18 地域医療 スギ花粉飛散開始日について 藤 崎 洋 子 1972年(昭47)から空中飛散花粉調査を行い、 今迄、最も早い開始日は1981年(昭56)2月3 本年で45年目を迎えた。毎年2月に入ると、何と 日、 最も遅い開始日は2012年(平24)3月14日で、 なく落着かない気持になる。というのはスギ花粉 おおよそ、2月25日前後が多いようである。又、 の飛散が本格的となり、1月1日からの1日最高 開始日の早い遅いはそのシーズンの花粉数の多寡 気温の積算値が200℃を超えてくると、スギ花粉 とは関係ないようである。因みに1日での最高飛 飛散開始日が、迫ってくるからである。 散数は2013年(平25)の1cm2当り2,004個であっ そもそも、飛散開始日はどのようにして決めら た。スギ花粉の飛散には、 風向(南風) 、 温度(10℃ れたのであろうか。1993年(平5)に行われた日 以上) 、湿度(乾燥)が大いに関係している。 本アレルギー学会での花粉症研究者の集会で、飛 最後に花粉情報での表示について 散開始日はスギ花粉が1cm 当り1個以上3日連 少ない 0 ~ 9.9個 続して認められた場合の初日とするのが原案で やや多い 10 ~ 29.9個 あった。私は新潟の2月の気象状況から、3日連 多い 30 ~ 49.9個 続は厳しいので、2日連続ではどうかと提案し、 非常に多い 50個以上 2 結局、この2日連続の初日を以て飛散開始日とす 表1 2月のスギ花粉飛散数 る取り決めになった経緯があったのである。 空中飛散花粉の観測地、花粉採集方法、標本の 作製などについては、すでに本会報 No.755(平 25年2月)で記述した方法による。只、スライド グラス上にのせたカバーグラス(3.24cm2)内の スギ花粉数を、1cm2当りに換算する必要がある。 表1に本年2月のスギ花粉の飛散数(必要な日 のみ記入)を示した。この表から、例えば、12日、 18日、23日、27日の、それぞれの日に、あと1個 スギ花粉が入れば、飛散開始日が変わったことに なる。結局、当観測地では2月28日がスギ花粉飛 散開始日となった。 新潟県医師会報 H28.4 № 793 (単位 個) 12日 13日 カバーグラス内 (3.24cm2) 3 5 18日 19日 3 6 0.9 1.9 22日 23日 12 3 3.7 0.9 27日 28日 29日 3 106 19 0.9 32.7 5.9 1cm2当り 0.9 1.5 (新潟市:藤崎医院)
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