」へのご寄付は、工業会の皆様からの多大なご支援を含め、1 億円を超えました。 この場をお借りして、改めて厚く御礼申し上げます。しかし、まだまだ満足できる金額には達してお りません。 「福井大学基金」への寄付の依頼はこれからも続けさせて頂きますので、引き続きご協力の 程、何とぞ宜しくお願い申し上げます。 福井大学は困難な状況に果敢に立ち向かって参ります。工業会の皆様には今後とも福井大学に温か いご支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げ、ご挨拶と致します。 4 巻頭言
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