総務省の ICT 強靭化対策にいち早く対応 Office 365 の導入

広島県 東広島市
総務省の ICT 強靭化対策にいち早く対応
Office 365 の導入でセキュリティと生産性の両方を実現
広島県のほぼ中央に位置し、国際学術研究都市としても知られている東広島市。ここでは庁外と
やり取りする外部メール システムが、自主運用システムのハウジングから、パブリック クラウド
ソリューション概要
○プロファイル
東広島市は 1974 年 ( 昭和 49 年 ) 年 4 月 20 日
に、賀茂郡内の西条町、八本松町、志和町、高
屋町の 4 町が合併し、広島県内で 12 番目に誕生
した広島県のほぼ中央に位置する市です。2005
年 ( 平成 17 年 ) 年 2 月 7 日には、
黒瀬町、
福富町、
豊栄町、河内町、安芸津町とも合併、現在は人口
約 185,000 人、面積約 635 平方キロ メートルを
占める、広島県中央地域の中核都市になってい
ます。大学や研究機関が数多く設置され、5,000
人を超える外国人が居住しているのも大きな特
長。
「未来にはばたく国際学術研究都市」として、
魅力的なまちづくりを進めています。
へと移行されています。ここで採用されたのが Microsoft Office 365。パブリック クラウドでも
十分高いセキュリティを確保できると判断され、生産性向上やペーパーレス化につながる機能の提
供も高く評価されています。また庁内端末として約 200 台の Microsoft Surface も導入。これと
Office 365 の各種機能を連携させることで、庁内のワーク スタイルがより効率的なものになると
期待されています。
導入の背景とねらい
既存環境が抱えていた複数の課題を解決するため、
外部メール システムを刷新
IT を活用して業務を効率的に執行し、質の高い住民サービスを提供すること。これに向けた取り
組みをどう進めていくかは、自治体にとって重要な課題の 1 つだと言えます。その一方で、最近で
はインターネットを介したサイバー攻撃が多発しており、セキュリティをいかにして確保するかも、
避けて通れないテーマになっています。総務省も「自治体情報システム強靭性向上モデル」ガイド
○導入製品とサービス
・Microsoft® Office 365™ (E3)
・Microsoft® Surface™ Pro 4
リティ リスクを重視しており、これを内部システムと分離することを強く推奨しています。
○導入メリット
これらの課題に対応するため、Office 365 を活用しているのが、広島県 東広島市です。
・外部メールシステムをハウジングからクラウド
へと移行したことで、運用負担が大幅に軽減さ
れた。
・どの端末からでも自分のメールボックスにアク
セスできるため、利便性も向上した。
・パートナー ソリューションも組み合わせること
で、関連施設からのアクセスもセキュアになり、
メール誤送信のリスクも低減した。
・Surface と連携させることで、ペーパーレス化
の実現も容易になると期待されている。
○ユーザー コメント
「市のシステムとしてパブリック クラウドを採用
するのはこれが初めてでしたが、Office 365 な
ら十分なセキュリティを確保できると判断しまし
た」
東広島市役所
政策企画部 市政情報課
課長補佐兼情報管理係長
橋本 光太郎 氏
ラインを作成し、自治体におけるセキュリティ強化を推進。特に外部から受信するメールのセキュ
同市は広島県のほぼ中央に位置する市。山陽本線、山陽新幹線、山陽自動車道などの陸上交通が
充実しているうえ、広島空港にも近く、交通アクセスの利便性が高い地域となっています。また市
内には広島大学、近畿大学工学部、広島国際大学などの大学や、広島中央サイエンスパークなど
の教育 / 研究機関があり、JICA の広島国際プラザが立地し、5,000 人を超える外国人が居住して
いるのも大きな特長になっています。情報通信基盤整備事業により、市内のブロードバンド普及率
も 90% に達しています。
「東広島市役所ではホスト コンピューターをベースにした自主開発から IT の活用をスタートし、そ
の後はサーバー基盤の整備やパッケージ導入も行うことで、業務効率化を積極的に推進してきまし
た 」と語るのは、東広島市役所 政策企画部 市政
情報課 課長補佐兼情報管理係長の橋本 光太郎
氏。メール システムも、庁内で職員どうしが連絡
を行うための内部メール、総合行政ネットワーク
(LGWAN) で使用する LGWAN メール、外部との
連絡に使用するインターネット メール ( 外部メー
ル ) の、3 種類のシステムを構築および運用して
いると説明します。このうち外部メール システム
は、比較的シンプルで堅牢性が高いと評価されて
いた qmail を、データセンター事業者にハウジン
グする形で利用。しかしこれは、いくつかの課題
を抱えながら運用されていたと振り返ります。
第 1 の課題は、外部メールのチェックが煩雑で、
広島県 東広島市
広島県 東広島市
政情報課 主査の川西 寛之 氏です。OSG は IP アドレスによるアクセス
端末の制限などを行う Office 365 のアドオン ソリューションであり、よ
りセキュアなアクセス制御を可能にします。また PBMO は誤送信防止
や添付ファイル自動暗号化、宛先の強制的な BCC への変換を行うサー
ビスであり、メール送信による情報漏えいを防止します。Office 365 は
標準機能に加え、このようなパートナー ソリューションが数多く連携で
きることで、業務ニーズにあったセキュリティ ソリューションが実現でき
たと話します。
東広島市役所
政策企画部 市政情報課
課長補佐兼情報管理係長
橋本 光太郎 氏
東広島市役所
政策企画部 市政情報課
主査
川西 寛之 氏
これらに加え E3 ライセンスでは、常に最新の Office が利用できること
や、Skype® for Business など生産性向上には欠かせないコミュニケー
ション ツールが提供されていることも、魅力的だと川西 氏は語ります。
メール転送に伴う手間と機会損失が起きていたこと。第 2 は庁外の関
連施設からアクセスする際に、データ センターのファイアウォールを通
「Office 365 ならメールのセキュリティ強化だけではなく、生産性向上に
つながる業務の効率化も可能になると考えました 」。
過できるよう設定する必要があり、セキュリティ上の懸念が存在したこ
と。第 3 は、メールをすべて外部メール用端末にダウンロードする必要
現在の利用形態は図に示すとおりです。まず Office 365 にアクセスする
があり、端末故障時にデータが消失してしまうこと。第 4 は、メール送
外部メール用端末が接続されているネットワークを、庁内システムのネッ
信時の誤送信防止のしくみがないこと。第 5 は、送信時の添付ファイル
トワークとファイアウォールを介して分離。外部メールがもたらすセキュ
の強制暗号化の機能がなかったこと。そして第 6 は、アーカイブ機能が
リティ リスクが、庁内システムに影響を与えないよう配慮しています。
なく、コンプライアンス上の問題につながる可能性があったことです。
また Exchange Online の機能には、端末側の Microsoft® Outlook® で
東広島市は外部メールシステムの刷新にあわせて Microsoft® Exchange
アクセス。これによって外部メールに添付されたマルウェアなどが、端
Online を提供する Office 365 を選択しました。
末で直接実行されないようにしています。
導入の経緯
さらに、Office 365 に届いたメールを庁内メール サーバーに対し、安全
はなく、Outlook Web Access (OWA) を利用して Web ブラウザーから
Office 365 の高いセキュリティとパートナー ソリューション
とも連携可能な柔軟性で、ビジネス ニーズに合った
ソリューションの実現が可能に
東広島市は、なぜ Office 365 を採用したのでしょうか。その最大の理由
は、高いセキュリティでした。
な形で転送するしくみも構築。庁内システム用端末でも、メール受信を
確認できるようにしています ( ここから外部へのメール送信は不可 ) 「
。イ
ンターネット上の Web アクセスを安全に行うために、Windows® のリ
モート デスクトップ サービス (RDS) も活用しています。画面だけを端末
に転送するようにすれば、ウイルス感染などの被害を最小限に抑えられ
るからです。将来は Office 365 へのアクセスを RDS で行うことも検討し
ています」( 川西 氏 ) 。
「まず Web メールの機能が用意されていること、マイクロソフト社のポ
リシーとしてユーザー データの目的外利用やマイニングを行わないこと
が明確に示されていること、問題発生時には日本の国内法に準じた対応
が行われることが、大きなポイントになりました 」と橋本 氏。また国際
標準である ISO27001、ISO27018 への準拠が第三者機関によって証明さ
導入効果
メールのクラウド化で管理負担が軽減し利便性も向上、
Surface との連携でペーパーレス化の実現も
れていることや、データ センターが国内に設置されていることも Office
外部メール システムをハウジングからクラウドへと移行したことで、シ
365 が安心して利用できるクラウド サービスであると評価したポイントと
ステム運用に伴う負担は大幅に軽減されました。サーバーの運用管理が
話します。
「さらに 99.9% 以上の稼働率やデータセンターの冗長化対応
不要になったうえ、外部メール用端末を更新する場合でも、メール デー
も採用の決め手となりました。市のシステムとしてパブリック クラウドを
タがすべてクラウド上に置かれているため、メール データの保存と再イ
採用するのは初めてでしたが、Office 365 なら総務省の ICT 強靭化対策
ンストールが不要になったからです。また端末故障が発生してもメール
にも対応できる十分なセキュリティを確保できると判断しました 」
。
データが失われる心配がなくなり、これまで以上に安心して利用できる
ようになりました。さらに他の端末からでも自分のメール ボックスにア
その一方で「今回の案件では Office 365 だけではなく、ソフトバンク・
クセスできるため、利便性も高まっています。
テクノロジー株式会社の「Online Service Gate (OSG) 」や、Win テクノ
ロジ株式会社の「PlayBackMail Online (PBMO) 」が一緒に提案された
一部の部署では Exchange Online によるスケジュール共有も始まって
ことも、高く評価しました 」と言うのは、東広島市役所 政策企画部 市
おり、業務効率化に大きな貢献を果たしていると語ります。
「特に市長、
広島県 東広島市
庁内
サーバー基盤
庁内システム
ルーター
ファイア
ウォール
LAN
インターネット
OWA
LAN
ファイア
ウォール
庁内システム用端末
Exchange Online
Web
ブラウザー
外部メール用端末
東広島市における Office 365 (Exchange Online) の利用形態。Office 365 に接続する LAN は庁内システムの LAN と分離、さらに Office 365 には Web ブラウザーから OWA でアクセスすること
で、外部メールがもたらすセキュリティ リスクを回避しています。
副市長などのスケジュールを複数部署で同時に確認できるのは、とても
Business や OneDrive® for Business も、積極的に活用していくことが
便利です。このようなニーズは以前から高かったのですが、Office 365
検討されています。
の導入によって実現可能になりました 」。
「Skype for Business を活用し、Web 会議やテキスト チャットを日常
また、メールボックス容量が 1 人あたり 50GB というのもクラウドサー
的に利用する業務スタイルへとシフトすれば、Surface の機動性をさ
ビスを利用するメリットです。メールの整理に時間をかける必要がなく、
らに有効活用できるはずです」と川西 氏。資料を共有した打ち合わせ
与えられた時間を最大限市民のための業務に費やすことができます。
も、これまで以上に容易になるはずだと言います。また OneDrive for
Business も、庁内のファイル共有を促進し、ペーパーレス化に大きな貢
これらのメリットに加え、Surface 導入による業務効率のさらなる向上
献を果たすと指摘。Office 365 による Office スイートの配布も、現在は
にも、期待が寄せられています。
まだ一部の部署でしか行われていませんが、今後は適用範囲を順次拡
大し、2019 年度までにはすべての Office ライセンスを Office 365 へと
「これまでは紙資料をベースに業務を行ってきましたが、庁内で Surface
移行する予定だと語ります。
「2016 年度から 2017 年度にかけて、グルー
とデジタイザーペンを持ち歩いて利用する業務スタイルを広げ、これを
プウェアの再検討も行います。この時にいい提案があれば、Microsoft®
Office 365 の各種機能と連携させることで、ペーパーレス化を実現でき
SharePoint® Online も検討対象になると思います」。
ます。また会議室などに Office 365 にアクセスできる端末と大型ディ
スプレイを設置すれば、そこで資料を共有しながら打ち合わせを行うこ
セキュリティ強化もさらに推進していきます。その一環として 2016 年度
とも可能になるはずです。東広島市では現在、庁内の情報系システム再
に、Exchange Online Advanced Threat Protection (ATP) の導入を行
構築も進めていますが、これと合わせて紙の使用量や保存量を削減し、
う計画です。これはクラウド ベースの電子メール フィルタリング サービ
どこからでも必要な情報にアクセスできるような環境を整備していきた
スであり、堅牢なゼロ デイ保護機能や、有害なリンクへのアクセスをリ
いと考えています」( 川西 氏 ) 。
アルタイムで防御する機能を備えています。これによって未知のマルウェ
今後の展望
になります。
「最近はウイルス メールが増えており、一見しただけでは悪
Office 365 の他の機能も積極的に活用、
さらなる生産性の向上とセキュリティ強化へ
IT を活用した業務効率化をさらに推し進めるため、今後は Skype for
アや悪質な Web サイトから、庁内の情報や職員を保護することが可能
質なメールであることがわからないよう、手口も高度化しています。イ
ンターネット アクセスの RDS 化も含め、防御が難しい攻撃を受けた場
合でも、その影響を極小化するくふうが必要だと考えています」( 橋本
氏) 。
広島県 東広島市
庁内での Office 365 活用風景
龍王山から望む東広島市街
Rights Management Services (RMS) の導入も検討されています。取り
「近年急増しているセキュリティ インシデントに対応するには、多層構
扱いがセンシティブな情報は、庁内ネットワーク内だけで使用すること
造での防御が必要だと言われていますが、これを個別製品の組み合わ
が理想的ですが、これを実際に実現することは困難です。市民サービス
せで実現するのでは管理工数が増大し、利便性も低下します」と橋本
を円滑に行うには、外部事業者との連携も不可欠であり、そのためには
氏。しかしマイクロソフトであれば、Surface のようなハードウェアから、
データを庁外に移動する必要が生じるからです。ここで RMS を活用す
OS、各種アプリケーション、クラウドまでトータル ソリューションとし
れば、庁外に情報を持ちだした場合でも、そのセキュリティを確保しや
てカバーしているため、製品間の連携もスムーズで、セキュリティ面で
すくなります。デジタル情報に適切な利用ポリシーを設定し、その範囲
の対応も万全になることを期待していると言います。
「マイクロソフトに
外の利用やユーザーからの閲覧を、永続的に防止できるようになるから
は、これからも管理が容易で効果の高い、シンプルなソリューションを
です。
提案していただきたいと考えています」。
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