特集 平成 28 年度 地方財政対策について 主計局主計官 阿久澤 孝 1.はじめに ーマンショック後 621 兆円(平成 21 年度末)か 地方交付税法において、国税収入額の一定割合 増加し 837 兆円まで累増すると見込まれる一方 (28 年度は所得税及び法人税の収入額の 33.1%、 で、地方は平成 18 年度以降基礎的財政収支の黒 酒税の収入額の 50%、消費税の収入額の 22.3%) 字を維持していることに加え、債務残高も約 200 とされている。しかし、実際に地方団体に交付さ 兆円で安定している。 一般会計歳出に計上される地方交付税交付金は、 れる地方交付税の総額は、これにとどまらず、 ら 6 年間で約 220 兆円(平成 27 年度末見込み) 平成 28 年度地方財政対策においては、後述す ① 過去の地方財政対策時の国と地方の貸し借り る「経済・財政再生計画」の初年度として、地方 などに起因して地方交付税法附則等によって後 の安定的な財政運営に配慮しつつ、地方歳出を効 年度に加算することが定められている額の加算 率化・重点化するとともに、国・地方を通じた財 (法定加算)及び過年度の精算 ② 地方財政全体の収支見通しにおいて、地方歳 出の総額と、地方税、地方交付税の法定率分及 び法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方 歳入の合計額との間に生じた乖離(地方の財源 不足)を国・地方が折半して補填するための加 算(特例加算) 政健全化に取り組むことが課題であった。 2.平成 28 年度地方財政対策に ついて (1)通常収支分について ① 「経済・財政再生計画」及び「予算編成の基本方針」 について を行った上で決定されている 。更に、平成 21 「経済・財政再生計画」 (平成 27 年 6 月 30 日閣 年度の地方財政対策以降、リーマンショック後の 議決定)における財政健全化目標については、 危機対応として、これらとは別枠の加算(別枠加 「「経済・財政一体改革」を推進することにより、 算)を行い、その上でなお生じる財源不足を上記 経済再生を進めるとともに、2020 年度(平成 32 ②における折半対象の財源不足として計算する異 年度)の財政健全化目標*2 を堅持する。具体的 例の取扱いを行ってきた。 には、2020 年度 PB 黒字化を実現することとし、 *1 この間の国・地方の財政状況を見ると、国は巨 そのため、PB 赤字の対 GDP 比を縮小していく」 額の基礎的財政収支の赤字を抱え、債務残高がリ こととされた。また、計画期間の当初 3 年間(平 *1)地方交付税とは別に、地方特例交付金(特定の地方歳出に係る地方負担や地方税の特例的な減税措置による地方財政 の減収分を補填するための特別措置)がある。毎年度の一般会計歳出に計上される地方交付税交付金等の額は、地方 交付税及び地方特例交付金の交付のために必要とされる一般会計から交付税特会への繰入金の額の合計額である。 *2)国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2020 年度までに黒字化、その後の債務残高対 GDP 比の安定的 な引下げを目指すこと(当面の財政健全化に向けた取組等について-中期財政計画-(平成 25 年 8 月 8 日閣議 了解))をいう。 22 ファイナンス 2016.4 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について 平成 28 年度地方財政計画(通常収支分)の概要 ※地方交付税の法定率:所得税 33.1%、法人税 33.1%、酒税 50%、消費税 22.3% ※このほか、地方法人課税の偏在是正のために導入された地方法人税の税収を交付税原資化(特会財源) ○法定率分で不足する財源については、特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により折半で負担することで対応。リーマンショック 後は、これに加え、国の全額負担による別枠加算で地方の負担を軽減(28年度に廃止) 。 平成 28 年度地方財政計画(単位:兆円、(カッコ書)は対前年度増減額) 【歳入 85.8(+0.5) 】 給与関係経費:20.3(▲0.0) 歳出歳入ギャップ :17.0(▲1.2) 折半対象 財源不足 :0.5(▲2.4) 地方特例交付金:0.1(+0.0) 臨財債 :0.3(▲1.2) 特例加算(C) :0.3(▲1.2) 特会財源(B) :1.5(+0.2) 一般行政経費:35.8(+0.7) うち、補助分:19.0(+0.5) うち、単独分:14.0(+0.0) うち、まち・ひと・しごと 創生事業費:1.0(±0) うち、重点課題対応分:0.25(新規) 国・地方折半 【歳出 85.8(+0.5)】 地方税・地方譲与税 :41.1(+1.0) 地方交付税総額(A+B+C) :16.7 兆円 歳出特別枠:0.45(▲0.4) 投資的経費:11.2(+0.2) 国庫支出金:13.2(+0.1) 公債費:12.8(▲0.1) 地方債(右記臨財債除く) :8.6(+0.5) その他:5.2(+0.1) その他:5.7(+0.1) 交付税 法定率分等(A) :14.9(+1.1) 国と地方の財政状況(フロー) ○リーマンショック後、国・地方の財政の不均衡は著しく拡大しており、地方の足元の財政状況を見ると、基礎的財政収支(PB) のみならず、財政収支も黒字となっている。 ○基礎的財政収支(PB)・財政収支の推移(フロー) 10 0 ▲10 ▲20 ▲30 (兆円) ▲2.0 ▲6.9 ▲19.4 ▲26.5 ▲4.0 ▲8.8 ▲23.8 ▲3.0 ▲7.4 ▲25.0 2.1 ▲0.2 ▲4.3 ▲1.8 ▲19.7 ▲24.8 ▲30.5 3.6 4.7 0.5 0.0 ▲9.0 1.3 ▲12.8 ▲15.6 ▲19.7 地方の基礎的財政収支 (PB) 4.3 ▲12.5 2.0 0.3 ▲1.1 ▲23.2 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 0.4 ▲21.5 ▲20.4 ▲27.4 ▲26.8 ▲25.3 H26 H27 H28 0.1 ▲0.1 0.0 地方の財政収支 ▲31.9 ▲32.8 ▲37.3 ▲38.6 H22 H23 ▲43.0 1.3 1.5 ▲28.8 ▲30.3 ▲38.1 ▲31.2 ▲0.9 2.5 国の基礎的財政収支(PB) 国の財政収支 2.8 2.6 ▲18.9 ▲ 16.4 ▲40 ▲50 ▲2.7 3.8 2.9 ▲34.9 ▲36.2 H24 H25 ▲17.8 (出典)内閣府「国民経済計算確報」 。平成 26 年度以降は「中長期の経済財政に関する試算」 (平成 28 年 1 月 21 日 内閣府)。 (注)国・地方とも、平成 23 年度以降については、復旧・復興対策の経費及び財源の金額を除いたベース。 ○地方交付税交付金(一般会計ベース)の推移 20.0 (兆円) 地方交付税法定率分等 1.4 15.0 10.0 特例加算 別枠加算 5.5 3.9 2.2 2.6 0.7 14.5 13.0 10.9 11.5 12.4 13.0 14.6 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 5.0 0.0 3.1 15.1 H20 12.6 H21 1.5 1.0 1.3 1.1 1.0 0.6 0.2 1.5 5.4 3.8 3.8 3.6 2.6 10.2 11.5 11.6 11.7 12.8 13.7 14.9 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 0.3 23 ファイナンス 2016.4 特集 ○地方財政対策においては、地方歳出総額を規律する地方財政計画における歳出歳入ギャップに対し、国税の一定割合である地方交 付税の法定率分(国)を充当。 国と地方の財政状況(ストック) 特集 ○30 年前から 10 年前までは、国及び地方のいずれにおいても長期債務残高が増加。 ○過去 10 年程度を見ると、国の長期債務残高は約 300 兆円増加している一方、地方はほぼ横ばい。 ○一方、地方の貯金である積立金残高は過去 10 年間に約 1.6 倍に増加。 ○国と地方の長期債務残高の推移 20 年前 (1994 年度末) 30 年前 (1984 年度末) 現在 (2015 年度末見込) 10 年前 (2004 年度末) 約 300 兆円増加 国 概ね 2 倍 135 兆円 対リーマンショック後(2009年度末) 約 220 兆円増加 概ね 2 倍 261 兆円 531 兆円 837 兆円 リーマンショック後(2009年度末) 621 兆円 地方 55 兆円 概ね 2 倍 ほぼ横ばい 概ね 2 倍 106 兆円 201 兆円 199 兆円 リーマンショック後(2009年度末) 199 兆円 (注)交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金については、その償還の負担分に応じて、国と地方に分割して計上している。なお、平成19年度初をもってそれまで の国負担分借入金残高の全額を一般会計に承継したため、平成19年度末以降の同特会の借入金残高は全額地方負担分(2015年度末で33兆円程度)である。 ○積立金残高の推移 30 年前 (1984 年度末) 20 年前 (1994 年度末) 現在 (2014 年度末決算) 10 年前 (2004 年度末) 財政調整基金 2.5 兆円 3.7 兆円 3.7 兆円 減債基金 0.5 兆円 5.5 兆円 2.4 兆円 2.6 兆円 その他基金 2.1 兆円 10.3 兆円 6.9 兆円 11.5 兆円 5.1 兆円 19.4 兆円 13.0 兆円 総額 7.2 兆円 約 1.6 倍 21.2 兆円 (注)2014 年度末決算の積立金残高については、被災 3 県のその他基金 1.4 兆円を除いた額。 成 28~30 年度)を集中改革期間と位置づけ、集 するとともに、我が国財政の厳しい状況を踏ま 中改革期間における改革努力のメルクマールとし え、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直し て、平成 30 年度の PB 赤字の対 GDP 比▲ 1%程 を、引き続き、手を緩めることなく推進する。地 度が目安とされた。その中で、地方においては、 方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した 国の取組と基調を合わせて改革に取り組むことと 見直しを進める」こととされた。 され、その歳出水準については、 「国の一般歳出 の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地 平成 28 年度の地方財政計画は、これらの方針 に従って策定されたものである。 方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総 額について、2018 年度(平成 30 年度)までにお いて、2015 年度地方財政計画の水準を下回らな いよう実質的に同水準を確保する」とされた。 ②歳入面における主な取組 歳入面における取組としては、第一に、平成 28 年度地方税制改正において、地域間の偏在性 また、「平成 28 年度予算編成の基本方針」 (平 を是正し、財政力格差の縮小を図るため、地方法 成 27 年 11 月 27 日閣議決定)においては、「予算 人課税の偏在是正措置を講ずることとした*3。具 編成においては、東日本大震災からの復興を加速 体的には、消費税率(国・地方)10%段階にお *3)平成 26 年度税制改正大綱(平成 25 年 12 月自由民主党、公明党)において、「消費税率 10%段階においては、 法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現 行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う」とさ れており、平成 27 年度税制改正大綱(平成 26 年 12 月自由民主党、公明党)において、「平成 26 年度与党税 制改正大綱における消費税率 10%段階の地方法人課税の偏在是正については、平成 28 年度以後の税制改正に おいて具体的な結論を得る」こととされていた。 24 ファイナンス 2016.4 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について いて、法人住民税法人税割の税率を引き下げると ③歳出面における主な取組み 歳出面については、85 兆 7,593 億円(対前年 全額を交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税 度+ 4,883 億円)が計上されているが、その主な 特会)に直接繰り入れ、地方交付税原資とするこ 内訳は以下のとおりである。 ととした。また、地方法人特別税・譲与税を廃止 給与関係経費について、組織の若返り等による し、全額法人事業税に復元するほか、法人事業税 減(▲ 487 億円) 、退職手当の減(▲ 593 億円) 額の一部を都道府県が市町村に交付する法人事業 等を反映する一方、給与改定による増(+ 1,671 税交付金を創設することとした。 億円)等を反映した結果、20 兆 3,274 億円(対 第二に、景気回復による地方税収の増加等を踏 前年度▲ 77 億円)が計上されている。 まえ、歳入面において危機対応モードから平時モ 一般行政経費については、補助事業について国 ードへの切替えを進めることとした。具体的に 庫補助事業の増減を反映しつつ 19 兆 4 億円(対 は、平成 21 年度から 7 年間継続した地方交付税 前年度+ 4,514 億円) 、地方単独事業として、14 の別枠加算(平成 27 年度 2,300 億円)を廃止し 兆 374 億円(対前年度+ 410 億円)、国民健康保 た。 険・後期高齢者医療制度関係事業費として 1 兆 なお、地方歳入の具体的な動向については、平 5,053 億円(対前年度▲ 82 億円)が計上されて 成 28 年度地方財政計画において、地方税収等 いる。地方創生については、少子高齢化の進展に (地方税収及び地方譲与税収の合計額。 以下同じ。 ) 的確に対応し、将来にわたって活力ある社会を維 は、対前年度+ 1.0 兆円の 41.1 兆円、地方法人 持していくため、地域の実情に応じたきめ細やか 税収(法人住民税法人税割の一部を交付税原資化 な施策を可能にする観点から「まち・ひと・しご したもの)は対前年度+ 0.2 兆円の 0.6 兆円、所 と創生事業費」が平成 27 年度に続き、1 兆円計 得税・法人税・酒税・消費税の法定率分は対前年 上されている。また、「経済・財政再生計画」を 度+ 1.0 兆円の 14.5 兆円と見込まれている。 踏まえ、平成 27 年 12 月にとりまとめられた「改 革工程表」に示された自治体クラウドの積極的展 開など、地方における現下の喫緊の重点課題に対 法人住民税法人税割の交付税原資化の概要 消費税率 8%及び 10%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率 引下げに併せて、地方法人税(国税)の創設及び税率引上げを行い、その税収全額を地方交付税原資化。 (26 年度改正) 地方団体の財源 地方交付税 H26.10.1 ~ 〈税率引下げ〉 ・都道府県分: 3.2%→1.0%(▲2.2%) ・市町村分: 9.7%→6.0%(▲3.7%) 計▲5.9% (地方税) 法人住民税法人税割 (地方税) 法人住民税法人税割 (地方税) 法人住民税法人税割 〈税率引下げ〉 ・都道府県分: 5.0%→3.2%(▲1.8%) ・市町村分: 12.3%→9.7%(▲2.6%) 計▲4.4% 〈税率引上げ〉 4.4%→10.3% (+5.9%) (国税) 地方法人税 ・課税標準:基準法人税額 ・税率:4.4% ・賦課徴収:国(税務署) (28 年度改正) (国税) 地方法人税 (改正前) H29.4.1 ~ 25 ファイナンス 2016.4 特集 ともに、地方法人税の税率を引き上げ、その税収 地方法人特別税・譲与税の廃止 特集 税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として地域間の税源偏在を是正するため ※平成 20 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度から適用 の制度として導入。 平成 26 年度改正 地方法人特別税の規模を 1/3 縮小し、法人事業税に復元 ※平成 26 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度から適用 平成 28 年度改正 地方法人特別税を廃止し、法人事業税に復元 (26 年度改正) 制度創設時 H20.10.1 ~ 法人事業税 3.2 兆円 廃止 法人事業税 制度創設時 1/3 縮小 譲与税として、 人口及び従業者数 によりその全額を 都道府県に譲与 法人事業税 法人事業税 2.6 兆円 (地方消費税 1%相当) (28 年度改正) (国税) 特別税 地方法人 (20 年度改正) (国税) 地方法人特別税 (改正前) ※平成 29 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用 H26.10.1 ~ H29.4.1 ~ 地方法人特別税等に関する暫定措置法(抄) 第一条 この法律は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として、法人の事 業税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定により法人の行う事業に対して課する事業税をいう。以下同じ。) の税率の引下げを行うとともに、地方法人特別税を創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に対 して譲与するために必要な事項を定めるものとする。 別枠加算の解消(危機対応モードから平時モードへの切替え) ○リーマンショック後の歳入面における特別措置の「別枠加算」については、骨太方針に沿って、危機対応モードから平時モードへ の切替えを進める観点から、地方税収の動向等を踏まえ、28 年度地方財政計画において廃止。 経済財政運営と改革の基本方針 2015(抜粋) 「別枠加算や歳出特別枠といったリーマンショック後の歳入・歳出面の特別措置について、経済再生に合わせ、危機対応モードから平時モードへ の切替えを進めていく。」 ○地方税収等の推移(地方税・地方譲与税)(※)地方税収等は、平成 26 年度までは決算額。27・28 年度は地方財政計画額。 (兆円) 43 40 (いずれも超過課税分、法定外税等を除く。 ) 40.2 39.6 39.0 35.7 37 34 35.7 36.1 40.2 41.1 37.2 35.3 ○別枠加算の推移 (兆円) 2 1.5 1.5 1.0 1 1.3 1.1 1.0 0.6 0.5 0 H19 H20 26 ファイナンス 2016.4 H21 H22 H23 H24 H25 H26 0.2 廃止 H27 H28 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について 付金が 1,233 億円(対前年度+ 44 億円) 、臨時財 応分」2,500 億円が計上されている。 政対策債が 3 兆 7,880 億円(対前年度▲ 7,370 億 投資的経費については、国の公共事業関係費の 円)となっている。 動向も踏まえて、11 兆 2,046 億円(対前年度+ 平成 28 年度の地方交付税交付金(一般会計か 2,036 億円)が計上されている。その内訳として ら交付税特会への繰入れ。いわゆる入口ベース。) は、直轄・補助事業については国庫補助事業の増 に つ い て は 対 前 年 度 ▲ 2,591 億 円 減 の 15 兆 減を反映して 5 兆 7,705 億円(対前年度+ 453 億 1,578 億円、これに地方特例交付金を合わせた地 円)が計上されている。地方単独事業について 方交付税交付金等は対前年度▲ 2,547 億円減の は、他の既存事業の抑制を図りつつ緊急防災・減 15 兆 2,811 億円となっている。 災事業費 5,000 億円、公共施設等最適化事業費*4 なお、地方交付税交付金(入口ベース)の 15 2,000 億円を計上することとし、5 兆 4,341 億円 兆 1,578 億円は、①法定率分 14 兆 5,106 億円(対 (対前年度+ 1,583 億円)が計上されている。 前 年 度 + 9,606 億 円 ) の ほ か、 ② 法 定 加 算 等 地域経済基盤強化・雇用等対策費、いわゆる歳 3,725 億円(対前年度+ 1,885 億円) 、③特例加 出特別枠については、歳出面においても平時モー 算 2,747 億円(対前年度▲ 1 兆 1,782 億円)を合 ドへの切替えを着実に進める観点から、4,450 億 計したものである。これに、交付税特会における 円(対前年度▲ 4,000 億円)へと大幅に縮減され 財源 1 兆 5,425 億円を加算したもの*5 が、交付税 ている。 特会から地方団体に交付される地方交付税の総額 公債費については 12 兆 8,051 億円(対前年度 16 兆 7,003 億円(いわゆる出口ベース)となる。 ▲ 1,461 億円)、公営企業繰出金は 2 兆 5,143 億 このように、地方税収等の増加については、 円( 対 前 年 度 ▲ 254 億 円 ) 、維持補修費は1兆 「経済・財政再生計画」を踏まえ、必要な地方一 2,198 億円(対前年度+ 597 億円)が計上されて 般財源総額を確保した上で、地方財源不足の縮減 いる。 に充てることとし、その結果、地方の財源不足は 不交付団体の水準超経費については、地方税収 平成 27 年度の 3.1 兆円から 0.5 兆円に▲ 2.6 兆円 が増加すること等を踏まえ、1 兆 4,500 億円(対 縮減すると見込まれている。この不足額を国・地 前年度+ 700 億円)が計上されている。 方で補填する地方交付税の特例加算及び臨時財政 対策債の額はそれぞれ対前年度▲ 1 兆 1,782 億円 ④地方一般財源総額等の取扱い の減額となった。このように、平成 28 年度地方 上述の歳出を賄う地方の歳入のうち、地方税収 財政対策は、財政健全化目標の実現に向けて、 等、地方交付税、地方特例交付金及び臨時財政対 国・地方を合わせた基礎的財政収支の改善にも寄 策債を加えた地方の一般財源総額は、対前年度+ 与する内容となっている。 1,307 億円増の 61 兆 6,792 億円となっている。 その内訳としては、地方税収等が 41 兆 1,344 億 (2)東日本大震災への対応について 円(対前年度+ 9,571 億円) 、地方交付税が 16 兆 東日本大震災の復旧・復興に当たっては、平成 7,003 億円(対前年度▲ 546 億円) 、地方特例交 28 年度からの復興・創生期間においても、復旧・ *4)公共施設等の老朽化対策として、公共施設の集約化・複合化、転用、除却のために必要な経費を投資単独事業に 計上。「改革工程表」において、公共施設の集約化・複合化等を進めるとされていること等を踏まえ、対前年度 + 1,000 億円とされている。 *5)平成 26 年度決算及び平成 27 年度税収補正の法定率分の増として 1 兆 2,644 億円(27 年度補正予算において 一般会計から交付税特会に繰入)、地方法人税収 6,365 億円(交付税特会直入)、地方公共団体金融機構準備金 2,000 億円(財政投融資特別会計投資勘定から交付税特会に繰入)等から交付税特会の借入金の元利償還費 (5,584 億円)を除いた金額である。 ファイナンス 2016.4 27 特集 応するための当面の間の措置として「重点課題対 平成 28 年度地方財政計画 特集 (単位:億円、%) 地方税 地方譲与税 地方特例交付金 地方交付税 (うち法定率分(精算減を含む)) (うち法定加算等) (うち別枠加算) (うち特例加算) (うち前年度からの繰越金、特会借入金利払等) 国庫支出金 地方債 (うち臨時財政対策債) (臨財債除き地方債) 使用料・手数料 雑収入 復旧・復興事業一般財源充当分 全国防災事業一般財源充当分 374,919 26,854 1,189 167,548 133,013 4,326 2,300 14,529 13,380 130,733 95,009 45,250 49,759 16,044 40,689 - ▲ 275 387,022 24,322 1,233 167,003 143,295 5,536 - 2,747 15,425 132,184 88,607 37,880 50,727 16,247 41,643 ▲ 79 ▲ 589 28 年度 増減額 +12,103 ▲ 2,532 +44 ▲ 546 +10,281 +1,210 ▲ 2,300 ▲ 11,782 +2,045 +1,451 ▲ 6,402 ▲ 7,370 +968 +203 +954 ▲ 79 ▲ 314 歳入計 852,710 857,593 +4,883 +0.6% 地方一般財源 615,760 617,460 +1,700 +0.3% 地方一般財源(全国防災 / 復旧・復興事業除き) 615,485 616,792 +1,307 +0.2% 地方一般財源(全国防災 / 復旧・復興事業及び水準超経費を除く) 601,685 602,292 +607 +0.1% 27 年度 伸率 +3.2% ▲ 9.4% +3.7% ▲ 0.3% +7.7% +28.0% ▲ 100.0% ▲ 81.1% +15.3% +1.1% ▲ 6.7% ▲ 16.3% +1.9% +1.3% +2.3% 皆増 +114.2% (注)28 年度においては上記の他、復興特会からの繰入 3,478 億円を財源として、交付税特会において震災復興特別交付税 3,478 億円を計上。 (単位:億円、%) 給与関係経費 退職手当以外 退職手当 一般行政経費 うち補助分 うち単独分 うちまち・ひと・しごと創生事業費 うち重点課題対応分 地域経済基盤強化・雇用等対策費 公債費 維持補修費 投資的経費 うち直轄・補助事業 うち単独分 うち緊急防災・減災事業費 うち公共施設等最適化事業費 公営企業繰出金 うち企業債償還費 水準超経費 203,351 185,291 18,060 350,589 185,490 139,964 10,000 - 8,450 129,512 11,601 110,010 57,252 52,758 5,000 1,000 25,397 16,247 13,800 203,274 185,807 17,467 357,931 190,004 140,374 10,000 2,500 4,450 128,051 12,198 112,046 57,705 54,341 5,000 2,000 25,143 15,905 14,500 28 年度 増減額 ▲ 77 +516 ▲ 593 +7,342 +4,514 +410 - +2,500 ▲ 4,000 ▲ 1,461 +597 +2,036 +453 +1,583 - +1,000 ▲ 254 ▲ 342 +700 歳出計 852,710 857,593 +4,883 +0.6% 歳出計(水準超経費を除く) 838,910 843,093 +4,183 +0.5% 地方交付税(入口ベース) 154,169 151,578 ▲ 2,591 ▲ 1.7% 地方交付税交付金等(一般会計) 155,357 152,811 ▲ 2,547 ▲ 1.6% 地方交付税(出口ベース) 167,548 167,003 ▲ 546 ▲ 0.3% 27 年度 28 ファイナンス 2016.4 伸率 ▲ 0.0% +0.3% ▲ 3.3% +2.1% +2.4% +0.3% - 皆増 ▲ 47.3% ▲ 1.1% +5.1% +1.9% +0.8% +3.0% - +100.0% ▲ 1.0% ▲ 2.1% +5.1% 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について 地方の歳出水準のあり方(地方一般財源総額) 【歳出:85.8】 【歳入:85.8】 給与関係経費 :20.3 地方交付税:16.7 (平成 27 年 6 月 30 日閣議決定) 第 3 章「経済・財政一体改革」の取組-「経済・財政再生計画」 3.目標とその達成シナリオ、改革工程 地方特例交付金:0.1 地方税・ 地方譲与税 :41.1 一般財源 一般行政経費 :35.8 うち、補助分:19.0 うち、単独分:14.0 うち、まち・ひと・しごと 創生事業費:1.0 うち、重点課題対応分 :0.25 (61.7 兆円) 歳出特別枠:0.45 臨財債:3.8 投資的経費:11.2 その他地方債:5.1 水準超経費:1.5 国庫支出金:13.2 その他:3.7 特定財源 その他:5.7 公債費:12.8 特集 経済財政運営と改革の基本方針 2015(抜粋) 平成 28 年度地方財政計画(単位:兆円) (24.0 兆円) (改革工程の明確化) (1)集中改革期間と中間評価 国の一般歳出については、安倍内閣のこれまでの取組を基調とし て、社会保障の高齢化による増加分を除き、人口減少や賃金・物価 動向等を踏まえつつ、増加を前提とせず歳出改革に取り組む。社会 保障関係費については、高齢化要因も考慮し、安倍内閣におけるこ れまでの増加ペースを踏まえつつ、消費税率引上げに伴う充実を図 る。ただし、各年度の歳出については、一律でなく柔軟に対応す る。地方においても、国の取組と基調を合わせ取り組む。 これらの目安(注)に照らし、歳出改革、歳入改革それぞれの進 捗状況、KPI の達成度等を評価し、必要な場合は、デフレ脱却・経 済再生を堅持する中で、歳出、歳入の追加措置等を検討し、2020 年度(平成 32 年度)の財政健全化目標を実現する。 (注)国の一般歳出の水準の目安については、安倍内閣のこれまでの 3 年 間の取組では一般歳出の総額の実質的な増加が 1.6 兆円程度となっ ていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を 2018 年度(平 成 30 年度)まで継続させていくこととする。地方の歳出水準につい ては、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ 地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、 2018 年度(平成 30 年度)までにおいて、2015 年度地方財政計画の 水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。 平成 28 年度地方財政計画の概要 〈一般会計〉 〈交付税特会〉 〈地方財政計画〉 ( 歳 入 ) 法定率分 : 145,106 億円 (+9,606 億円) 法定加算等 : 3,725 億円 (+1,885 億円) 別枠加算 : -億円 (▲2,300 億円) 交付税(入口) 151,578 億円 (▲2,591 億円) 交付税(出口) 167,003 億円 (▲546 億円) ( 歳 出 ) 地方交付税 167,003 億円 (▲546 億円) 給与関係経費 203,274 億円 (▲77 億円) 一般行政経費 357,931 億円 (+7,342 億円) うち、まち・ ひと・しごと 創生事業費 10,000 億円 (±0 億円) 37,880 億円 特例加算 : 2,747 億円 (▲11,782 億円) + = 地方特例交付金 : (住宅ローン減税) 臨時財政対策債(▲7,370 億円) 前年度からの繰越金、 地方法人税、 機構準備金、 特会借入金元利 等 一般財源総額 616,792 億円 (+1,307 億円) 地方税 411,344 億円 ・地方譲与税(+9,571 億円) 15,425 億円 (+2,045 億円) うち、重点課題 対応分 1,233 億円 (+44 億円) 地方特例交付金 そ の 他 地方交付税交付金等:152,811 億円 〈復興特会〉 復興債等 地方交付税 交付金 3,478 億円 (▲2,420 億円) 震災復興特別交付税 に係る年度調整分 1,324 億円 112,046 億円 (+2,036 億円) 歳出特別枠 (地域経済基盤強化・ 雇用等対策費) 4,450 億円 (▲4,000 億円) 公 債 費 128,051 億円 (▲1,461 億円) そ の 他 51,841 億円 (+1,043 億円) 240,133 億円 (+3,183 億円) 歳入・歳出総額 震災復興 特別交付税 4,802 億円 (▲1,096 億円) 投資的経費 1,233 億円 (+44 億円) (▲2,547 億円) 2,500 億円 (皆増) 857,593 億円(+4,883 億円) 28年度当初予算に係る補助裏等の地方負担3,547億円 (▲563億円) 地方単独事業 894 億円(▲59 億円) 地方税法の改正等に伴う地方税等の減収分 361 億円(▲369 億円) (注) ( )内は対前年度増減 29 ファイナンス 2016.4 復興事業及び全国防災事業について、それぞれ別 等より充当することとしている*7。 特集 枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保するこ なお、地方単独事業分については、平成 24 年 ととされている。その財源については、先般改正 度までは全国防災事業として実施されていたが、 において、必要な措置 平成 25 年度以降、通常収支において緊急防災・ された復興財源確保法 *6 が講じられたところである。 ①復旧・復興事業費 平 成 28 年 度 地 方 財 政 対 策 に お い て は、 ① 直 轄・補助事業の地方負担分(公営企業債等により 減災事業費として計上している。 3.平成 28 年度地方財政計画 (通常収支分) 平成 28 年度地方財政計画(通常収支分)の歳 賄うこととされている地方負担額を除く)として 入歳出に係る詳細な計数を包括的に述べると以下 3,547 億円、②地方単独事業分(単独災害復旧事 のとおりである。 業及び中長期職員派遣等)として 894 億円、③地 方税の特例減税措置等に伴う減収分への対応とし て 361 億円、合計 4,802 億円を計上した上で、そ (1)歳出 ①給与関係経費(20 兆3,274 億円) の財源として震災復興特別交付税を同額の 4,802 給与関係経費については、20 兆 3,274 億円(対 億円計上し、東日本大震災からの復旧・復興への 前年度比▲ 77 億円、▲ 0.0%)を計上している。 対応に万全を期すこととしている。なお、この震 災復興特別交付税の財源は、全額、東日本大震災 ②一般行政経費(35兆7,931億円) 復興特別会計(復興特会)から交付税特会に繰り 一般行政経費については、35 兆 7,931 億円(対 入れられるが、過去の繰入分のうち交付税特会か 前年度比+ 7,342 億円、+ 2.1%)を計上してい らの支出見込みがなくなった 1,324 億円(年度調 る。このうち、国の補助事業に係る経費として 整分)を差し引いた 3,478 億円が平成 28 年度に 19 兆 4 億 円( 対 前 年 度 比 + 4,514 億 円、 + 2.4 復興特会から交付税特会へ繰り入れられることと %)、国民健康保険・後期高齢者医療制度関係事 されている。 業費として 1 兆 5,053 億円(対前年度比▲ 82 億 円、▲ 0.5%)、「まち・ひと・しごと創生事業費」 ②全国防災事業 として 1 兆円(対前年度比 ±0 億円、±0.0%) 、 全国防災事業(全国的に直轄・補助事業として 「重点課題対応分」として 2,500 億円(皆増)、こ 行われる緊急防災・減災事業)の地方負担分は、 れらを除く地方単独事業分として 14 兆 374 億円 個人住民税の均等割の標準税率の 10 年間の引上 (対前年度比+ 410 億円、+ 0.3%)となってい げといった地方税における時限的な税制措置など る。 の地方負担で賄うこととしており、この事業費と 財源については通常収支分と別に整理されてい ③投資的経費(11兆2,046億円) る。平成 28 年度の全国防災事業の公債費(これ 投資的経費については、11 兆 2,046 億円(対 までに発行した地方債の債務償還費等)は 1,310 前年度比+ 2,036 億円、+ 1.9%)を計上してい 億円(対前年度+ 327 億円)であり、時限的な税 る。投資的経費のうち、国の直轄事業、補助事業 制措置による地方税収 720 億円(対前年度+ 12 に係る経費として 5 兆 7,705 億円(対前年度比+ 億円)を上回る所要額 589 億円について通常収支 453 億円、+ 0.8%)、地方単独事業分については *6)東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法 *7)全国防災事業の実施は平成 27 年度で終了することとされており、平成 28 年度は、公債費及び公債費に充当す る歳入の計上となっている。 30 ファイナンス 2016.4 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について 平成 28 年度地方財政計画(復旧復興事業、全国防災事業) 27 年度 28 年度 増減額 伸率 ▲ 1,096 ▲ 18.6% +79 皆増 ▲ 1,189 ▲ 8.7% ▲ 24 ▲ 6.8% ▲ 31 ▲ 34.4% 震災復興特別交付税 一般財源充当分 国庫支出金 地方債 雑収入 5,898 - 13,717 355 90 4,802 79 12,528 331 59 歳入計 20,060 17,799 ▲ 2,261 ▲ 11.3% (全国防災事業) 27 年度 地方税 一般財源充当分 国庫支出金 地方債 雑収入 708 275 1,524 2,397 1 歳入計 4,905 720 589 - - 1 28 年度 増減額 伸率 +12 +1.7% +314 +114.2% ▲ 1,524 皆減 ▲ 2,397 皆減 +0 +0.0% 1,310 ▲ 3,595 ▲ 73.3% 5 兆 4,341 億 円( 対 前 年 度 比 + 1,583 億 円、 + (単位:億円、%) 27 年度 28 年度 増減額 ▲6 ▲ 259 +144 ▲ 403 ▲ 30 ▲ 1,850 +120 ▲ 1,950 ▲ 20 ▲ 116 伸率 ▲ 5.5% ▲ 4.5% +3.2% ▲ 32.4% ▲ 33.3% ▲ 13.3% +19.1% ▲ 15.2% ▲ 5.1% ▲ 44.1% 給与関係経費 一般行政経費 うち補助分 うち単独分 公債費 投資的経費 うち直轄事業負担金 うち公共事業費 うち一般事業費 公営企業繰出金 110 5,723 4,481 1,242 90 13,874 628 12,850 396 263 104 5,464 4,625 839 60 12,024 748 10,900 376 147 歳出計 20,060 17,799 ▲ 2,261 ▲ 11.3% (単位:億円、%) 27 年度 28 年度 増減額 +327 ▲ 3,922 ▲ 82 ▲ 3,840 伸率 +33.3% 皆減 皆減 皆減 公債費 投資的経費 うち直轄事業負担金 うち公共事業費 983 3,922 82 3,840 1,310 - - - 歳入計 4,905 1,310 ▲ 3,595 ▲ 73.3% ▲ 342 億円、▲ 2.1%)を計上している。 3.0%)を計上している。 ⑦維持補修費(1兆2,198億円) ④地域経済基盤強化・雇用等対策費(4,450 億円) 地域経済基盤強化・雇用等対策費については、 維持補修費については、1 兆 2,198 億円(対前 年度比+ 597 億円、+ 5.1%)を計上している。 4,450 億円(対前年度比▲ 4,000 億円、▲ 47.3 %)を計上している。 ⑧水準超経費(1兆 4,500 億円) 不交付団体における平均水準を超える必要経費 ⑤公債費(12兆8,051億円) 公債費(地方債の元利償還費)については、 12 兆 8,051 億円(対前年度比▲ 1,461 億円、▲ 1.1%)を計上している。このうち元金償還金は 10 兆 9,776 億円、利払いは 1 兆 8,275 億円となっ ている。 については、1 兆 4,500 億円(対前年度比+ 700 億円、+ 5.1%)を計上している。 (2)歳入 ①地方税(38 兆7,022億円) 地方税の収入見込額は 38 兆 7,022 億円(対前 年度比+ 1 兆 2,103 億円、+ 3.2%)としている。 ⑥公営企業繰出金(2兆5,143億円) 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て は、2 兆 5,143 億 円 (対前年度比▲ 254 億円、▲ 1.0%)を計上して いる。なお、公営企業繰出金のうち、企業債の元 このうち、道府県税は 18 兆 424 億円(対前年度 比+ 1 兆 407 億円、+ 6.1%) 、市町村税は 20 兆 6,598 億円(対前年度比+ 1,696 億円、+ 0.8%) である。 利償還については、1 兆 5,905 億円(対前年度比 31 ファイナンス 2016.4 特集 (復旧復興事業) 平成 28 年度予算特集② 平成 28 年度地方財政対策について ②地方譲与税(2兆 4,322億円) 特集 地方法人特別譲与税、自動車重量譲与税等の地 方譲与税の見込額は、2 兆 4,322 億円(対前年度 比▲ 2,532 億円、▲ 9.4%)としている。 (対前年度比▲ 7,370 億円、▲ 16.3%)を計上し ている。 以上が地方財政計画(通常収支分)の主な歳出 歳入項目であり、その他の項目も含めた地方財政 計画(通常収支分)の規模は、85 兆 7,593 億円 ③地方特例交付金(1,233億円) (対前年度比+ 4,883 億円、+ 0.6%)である。 個人住民税における住宅借入金等特別税額控除 また、地方の一般財源総額は 61 兆 6,792 億円 による減収を補填するための地方特例交付金であ (対前年度比+ 1,307 億円、+ 0.2%)、水準超経 り、1,233 億円(対前年度比+ 44 億円、+ 3.7%) 費を除くと 60 兆 2,292 億円(対前年度+ 607 億 としている*8。 円、+ 0.1%)となっている。 ④地方交付税(16兆7,003億円) 4.おわりに 一般会計から交付税特会への繰入額(入口ベー 上述のとおり、平成 28 年度においては、リー ス)は、15 兆 1,578 億円(対前年度比▲ 2,591 マンショック後の危機対応措置として 7 年間継続 億円、▲ 1.7%)である。内訳は、法定率分とし した別枠加算を廃止するとともに、歳出特別枠を て 14 兆 5,106 億円、地方交付税法附則に規定す ▲ 4,000 億円縮減するなど、危機対応モードから るいわゆる法定加算等として 3,725 億円、折半対 平時モードへの切替えを着実に進める一方、 「ま 象財源不足に係る特例加算として 2,747 億円であ ち・ひと・しごと創生事業費」を前年度に引き続 る。 き 1 兆円計上したほか、新たに「重点課題対応分」 交付税特会から地方団体に交付される地方交付 を 2,500 億円計上するなど、必要な効率化・重点 税(出口ベース)は、入口ベース 15 兆 1,578 億 化を行った。これらの取組みの結果、地方税収増 円に、前年度からの繰越金 1 兆 2,644 億円、地方 等も反映して地方交付税交付金等(一般会計から 法人税 6,365 億円、地方公共団体金融機構準備金 交付税特会への繰入れ。いわゆる入口ベース。) 2,000 億円等を加算し、借入金の償還及び借入金 は、対前年度▲ 2,547 億円減額の 15 兆 2,811 億 等利子負担額 5,584 億円を控除した額として 16 円としつつ、地方税収等をあわせた地方の一般財 兆 7,003 億円(対前年度比▲ 546 億円、▲ 0.3%) 源総額は対前年度で実質的に同水準を確保してい を計上している。 る。 国・地方を通じた財政健全化を図るに当たって ⑤国庫支出金(13兆2,184 億円) 国庫支出金は、13 兆 2,184 億円(対前年度比 + 1,451 億円、+ 1.1%)を計上している。 は、 平 成 29 年 度 以 降 も、 地 方 財 政 に つ い て 歳 入・歳出両面における改革を着実に進めていく必 要がある。このため、引き続き、地方財政におい ても国の取組と基調を合わせた改革に取り組み、 ⑥地方債(8 兆8,607 億円) 地方債については、8 兆 8,607 億円(対前年度 メリハリを効かせた重点化・効率化等を図ってい くこととしている。 比▲ 6,402 億円、▲ 6.7%)を計上している。こ のうち、地方財源の不足に対応するため、地方の 赤字公債である臨時財政対策債は 3 兆 7,880 億円 *8)平成 27 年度税制改正において、個人住民税における住宅ローン控除制度を延長(対象期間を平成 31 年 6 月 30 日まで 1 年半延長)することに伴って生じる個人住民税の減収額は全額国費で補填することとされた。 32 ファイナンス 2016.4
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