資料提供 平成28年4月19日(火) 保健福祉部 保健予防課健康危機管理対策室 担当:室長補佐 深谷 均 県立中央病院における結核集団感染事例について(第2報) 3月7日に公表した,県立中央病院に入院していた患者を初発患者とした結核集団感染事例に ついて,対象者を拡大した接触者健康診断の結果,新たに結核発病者7人と潜在性結核感染者1 2人が確認されました。 これまでに,全体で結核発病者12人と潜在性結核感染者18人が確認されましたので,下記 のとおり情報提供します。 なお,水戸保健所では,これまでの接触者健康診断の結果から,今後,感染拡大する可能性は 低いと考えております。 記 1 経過 (1)水戸保健所では,結核集団感染対策委員会の検討結果を踏まえ,初発患者が利用していた 施設関連も含め,接触の度合いに応じて,最優先接触者(第1同心円)【3月7日公表】に 加え,優先接触者(第2同心円),低優先接触者(第3同心円)を選定し,県立中央病院と ともに順次,接触者健康診断を実施しました。 (2)今回実施した接触者健康診断の結果,優先接触者(第2同心円)からは,結核発病者7人, 潜在性結核感染者12人が確認されましたが,低優先接触者(第3同心円)からは,いずれ も確認されませんでした。 (3)水戸保健所では,低優先接触者(第3同心円)から結核発病者及び潜在性結核感染者が確 認されなかったことから,これ以上接触者健康診断の対象者を拡大することは不要と判断し ました。 (4)水戸保健所及び県立中央病院では,結核発病者及び潜在性結核感染者について,服薬確認 を含め指導を継続するとともに,最優先及び優先接触者の検査結果で異常なしの方について, 今後とも健康状況について確認してまいります。 2 接触者健康診断の結果 (1)3月7日公表した内容 最優先接触者(第1同心円) 対象区分 患者家族 医療従事者 (担当看護師等) 合 計 感染率 対象者 結 果 発病者 潜在性感染者 4 1 2 1 18 4 4 10 22 5 6 11 50.0% 異常なし (2)3月7日公表後に確認された内容 優先接触者(第2同心円) 発病者 結 果 潜在性感染者 異常なし 44 2 3 39 8 2 0 6 29 2 4 23 施設職員 16 0 5 11 施設利用者 18 1 0 17 115 7 12 96 対象区分 医療従事者 (同病棟職員等) 同室入院患者 (24時間超) 上記同室入院 患者の家族等 合 計 対象者 感染率 16.5% 低優先接触者(第3同心円) 発病者 結 果 潜在性感染者 異常なし 52 0 0 52 7 0 0 7 59 0 0 59 発病者 結 果 潜在性感染者 異常なし 4 1 2 1 114 6 7 101 同室入院患者 15 2 0 13 施設職員 16 0 5 11 施設利用者 18 1 0 17 同室家族 29 2 4 23 12 18 166 対象区分 医療従事者 (その他職員) 同室入院患者 (24時間以下) 合 計 対象者 感染率 0% (3)全体の接触者健康診断実施状況(累計) 対象区分 患者家族 医療従事者 合 計 感染率 対象者 196 15.3% 3 これまでの結核発病者と潜在性結核感染者の発生状況等 【 結核発病者 12人 】 性 別 年 代 男: 1 人 , 女: 11 人 20歳代:1人 30歳代:3人 40歳代:1人 50歳代:2人 60歳代:2人 80歳以上:3人 結核発病者 A:50歳代 (患者家族) 男 B:30歳代 (看護師) 女 C:20歳代 (看護師) 女 D:30歳代 (看護師) 女 E:40歳代 (看護師) 女 発生届日 結核菌検査結果 現在の状況 H28.3.3 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 H28.3.2 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 H28.3.4 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 H28.3.4 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 H28.3.4 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 以下,今回新たに結核発病者と診断された者(7人) F:90歳代 (施設利用者) 女 G:30歳代 (看護師) 女 H:50歳代 (看護師) 女 H28.1.13 塗抹陰性(排菌無し) 死亡(結核性胸膜炎) H28.3.9 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 H28.3.9 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 I:80歳代 女 (同室入院患者) H28.3.11 塗抹陰性(排菌無し) 一般病床入院中 J:60歳代 女 (同室患者家族) H28.3.17 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 K:60歳代 女 (同室患者家族) H28.3.23 塗抹陰性(排菌無し) 通院治療中 L:80歳代 女 (同室入院患者) H28.4.2 塗抹陰性(排菌無し) 一般病床入院中 【 潜在性結核感染者 18人 】 性 別 年 代 男: 4 人 , 女: 14 人 20歳代:5人 30歳代:2人 40歳代:3人 50歳代:6人 60歳代以上:2人 [ 語句解説 ] 【結核発病者】 結核に感染後,X線画像で病変が確認,たんの検査で結核菌が検出されるなど,発病したことが確 認できた者を結核発病者という。なお,結核発病者でも,X線画像のみで排菌していない患者は,他 の者に結核を感染させることはない。 【潜在性結核感染者】 結核菌に感染しているが,X線検査等では明らかな発病は確認されない状況であり,将来発病の危険 性がある者。結核菌への感染の有無は,免疫学的方法(IGRA検査等)により確認を行う。発病を予防する ための治療の対象となり,抗結核薬のINH(イソニコチン酸ヒドラジド)の服用を行う。なお,他の者 に結核を感染させることはない。 【結核性胸膜炎】 結核菌が原因で起こる胸膜炎を結核性胸膜炎といいます。胸膜炎とは,肺をつつむ膜が炎症を起こ して,水分が吸収できなくなり,肺と胸膜の間に水 がたまって,胸痛や呼吸困難がおこる病気です。 県民の皆様へ (1)2週間以上せきが続いたら早めに受診しましょう 結核の初期症状は,かぜとよく似ています。2週間以上,咳や痰・発熱などの 症状が長引く場合は,早めに医療機関を受診しましょう。 (2)定期的に胸部X線検査を受けましょう 市町村で行っている住民健診や職場等で健康診断の対象者の方はすすんで健康 診断を受け,早期発見に努めましょう。 【 参考資料 】 1 本県における結核集団の発生状況(H17年~H27年) 件数 発生年 発生場所 結核発病者 老人保健施設 2 H19 2 事業所 3 事業所 2 飲食店(居酒屋) 2 H20 4 飲食店 3 飲食店 3 H22 1 病院 2 病院 2 H23 2 事業所 1 事業所 2 H24 2 病院(精神) 5 H27 1 老人保健施設 4 (人) 潜在性感染者 10 14 14 18 6 4 18 12 30 17 15 7 ※なお,H17,H18,H21,H25,H26は集団感染事例がありませんでした。 2 全国における結核集団感染の発生状況(H17年~H26年) (件) 家族・ 社会福祉 大 学 中学校 小学校 その他 年 件数 事業所 医療機関 塾 友人 施 設 専門学校 高 校 幼稚園 (不明を含む) H17 37 13 6 2 11 2 1 - - 8 H18 38 16 9 4 4 2 4 2 - 10 H19 42 20 10 2 5 - - 1 1 12 H20 48 23 12 3 10 1 - 2 - 7 H21 31 13 8 3 4 - 2 3 - 7 H22 39 18 7 6 9 1 - 1 - 5 H23 69 25 16 5 19 3 3 3 - 11 H24 53 30 24 6 10 - 3 1 - 4 H25 45 21 21 5 10 4 4 1 1 2 H26 29 18 11 1 9 - 1 1 - 5 ※ 集団発生の場所が1件で2か所以上の場合があり,発生場所の合計と件数は一致しない。 3 結核の発生状況(H21年~H26年) 区分 H21 新登録患者数 本県 446 (人) 全国 24,170 年末時登録患者数 本県 1,091 (人) 全国 59,573 全結核罹患率 本県 15.1 (人口10万人対) 全国 19.0 結核死亡者数 本県 33 (人) 全国 2,159 H22 410 23,261 972 55,573 13.8 18.2 46 2,129 H23 431 22,681 933 55,196 14.6 17.7 49 2,166 H24 401 21,282 929 52,203 13.6 16.7 45 2,110 H25 382 20,495 944 49,814 13.0 16.1 47 2,087 H26 387 19,615 830 47,845 13.3 15.4 47 2,100
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