「食」の現場で働く人々を紹介するニュースレター【FUNtoFUN通信】

「食」を“つくる”から“とどける”までを仕事にする
FUN t o FUN 通信
2016 年 3 月5 日発行 通巻5号
発行:FUN to FUN 株式会社
〒101−0033 東京都千代田区神田岩本町1番地14
KDX 秋葉原ビル 3 階
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株式会社 KAWAKIYA~当社と提携して地元産
の果物・野菜のヒートドライ製品を開発・製造
「食」に関する仕事は、農林畜産業に始まり食品工場での製造、お店での接客・販
売など、多岐にわたります。当社は、「食」に特化した人材総合サービス事業を営ん
でいます。
当ニュースレターは、
「食」に関わる企業の現場、「食」に関わる現場で働く人々に
スポットを当て、
生の声に耳を傾けながら、
「食」の仕事の最前線情報をお届けします。
「パートナー」編の第 1 回は、イチゴ農家を母体に起業した、株式会社 KAWAKIYA
(長崎県南島原市加津佐町、代表取締役:栗原雄一郎)を紹介します。同社は 2015
年4月に当社と業務提携し、地元産の果物・野菜のヒートドライ製品の開発・製造
から販売に至るプロジェクトを「一粒感動」と称して同年7月下旬から事業を展開
しています。
いちりゅうかんどう
「パートナー」編
Vol.1
株式会社
KAWAKIYA
地方創生を促進する「一粒感動」プロジェクト
政府は地方経済の活性化のために、
「まち・ひと・しご
と創生本部」を中心に地方創生に向けて本格的な取り組み
を始めています。2012 年、当社は栃木の活性化を目的と
した地場産業活性化や企業支援を目指して地元企業に協
力。地元の農産品を使用した「ドライトチオトメ」
「ドラ
イトチトマト」の開発を支援し、東京スカイツリータウン
などをはじめ全国での販路を開拓しました。
今回、
「FUN to FUN 通信」で取り上げる「一粒感動」プ
ロジェクトは、株式会社 KAWAKIYA が当社のヒートドラ
イ製法の技術、機材選定とその使用方法など、独自のノウ
ハウを基に展開した事業です。
KAWAKIYA は、 長 崎 県 南 島 原 市 加 津 佐 町 な ど の イ チ
ゴ農家でつくる加津佐苺組合(組合長:加藤雅計)から
規格外などの理由で店頭に並ばない同産地名物のイチゴ
とうくん
「桃薫」や「おいCベリー」をヒートドライ製品用に入手。
イチゴ収穫後の 2015 年 12 月からヒートドライ製品加工
栗原雄一郎さん(写真:島原新聞社提供)
に着手し、翌 2016 年1月から長崎県内のホテルなどで発
2015 年4月に自らの農家で収穫したイチゴを当社に依
売しています。株式会社アリマート(本社:長崎県南島原
頼し、当社関連工場でヒートドライ製品として試作し関係
市、代表取締役:安藤秀作)が生産するトマトもヒートド
者に配布、一部販売もしました。味と香りもそのままで好
ライ製品として加工され、2015 年8月上旬から発売され
評だったことから、地元の長崎でヒートドライ工場を立ち
ています。
上げ、製品化する道を模索しました。
KAWAKIYA 設立の背景に夢実現への強い思い
ゆうめい
KAWAKIYA は、栗原さんと、雲仙有 明ホテル代表取締
役社長の平湯晃さん(51)、「アリマート」の名で知られ
KAWAKIYA の代表取締役の栗原雄一郎さん(39)は、
るトマト農家の安藤秀作さん(38)の3人が共同出資し
南島原市加津佐のイチゴ農家に生まれました。1996 年4
て設立しました。
月から実家のイチゴ農家を継ぎ、加津佐苺組合の組合員と
栗原さんは以前から「自家産イチゴで加工品を作りたい」
して長年従事してきました。20 代で就農した栗原さんで
と考えていましたが、平湯さんは栗原さんが育てる桃のよ
すが、将来を見据えて「農業生産だけでは…」と危惧を抱
うな甘い香りをもつイチゴ「桃薫」を自社ホテルで扱うう
いていたといいます。
ちに、栗原さんの果物の加工品製造への夢を知るようにな
加工作業現場(写真:島原新聞社提供)
各種製品
機に入れるだけです。添加物は一切使っていません。ゆっ
くり時間をかけて乾燥させることで雑味がなくなり、中間
の味が抜けていき、果物そのものの食味が残ります。品目
によって乾燥時間が異なるため、何度も失敗を繰り返し、
試行錯誤を重ねてベストな乾燥タイムを見いだしてきまし
た。
ります。そこに、同じく「加工品を作りたい」と思ってい
製品は「カワキイチゴ」
、
「カワキトマト」などのネーミ
た安藤さんが加わり、2015 年2月に会社設立に至りまし
ングで商品化。「カワキ」の名を冠してシリーズ化されて
た。
います。見た目はイチゴがピンク、輪切りのトマトは赤、
2015 年4月には当社と業務提携し、製法の提供と販路
ミカンの輪切りは黄、皮をむいたキウイは緑、カキは橙な
拡大支援を受けて開発と製造に取り組むようになります。
どと素材そのものの色合いが出ていて、仕上がりもきれ
現在、
平湯さんの本業「ときわや畳店」
(南島原市加津佐町)
いです。KAWAKIYA の商品は乾燥させたフルーツですが、
の作業場の一部を改装して加工場をつくり、生産を進めて
従来のドライフルーツとは一線を画すものです。栗原さん
います。
は「南島原から『果物のカワキもの』シリーズとして世界
つぎお
栗原雄一郎さんの父、二 雄さん(63)が申請した「イ
に展開していきたい」と考えています。
チゴを利用した商品の委託加工・販売事業」は、国の
現在、20 品目を生産しており、主力は自家産のイチゴ
2014 年度第3回六次産業化法・地産地消法「認定総合化
とトマト。今後 12 品目に絞り込んでいく予定です。1パッ
事業計画」に認定され、KAWAKIYA は事業の委託先とし
クの量は品目により異なり、12 ~ 30 グラムで 700 ~ 900
て稼働しています。
円。当社の販路を生かして関東や関西、北海道に出荷して
「南島原から『果物のカワキもの』シリーズ
として世界に展開していきたい」
います。
地方創生を促進する「一粒感動」プロジェクト。
「一粒
感動」の言葉には、「生産者が思いを込めて育てた農産物
KAWAKIYA は、イチゴやトマトに留まらず、スイカ、
をドライフルーツで伝えたい。一粒に込められた思い。生
パイナップル、バナナに加え、今後はミカン、キウイ、モモ、
産者から消費者へその思いをつなぎ、一粒の種が育って多
ブドウなどもヒートドライ製品として加工していきます。
くの実がなるように、一つの感動が世界に広がって多くの
ヒートドライ製法とは、従来のフリーズドライ(凍結乾
人々に幸せを届けたい」という願いが込められています。
燥法)や砂糖で漬けるドライフルーツ製法とは異なり、採
れたての新鮮な味と香りをそのまま、添加物を一切加える
ことなく約1カ月かけて水分だけを抜き取る新しい乾燥製
法です。ヒートドライ製法による加工は、採れたての新鮮
な味と香りがそのまま残るため、素材本来のおいしさを
保ったまま商品化できます。
ヒートドライ製法により、商品化するイチゴやトマト、
バナナなどの水分は 10 分の1から 12 分の1程度までに
減ります。加工過程は素材を切って皿に均一に並べ、乾燥
KAWAKIYA のロゴマークは乾燥しても
必ず残る「種」がモチーフ。水や空気
を表した水色、土の茶色、太陽の赤、
植物の色合いを表現した緑の4色の粒
が広がっていくイメージでデザインさ
れました。一粒一粒、生産者が込める
一つ一つの思いが輪になってが広がっ
ていくようにという願いが込められて
います。