蒼月海里「夜と会う。」

2016 年春号 4 月 30 日発売
新連載スタート!
蒼月海里「夜と会う。」
ほっこり謎解き
大人気シリーズ
「幽落町おばけ
駄菓子屋」
の著者が挑む
新たなる異界綺譚。
Illustration:六七質
*このチラシは三省堂書店の特別展開促進店用に作成したものです。
「夜と会う。」著者コメント
ここではない何処かへ逃げたい。
どうしようもなく追い詰められて、何もかも投げ出したくなる。
そんな時はありませんか?
真っ暗闇の中、どんなに走っても光が見えない。
不安に追いかけられて、恐ろしい想いをしている。
そんなことはありませんか?
悩みごとのなさそうなあの人も、いつも強気なあの人も、みんな、そんな瞬間があ
るのではないかと、私は思うのです。
でも、雑音のない闇の中でこそ、自分と向き合うチャンスなのではないかとも思う
のです。
自分をじっくりと知ることで、不安や悩みの正体が分かったり、意外な解決方法が
見つかったりするかもしれません。
これは、悩みを抱えた人達が傷つきながらも前に進む物語です。
そして、あなたの物語でもあります。
もし、あなたの中の《夜》と出会った時、あなたはそこに何を見つけるのでしょう
か。
蒼月海里
苦しさから抜け出すきっかけ
誰かを慰めたり励ましたりって難しいですよね。その人の胸に居座っている苦しみ
のもとを、こちらが手を出して直接的に解消できることって、現実にはほとんどない
ような気がします。
「あなたのため」と無理強いすれば、相手の心には「干渉されたく
ない」という気持ちが生まれることだってあるでしょう。
蒼月海里さんの新連載「夜と会う。
」は、苦しんでいる人のトラブルそのものを直接
解決する物語ではなくて、苦しさから抜け出すきっかけを一緒に探してくれる物語の
ような気がします。
序章のタイトルは「どうして、世界が窮屈だと思うんだい?」
。――どうしてだろ
う。そういえば、どうして自分の日常はこんなに息苦しいんだろう。
私はもう大人なので、いろいろ誤魔化すワザを身につけていますが、なのにイザヨ
イの言葉に導かれながら、気付くともうちょっと自由になる方法を探し始めていたの
でした。
「yom yom」編集長 西村博一
「夜と会う。」の物語
独善的で支配欲の強い両親に育てられ、いつしか自由に生きることをあきらめてし
まった少年・有森澪音(ありもり・れいん)。ある日、彼は大きな月が見下ろす砂漠
の夢の中で、不思議な人物と「キミの心が潤うというなら、キミを月に連れて行く」
という約束を交わす。
月日が流れて高校生になった澪音は、同級生・茅野真理(かやの・まり)の夜ごと
見るという悪夢が、かつて自分が見た夢の光景に似ていることに気付く。彼女はそこ
で何者かに捕まりそうになり、逃げ続けているのだという。ひょんなことで出会った
喫茶カグヤのオーナー・小野寺豪(おのでら・ごう)に「砂漠の中で妙な奴に出会っ
たら、絶対に逃げろ」と謎めいた言葉を告げられたその夜、澪音はこの世とは思えぬ
不思議な廃墟へ迷い込む。そこは≪夜≫と呼ばれる異形が跋扈する場所だった――。
登場人物
有森澪音(ありもり・れいん)
将来に夢も希望もない、無気力な高校二年生男子。漠然とどこかへ消えてしまいた
いと考えている。スマートフォンのアプリに導かれるまま、≪夜の世界≫へと迷い込
む。
小野寺豪(おのでら・ごう)
喫茶 カグヤのマスター。20代後半から30代前半くらいで背の高い無精ひげの
男。たった一人で異形と戦う≪夜狩り≫を行なっていた。≪夜≫を強く憎んでいる。
誘宵(イザヨイ)
作り物のように整った顔立ちの、黒髪で深紅の目を持つ謎の青年。≪夜の世界≫で
会う。澪音のことをずっと前から知っているかのような態度をとるが……。
著者紹介
蒼月海里(あおつき・かいり)
宮城県生まれ千葉県育ち東京都在住。作家。都内で書店員もしている。『幽落町おば
け駄菓子屋』シリーズが人気を博す。他の著書に『幻想古書店で珈琲を』シリーズ、『深
海カフェ 海底二万哩』シリーズがある。
イラストレーター紹介
六七質(むなしち)
青森県生まれ東京都在住。2008年よりフリーランスのイラストレーターとして活
躍。町並み、工場、廃屋、巨大建築物などの描写に定評がある。
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2016 春号 目次
NEW SERIES
谷 瑞恵「殻の祭壇」
蒼月海里「夜と会う。
」
吉川トリコ「マリー・アントワネットの日記」
SPECIAL STORY
中田永一「地球に磔にされた男」
岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」
SERIES
Illustration:押見修造
浅葉なつ「カカノムモノ」
[第 3 回]
畑野智美「消えない月」
[第 4 回]
藤井太洋「ワン・モア・ヌーク」[第 3 回]
トミヤマユキコ「たすけて! 女子マンガ」
[第 2 回]
少年アヤ「あれの・花園」
[最終回]
東川篤哉「かがやき荘アラサー探偵局」
[最終回]
青柳碧人「ブタカン!池谷美咲の演劇部日誌 第三幕」
[第 3 回]
仁木英之「神仙の祈り 僕僕先生 零」
[最終回]
坂木 司「女子的生活」
[最終回]
COMIC
llustration:押見修造
益田ミリ「マリコ、うまくいくよ」
[第 8 回]
error403「神梅さんが思うに。
」
[第 8 回]
ESSAY&COLUMN
押見修造「表紙の BACK STORY」
PRESENTATION
「女による女のための R-18 文学賞」決定発表
発行所
新潮社
東京都新宿区矢来町 71 発行人
2016 年 5 月 1 日発行 定価 910 円(本体 843 円)
私市憲敬
編集人
西村博一
連絡先:新潮社営業部雑誌販売
03-3266-5179