ブロックチェーン技術によるプラットフォームの実現

ブロックチェーン技術によるプラットフォームの実現
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
2016年4月28日
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前回までの内容
ブロックチェーン技術は、多方面での活用が展望され我が国の国際競争力強化を図る好機であるため、実
用化に向け知見の蓄積が求められています。多様なシステムを実現するためのプラットフォーム(基盤)とし
て、イーサリウムが開発されましたが、汎用性が高すぎるために、現時点で普及は進んでいません。
ブロックチェーン技術における国際競争力強化
理想
)
テデ
カ
ンジ リー
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管ル グェ
ア
理コ
ン
スマートコントラクト
通
貨
イ
ー
サ
現実
)
テデ
ンジ
ツタ
管ル
理コ
ン
スマートコントラクト
イーサリウム
プロトタイプ構築を通じた知見の蓄積が必要
1
資
金
調
達
様々な用途のシス
テムがイーサリウ
ム上で実現
イーサリウム
(
政策としての
取組意義
• 国内IT産業活性化
• 技術の主導権確保
による国際競争力強化
通
貨
イ
ー
サ
(
ブロックチェーン
の活用が
想定される用途
• 金融部門
- 送金・決済
- 証券発行・流通・管理 等
• 公共部門
- マイナンバー
- 登記 等
• その他
- 物流・トレーサビリティ 等
ブロックチェーンによるシステムのプラットフォーム
イーサリウムの場合
汎用性が高い一方、
開発に際してプロ
グラミング等に大き
な労力を要する他、
仕様変更も多い
当初想定されたような広範な普及は見られず
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産業政策としてのプラットフォーム実現事例:FIWARE
欧州では2011年から官民が連携し、IoT等次世代インターネットに関するプラットフォームFIWAREを構築し
ました(2014年完成)。現在では、FIWARE上でエネルギーマネジメントを行うシステム(スマートエネルギーシ
ステム)が欧州の複数の都市で稼働しています。
FIWAREとは
 次世代インターネット技術による
アプリケーション開発・普及のため、
EUで開発されたプラットフォーム
- EUの第7次研究枠組計画(FP7)におけるICT
プロジェクトFuture Internet Public-Private
Partnership(FI-PPP, 次世代インターネット官
民連携)の中核的研究開発プロジェクト
- FI-PPPは次世代インターネット技術における
欧州の競争力強化と、社会・公共分野のアプ
リケーション開発支援が目的
 オープンソースのソフトウェアモジュール(特定機能を
実現する、アプリケーションの部品)で構成
【モジュールの例】
- データ管理
モジュールを組み合わ
- デバイス管理
せることでアプリケー
- ビッグデータ解析
ション開発が可能
- 認証
2
FIWAREの活用事例
廃棄物処理
• ベルリン(ドイツ)で実施
• 廃棄物収集状況を監視し、収集ルート
最適化等を行う
上下水道
• オーフス(デンマーク) で実施
• 流量を監視し、研究機関へのデータ提
供やメンテナンス計画立案に活用
交通
• バーミンガム(イギリス)で実施
• 乗客行動を監視し、バスの配車計画や
料金設計に活用
スマート
メータ・
街灯
• サンタンデール(スペイン)で実施
• 電力使用量や照度を監視し、街灯点
灯の最適化等を行う
水・環境
• トレント(イタリア) で実施
• 水道使用量を監視し、使用量の警告
や漏水の特定に活用
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ブロックチェーン産業育成に向けたプラットフォーム構築
各社が独自にシステム開発を進めた場合、コストの高止まりや開発期間長期化の可能性があるため、プラッ
トフォームの実現が求められます。「売買」や「所有者情報の記録」等ブロックチェーンに記録する取引を予め
類型化し、標準機能(モジュール)として提供することで、モジュールの組み合わせによるシステム開発が可
能になり、アプリケーション開発効率化や、事業者参入促進によるIT産業活性化に寄与すると考えられます。
階層
ア
プ
リ
ケ
ー
シ
ョ
ン
プレゼンテー
ション層
ビジネスロ
ジック層
データ層
フ イ サーバ・ネッ
ラン
トワーク
各社個別の非効率な開発
(現状)
A社
B社
C社
(○○用途) (××用途) (■■用途)
入出力
入出力
入出力
機能
機能
機能
演算等
処理
演算等
処理
演算等
処理
演算等処理 演算等処理 演算等処理
各社が独自
性発揮
ブロックチェーンプラットフォーム
ブロック
チェーン
ブロック
チェーン
ブロック
チェーン
標準モジュール
共通処理プログラム
ブロックチェーン(データベース)
独自
インフラ
独自
インフラ
独自
インフラ
クラウドでのプラットフォーム
提供環境
 高コスト・開発長期化・低品質
 重複して開発するため非効率な
コスト発生、開発期間も長期化
 有益な技術情報が分散
3
プラットフォーム活用によるIT産業活性化
(あるべき姿)
A社
B社
C社
(○○用途) (××用途) (■■用途)
入出力
入出力
入出力
機能
機能
機能
国内で幅広
く共用
 低コスト・開発短期化・高品質
 モジュールの組み合わせにより
開発が容易になり、多様なアプリ
ケーションが実現
 インフラ輸出も視野に入れること
が可能
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国産ブロックチェーンプラットフォーム実現の効果
ブロックチェーンプラットフォームを日本で実現することにより、アプリケーション開発事業者参入促進による
国内IT産業活性化、およびインフラ輸出を通じた、国際的な技術開発競争におけるリーディングポジション確
保の確度が高まるものと見込まれます。
•
システム開発の効率化
- 複数のシステム開発で共通する要素をプラッ
トフォームとして集中的に開発することで、コ
ストや時間が効率化
国内IT産業の活性化
プラットフォーム
実現
•
多様なアプリケーションの登場を促進
- プラットフォームに搭載されたモジュールの組
み合わせによりアプリケーション開発が可能
•
基幹技術に対する信頼性向上
- ブロックチェーンに関わる基幹技術をプラット
フォームに集約させることで、技術の散逸や
分散を回避
•
4
インフラ輸出
- 国外へ展開することで、相手国の情報システ
ムの高度化に貢献
ブロックチェーン技術開発の
リーティングポジション確保
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プラットフォームの開発イメージ
プラットフォームの開発に際しては、プロトタイプ構築を通じて得られた実践的な知見を順次、要件に反映さ
せることが有効です。これにより、多様なアプリケーションを容易に開発できる、利便性・実用性の高いプラッ
トフォームの実現が可能になります。
プロトタイプシステム③
追加修正を反復して行うことで
モジュールとして提供すべき標準的な取引の
パターン(標準モジュール)を充実化・洗練化
プロトタイプシステム②
プロトタイプシステム①
機能追加・修正
機能追加・修正
機能追加・修正
プラットフォーム
Version 3
プラットフォーム
Version 2
プラットフォーム
Version 1
プラットフォーム
Version 0
5
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