エアパック工法 II - 可塑状グラウト協会

可塑状空洞充填材
長距離圧送型
エ ア パ ッ ク 工 法(Ⅱ-N型)
技 術 資 料
可塑状グラウト協会
エアパック部会
はじめに
従来型の「エアパック工法」は、一般通称「可塑性エアモルタル」として、おもに道路
トンネルの設計に組み込まれ、多くの実績を積み重ねてきました。
ここにきて、内空断面が小さく、延長が長い水路トンネル等の背面空洞注入、また、
近接地にプラント用地及び、搬入路が確保出来ない開放部充填・一般空洞充填等が、
近年増えてきています。これら、長距離圧送に対応するべく開発したのが「エアパック
工法(Ⅱ-N型)」です。
本資料は、従来型の「エアパック工法」と異なる点を記した技術資料です。従来型の
「エアパック工法」の技術資料と合わせて、空洞充填の設計、施工の一助にしていただ
ければ幸いです。
可塑状グラウト協会エアパック部会
技術委員会
平成22年7月 第1版
目 次
1. エアパック工法の理論
1-1 空洞充填注入工法の必要性とエアパック工法
1-2 エアパック工法の可塑状固結理論
-------------------------------------------------------------------------
1
1
1
1
1
1
1
1
1
-------------------------------------------------------------------------
2
2
2
2
3
4
4
5
6
----------------3-1 施工概要
--------3-2 注入管設置
--------3-2-1 注入管設置概要
--------3-2-2 注入孔削孔
--------3-2-3 注入管
--------3-2-4 注入管設置(固定)及び注入孔の処理
--------3-3 エアパック工法(Ⅱ-N型)の注入孔
--------3-3-1 注入概要
--------3-3-2 材料工程
--------3-3-3 注入工程
--------3-3-4 配管(ホース)内洗浄工程
3-3-5エアパック工法(Ⅱ-N型)注入工に用いる主要使用機械とその他使用機 ----------------3-3-6 注入工の施工管理
--------(1) 注入施工手順
--------(2) 注入圧力の管理
--------(3) 注入吐出量の管理
--------(4) 充填確認方法
--------(5) 注入順序
--------(6) 品質管理
--------(7) 注入量と材料使用量の検収方法
7
7
9
9
10
11
11
14
14
15
15
16
17
19
19
19
20
20
20
21
21
4. 施工例
22
22
24
26
1-2-1 従来の一液性エアモルタル
1-2-2 エアパック
1-3 空洞充填グラウトの硬化過程の性状と注入メカニズム
1-3-1 一液性エアモルタル
1-3-2 LW
1-3-3 エアパック工法
1-3-4 硬化したエアパック(Ⅱ-N型)の特徴
2. エアパック工法(Ⅱ-N型)の配合の設計
2-1 空洞充填グラウトに求められる特性
2-2 エアパック工法(Ⅱ-N型)の特徴
2-3 エアパック工法(Ⅱ-N型)の施工対象
2-4 設計の手順
2-5 配合と使用材料
2-5-1 配合の選定
2-5-2 使用材料と配合例
2-5-3 設計注入量と使用材料
3. エアパック工法(Ⅱ-N型)の長距離圧送施工の設計
4-1 施工例―1 導水路トンネル裏込め注入
4-2 施工例―2 道路トンネル裏込め注入
4-3 施工例―3 道路建設予定地の転石間の空洞充填注入
---------------------------------
1.エアパック工法の理論 (エアパック工法技術資料改訂第3版参照)
*( )内は、掲載ページ
1-1 空洞充填工法の必要性とエアパック工法
-----(1)
1-2 エアパック工法の可塑状固結理論
-----(1)
1-2-1 従来の一液性エアモルタル
-----(1)
1-2-2 エアパック
-----(1)
1-3 空洞充填グラウトの硬化過程の性状と注入メカニズム -----(2)
1-3-1 一液性モルタル
-----(2)
1-3-2 LW
-----(3)
1-3-3 エアパック工法
-----(4)
1-3-4 硬化したエアパック(Ⅱ―N型)の特徴
エアパック(Ⅱ―N型)の特性例として、28日強度が1.5N/mm2の配合の、強度発現例を、図1に
示す。
2.0
圧縮強度 (N/mm2)
1.5
1.0
0.5
0.0
1
7
14
材齢 (日)
図1 強度
注1) 28日強度は、7日強度の約2倍の強度発現の傾向となった
注2) 資料の養生方法は飽和湿気状態とした
-1-
28
2.エアパック工法(Ⅱ―N型)の配合の設計
2-1 空洞充填グラウトに求められる特性
空洞充填グラウトは、目的の空洞に確実に充填しなければならない。そのため、グラウト
に望まれる性質としては次のことが挙げられる。
① 充填性が良く、かつ、所定の空洞外への逸走(他山への逸走、構造物の隙間からの
漏出)がないこと
② 注入中に材料分離及び体積減少(消泡等)がなく、また硬化後の体積収縮がないこと
③ 水に接しても材料分離を起こさず流失しないこと
④ 流動性が良いこと
⑤ 均一かつ所定の強度が得られ、耐久性に優れていること
⑥ 無公害であること
⑦ 施工性が良いこと
⑧ 経済的であること
2-2 エアパック工法(Ⅱ―N型)の特徴
エアパック工法(Ⅱ―N型)は、流動性のあるエアモルタル(エアミルク)に可塑剤を加える
ことにより、瞬時に可塑状固結するため、次のような特徴がある。
① 砂を用いた配合により、長距離圧送が可能である
② 限定注入が可能であり、歩留りが良く充填性も良い
③ 水に接しても、材料分離や消泡を起こさないので、均一強度が得られ、かつ、硬化後
は体積の減少が生じない
④ 構造物のクラック等の隙間からの漏出が殆どない
⑤ 一度に高く打設しても材料分離を起こさない
⑥ 比較的軽量であるので覆工コンクリートに与える荷量が少ない
2-3 エアパック(Ⅱ―N型)の施工対象
エアパック工法(Ⅱ―N型)は限定注入が可能であり、耐久性に優れているため、以下の
条件を対象とする場合に適している。
① 内空断面が小さい(高さ1.8m×幅1.8m以上)水路トンネル等、長距離施工が要求される場合
② 施工場所に隣接してプラントヤードが確保できない場合(20m×20m程度)
③ 湧水箇所での裏込め注入
・トンネルの補修、改修工事・新設トンネル・深礎杭 等
④ 水に接する部分の空洞充填
・河川構造物・湾岸構造物・その他既設構造物・管内充填
⑤ 限定注入が要求される注入及び充填
⑥ 充填により荷重負荷の低減を要求される場合
-2-
2-4 設計の手順
エアパック工法(Ⅱ―N型)による空洞充填注入は、図2に示すように施工対象および、
対象の諸条件を検討した上で、材料、施工方法を設計する。
現場周辺環境の調査
・空洞調査
・地質調査
・計画注入量の算出
注 入 工 法 の 検 討
裏込め注入
・覆工クラック状況
・湧水,溜水の状況
・交通規則の範囲
空洞充填
・空洞の種別
・湧水,溜水の状況
・充填深度
・圧送距離
・材料製造方法・使用機材
・プラント方式・注入方法
・施工管理
エアパック工法(Ⅱ-N型)の採用
材料の検討
配 合
・強度
・比重
施工の検討
注入位置 (注入管削孔の有無)
削孔有り
削孔無し
・削孔方法
・注入位置
・注入管配置
・注入管(ホース)
・注入管設置方法
注 入 量
・計画注入数量
材料使用量の算出
図2 設計の手順
-3-
2-5 配合と使用材料
2-5-1 配合の選定
エアパック工法(Ⅱ―N型)の配合の選定の要素としては、強度と比重をあげることができる。
注) 当技術資料では、国際単位系のSI単位を用いることとして、従来の重力単位系
からSI単位への換算は、土木学会の換算表に準じ、以下の例で行う。
例 1 力の単位 : 10N=1kgf
使用例 : 強度 0.1N/mm2=1kgf/cm2
例 2 配合に用いる数量の単位量は質量表示(kg)とする
(1) 強度
空洞充填注入強度の基準は、トンネルの裏込めに関して、「注入材により作用土圧を
均等に伝達する必要があり、そのための強度としては通常10~15kgf/cm2程度のもの
を用いる。」*1)という考え方が一般的である。
一般には、空洞を充填して構造物と周辺地盤とを安定させるには、充填材が周辺地盤
と同程度の強度があれば良いと考えられている。
このような考えから、エアパック工法(Ⅱ―N型)の28日強度としては、トンネル裏込め
では1.0~1.5N/mm2を目安とし、その他の場合は、構造物及び周辺地盤の強度を
考慮して設定する。
(2) 比重
打設箇所に水がある場合には、水や海水より重い配合とする。
ただし、水の無い箇所では、状況に応じて比重1.0未満の配合が可能である。
*1)社団法人日本道路協会:道路トンネル維持管理便覧:丸善、1993.11
-4-
2-5-2 使用材料と配合例
(1) 使用材料
エアパック工法(Ⅱ―N型)は二液性であり、A液(エアモルタル)とB液(可塑剤)を用いる。
A液の使用材料は、セメント、特殊粘着剤(AP-3)、特殊気泡剤(AP-1)、水であり、
B液は可塑剤(AP-2)と水からなる。
エアパックの配合は、使用材料および配合量を変えることにより、数多くの組み合わせが
可能である。
・使用材料
A液
B液
水
セメント : 普通ポルトランドセメント
特殊粘着剤 : AP-3
特殊気泡剤 : AP-1
可塑剤 : AP-2
: 清水を基本とする
エアパック工法(Ⅱ―N型)で用いるAP-1、AP-2、AP-3の仕様は、表1に示す通りである。
AP-1、AP-2は水と混合(希釈、溶解)して用いる。
表1 AP-1・AP-2・AP-3の仕様
材料名
主 成 分
AP1-1
特殊蛋白質
(特殊起泡剤)
AP-2
特殊アルミニュウム塩
〔可塑剤)
AP-3
特殊粘土鉱物
(特殊粘着剤)
*1 1%水溶液の値
*2 2%水溶液の値
(kg:質量表示)
荷 姿
20Kg缶または
200Kgドラム缶
外 観
比 重
pH
黒褐色液体
1.17
7.0
白色粉体
2.0
3.7*1
25Kg袋
薄黄色粉体
2.6
7.0*2
25Kg袋
(2) 配合例
表2、3に配合例を示す。なお、 B液(可塑剤)添加量はA液に対して5%を標準とするが、注入
条件(地下水や空洞の状態等)によっては、可塑状固結強さを考慮して若干増減する場合がある。
-5-
表2 設計配合例
セメント
(kg)
381.0
428.6
476.2
A液+B液=1,000ℓ A液952.38ℓ
B液47.62ℓ
AP-1 AP-3 混練水 AP-2 溶解水
(kg)
1.181
0.876
0.876
(kg)
9.524
9.524
9.524
(kg)
426.7
511.4
496.2
(kg)
28.00
28.00
28.00
(kg)
33.62
33.62
33.62
(kg:質量表示)
特 性
A 液
A+B液
エアー量
28日強度
比重
(%)
(N/mm2)
40
0.88
1.0
30
1.01
1.5
30
1.05
2.0
表3 施工配合例
セメント
A液+B液=1,050ℓ A液1,000ℓ
B液50ℓ
AP-1 AP-3 混練水 AP-2 溶解水
(kg:質量表示)
特 性
特 性
A+B液
エアー量
28日強度
比重
(%)
(N/mm2)
40
0.88
1.0
30
1.01
1.5
30
1.05
2.0
(kg)
(kg)
(kg)
(kg)
(kg)
(kg)
400
1.24
10
448
29.40
35.30
450
0.92
10
537
29.40
35.30
500
0.92
10
521
29.40
35.30
(注-1) AP-1は20倍水希釈で用います。
(注-2) AP-2は可溶性のため水溶解時には比重2.0で計算する。
-6-
2-5-3 設計注入量の算出と材料使用料
(1) トンネル背面空洞調査と空洞量
予想される空洞の事前調査は一般に電磁波レーダー探査等による調査結果及び注入管の
削杭戓いは設置時に確認された結果をもとに次式で計算する。
想定空洞量=Σ (空洞断面積×施工区間長)
空洞断面積の算出は下図に示す平均断面法で求めることを標準とする。
2
3
h2
1
h1
h3
4
h1
1
h2
2
h3
3
4
L
Lは覆工上半の外周調
空洞断面積=1/2〔1×h1+2×(h1+h2)+3×(h2+h3)+4×h3〕
しかし、調査方法や測定精度、測定間隔(レーダー測線数、くり抜き本数)等により確
実な空洞量の算出は困難であり、「既往の裏込め注入実績では、設計注入量に対し実際の
注入量が3倍以上になる事例も報告されている」 *2) と記載されている資料があるように、
事前の調査では予測できなかった空洞が存在する可能性があることを留意しておく必要が
ある。
従って、調査で予測できなかった空洞が有った場合には、空洞量が変わるので、設計注
入量の変更はその都度対処する。
(2) 設計注入量
当初の計画時に設計注入量を概算的に決めておく場合には、事前調査の計画図面より
算出した空洞量に、割増係数0.1を計上する。
設計注入量=想定空洞量×(1+0.1)
(3) 材料使用料
実施工においては、残材料の廃棄、ホース内の余り等の材料ロスが生ずる。
*2)独立行政法人土木研究所 : 基礎道路技術研究グループ「道路トンネル変状対策工マニュアル(案)」2003.2
-7-
3. エアパック工法(Ⅱ―N型)の施工の設計
3-1 施工概要
エアパック工法(Ⅱ―N型)の施工対象は多種多様であり、施工方法も各種条件によって
選別される。
施工対象で分類されているなかで、通常の施工方法では難しく、長距離での施工が要求さ
れるものがあり、下記の施工対象がこれに当たる。
① トンネル裏込め注入 (小内空断面、長延長、近接地にプラント地及び搬入路無し)
② 開放部充填(近接地にプラント用地及び搬入路無し)
③ 一般空洞充填(近接地にプラント用地及び搬入路無し)
今回、トンネル裏込め注入の分類の中で、内空断面が小さく、延長が長い水路トンネル
等の背面空洞注入を施工する場合、設計に当たって施工条件、現場状況や地域環境に制
約を受ける。
裏込め注入での材料製造に関する使用機械は大型であり、必然的にトンネル坑内に搬
入出来ず、材料製造のための主要プラントは、地上に設置する方法が基本とされる。
主要プラントから圧送される主材料(セメンミルク・B液・清水)は、坑内に設置した注入
プラントで受けるが、坑内に搬入できる機械類はトンネル形状(断面H1.8m×W1.8m以
上)に合わせた小規模で小型なものとされる。この注入プラントから注入ホース先端部に送
液され、ミキシングユニットを介して注入孔へと注入される。さらに圧送距離を必要とする場
合、主要プラントと注入プラントの間に、中継ポンプ箇所を設ける事により、距離を伸ばすこと
は可能である。
又トンネル以外でも、機械・材料搬入の搬入路が無い場合や、施工場所に近接してプラ
ント用地が確保できない場合も長距離圧送となる、
但し、エアパック工法(Ⅱ―N型)の長距離圧送による施工は、主要プラントからの圧送距
離は500m、注入プラントからの注入距離は100mを標準としている。
その施工概要を図3の長距離圧送タイプフロー図に示す。
-8-
トンネル裏込め注入
開放部充填
一般空洞部充填
(長距離圧送方式)
(長距離圧送方法)
(長距離圧送方法)
準 備 工
注入孔削孔工
注入孔削孔工
注入管設置工
注入設備準備工
①主要プラント設置工
②注入プラント設置工
③坑内配管類敷設工
※④中継ポンプ組立工
注入設備準備工
①主要プラント設置工
②注入プラント設置工
③配管類敷設工 ※④中継ポンプ組立工
エアパック注入工
注入孔の処理工
注入孔の処理工
設備撤去工
①主要プラント解体工
②注入プラント解体工
③坑内配管類撤去工
※④中継ポンプ解体工
設備撤去工
①主要プラント解体工
②注入プラント解体工
③坑内配管類撤去工
※④中継ポンプ解体工
完 了
図3 長距離圧送タイプ施工フロー図
-9-
3-2 注入管設置
注入孔削孔を伴うトンネル裏込め及び一般空洞充填にあたっては、空洞部までの覆
工コンクリート或いは地盤を削孔した後に取り付けた注入管を用いる。
注入管の配置、長さ、大きさ、材質等は、空洞の大きさ(厚さ、広がり)、覆工厚、周辺
他山の状態を考慮して決める必要があるので、事前の調査が必要である。
3-2-1 注入管設置概要
(1) 注入孔削孔を伴う場合
① 注入管の使用目的
注入管には、注入を行なうための注入管と、充填を確認するための確認管とが
あるが、小内空断面のトンネルでは、注入と確認を兼ねる場合が多い。
② 注入管設置位置
ⅰ) トンネル裏込め
・道路トンネルの場合、内空断面が
大きいので、通常が充填確認管を
アーチ上部のセンター近く、注入管
は両サイドに設けている。しかし小
内空断面のトンネルでは、可塑状
グラウトの充填範囲が全断面をカ
バーする事や、作業スペースが狭
積空間である事から、注入管は確
認管も兼ねたものとし、アーチ上部
のセンター1列を標準とする。
・注入・確認孔のトンネル軸方向に
対するピッチは空洞の大きさや空
洞の連続性をも考慮して決める。
図4に標準的な配置図を挙げる。
図4 注入孔配置例
- 10 -
ⅱ) 一般空洞充填
・空洞の状況に応じて、注入管の位置を計画する。
・注入が1箇所からの施工で終える場合でも、充填確認及び圧抜きのために複数
の確認孔を設ける必要がある。
・下方向への注入で深度が深く、注入時間が長時間になる場合には、注入管下部
が注入材で埋まってしまうときがあるので、注入管の上下が可能なようにしてお
くか、又は、深度を変えた予備の注入管を設置しておく。
(2) 注入孔削孔を必要としない場合
・削孔を必要としない開放部充填では、空洞の厚さ及び面積に応じた注入管或いはホ
ースの長さ、設置位置を充填部の状況に応じて計画する。
3-2-2 注入削孔
(1) トンネル裏込め注入の場合
・覆工コンクリートの削孔は、コアドリルにて行なう。
・ビットは注入管の外径より大きな径のものを用いる。
(注入管の外径は、60.0mm~60.5mmなので65mmのものを使用する。)
・削孔時には地山を確認し、覆工厚と空洞厚を記録しておき、注入施工の際の参考資料
とする。
・湧水が非常に多い箇所は、湧水処理器具を装着するなどして土砂の流失を抑える方法
を検討する。
・削孔の足場として、現地組立によるローリングタワーないしは、キャリアダンプ、台車等
を使用する。
(2) 一般空洞充填の場合
・削孔長、削孔方向その他の状況により、コアドリルを用いるか、他のボーリングマシンを用
いるかを選定する。
・他のボーリングマシンの機種は、削孔に用いるロッド又はケーシング管の外径をもと
に選定する。
・(1)と同様に削孔厚と空洞厚を記録しておく。
- 11 -
3-2-2 注入管
(1) トンネル裏込め注入
・注入管は、内径50mmの塩ビ管(外径60.0mm)を加工して用いている。
・長さは覆工面から地山寸前までとする。
・湧水量が多い場合は、逆止弁の使用も検討する。
(2) 一般空洞充填
・コアドリル使用の時は、前記(1)トンネルに準じる。
・他のボーリングマシン使用の場合は
ⅰ) 内径は50mm程度が望ましい。
ⅱ) 削孔に用いた管を注入管としてそのまま用いるか、或いは削孔管を引き抜い
て別の注入管に差し替えるかを検討しておく。
ⅲ) 長さ(深さ)は状況に応じて選定する(3-2-1 注入管設置概要参照)
(3) 開放部充填
・注入管としては注入深度、広さに応じた長さのホース又は管を用いる。
3-2-4 注入管設置(固定)および注入孔の処理
(1) 概 略
注入孔を削孔して、注入管を設置する場合には、注入管を確実に固定しておく。
また、施工完了後の注入孔の処理に当たっては、穴埋材料および取付器具等が剥離、
剥落しない処置を講じておく必要がある。
注入管設置方法および注入孔の処理方法については、近年、種々の方法およびその
組合せが考案されているので、その方法および組合せの例を表4に示す。
これらの方法の選定は、現場条件を懸案して行なうが、特に考慮することは湧水が伴う
場合である。湧水が多い箇所では、注入管が塩ビ管で軽量なので、簡易的な留め方では
不十分である。その場合、耐水圧的な器具を使用すると坑内に突起するので、作業に支障
となる時がある。また、残置した場合の弊害も検討する必要がある。
表4 注入管設置方法および注入孔の処理方法例
注入管設置方法
固定方法
①落下防止器具
②クサビ
注入孔処理方法
注入管材質
塩ビ管または
標準:注入管をキャップあるいはネジプラグで栓
硬質プラスチック をする。
その他:突起部を除去して、鋼板あるいは繊維
塩ビ管
シート等貼付け。
- 12 -
(2) 注入管設置方法および注入孔の処理方法の例
① 落下防止器具を用いる場合
ⅰ) 設置方法
落下防止器具を取り付ける場合には、注入管には軽量である塩ビ管あるいは
硬質プラスチック管を用いているのが一般的である。注入管を取付器具に接続し、
これらをアンカーボルト等で固定するが、取付器具は軽量の硬質プラスチック製を
用い、ボルトはステンレス製が望ましい。
必要に応じて、注入管には接着剤を塗布して、水漏れしないように覆工コンクリ
ートに固定する。
管設置後にはネジプラグ(硬質プラスチック製)で栓をして養生しておく。
トンネル裏込めの場合の例として、図5-1に取付器具例、図5-2に注入管
設置例を示す。
ⅱ) 注入孔処理方法
注入終了時には、ネジプラグに接着剤を塗布して栓をしておくことを標準とする。
図5-1 取付器具(例)
図5-2 注入管設置(例)
- 13 -
② クサビを用いる場合
ⅰ) 注入管設置方法
注入管(塩ビ管)を挿入し、クサビを打ち込みしっかり固定させて目地処理をする。
注入管設置後に水、土砂が流失しないようにキャップで栓をしておく。図5-3に
トンネル裏込めの場合の設置例を示す。
ⅱ) 注入孔処理方法
注入管をそのまま残して、接着剤を塗布したキャップで栓をすることを標準とする。
注1 ①落下防止器具あるいは②クサビを用いる場合のいずれでも、突起部を除去す
る必要がある場合には、孔口部に鋼板あるいは繊維シート等を貼付ける場合が
ある。
注2 注入管を撤去する場合には、残った孔を無収縮モルタル等で目詰めしておく必
要がある。
図5-3 注入管設置(例)
(クサビ固定の場合)
- 14 -
3-3 エアパック工法(Ⅱ―N型)の注入工
3-3-1 注入工概要
エアパック工法(Ⅱ―N型)は、A液(エアミルク)とB液(可塑剤)の比率が標準で20:1
(100:5)の1.5ショット工法であり、注入施工工程は、材料製造工程と注入工程の2つ
に大別することができる。
材料製造工程で製造した、A液とB液とを、注入工程で、2液を別々の圧送して、注入箇
所近辺の特殊ミキシングユニット(エアパック工法で2液を混合した後に注入ホースを経て
「可塑状」にしてから注入する。
注入施工フローを図6に示す。
A 液
材
料
製
造
工
程
主
要
プ
ラ
ン
ト
部
*
B 液
セメントサイロ
AP-3
混練水
混練ミキサー
(AP-3水溶液)
アジテータ
※AP-3水溶液を水量計で軽量
AP-3水溶液 普通セメント
ミキシングプラント
(セメントミルク)
水
AP-2
混練水
混練ミキサー
(B液)
B液圧送ポンプ
セメントミルク圧送ポンプ
中継ポンプ
中継ポンプ
注入プラントへ移送
ホッパー
注
入
工
程
セメントミルク貯蔵用
注
入
先
端
部
注入プラント
へ移送
B液槽
水
B液貯蔵用
希釈水槽
指示計
セメントミルク流量用
注
入
プ
ラ
ン
ト
部
AP-1
自動発泡機
発泡装置
エアー混合機
(気泡群)
(A液)
A液注入ポンプ
B液注入ポンプ
A液流量計
B液流量計
A液圧送ホース
B液圧送ホース
特殊ミキシングユニット
<可塑状開始>
注入ホース
注入孔
図6 エアパック工法(Ⅱ-N型)注入施工フロー図
*圧送距離が500m以上の場合は、中継ポンプを用いる。
- 15 -
・圧送距離について
材料は、主要プラントで製造し、注入プラントに移送して注入するのが基本形態であるが
途中に中継ポンプを設けて圧送距離を延長することが可能である。
主要プラント→(500m)→注入プラント→(100m)→注入孔
主要プラント→(500m)→中継ポンプ→(500m)→注入プラント→(100m)→注入孔
ⅰ) 注入プラントから注入孔までの距離は100mを基本とする。
ⅱ) セメントミルクの圧送は、500m毎に中継ポンプを設けて圧送距離を延長する。
(B液の圧送は1000m毎に中継ポンプを設ける)
尚、特殊設備により主要プラントから直接500m程度の注入も可能である。
詳細については、協会に問い合わせてください。
3-3-2 材料工程(3-3-1 注入工概要参照)
エアパック工程(Ⅱ―N型)に用いる材料の製造には、A液とB液の製造2工程がある。
(1)A液の製造方法
① セメントミルクの製造方法
AP-3と混練水を専用ミキサーで混練する。次にAP-3水溶液と普通セメントを別の
ミキサーでミキシングする。その後、注入プラントに圧送する。
② 気泡群
気泡群は、注入プラント部でAP-1(起泡剤)を希釈装置で20倍希釈(AP-1:水=1:
19)(容積比)した後に、自動発泡機(コンプレッサー、ポンプ等内蔵)にて製造して
所定の量の気泡群をエア混合機に送り込む。
③ セメントミルクと気泡群をエア混合機でミキシングしてA液を製造する。
注1) アジテータ、エア混合機がA液ポンプと一体化したものもある。
(2)B液の製造方法
B液溶解槽でAP-2(可塑剤)と水とを、AP-2:水=1:1.2(質量比)で混練り溶解し
て製造する。その後、注入プラントまで圧送する。
3-3-3 注入工程(3-3-1 注入工概要参照)
A液、B液を別々の2系統のポンプ、流量計、圧送ホースを用いて、注入箇所近辺ま
で圧送し、特殊ミキシングユニット内で2液を混合した後に注入ホースを経て可塑状で
注入する。
① 圧送ポンプ
A液:B液の吐出量が標準配合で20:1(100:5、条件により多少増減有)と大きく
異なるので、それぞれ異なる吐出量のポンプを用いる。
特に、A液ポンプは、ポンプ内でエア量を保てる、スクイーズ(チューブ)式か、モーノ
(スクリュー)式のポンプを用いる。
② 流量計
A液、B液ポンプの吐出量に合わせた2種類の流量計を用いる。
A液用流量計はエアミルク用(エア量も合わせた流量の測定が可能)を用いる。
③ 圧送ホース、または圧送管
A液、B液の吐出量にもよるが、通常、A液用は2インチ、B液用は1/2~2インチの耐
圧ホースまたは、管を用いる。
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④ 特殊ミキシングユニット
A液:B液の比率が小さいので、2液が良く混合できるように、特殊ミキシングユニット
を用いる。
図7に特殊ミキシングユニット図を示す。
特殊ミキシングユニット内の曲部でB液を噴射する(図示噴射部)方式が採られている
(B液の圧力はA液より若干高くなる)
B液
噴射部
A液
図7 特殊ミキシングユニット図(例)
⑤ A、B液混合後の注入ホース
2液混合後、混合を確実にするために、直接空洞に注せずミキシングユニットと注
入孔の間に注入ホース(耐圧用、通常は2インチ)を取り付けて注入する。
※2液混合後は可塑状になっていて注入ホース内に徐々に付着してくるので、付着
物を除去するために、予備の注入ホースを用意しておき必要に応じて注入ホース
を交換する。
3-3-4 配管(ホース)内洗浄工程
A液は毎日使い切りを基本に製造する。施工後、管内に硬質ゴム等を挿入して水送りを
行って管内を洗浄する。尚A液が管内に残った時は、タンクに貯留してから、上水は、pH
処理して排水し、残留固化物は、産廃処理する。
B液は工事の最終段階(毎日の洗浄は、不要)で管内洗浄を行う。
尚、湧水及び流水が多い場所は、濁水処理装置の設備が必要である。
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3-3-5 エアパック(Ⅱ―N型)注入工に用いる主要使用機械とその他使用機材
(1) 主要使用機械(例) 表5
機 械 名
仕 様
【主要プラント部】
AP-3混練ミキサー 攪拌容量480L×2
5m3水槽+3寸攪拌用
AP-3アジテータ
水中ポンプ
水槽
5m3
水計量計
水源~水槽、サービスタン
水中ポンプ
ク用、水量計用
セメントサイロ
30t移動式
ミキシングプラント
攪拌容量0.5m3
セメントミルク圧送ポンプ ~220L/min
AP-2溶解槽
攪拌容量200L×2
B液圧送ポンプ
3~15L/min
【注入プラント部】
セメントミルクホッパー
0.2m3(アジテータ付)
AP-1希釈水槽
0.2m3
AP-1希釈槽
0.2m3
自動発砲装置
50~200L/min
エア混合機
A液注入ポンプ
~200L/min
A液流量計
~300L/min
B液貯液槽
0.2m3
B液注入ポンプ
5~18L/min
B液流量計
~60L/min
運搬用台車
※【中継ポンプ】
セメントミルクホッパー
0.2m3(アジテータ付)
セメントミルク圧送ポンプ ~220L/min
B液貯液槽
0.2m3
B液圧送ポンプ
3~15L/min
※ 中継ポンプは,必要に応じて設置する。
概 略 寸 法
L×W×H(m)
概略重量
(kg)
概略電力
(kW)
2.25×1.43×1.53
1,100
7.5×2
740
3.7
1,300
50
0.1
φ0.24×0.40
20
20
φ2.50×7.98
2.10×2.75×2.40
2.17×1.27×1.15
2.00×1.21×1.85
1.56×0.80×0.95
6,000
2,950
1,800
610
860
15
6.5
22
1.5
3.7×2
3.05×1.22×1.66
1
1.40×0.84×1.14
0.87×0.47×0.49
1.70×0.58×0.94
0.75×0.50×0.90
295
3
310
180
2.2
0.4
7.5
1
1.65×0.49×0.79
0.64×0.40×1.05
390
110
3.7
1
2.17×1.27×1.15
1,800
1
22
1.56×0.80×0.95
860
3.7×2
(2) その他の使用機材
現場の条件により以下の機材を使用する場合がある。
ⅰ) 給水設備がない時には、給水車が必要である。 ⅱ) 給電設備がない時には、発動発電機が必要となる。
ⅲ) トンネル坑内等、空気の悪い場所で施工する場合は、換気設備を別途用意する。
ⅳ) 注入足場は、必要に応じて、移動式或いは固定式の足場設備を設ける。
Ⅴ) 坑内の排水処理が必要な場合には、濁水処理施設等を設ける。
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(3)機械配置図
主要プラント部
水源
P
サービスタンク
P
セメントサイ
ロ
30t
水槽
5m3
作業台
AP-3混練
ミキサー
水量計
ミキシン
AP-2
溶解槽
AP-3アジテータ
P
B液
圧送ポンプ
セメントミルク
圧送ポンプ
中継ポンプ
配管(500m)
セメントミルク
ホッパー
配管(500m) 配管(500m~1,000m)
配管(500
~1,000m)
B液貯液槽
中継ポンプ
中継ポン
配管(500m) 配管(500~1,000m)
注入プラント部
指示計
B液
流量計 B液注入ポンプ
エア
B液貯液槽 A液注入ポンプ
混合機
セメントミルク
ホッパー
自動発泡
台車(1)
台車(2)
A液流量計
AP-1希釈水槽
AP-1希釈槽
ミキシングユニット
注入
図8 機械配置フロー図
※ 注入プラントはトンネル坑内の配置を想定し,台車に機材を載せ,坑内まで移動できる
形態としている。トンネル坑内の断面は高さ1.8m×幅1.8m以上で,インバートは落差が
ないことを基準とする。
※ 破線部は,必要に応じて設置する。
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3-3-6 注入工の施工管理
(1) 注入工手順
エアパック工法(Ⅱ―N型)の注入施工手順のサイクルは以下のようになる。
<作業内容>
<方法、留意点>
①
注入ホースの取付け
・注入箇所の選定
・しっかり固定する
②
注 入 開 始
③
注 入
④
注 入 終 了
⑤
注入ホース取外し
・圧抜き(飛散に注意)後、外す
⑥
注入箇所の移動
・注入ホース移動
⑦
A液配管・ホース洗浄
・A液+B液の混合を確認して注入を
開始する
・注入圧力、漏出、構造物の変状監視
・適正な吐出量を維持する
・充填、注入量の確認
・作業終了時、実施
(2) 注入圧力の管理
注入圧力の上限は、構造物の耐圧状態によるので、一概には設定し難い。
従って、注入圧力は吐出量(施工性)にも関係するが、空洞を十分に充填できる範囲内
で、構造物に変状をきたさないように、できるだけ低くして、施工するようにする。トンネル
の補修時の裏込めに関しては、「注入圧は新設トンネルの場合、通常3kgf/cm2程度であ
るが、ひび割れ等が発生している場合、さらに変状を進行させるおそれがあるので、事前
に覆工が注入圧に耐えられるかを確認するとともに、注入圧を1.5~2.0kgf/cm2程度で管
理することが必要である。」*3)という指針がある。エアパック工法(Ⅱ―N型)では最大注
入圧は0.2MPaとするが、覆工コンクリートの状態を考慮して決定する。
エアパック工法(Ⅱ―N型)の場合、可塑状で注入するので、A、B液混合後に圧力ゲー
ジを付けると経時的に圧力ゲージの取付け部がゲル化して詰ってきて正確な圧力を示さ
なくなってくるので、注入圧力の検知はA、B液混合直前のA液配管に付けた圧力ゲージ
の圧力による。
又、二液混合後に注入ホースを用いているので、その間のホース抵抗を把握しておく必
要がある。
圧力計は注入孔近くだけではなく、プラントのポンプの方でも常時係員が監視する。
尚、圧力が異常に上がった場合には、ポンプを直ちに止めると同時に、注入孔側では圧
抜きバルブを開放して、圧力を抜く。
*3) 社団法人日本道路協会:道路トンネル維持管理便覧:丸善、1993.11
- 20 -
(3)注入吐出量の管理
開放部充填(吐出量はある程度任意に設定可能)以外の注入時には、吐出量は、100
ℓ/minを目安とするが、初期圧が高い場合には、吐出量を少なくして注入圧力が低くなる
時点の吐出量で注入する。
空洞量が多いことが確認されていて、注入圧力が殆どが上がらない場合には、100ℓ/min
以上で注入する場合もある。
(4)充填確認方法
① トンネル裏込め、一般空洞充填の場合 ⅰ) 隣接する注入孔(確認孔)からエアパック材料の流出が認められた時。
ⅱ) 注入圧力が0.15~0.2MPaになった時を目安とする。
注) 但し、初端と終端とか、或いは装う外の空洞の存在等により、上記の条件に達して
いなくても施工ブロック内で、当初の予想注入量の2~3倍程度を越える大幅な注
入量を費やした場合には、検討及び協議を行う。
尚、施工ブロックの目安は、施工延長にもよるが50~100m程度とする。
②開放部充填の場合
目視または探針することによって確認する。
(5)注入順序
① トンネル裏込め注入
ⅰ) 注入孔より注入して、隣接する注入孔(確
認孔)からの流出または注入圧力で充
填性を確認して順次移行する。
ⅱ) 注入孔は確認も兼ねる。
図9 注入孔(確認孔)配置例
および 注入順序例
②開放部充填及び一般空洞充填
空洞厚さ及び空洞面積に応じて、垂直方向或いは水平方向に割り振りして、均等に
充填出来る順序で施工する。
方押しで
一方向で
施工する
- 21 -
(6)品質管理
エアパック工法(Ⅱ―N型)の品質管理の試験項目、管理値及び測定方法は、表6による
液
試験項目
生比重
表6 品質管理
測定方法
管理値
設定値±0.05 単位体積当たり質量を測定する質量方法による
①質量法(JISA1116に準じる)
セメントミルクとA液の比重を測定し、次式より求める
空気量(%)=(1-
1000γ
A(1000-P)+P
)100%
ここに、
A:セメントミルク比重、 γ:A液比重
P:AP-1希釈水量(L、A液1m3中)
A
液
空気量(%)
①質量法、
②アルコー
ル法
のいずれ
かで行い
設定値±5
②アルコール法(JHS313に準じる)
500mlのメシスシリンダーにA液を200mL入れ、水
200mlを加えて十分に振って、気泡を分離させた
後、アルコール100mlを少しずつ加えて、消泡し、
残留分の量を目盛で読み取り、次式により算出
する。
空気量(%)=
フロー値
(mm)
A
+
B
液
一軸
圧縮強度
2
(N/mm )
80~150
設定値以上
500ml-残留分の目盛(ml)
200ml
×100%
JHS313(エアモルタル及びエアミルクの試験方
法)に準じて、シリンダー法で行う
JISR5201(セメントの物理試験方法)に準じる
・供試体の形状は4×4×16cmとする
・材齢は28日とする
・1材齢につき各3本測定し、3本平均値を測定値
とする
・供試体養生は、飽和湿気状態とする。
注1) エアパック工法(Ⅱ―N型)の成果品はA+B液であるので、フロー値はA+B液を測定する。
注2) 品質管理の頻度は、施工日毎に1回を標準とする。
(7)注入量と材料使用量の検収方法
① 注入量は、流量計のチャート紙の検収による。
② AP-1の使用量は、入荷伝票及び空缶で検収する。
③ AP-2の使用量は、入荷伝票及び空缶で検収する。
④ AP-3の使用量は、入荷伝票及び空缶で検収する。
⑤ セメントの使用量は、入荷伝票(空袋)で検収する。
- 22 -
4. 施工例
4-1 施工例-1
1. 施工対象
導水路トンネル裏込注入
2. 企業者
山梨県
3. 工事場所
山梨県塩山市
4. 工事目的
トンネル背面の空洞充填
5. エアパック(Ⅱ型)
工法採用理由
1) トンネル延長は約600m、トンネル入口からプラントヤード
まで約200mあったため、長距離圧送が可能な材料であるこ
とが要求された。
2) 空洞を確実に充填するためには充填性がよく、且つ限定注入
が可能な材料であることが要求された。
3) トンネル背面空洞部は地下水が多いため、水に対して希釈さ
れにくい工法が必要であった。
以上の条件から、限定注入が可能で水に希釈され難く、長距
離圧送に対応したエアパック(Ⅱ型)工法が採用された。
6. 設計
1) 配合
A液 1,000L
B液 50L
セメント AP-1 AP-3 AP-4 混練水 AP-2 溶解水
450.0
0.92
10.00 1.00
537.0 29.40 35.30
単位 : kg
※ AP-4は現在の配合では使用しません。
A液エア量(%)
30.0
2) 物性 強度 : 1.5N/mm2 比重 : 1.01
3) 総注入量 173m3
7. その他
1) セメントミルク・B液の混練は主要プラント用地で行い、そ
れぞれトンネル坑内に設けた注入プラントまで圧送し、そこ
でセメントミルクと気泡群を混ぜてA液を作製し、B液と混
合させて注入した。
2) 注入孔は、2mピッチとして天端に1列の配孔とし、確認孔
と兼用した。
3) 空洞の状態はまちまちであったが、合計注入量は設計注入量
よりも若干多い結果となった。
- 23 -
施行写真 注入プラント
施行写真 注入状況
トンネル断面形状
- 24 -
4. 施工例
4-2 施工例-2
1. 施工対象
道路トンネル裏込注入
2. 企業者
国土交通省
3. 工事場所
高知県須崎市
4. 工事目的
トンネル背面の空洞充填
5. エアパック(Ⅱ型)
工法採用理由
1) トンネルは国道トンネルであり、片側の交通は確保する
必要があった。
2) 覆工にひび割れが多く存在し、アーチ部の空洞を確実に充填
するためには充填性がよく、且つ限定注入が可能な材料であ
ることが要求された。
3) 漏水箇所が多いため、水に対して希釈されにくい工法が必要
であった。
4) 夜間の生コンプラント稼働が望めず、車上での作液、施工と
なった。
以上の条件から、限定注入が可能で水に希釈され難いエアパ
ックⅡ型工法が採用された。
6. 設計
1) 配合
A液 1,000L
B液 50L
A液エア量(%)
セメント AP-1 AP-3 AP-4 混練水 AP-2 溶解水
450.0
0.92
10.00 1.00
537.0 29.40 35.30
単位 : kg
※ AP-4は現在の配合では使用しません。
2) 物性 強度 : 1.5N/mm2 比重 : 1.01
3) 総注入量 1,160m3
7. その他
1) プラントは車上式、A・B液製造は車上にて行い、セメントは
ローリー搬入とした。
2) 片側交互通行により施工した。
- 25 -
30.0
施行写真 プラント全景
トンネル断面形状
- 26 -
4-3 施工例-3
1. 施工対象
道路建設予定地の転石間の空隙充填注入
2. 企業者
国土交通省
3. 工事場所
栃木県塩谷群栗山村
4. 工事目的
工事用道路の基礎部となる転石間の空隙充填
5. エアパック(Ⅱ型)
工法採用理由
1) 本施工は転石上に工事用道路を設置するための転石間空隙を
充填することを目的として実施した。
2) 空洞を確実に充填するためには充填性がよく、且つ限定注入
が可能な材料であることが要求された。
3) 周辺部に逸出しにくい工法が必要であった。
4) 施工範囲が広く、プラントから先端までの圧送性が要求され
た。
以上の条件から、限定注入が可能で水に希釈され難いエアパ
ックⅡ型工法が採用された。
6. 設計
1) 配合
A液 1,000L
B液 50L
セメント AP-1 AP-3 AP-4 混練水 AP-2 溶解水
450.0
0.92
10.00 1.00
537.0 29.40 35.30
単位 : kg
※ AP-4は現在の配合では使用しません。
A液エア量(%)
30.0
2) 物性 強度 : 1.5N/mm2 比重 : 1.01
3) 総注入量 897m3
7. その他
1) プラントはプラント定置式、A、B液製造を別々の配管で先端
部へ送液した。
2) 周辺部への流出等は認められなかった。
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施行写真 注入全景
エアミルク
エアパックⅡ型
10m
周囲をエアパックⅡ型でグラウト壁を造成し、内部をエアパックやエアミルクで充填注入を行った。
周囲をエアパックⅡ型でグラウト壁を造成し、内部をエアパックやエアミルクで充填注入をおこなった。
断面形状
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