サポイン事業化成功事例

サポイン事業化成功事例
企業名
企業情報
住所
〒910-0106 福井県福井市山室町 69-1
Tel/Fax
Tel:0776-55-1065
HP
株式会社ミツヤ
Fax:0776-55-1620
http:/www.e-mitsuya.jp/
資本金
307 百万円
代表者
代表取締役 西山 和夫
【事業内容】
織物・編物等の製織から染色仕上げまで一貫(一部)した加工。加工品の用途は紳士・婦
人物の裏地、産業・生活資材、表地及びスポーツ衣料等の加工で、素材的には、アセテ
ート・レーヨンをはじめとする化学繊維、ポリエステルなどの合成繊維、それらの繊維
を組み合わせた複合素材、またポリエステル差別化素材等の染色加工。
新事業として炭素繊維強化複合材料(CFRP)を手掛けている。
【主要取引先】
東レ(株)、旭化成アドバンス(株)
、(株)ニシヤマ、(株)IHI エアロスペース
【採択プロジェクト名】
平成 18 年度中小機構採択
「新世代先端複合材料成型品のための薄層多軸プリプレグシートとその成型法の開発」
【事業化成功製品及び特長】
(1)事業化製品(右図写真)
薄層プリプレグシート
(2)製品の特長、顧客(市場、用途)
・福井県特許の強化繊維束の開繊技術を用い、FRP に熱
可塑性樹脂を予め均一に含浸させたシートであり、
薄層で高品質を特長する。耐熱性と強度に優れ、バー
ドストライクなどの衝撃にも壊れにくい。
・下記のエアバス社エンジン部(A320 neo)の構造案内翼に採用された。
売上額推移(含む開発成功品)
H20 年
2,380 百万円
H22 年
2,629 百万円
H24 年
2,616 百万円
H26 年
3,188 百万円
右写真は Googl のライセンスされた
A320neo
【事業化までの経緯】
(1)当初の想定顧客(市場)と製品及びその理由(市場ニーズ)
・開発当初は自動車産業をターゲットとし、ミッドサイズ以上の大型自家用車の外板用
(ボンネット、ルーフ、ドア等)部材を用途とする薄層4軸プリプレグシートの開発
を目指した。
・エネルギー消費量削減及び二酸化炭素排出量削減の観点から、自動車等の軽量化は重
要な課題である。炭素繊維強化複合材料は、高強度軽量化の車両用材料として期待さ
れていた。
(2)事業化達成の障壁と具体的な打開方法
①事業化達成の障壁となったもの
・当初ターゲットとした自動車分野は、価格面で高価なため外板用の採用には未だ至
らなかった。
②事業化の為、顧客をどの様に開拓したのか
・平成 21 年に文部科学省の「地域新生コンソーシアム研究開発事業」に採択された際、
IHI エアロスペース社から弊社材料の優位性に着目され、福井県工業技術センター等
と共同開発の形でスタートした。
・その頃 IHI エアロスペース社は、ロケットのノズルスロート材として CFRP で性能、
機能の課題を解決し、これを踏まえ、飛行機のエンジン周りにも CFRP の採用を検
討していたと考えられる。
(同社のHPよりの情報より)
③事業化時の課題と対応(コスト、品質、機能、生産等)
・航空機部材は自動車部材に比べ、より高い性能・品質要求を満たす必要が有る。
・認定材料となり、航空機部材に採用されるには中量産とその製造体制整備が必要で
あったが、開発当初から性能優先で進めてきており、製造設備におけるコスト、品
質、生産性が不透明であった。また、製造設備に対する設備投資負担も課題であっ
た。
・平成 23 年に経済産業省の「先端技術の実証・評価設備整備費等補助金」を活用し、
先ず、実証評価用設備を整備した。次に、平成 24 年に経済産業省の「革新的低炭素
技術集約産業国内立地推進事業」の補助金を活用し、中量産に対応した製造ライン
を新設出来た。
④事業化に成功した要因
・開発した技術・製品と航空機部材の要求仕様がマッチしていたこと。
・伸びている航空機市場において、大手素材メーカーでも容易に採用されない航空機
のエンジン周り部材に採用されたこと。
・公設試(福井県工業技術センター)の協力が得られたこと。
・中小機構採択のサポイン事業が起爆剤と成り、合計 4 件の国の補助金を活用できた
こと。
⑤採択 10 年目の現在
・製造ラインを新たに新設出来た。製品を客先で航空機の部材に加工
【社長のことば】
①サポイン事業が企業経営に果たした効果
サポイン事業がなかった場合、資金面から複合材に関する
研究開発を断念せざるを得なかったため、複合材製造事業
への参入機会を失ってしまった可能性が高い。
また、サポイン事業は自社の技術力の向上や人材のレベル
アップに寄与し、公設試等との連携強化にもつながった。
②今後への希望及び展開
更なる技術開発を行い、新たなテーマでサポイン事業を提案したい。
高品質かつ低コストの炭素繊維複合材料の量産技術を開発することができたので、この
技術をさらに高度化し、航空機産業のみならず他分野へも展開し、事業化を目指したい。
【参考】
研究開発の成果の概要は以下の HP で公表されている。
「新 世 代 先 端 複 合 材 料 成 型 品 の た め の 薄 層 多 軸 プ リ プ レ グ シ ー ト と そ の 成 型
法の開発」
http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/common/chushou/b_keiei/keieitech
/pdf/hukuishinnsedaino.pdf