P44 民放(日本テレビ、読売テレビ)が8K制作にトライ

特集
民放2局が
8K制作にトライ
8Kコンテンツ制作は、やはり8K生みの親であるNHKが先行していた。その数はもちろんだが、カメラから編集機、ス
トレージなど機材も先行して開発してきた。そこへ次世代放送推進フォーラム(NexTVフォーラム)が検証用8Kコン
テンツの企画募集を行った。このチャンスを生かして地上波テレビ民放2局の企画が採択された。日本テレビ『笑点
8Kスペシャル』
(45分)と、読売テレビ『今、若冲を観よ∼細かき処に神が宿る∼』
(10分)の2作。その初めての8K制
作の奮闘ぶりを聞いた。
読売テレビ
従前にカット割りを
準備して
8K撮影に臨む
「今年は伊藤若冲の生誕300年。300年前に生まれた名画家と8Kという最新技術を融合させるというコンセプトが面白い」ということで8K
に挑んだ読売テレビ(YTV)。初めての経験を経営企画室メディア企画部の星野高久氏に聞いた。
(レポート:吉井 勇・本誌編集長、写真提供:読売テレビ)
若冲生誕300年
細見美術館の所蔵品から収録
NexTV フォーラムの物を借りられるという
にじみを利用した独特の技法による濃淡のデ
ことで、8K での撮影・編集などのノウハウ
ィテールなど、8K の高精細さを生かして表
を得る良い機会だと捉えました。最先端の映
現したいということを狙いました」と、若冲
YTV はなぜ NexTV フォーラムの 8K コ
像技術の 1 つである 8K の番組制作のノウ
生誕300年とともに、表現としての課題を
ンテンツ制作に応募したのか。今回の 8K 制
ハウを習得しておくことは、自社にとって有
星野氏は説明する。
作の狙いとして、経営企画室メディア企画部
意義であると考えています」
番組名は『今、若冲を観よ∼細かき処に神
の星野高久氏は次のように話す。
被写体として伊藤若冲の美術品を選んでい
が宿る∼』で、10分の短尺。京都の細見美
「8K はまだまだ機材も少なく高価である
る。
「伊藤若冲は神に見せるために絵を描い
術館が所蔵する若冲の作品から、館長の細見
ため、8K 番組制作にトライできる機会は滅
たと言われており、人の目では認識できない
良行氏の解説を交えて紹介しており、つなぎ
多にありません。今回、NexTV フォーラム
部分まで繊細に描いています。その精緻な筆
のカットとして若冲の生まれた京都の錦市場
による 8K 検証番組の募集があり、機材も
づかい、水墨画では『筋目描き』という墨の
などのロケ映像も構成されている。
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5-2016