外神田の家 豊かなシークエンスを持つ階段脇に位置する住宅兼アトリエです。 印象的な階段の風景に、いかにこの建物が関わっていけるかを考えました。 たとえ一軒の住宅であっても、街や地域といった大きな環境とひとつながり の中にあるものだと考えこのプロジェクトをスタートしました。 どうすれば風景全体が魅力的にできるかを考え、「住宅らしさ」を消すことで 街の一部であることが意識されるようにしました。 この場所の特徴的な体験である高低に変化する視点、特に俯瞰的な視点 からのあり方を模索し、内外を隔てる壁をワンフロア毎に折る単純な形態操 作に至りました。 壁の折れ方によって生まれる基壇部の緑化スペースでは四季の変化を楽 しめ、階段の上り下りという同様の体験から内外異なる風景を獲得します。 また、温熱環境を整えることも、地域以上の大きな環境とつながっていく要 素となっています。 住宅をつくることは街並みに貢献することでもあり、周辺住民との一種のコ ミュニケーションツールにもなります。 居住者だけでなく、この階段を通る人に、「きれいだな」「育ったな」といった ある体験が残る、一枚の絵としてではない「風景としてのファサード」となっ ています。 そこに住む人だけでなく、通りかかった人が街の中で自然を感じる機会を生 む地域に貢献する建築です。 B1階平面図 1階平面図 2階平面図 3階平面図 ダイニングから吹抜けを見上げる。 ダイニングから吹抜けを見上げる。 リビングから吹抜け方向から見る。 矩計図 空調は気積が大きい吹抜けの温度ム ラをおさえるため全館空調システムを 使っています。 また、断熱モルタルと断熱材の2層か らなる外断熱工法は、コンクリートの蓄 熱性を考慮した高効率の断熱システ ムとなっています。 高さの制限などから、排水配管や空調 ダクトをすべて壁面で処理することで、 同時に壁よりも床の存在を希薄にする ことにも作用しています。
© Copyright 2024 ExpyDoc