楽天ショウタイム株式会社 動画配信サービスの基 幹システムを「Microsoft Azure Media Services 」に全面移行した楽天ショウタイム。ストレージと運用面 で 5 分の 3 にまで圧縮されたトータル コストをもって、さらなる サービス品質向上に取り組む ソリューション概要 12 万 以 上 の 映 像 コン テン ツ を ユー ザー へ 提 供 し、 幅 広 い 層 か ら 高 い 支 持 を 集 め る 楽 天 ○プロファイル 2001 年の設 立以降、長年にわたって動画配信 ンツへアクセスしています。 サービスを提供する楽天ショウタイム株式会社。 国内最 大級の品揃えを誇る同社サービスでは、 楽天会員が利用する国内最大級のサイトとして、 コンテンツの拡充と新たなサービス展開を行って まいります。 ○導入ソフトウェアとサービス ・Microsoft Azure Media Services ・Microsoft Azure Storage ○導入メリット ・Azure Media Services により、配信形式やビッ トレート、DRM 方針ごとに異なるファイルを 用意する必要がなくなり、4 分の 1 ほどまでス トレージ容量の削減を実現 ・ジャンルごとに分かれたストレージをクラウド 化することで、コンテンツ増減への柔軟な対応 と容量の偏りに対応したコスト調整を行えるよ うになった ・配信開始時やトラブル時における運用負荷が大 幅に削減され、トータル コストとしては 5 分 の 3 にまで圧縮。サービス品質や価値の向上 へもつながった ・日本マイクロソフトとの連携により、先進的な 取り組みをすすめることが可能になった ○ユーザー コメント 「運用の最適化は、サービス品質へ還元すること ができます。たとえば配信時のトラブルについて も、問題特定までのリード タイムを短くできれば、 お客さまの動画視聴を安定化できます。コンテン ツの配信準備が簡略化できれば、定期的に、ま とまった数のコンテンツを新たに提供しやすくな 『見たいコン ります。Azure を採用したことで、 テンツを常に取り揃えられる 』基盤の構築が行 えたのだと実感しています」 楽天ショウタイム株式会社 執行役員 システム部 部長 濱田 修 氏 SHOWTIME ( ショウタイム )。同サービス上では日々、何千万人もの楽天会員が膨大な量のコンテ 運営会社である楽天ショウタイムでは、これらのコンテンツを効率的にかつ安定して配信する基幹 システムを、2013 年から 2016 年にかけてクラウド上へ全面移行しました。同取り組みは、ストレー ジや運用などのトータル コストを従来比で 5 分の 3 まで削減し、サービス品質や価値の向上に も大きな効果を上げています。その基幹システムについて、同社のシステム構想との合致性を評 価し採用されたのが、日本マイクロソフトが提供する Microsoft Azure Media Services です。 導入の背景とねらい 視聴するデバイスの多様化にともない、 ストレージ容量と運用工数の最適化が課題に ハリウッド映画や邦画、海外ドラマからアニメにいたるまで、幅広いコンテンツを取り揃える楽天 ショウタイム株式会社。月額会費制を敷くサービス事業社が市場に多いなか、同社ではコンテン ツごとの課金モデルを採用した「楽天 SHOWTIME 」を提供し、人気を博しています。 楽天 SHOWTIME が支持される理由としては、まず、課金モデルゆえにコンテンツが豊富にあり、 最新作がより早く見られる事があげられます。さらに楽天のサービスである楽天ポイントが使える 点も重要です。そしてそれらのコンテンツは、PC やスマートフォンのみでなく、テレビやゲーム機 などあらゆるデバイスで閲覧でき、ユーザーは求める動画をいつどこでも楽しむことが可能です。 ところが、同サービスが評価される理由たる「コンテンツの質と量」「マルチ デバイス対応」の 2 点について、その維持において従来のシステムではさまざまな課題があったといいます。楽天ショ ウタイム株式会社 執行役員 システム部 部長 濱田 修 氏は、当時抱えていた課題についてつぎの ように説明します。 「いかに豊富なコンテンツを取り揃えていても、快適に視聴いただけなければユーザー価値には繋 がりません。お客さまはテレビや PC だけでなく、スマートフォン、タブレット、そしてゲーム機な ど、さまざまなデバイスで当社サービスを利用されます。快適に映像コンテンツを視聴いただき、 当社サービスの強みであるコンテンツの質と量を より楽しんでいただくためには、従来のシステム では課題があったのです」( 濱田 氏 )。 楽天ショウタイムでは、これまで、コンテンツ保 存用 のストレ ージと、Windows Media Server による基 幹システムをオンプレミ スに構 築し、 ユーザーへの配信を行っていました。しかし、視 聴デバイスの多様化にともない、動画コンテンツ の容量と管理工数は増加の一途をたどっていた といいます。 楽天ショウタイム株式会社 楽天ショウタイム株式会社 システム概要と導入の経緯、構築 「 た と え ば、 動 画 の 配 信 形 式 に は、MSS 楽 天 ショウ タ イム の 構 想 と Microsoft Azure Media Services のロードマップが合致し、採用を決定 (Microsoft Smooth Streaming)、HDS (Adobe HTTP Dynamic Streaming)、HLS (Apple HTTP Live Streaming) などがあり、デバイスごとに最 適な配信形式が異なっています。また、配信ビッ あらたな動画配信の基幹システムとして、楽天ショウタイムではまず、ス トレートも、ユーザーやデバイスのネットワーク トレージのクラウド化をすすめたといいます。 環境を考慮し、低ビットレートから高ビットレー トまで数種 類のファイルにわかれています。1 つの動画コンテンツを配信する場合、これらの 配信形式やビットレートごとに異なったファイル を用意する必要があるのです。仮に動画コンテ ンツのファイル容量が 1 つあたり 1 GB であって 「オンプレミスと異なり、クラウドは容量を柔軟にサイジングできます。 楽天ショウタイム株式会社 執行役員 システム部 部長 濱田 修 氏 も、実際にはその 何十倍もの保存容量が必要になります。さらに、各ファ コスト最適化のアプローチとしてまずは、ジャンルごとにわけたストレー ジを段階的に、クラウドへ移行していきました。サービスの根幹たる コンテンツが保存されますので、信頼性と柔軟性が高い事業社の中か ら、いくつかのクラウド サービスを併用して利用しました。Microsoft Azure Storage も、その中の 1 つとして採用したのです」( 齋藤 氏 )。 イルを準備し管理する作業量も多大なものでした 」( 濱田 氏 )。 しかしストレージのクラウド化は、根本的な課題解決には結びつかな 当時の運用状況について、楽天ショウタイム株式会社 システム部 イン かったと、濱田 氏はつづけます。 フラ運用グループ マネージャー 齋藤 裕 氏はつぎのように振り返りま す。 「コンテンツ増強時の対応や、偏りが発生するストレージ容量のコスト 調整はたしかに行えました。しかし、配信形式やビットレート、DRM ご 「負荷が増えるたびにサーバーを増強していたの とにファイルを準備するという運用は依然変わりません。総容量や運用 ですが、管理しなければならない総ファイル数 工数の削減を行うためには、配信システムを変更しなければなりません が 1 億を超えてくると、オンプレミスでの管理 が、当時私どもの課題を解決するソリューションは見当たらなかったの が限界になってきました。コンテンツのジャンル です。配信システムを自社で開発することも視野に入れ、最適なシステ ごとにストレージを分けて運用していましたが、 ムについて構想しつづけていました 」( 濱田 氏 )。 増強の速度にストレージ容量が追いつかなかっ たり、特定のストレージにファイルが偏ったりと そんな折、密にかかわるようになった日本マイクロソフトより招待を受 けた 顧客向けプログラム「Executive Briefing Center (EBC) 」への 参 いった問題が発生し、適切な運用モデルから乖 離しはじめたのです。」( 齋藤 氏 )。 くわえてもう 1 つ、大きな課題として、DRM と 呼ばれるデジタル著作権管理のシステムも、デ 楽天ショウタイム株式会社 システム部 インフラ運用グループ マネージャー 齋藤 裕 氏 加が、大きな転機となったといいます。EBC では、当時、米国マイク ロソフトが開発を進めていたコンテンツ配信システムである Microsoft Azure Media Services のロードマップが開発マネージャーより示されま したが、そのアプローチが、濱田 氏の構想と大きく合致していたのです。 バイスごとに異なったものを採用しなければならないことがありました。 「感銘を受けたのは『Dynamic Packaging 』と呼ばれるもので、これは 「DRM の 暗 号 化 方 式 に つ いて も、Microsoft PlayReady や Google 自動的に配信するデバイスやビットレートに合わせて動画ファイルをト Widevine などの種類があり、こちらについても配信するデバイスごと ランスコードする技術になります。動画ファイルは視聴先に最適化した に異なった方式を採用する必要があります。配信形式やビットレートと 形へ自動変換のうえ配信されます。さらに DRM についても『Dynamic 同様、異なる DRM 方式ごとにファイルを用意しなければならず、管理 Encryption 』という技術によって、配信時に事前設定した方式で暗号化 側にとっては大きな工数負荷になっていました 」( 齋藤 氏 )。 がされます。その結果、ストレージ側で用意する動画ファイルは 1 つで よく、DRM に関する作業も必要なくなります。当社のビジョンと合致し 「今後、見たいコンテンツを支払いたい課金形態のもとで選ぶ世の中に ているうえ、それを実現するための技術のロードマップも具体的で、 『求 なっていきます。ストレージ コストや複数 DRM への対応という課題を めていたのはこれだ 』と思いました。マイクロソフト様へは、もともと 解決することは、そこへ投じていたリソースをサービスに還元できること メディアに強いという印象を抱いていましたので、これまでにないサー を意味します。先々を見通した場合、 『見たいコンテンツを常に取り揃え ビスを展開していくことにも信頼と確信も持つことができました。少し られる 』基盤を構築することが急務と考え、2013 年より具体的な検討 大げさかもしれませんが、その場で採用を決めたと言っても過言ではあ を開始しました 」( 濱田 氏 )。 りません」( 濱田 氏 )。 「複 数社のクラウド サービスを併用していたストレージ面も、Azure Media Services の採用を契機に、Azure Storage への統一化を決定し 楽天ショウタイム株式会社 Storage Azure Media Service CDN Azure Media Service Account 1 エンコードシステム HLS Streaming endpoint Storage Account 1 Smooth Streaming Unit Streaming Unit Streaming Unit Storage Account 2 Streaming Unit DASH Streaming Unit 東日本 DRM ライセンス/ AES を使用した 暗号化キー Microsoft Azure 認証システム Azure Media Services を利用することで、ストレージ側で用意する動画ファイルはオリジナルのもの 1 つでよくなる ました。2013 年のタイミングではまだロードマップの提示まででしたの 米国マイクロソフトのエンジニアも、楽天ショウタイムの取り組みには で、マイクロソフト様のロードマップとサービスの提供状況を考慮して切 高い関心を持っていました。米国本社との橋渡し役を担う日本マイクロ り替えを進めることとなりました 」( 齋藤 氏 )。 ソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエ バンジェリズム本部 テクニカルエバンジェリスト 畠山 大有 氏は、つぎ ロードマップが具体的に実装された 2015 年 3 月より、楽天ショウタイ のようにつづけます。 ムでは、基幹システムの切り替えへ向けた検証が開始されました。ただ、 それまでの期間も同社では、日本マイクロソフトのソリューションアー 「これほどのシステム規模で単一の動画配信サービスを展開している企 キテクトやエバンジェリストらと密に連携し、スムーズに切り替え作業 業は、グローバルでもあまり例がありません。開発チームにとっても、サー が開始できるよう準備をすすめたといいます。両社の取り組みについて、 ビスの提供や実装方法についてのフィードバックは非常に参考になりま 日本マイクロソフト側の担当者である日本マイクロソフト株式会社 クラ す。ご要望をいただいた点をできるだけサービスに反映できるよう務め ウド & ソリューションビジネス統括本部 Azure ソリューション技術部 ク ることで、Azure Media Services 自体もより使いやすいものになってい ラウドソリューションアーキテクト 川崎 庸市 氏は、当時を振り返ります。 ると思います」( 畠山 氏 )。 「楽天ショウタイム様は、メディア事業にまつわるビジネスや技術につい ベンダーとの密な連携もあり、検証作業はスムーズに終了。2015 年 8 て深い見識をお持ちでした。お客さまが求めていることを詳しくヒアリ 月からは Azure への移行作業が開始され、同年 12 月までには、ほぼ ングし、必要な技術や実装方法の支援を継続的に行わせていただきま すべてのコンテンツと基幹システムの移行が完了しました。過去のコン したが、米国本社へもニーズを伝えることで、当社サービスの開発面に テンツのみでなく、現在新規に提供されるコンテンツもすべて、Azure おいてもよい影響を与えてくださったと感じています」( 川崎 氏 )。 上の新たなプラットフォームから配信されています。 導入の効果 5 分の 3 にまで削減されたトータル コストがもたらす、 サービス品質の向上 Azure Media Services と Azure Storage への移行は、想定以上に大き な効果をもたらしました。まずあげられる点に、ストレージ容量の圧縮 があります。 「1 つの動画ファイルから複数の配信形式、DRM 方式を自動的にトラン 日本マイクロソフト株式会社 クラウド & ソリューションビジネス統括本部 Azure ソリューション技術部 クラウドソリューションアーキテクト 川崎 庸市 氏 日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 テクニカルエバンジェリスト 畠山 大有 氏 スコードのうえで配信できるようになりましたので、保存容量を劇的に 圧縮することができました。具体的には、従来の 4 分の 1 ほどまでス トレージ コストを削減できたと考えています」( 濱田 氏 )。 楽天ショウタイム株式会社 ファイル管理における運用工数も考慮すると、その効果はさらに高いと 作業を進めています。具体的には、ライブ配信のワークフローの簡素化 齋藤 氏はつづけます。 や、ライブ配信の最中に広告を入れるしくみづくりなどがあげられます。 リクエストも多々出させていただいていますが、それに対する回答も早 「毎月、数千本以上の新たなコンテンツが配信開始されますが、その 1 つひとつについて配信形式や DRM 方式ごとに別のファイルを準備する く正確ですので、厚く信頼できるパートナーとして、一緒に新たなビジネ スを進められるのです」( 濱田 氏 )。 作業がなくなりました。また、配信で何かトラブルがあった場合、従来 ですと配信時に作成するビットレートや配信形式ごとのどのファイルに 「単なる顧客とベンダーの関係ではなく、ともに市場を開拓していくパー 問題があるのか、保存しているオリジナルのファイルそのものに問題が トナーとして捉えていただけるよう、マイクロソフトとしてはサービスの あるのかといった『問題の特定』が必要でした。現在は、動画ファイル 1 改良と技術支援をもって取り組んでいきたいと思います」( 畠山 氏 )。 つだけを確認し対応すればよく、運用面での工数削減は大きなものだと 感じます。トータル コストでみると、5 分の 3 にまで圧縮できたのでは Azure Media Services と Azure Storage の採用により、コンテンツ拡 ないでしょうか」( 齋藤 氏 )。 充とサービス品質向上のさらなる加速が期待される楽天ショウタイム。 「『このサイトで提供していないコンテンツがない 』ことを目指します」と 「運用の最適化は、サービス品質へ還元することができます。たとえば 配信時のトラブルについても、問題特定までのリード タイムを短くでき いう濱田 氏の力強い目標へ向け、同社サービスは Azure を活用し、よ り高い価値を提供していきます。 れば、お客さまの動画視聴を安定化できます。コンテンツの配信準備 が簡略化できれば、定期的に、まとまった数のコンテンツを新たに提供 しやすくなります。Azure を採用したことで、 『見たいコンテンツを常に 取り揃えられる』基盤の構築が行えたのだと実感しています」( 濱田 氏 )。 今後の展望 日本マイクロソフトと連携し、新たなビジネス展開を計画 日本マイクロソフトとビジョンを共有することで、先進的な取り組みを 進められるようになったことも大きなメリットだと濱田 氏はつづけます。 「楽天ショウタイムでは現在、ライブ配信についての取り組みを強化して いますが、インフラや技術面についてマイクロソフト様へ協力いただき 導入についてのお問い合わせ 本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/ 本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015 年 12 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。 ■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/ ■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755 (9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く ) ※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。 *その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。 *製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。 〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー 5975-MN1
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