(第5回)2016/05/9 レポート作成と文書作成ソフトの機能(2) この回では、文書作成ソフトを用いた複数ページに渡る文書作成において、有用とされる機能について解 説する。 1. 課題の確認 作成する文書:A4 利用するソフトウェア:Microsoft Word 複数ページの文書 1.1. 演習の内容 大学で作成するレポートは、1ページで完結させるのが一般的である。しかし、ゼミ等で作成する報告書、 卒業論文では複数ページで作成される場合がある。 実際にビジネス等で作成する報告書は、1ページで完結することはほとんどなく、「見出し」によって文 書構造を設計して、報告内容をまとめる。ここで、見やすい構造とするために「章」「節」などの見出しが 設定された、読み手が理解しやすいレイアウトが求められる。 1.2. 文書ファイルの準備 長文テキストのレイアウト練習のために、著作権切れの小説データを利用する。ここでは青空文庫 1で公 開されている「銀河鉄道の夜(宮沢賢治:一部抜粋)」をダミーテキストとして利用する。 2. 演習 2.1. 表紙の作成 「タイトル」「著者」「目次」を記載した表紙を作成する。ここでは、通常の「フォント設定」「書式設 定」を利用して、適宜レイアウトを行う。 まず、目次の下に改行を一つ入れ、[挿入]タブの[ページ]にある[ページ区切り]をクリックする。 すると、カーソルがあった場所を最後に次のページへカーソルが飛ばされる。 [ページ]には、[表紙]というコマンドもあるが、特に凝ったデザインをする必要がなければ、利用し ない。 ページ設定 通常であれば、ページ区切りを設定しても画面上には何も表示されない。ページ区切りを設定している箇 所を明示したい場合は[ホーム]タブの[段落]にある[編集記号の表示非表示]をクリックする。 1 http://www.aozora.gr.jp/ 情リテ 5-1 2016 年度 情報リテラシー これは編集記号であり、文書 印刷時には無視される。 編集記号の表示・非表示と「改ページ記号」 2.2. アウトラインの作成 ここでは、[アウトライン]の設定を行う。[アウトライン]は、段落番号と同様に連番を振る機能であ るが、階層構造を持つ見出し(章、節など)を作成できる。 今回題材にしている小説には、階層が存在しないので、仮の形で見出しを作成する。2 ページ目にある (Word の画面左下にページ番号と全体のページ数が記載されている)「午后の授業」の下に「見出し2(ダ ミー)」「見出し3(ダミー)」「見出し3´(ダミー)」「見出し2´(ダミー)」がある。これにアウ トラインを設定する。 まず、「午后の授業」にカーソルを置き、[段落]メニューの[アウトライン]ボタンをクリックする。 すると、サブメニューが表示されるため、[リストライブラリ]の 6 つ目にある形式をクリックする。 クリック後、カーソルのあった行に「第1章」という文字が追加される。次に[書式コピー]を利用して、 以下4行にも同じ書式を設定する。 [アウトライン]の設定 設定が終わると、 「第5章」まで表示される。次に「見出し2」の頭にカーソルを置き、キーボードの[TAB] キー、もしくは[インデントを増やす]ボタンをクリックする。すると「第2章」が「第1節」に切り替わ り、階層が構成される。Word 上に[ナビゲーションウィンドウ](左のウィンドウ)が表示されていると、 文書構造が登録されていることを確認できる。 次に、「見出し3」「見出し3’」にカーソルを置き[インデントを増やす]を2回設定する。増やしすぎ た場合は、インデントを減らせばよい。最後に「見出し 2’」にインデントを1回設定する。 このようにすれば、Word の機能として「章、節」などの文書構造を設定することができる。これは、後 に解説する「目次の設定」で役に立つ。 2.3. スタイルの登録 ここでは[スタイル]の登録方法を解説する。先に設定した[アウトライン]において、第 1 章に適当な 情リテ 文 演習2-2 (第5回)2016/05/9 フォント設定を施す(例えば「明朝体」「太字」など)。ここで設定したレイアウトを後の見出しにも利用 することにする。 このように繰り返し同じレイアウトを利用したい場合、[書式コピー]を利用せずに[スタイル]の登録 によって作業を効率化できる。 スタイル設定 スタイルは、文書上で繰り返し用いられるレイアウト設定を登録し、適宜呼び出せる機能である。ここで は、いくつかの文書スタイルを作成して登録・利用してみる。 まず、「見出し 1」を登録する。アウトラインを施したため、自動的に「見出し 1」の設定が存在するが、 フォント設定などは登録されていない。これを登録するには、フォント設定を施した「午后の授業」にカー ソルを置き、[スタイル]上の[見出し1]を右クリックする。 表示されたメニューから[選択箇所と一致するように…を更新する]をクリックする。 スタイルを右クリック 更新をクリック アウトラインの登録 すると、 [アウトライン]の設定が更新され、設定したフォント設定などが登録される。一度登録すれば、 同じレイアウトを施したい箇所に、簡単に設定できるようになる。 次に、「活版所」「家」「ケンタウル祭の夜」「天気輪の柱」「北十字とプリオシン海岸」「鳥を捕る人」 に同じ設定を施す 2。該当する行にカーソルを置き、先に設定した[スタイル]の[見出し1]をクリック すると、アウトラインやフォント設定を含めた、見出し1に登録されたレイアウトが設定される。 登録されたスタイル 設定が反映される 2 見出しの箇所は、フォント色を青色に設定している。 情リテ 5-3 2016 年度 情報リテラシー アウトラインの設定 次に、本文の一字下げや、インデント設定を施したのちに、「本文01」へスタイルを登録する。登録し たスタイルを用いて、本文の段落にレイアウトを設定せよ。 全ての段落に「本文01」3を設定したのち、一部段落のレイアウト(文字の大きさ、色、インデントな ど)を設定し、スタイル「本文01」を更新せよ。すると、「本文01」が設定された全ての段落が、同じ レイアウトに変更される。 【補足】ユーザ設定のアウトライン アウトライン設定には、ユーザで新たに設定を作成することもできる。例として、「通常の段落設定」を 「text00」、「セリフの箇所」を「speech」として登録する。 まず、「ではみなさん…」の箇所の一行目に空白を入れて「1字下げ」、左右のインデントを[ページレ イアウト]タブの[インデント]を利用し「左に1字、右に2字」に設定する。 次に、5 行ほど下にある「ジョバンニさん…のでしょう。」のセリフにインデント「左に3字、右に3字」 を設定する。 以上でレイアウトが確定したので[スタイル]に登録する。通常の段落設定を施した箇所にカーソルを置 き、[ホーム]タブの[スタイル]設定において、下向き矢印に線が引かれている箇所をクリックする。す ると、スタイル設定が拡張表示される。 ここをクリック スタイル設定の「その他」ボタン 表示された拡張表示にある[スタイルの作成]をクリックする。表示されたウィンドウで「text00」と名前 を入力し[OK]をクリックする。すると、カーソルを置いている箇所の設定が、新しいスタイル設定として 登録される。同様の方法で、セリフの箇所の設定を「speech」として登録する。 名前を入力 スタイルの作成をクリック 新しいスタイルの登録 このようにスタイルを登録すると、Word の文章で文書構造を意識した統一的なレイアウト設定を施すこ とができる。 次に1ページのみで構わないので、 登録したスタイル設定に該当する箇所に 「text00」 と「speech」 を設定する(動作を見るだけなので、大体で構わない)。 次に、「speech」が設定された行のレイアウト設定を一括で変更する。例えば、フォント設定を「ゴシッ ク」「斜体」「青色」にする。その後、[スタイル]設定にある「speech」を右クリックし[選択箇所と一 致するように…を更新する]をクリックする。 すると、「speech」が設定されている箇所が全て、登録されたレイアウトに変更される。このように[ス 3 このスタイルは、作業ファイル独自に用意されたものである。 情リテ 文 演習2-4 (第5回)2016/05/9 タイル]を設定しておくことで、文書作成後の調整が非常に効率的になる。 2.4. ページ番号の設定 ここでは、文書にページ番号を設定する。ページ番号の設定は Word 上にいくつか用意されているため、 簡単にページ番号を設定できる。 [挿入]タブの真ん中より少し右にある[ページ番号]をクリックする。するとサブメニューが表示され るので、利用したいレイアウトのページ番号をクリックする(一般的にはページの下部、真ん中 or 右にペ ージを記載する)。すると、所定の箇所にページ番号が追加される。 配置したい箇所を選ぶ 番号の書式を選択する ページ番号の設定 なお、先ほどの表紙作成において[挿入]→[表紙]を利用し、Word の機能として表紙を作成している と、表紙の後から1ページ目が始まる。これは[ページレイアウト]の[区切り]を活用することでも同じ ことができる。また、挿入されたページ番号の箇所をダブルクリックすることで、通常の「フォント」「書 式設定」でページ番号のレイアウトを変更できる。 2.5. ヘッダー・フッターの設定 「ヘッダー・フッター」を利用して、文書全体に統一的に表示される情報を記載することができる。例え ば「作成者の名前」「日付」「文書のタイトル」などである。 これを設定するのは、余白の範囲にある「ヘッダー(頭)」「フッター(足)」という箇所である。なお、 先のページ番号設定は「フッター」に登録されている。「ヘッダー・フッター」の設定は[挿入]メニュー にコマンドが用意されているが、これを利用せず簡易な方法で作成してみる。 文書にある余白の上部(ヘッダーが入る箇所)をダブルクリックする。すると本文が薄い表示され、ヘッ ダーの編集状態になり、上部メニュー表示が切り替わる。 編集を終わる際は[…閉じ [ヘッダー/フッターツール] る]ボタン。 が表示される。 情リテ 5-5 2016 年度 情報リテラシー ヘッダーの編集画面 この状態で、テキスト入力やレイアウト設定を行えば、ヘッダーの文字列を作成できる。編集を終わる場 合は、メニュー上にある「ヘッダーとフッターを閉じる」をクリックするか、本文の箇所をダブルクリック する。 ヘッダー/フッターの内容は、 通常グレー表示になる。 ヘッダーの設定 【補足】ヘッダー・フッターのオプション なお、ヘッダーやフッターの設定は、先頭ページのみ別、奇数・偶数別にも設定できる。例えば、先頭ペ ージのみ「日付」、その他は「文書タイトル」としたい場合、ヘッダーをダブルクリックし、[ヘッダー/フ ッターツール]にある[オプション]→「先頭ページのみ…」にチェックを入れる。 ヘッダー/フッターのオプション ヘッダー・フッターのオプション すると、先頭ページとその他ページのヘッダーを別途作成できるようになるため、適宜、文字列を入力す る。これは、見開きで文書を作成する場合に、左ページに「章のタイトル」、右ページに「全体タイトル」 を表示したり、ページ番号を外側に寄せたりすることができる。 2.6. 目次の作成 ここでは、作成した文書の「目次」を自動的に作成する。目次を作成するには、[スタイル]設定で[ア ウトライン]が施されている必要がある。設定ができていれば、Word の[ナビゲーションウィンドウ]に [アウトライン]の見出しが表示されている。 この状態で、表紙ページの目次の下にカーソルを置き、[参考資料]タブにある[目次]をクリックする。 [参考資料]タブ [目次]コマンド 目次コマンド [目次]をクリックすると、サブメニューが表示されるので[自動作成の目次2]をクリックする。する と、カーソルの箇所に[アウトライン]設定に基づいた目次が作成される。 情リテ 文 演習2-6 (第5回)2016/05/9 [目次]の設定 目次が作成される。 [自動作成の目次2] 目次の自動生成 目次は、適宜編集可能である(例えば勝手に表示される青字の「目次」を削除したり、レイアウトを変更 したりできる)。また、文書構造が変更されたのちに[目次の更新]をクリックすることで、再構築可能で ある。例えば、先に作成した「午后の授業」以下のダミー見出しを削除して、目次を更新してみる。本文の 「見出し3’」と「見出し2’」を削除し、表紙の[目次]をクリックする。すると、目次に枠が表示され、左 上にボタンが表示される。ここで[目次の更新]→[目次をすべて更新する]をチェックして[OK]を押す と、本文の変更が反映される。 内容変更後に、目次を再構 成できる。 目次の更新 【課 題】 今回の作業で作成したデータを、ファイル名「学籍番号 情報リテラシー第5回」として保存し、メ ールの添付ファイルとして提出。 送信メールは大学メール。提出期限は教員の指示に従うこと。 必ず、件名に「組-学籍番号 情報リテラシー 第5回課題」を記載すること 例)3組 学籍番号 p16991 の場合。 3-991 情報リテラシー 第5回課題 情リテ 5-7
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