産業競争力会議(第 26 回) 議事次第

産業競争力会議(第 26 回)
議事次第
日時:平成 28 年4月 19 日
17:25~ 18:05
場 所 : 官 邸 2 階 小 ホ ー ル
1.開会
2.名目 GDP600 兆円に向けた成長戦略
3.イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる人材の創出
4.閉会
配布資料:
資料1 名目 GDP600 兆円に向けた成長戦略(次期「日本再興戦略」
)【案】
資料2 文部科学大臣提出資料
資料3 三木谷議員提出資料
資料4 三村議員提出資料
資料5 総務大臣提出資料
資料6 文部科学大臣提出資料
資料7 国土交通大臣政務官提出資料
参考資料1
参考資料2
成長戦略プロジェクトに係る検討課題
文部科学大臣提出資料
名⽬GDP600兆円に向けた成⻑戦略(次期「⽇本再興戦略」)【案】
資料1
○⻑年の構造改⾰のタブーへの切り込み(電⼒・農業・医療等での岩盤規制改⾰、国家戦略特区)
○旧3本の⽮により、円⾼、⾼い法⼈税、TPPの妥結遅れ等の6重苦は解消の⽅向へ。
⺠間投資を⽣む環境は
整いつつある
○ 新たな課題:①600兆円に向けた、新たな有望成⻑市場の創出・拡⼤
②⼈⼝減少社会、⼈⼿不⾜を克服するための⽣産性の抜本的向上
③新たな産業構造への転換を⽀える⼈材強化
1.600兆円に向けた「官⺠戦略プロジェクト10」(仮称)
1-1:新たな有望成⻑市場の創出
2.⽣産性⾰命を実現する規制・制度改⾰
○新たな規制・制度改⾰メカニズムの導⼊
① 第4次産業⾰命 (Society5.0) (IoT・ビッグデータ・AI・ロボット)【付加価値創出:30兆円(2020)】
- 産業⾰新の将来像に基づき設定した中期⽬標からバックキャストして、
- ⾃動⾛⾏(2020年⾼速道路での⾃動⾛⾏)、即時オーダーメード⽣産、スマート⼯場、FinTech、
具体的改⾰を実施するロードマップ⽅式の導⼊
ドローン(3年以内のドローン配送実現)
- 事業者⽬線での規制・⾏政⼿続きコストの削減(規制改⾰、⾏政⼿続簡素化・IT化) 等
- 企業・組織の枠を超えたデータ利活⽤プラットフォーム創出、シェアリングエコノミー、サイバーセキュリティ
○未来投資に向けた制度改⾰
- 中堅中⼩企業への導⼊⽀援(⼩型汎⽤ロボの導⼊コスト2割減・中⼩企業1万社を重点⽀援) 等
- コーポレートガバナンスの更なる強化(取締役会の実効性向上、情報開⽰等を通じた建設的対話の促進)、
② 世界最先端の健康⽴国へ 【市場規模:16兆円(2011) ⇒ 26兆円(2020) 】
無形資産・研究開発への投資促進 等
- 健康・予防に向けた保険外サービス促進(4兆円の市場創出)
- IoT等の活⽤による医療診断・個別化医療・個別化健康サービス (レセプト・健診・健康データを集約・分析・活⽤)
- ロボットやセンサーを活⽤した介護の負担軽減 等
3.イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる⼈材の創出
③ 環境エネルギー制約の克服と投資拡⼤
【エネルギー関連投資:18兆円(2014fy) ⇒ 28兆円(2030fy)】
○ イノベーション、ベンチャー創出⼒の強化
- 省エネ(産業トップランナー制度を3年で全産業の7割に拡⼤、中⼩企業の⽀援)、
- 企業から⼤学・研発法⼈への投資3倍増(2025年)
再エネ(FIT法改正による国⺠負担抑制と最⼤導⼊の両⽴)、資源安全保障の強化
- 国内外のトップ⼈材を集めた世界的研究拠点5ヶ所創出
- ⼈⼯知能研究開発の司令塔設置(⼈⼯知能技術戦略会議)
- 節電量取引市場の創設(2017年)、
- ⺠間主導の「地域と世界の架け橋プラットフォーム」整備、
燃料電池⾃動⾞の本格的普及など⽔素社会の実現(2030年に関連投資1兆円) 等
④ スポーツの成⻑産業化 【市場規模:5.5兆円(2015) ⇒15兆円(2025) 】
政府機関合同でベンチャー⽀援コンソーシアムの設置(政策の共同企画、⽀援の重点化) 等
- スポーツ施設の多機能化、スポーツとIT・健康・観光・ファッション等との融合・拡⼤ 等
○ 多⾯的アプローチによる⼈材の育成・確保
⑤ 既存住宅流通・リフォーム市場の活性化 【市場規模:11兆円(2013)⇒20兆円(2025)】
- 初等中等教育でのプログラミング教育の必修化(2020年〜)・IT活⽤による習熟度別学習、
- 資産価値を評価する流通・⾦融等の仕組み構築、インスペクション・瑕疵保険普及等
⾼等教育での数理・情報教育の強化、トップレベル情報⼈材の育成
- 「第四次産業⾰命 ⼈材育成閣僚会議(仮称)」の設置
1-2:ローカルアベノミクスの深化
- 世界最速級の「⽇本版⾼度外国⼈材グリーンカード」(⾼度⼈材の永住権付与の迅速化) 等
⑥ サービス産業の⽣産性向上 【付加価値:343兆円(2014) ⇒ 410兆円(2020)】
- ⽣産性伸び率を2%へ倍増。
トラック・旅館・スーパー等7分野の⽣産性向上のための法的枠組み、固定資産税軽減、地域⾦融⽀援 等
⑦ 農業改⾰・輸出促進 【6次産業市場:4.7兆円(2013fy) ⇒ 10兆円(2020fy) 】
- 農地集約、⽣産資材のコスト低減、農産品の流通構造改⾰
- スマート農業(2020年遠隔監視・無⼈⾃動⾛⾏)、産業界と農業界の連携体制構築 等
⑧ 観光⽴国 【外国⼈旅⾏消費額:3.5兆円(2015)⇒ 8兆円(2020)、15兆円(2030)】
※なお、訪⽇外国⼈と⽇本⼈の旅⾏消費額の合計は、約25兆円(2015)⇒29兆円(2020)、37兆円(2030)
- 地域観光経営の推進、観光経営⼈材の育成、広域観光周遊ルートの世界⽔準への改善、
国⽴公園のブランド化、⽂化財の活⽤促進、休暇改⾰ 等
⑨ 2020年オリンピック・パラリンピック競技⼤会に向けた⾒える化プロジェクト
- PPP/PFI等による公的サービス・資産の⺠間開放拡⼤
【10年間(2013〜2022)でPPP/PFI事業規模を12兆円に拡⼤(⾒直し中)】
- 「改⾰2020」プロジェクト(⾃動⾛⾏、分散型エネルギー、先端ロボット等) 等
1-3:国内消費マインドの喚起
⑩官⺠連携による消費マインド喚起策等
○ 成⻑制約打破のための雇⽤環境整備、⼥性の活躍等多様な働き⼿の参画
- ⻑時間労働是正に向けた取組強化
- ⼥性の活躍推進(待機児童の解消、ダイバーシティ経営の促進)、⾼齢者の活躍推進 等
4.海外の成⻑市場の取り込み
○ TPPを契機にした中堅・中⼩企業の海外展開⽀援
【13.8兆円(2013fy)⇒25.2兆円(2020fy)】
○ インフラシステム輸出の拡⼤ 【約16兆円(2013)⇒約30兆円(2020)】
○ 対内直接投資誘致の強化
○ 経済連携協定、投資協定の締結の推進
資料2
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアチブ」
~未来社会を創造するAI/IoT/ビッグデータ等を牽引する人材育成総合プログラム~
•
「第5期科学技術基本計画(平成28年1月閣議決定)」において謳われている「超スマート社会」の実現、及び「理工系人材育成に関する
産学官円卓会議における行動計画」等を踏まえ、関連施策の一体的な推進が求められている
•
生産性革命や第4次産業革命による成長の実現に向けて、情報活用能力を備えた創造性に富んだ人材の育成が急務
•
日本が第4次産業革命を勝ち抜き、未来社会を創造するために、特に喫緊の課題であるAI、IoT、ビッグデータ、セキュリティ及びその基盤と
なるデータサイエンス等の人材育成・確保に資する施策を、初中教育、高等教育から研究者レベルでの包括的な人材育成総合プログラムと
して体系的に実施
ビッグデータ
参考:必要とされるデータサイエンス人材数(※)
•
世界トップレベルの育成(5人/年)
•
業界代表レベルの育成(50人/年)
•
棟梁レベルの育成(500人/年)
•
独り立ちレベルの育成(5千人/年)
•
見習いレベルの育成(5万人/年)
現状(MGIレポート)
日本:3.4千人
US:25千人、中国:17千人
•
リテラシーの醸成(50万人/年)
大学入学者/年: 約60万人
•
小学校における体験的に学習する機会の確保、中
学校におけるコンテンツに関するプログラミング学習、
高等学校における情報科の共通必履修科目化と
いった、発達の段階に即したプログラミング教育の
必修化
•
全ての教科の課題発見・解決等のプロセスにおいて、
各教科の特性に応じてICTを効果的に活用
•
文科省、経産省、総務省の連携により設立する官
民コンソーシアムにおいて、優れた教育コンテンツの
開発・共有等の取組を開始
高等学校:約337万人(3学年)
中学校:約350万人(3学年)
小学校:約660万人(6学年)
AI
IoT
セキュリ
ティ
産業界への人材輩出
トップレベル人材の育成
• 理研AIP※1センターにおける世界トップレベルの
研究者を惹き付け・育成
• 若手研究者支援(卓越研究員制度や競争
的資金の活用を含む)、国際研究拠点形成
数理、情報関係学部・大学院の強化
産業界
• 社会実装の方向性を共有
• 実社会における情報技術
の活用手法を学ぶ機会を
確保
情報スキル
• 新たな学部等の整備の促進、enPiT※2等で養成するIT人材の増大
• 情報コアカリ・理工系基礎となる数学教育の標準カリキュラム整備
• 新たな社会を創造・牽引するアントレプレナーの育成
全学的な数理・情報教育の強化
• 教育体制の抜本的強化(数理・情報教育研究センター(仮称)等)など
情報
リテラシー
高等教育(大学・大学院・高専教育)
情報活用能力の育成・教育環境の整備
• 次世代に求められるプログラミングなどの情報活用能力の育成
• アクティブラーニングの視点に立った指導や個の学習ニーズに対応した
「次世代の学校」 創生(スマートスクール構想の推進 等)
• 学校関係者や関係企業等で構成する官民コンソーシアムの設立
初等中等教育
※1 Advanced Integrated Intelligence Platform Project
(人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト)
※2 Education Network for Practical Information Technologies
(情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク(形成事業))
※注:左吹き出しの人数は「ビッグデータの利活用のための専門人材育成について」(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、平成27年7月))から引用
資料3
成長戦略改訂に当たって
盛り込むべき事項について
楽天株式会社 代表取締役会長兼社長
三木谷 浩史
いま、日本に求められるのは
ディスラプティブなイノベーション
1
世界は激変し、様々なことが再定義
オウンエコノミーから
シェアリングエコノミーへ
スマートデバイス
Internet of Things
ビッグデータ
12
世界の潮流を追いかけるのでなく先手を打つべき
必要なのは、徹底的な規制改革
3
イノベーションのエコシステム
イノベーションを生み出し、
成果を社会に還元できる
自律したエコシステム
を構築するべき
人と資金の流れを変える
4
改訂成長戦略に盛り込むべき具体的施策(全体像)
①『新経済』
促進に向けた
環境整備
②日本インテ
リジェント・
ハブ化構想
イノベーション・
エコシステムの
構築
③ベンチャー・
フィランソロ
ピーの促進
④新たな成長
産業の創出等
5
改訂成長戦略に盛り込むべき具体的施策その1
1.『新経済』促進に向けた環境整備
 シェアリングエコノミーとしてのホームシェアとライドシェアの導入
・ホームシェア;
シェアリングエコノミーの特性を踏まえたルールを定めた新法を提出
(ホームステイ型・空き家型など多様な類型を網羅、管理業者経由を必須
化しない柔軟な制度設計、参入はオープン、プラットフォームの責務を
法的にルール化 旅館業法などの適用除外 など)
・ライドシェア;
政府部内での検討会を設置し、議論開始
 Fintechの促進に向けた環境整備 (詳細は補足説明資料10~12ページ)
・カードや電子決済の促進によるペイメント大国の実現(義務化検討等)等
 IT原則への転換に向けた法環境整備(詳細は補足説明資料14~17ページ)
・基本理念の法定化
・対面書面原則撤廃に向けた法的な検討体制整備と個別法令改正実行
6
改訂成長戦略に盛り込むべき具体的施策その2
2.日本インテリジェント・ハブ化構想
 『日本をインテリジェント・ハブにする』『東京をシリコンバレーにする』
をKPIとして、政府全体としての強力なメッセージを出すため、首相官邸に
よる強力なリーダーシップとトップダウンにより以下の施策を実行すべき。
(詳細は補足資料③18~23ページ)
・世界で戦えるビジネス環境の整備
・税制面の整備(法人税見直し、所得税累進課税見直し、出国税運用
見直し、ベンチャー関連税制見直し など)
・規制行政手続きコストの削減 トップダウンでKPI設定 など規制改革
(参考)デンマーク;10年で25%コスト削減をKPIとして設定
エストニア;会社設立20分以内 「ゼロ・ビューロクラシー」が目標
・世界中から優秀な起業家・技術者と資金を集めるための施策の推進
・永住を含む在留資格制度や関連手続きの世界最速化を目指した
抜本的改革
7
改訂成長戦略に盛り込むべき具体的施策その3
3.ベンチャーフィランソロピーの促進等
 起業家などが、自らの目利き等を活用して、ビジネスで得た果実等を社会
に還元し、ベンチャー・フィランソロピーや社会的インパクト投資によって、
社会的課題の解決に貢献する資金配分のサイクルの形成に向け、公益法
人制度・法体系の見直し(収支相償原則の撤廃、ペイアウトルールの検討
など)など所要の環境整備を進める。(詳細は、補足資料④24~30ページ)
4.新たな成長産業の創出等
 超観光立国の推進(詳細は補足資料⑤32~35ページ)
・政府CMO設置、LCC拡大、空港容量拡大、シェアリングエコノミー推進、
キャッシュレス決済の促進、労働力確保のビザ緩和、オープンな無料WiFi整備、ナイトタイムエコノミー推進等
 スポーツビジネスの振興と文化の振興(詳細は補足資料⑥36~41ページ)
・『世界レベルのリーグ確立』をKPIとして、以下の施策を実施
スポーツ施設整備活用促進(税制面・財政面の支援)、プロスポーツの外
国人枠撤廃、野球版TOTOの実施 など
8
9
 補足説明資料①
Fintechの推進
10
Fintechの推進その1
【基本的な考え方】
 データをうまく活用していくことでリアルタイムの信用創造をいかに伸ばして
いけるかが重要
 規制制度設計については、参入要件を過度に高くしたり、行為規制を広範
囲に及ぼしたりせずに、リスクベースアプローチ及び民間の自主的な対応等
の尊重による柔軟な対応を基本とし、イノベーションを阻害しないことが基本
 日本を世界の最先端Fintech大国にすることを目指すべき
 税務手続き等行政手続きの効率化と一体になった産業の生産性の向上が
重要
11
Fintechの推進その2
【考えられる検討事項】
 Fintechの大前提となるIT利活用環境(金融関連オールIT)の実現
・行政における法制度面・システム面での取組み
(技術革新に応じた、民間事業での合理的な本人確認・認証方法を法令上
認めるためのルール改正、税務等行政手続きのIT化・API開放の実現
など)
・金融業界等における取組み
(ネット活用型へ商慣行の転換、銀行APIの促進 など)
 世界最先端Fintech大国の実現
・カードや電子決済の義務化の検討 (※)
※新経済連盟では、「Japan Ahead」(2015年5月)、「超観光立国」(2016年3月)で提言済み
・Fintechによる新サービスのビジョンの明確化と実現方策の検討
(商流データ、クラウドソーシングデータ等を活用した新たな「与信」手法の
創造とそれに対応するための規制の見直しの検討 など)
12
13
 補足説明資料②
IT原則への転換
14
IT原則への転換
『対面・書面原則を転換し、「原則IT」をルール化する』ことは昨年の成長戦略に
既に記述済み。あとは一刻も早く実現する段階。そのため、下記2事項が必要。
• 基本理念の法定化
 国と地方全体で進めていくためには、IT原則への転換という基本理念を『新たな法律レ
ベル』で明確化することが必要不可欠
・理念のイメージはすでに昨年10月末、新経済連盟の提言(※)で言及済み
※「IT利活用推進のために必要な法整備に係る具体的提案」
・なお、昨年6月末にIT戦略本部がまとめた『IT利活用に係る基本指針』における5原則
等も参考にすべき
• 対面原則・書面交付原則撤廃に向けた法的な検討体制整備
と個別法令改正の確実な実行
 上記理念を達成するために、政府において改正対応が必要な法令等を漏れなくリスト
アップし、一括で整備するための法的裏付けのある検討の枠組みを実現し、それに基
づき実際に所要の法令等を改正すべき
 改正必要な法令等の代表事例は次頁以下参照
15
対面原則・書面原則撤廃等の個別法の事例①
提案事項
1
2
根拠法令
具体的内容・提案理由
・法令に基づく手続等(国-民、地方-民、民-民)のうち、オンラ
イン化等が有効であると考えられる手続に関しては、費用対効
法令手続きの原則オンライン化を進めるための 行政手続オンライン化法、e文書法
果を踏まえつつ、原則としてオンライン化等が可能となるよう、
体系的な法的仕組みの導入
等
現状の対応状況を網羅的に収集し、進捗を管理し実施する法
的裏付けのある仕組みを導入する。
・不動産取引の重要事項説明は対面で行うことがあくまで解釈
として行われており、ITを活用した重要事項説明に係る社会実
不動産取引の重要事項説明での対面原則の
宅建業法上の解釈等
験が行われているが、一刻も早くすべての取引分野において
完全解禁
対面との解釈を撤廃し、IT活用等による非対面取引での説明
を認めるべきである。
・不動産取引における重要事項説明書面、媒介契約書面及び
宅地建物取引業法34条の2、35条、
37条書面について現行法令上「書面」とのみあるのを電子署
37条 等
名したうえでの電磁的方法による交付も認めることとする。
3
不動産取引における重要事項説明書面等の
電子化
4
1.処方箋薬、薬局医薬品、要指導医薬品に係る対面規制の
薬局医薬品及び要指導医薬品の対面規制の 医薬品医療機器等法4条、9条の3、 削除 (第9条の3第1項、第36条の4第1項、第36条の6第1項)
撤廃
36条の4、36条の6 等
2.「要指導医薬品」というカテゴリーの撤廃(第4条第5項4号
等)
5
処方箋の電子化
医師法22条、歯科医師法21条、医師 ・処方箋の交付も、e文書法の適用対象とし、電子化に向けた
法施行規則21条、歯科医師法施行 スケジュールとKPIの更なる明確化を行うため、所要の法令改
規則20条 等
正を行う。
6
株主総会の事業報告等のウェブ開示の
デフォルト化
会社法301条 等
・株主総会招集と関係資料の提供につき、事業者側がウェブ
開示をデフォルトの方法として選択できるようにする。
・世界的なペーパーレスの流れに遅れており、事業者側に多
大なコストを負担させ、株主側に十分な検討時間を与えられな
い等の弊害がある。
7
金融商品取引契約等における説明方法として
の電子書面交付のデフォルト化
金融商品取引法 等
・金融商品取引契約等では、法令上、説明方法として、事業者
側が電子交付をデフォルトの方法として選択できるようにする。
16
対面原則・書面原則撤廃等の個別法の事例②
提案事項
根拠法令
具体的内容・提案理由
8
・労働者派遣契約の必要契約事項について契約当事者に
労働者派遣契約の締結における書面記載という
労働者派遣法施行規則21条3項、4項 対して書面に記載させることとしていることについて、電磁的
書面原則の撤廃
手段でもよいこととする。
9
労働契約法4条、労働基準法施行規 ・労働契約や職業紹介における労働条件の明示としての書
労働契約や職業紹介における労働条件の明示
則5条、職業安定法施行規則4条の2 面交付義務について見直し、適宜電子署名を活用すること
としての書面交付義務の見直し
等
を含めて電磁的方法による交付を認めることとする。
10
11
12
13
14
15
・労働者派遣における就業条件の明示や派遣先・派遣労働
労働者派遣における就業条件等の通知手段の 労働者派遣法施行規則第26条、27条 者への通知等の方法として、ID・パスワードの発行によるイ
拡大
等
ンターネット上での情報提供や、派遣元と派遣先による共有
システム上での情報共有等の手段を認める。
学校教育法34条、義務教育諸学校の
教科用図書の無償措置に関する法律 ・デジタル化された教科書を学校教育法ほか関係法律上の
デジタル教科書の承認による教育イノベーション
第3条、著作権法第33条、 教科書の 「教科用図書」「教科書」と認める。
発行に関する臨時措置法第3条 等
・教室での対面授業でのコンテンツだけでなくオンデマンド授
オンデマンド授業コンテンツにおける他者の
著作権法21条、35条 等
業コンテンツにおいても、他者の著作物を使用する場合、権
著作物利用の際の権利制限規定の導入
利者の権利を制限する規定を設ける。
・セキュリティ目的のリバースエンジニアリング(※)が著作権
法で適法であることを確保するための所要の措置を講ずる。
リバースエンジニアリングに関する著作権法上の
著作権法
(※)Reverse engineering。ソフトウェアやハードウェアなどを
適法性の明確化
解析・分解し、その仕組みや仕様、目的、要素技術などを明
らかにすること。
確定申告時の各種控除申請の添付書類の
電子化
非対面サービスでの本人確認、年齢確認
法人税法、所得税法
・法人及び個人の確定申告における各種控除申請に必要と
される添付書類として、電子領収書等を認める。
・個人番号カードを活用した本人確認及び年齢確認を、犯罪
犯罪収益移転防止法及び政省令 ほ 移転収益防止法関係法令や年齢確認を求める各種法令等
か年齢確認を求める法令、通達 等 において、認めるための措置を漏れなく行う(対応状況の進
捗を公開すべき)。
17
 補足説明資料③
ベンチャー・イノベーション促進施策
18
ベンチャー施策の基本的な目標
日本をインテリジェント・ハブにする
東京をシリコンバレーにする
経済規模 100兆円
(注) 新経済連盟『Japan Ahead』 (2015年5月)の「インテリジェント・ハブ化構想」の試算
19
シリコンバレーエコシステム
●人材の多様性、メンターの存在
●世界中から集まる優秀な人材
創業者の5割、エンジニアの7割が
移民 (※)
●起業を称賛する文化
●ビジネスしやすい法環境
●大学とベンチャーの連携
エコシステムをつくるには、VC支援強化等だけではな
い多角的な対策も一体として必要
※出典 世界スタートアップエコシステムランキング2015(Startup Compass)
20
ベンチャー・イノベーション促進施策①
1.世界で戦える環境の整備
 法人税率を少なくとも20%台前半まで引下げ
 イノベーション促進を企図したベンチャー企業向けの税制上の措置の検討
2.ベンチャー・イノベーションを阻害する規制・制度の見直し
 対面原則・書面交付原則の撤廃等による「原則IT化」の早期実現
 各種行政手続きの簡素化・合理化等による行政コスト削減の指標として、諸外
国の事例(※)等も参考にして、定量的な目標をKPIとして設定する
※デンマークは、行政手続きコストを10年で25%削減することを宣言し実施
 シェアリングエコノミー促進のための新たな法制度の構築(ホームシェアとライド
シェア)
 企業のベンチャー投資促進税制の改善(ファンドの認定の要件緩和)
 出国税の運用等の検証と再検討(ベンチャー企業の経営者・役員の海外移住
を困難にし、ひいてはベンチャー企業の海外進出を阻害するおそれ)
 ベンチャー企業経営者等による将来有望な企業の支援の強化(上場株式と非
上場株式の譲渡所得の損益通算を可能とする制度の再導入等)
 アントレプレナーシップ涵養のため、行き過ぎた所得税の累進課税の見直し
(最高税率の引下げ等)
21
ベンチャー・イノベーション促進施策②
3.起業文化の醸成
 総理大臣レベルによる各種表彰制度の創設・継続とモニタリング
 起業家に関する政府による積極的な情報発信と民間と連動した啓発イベント
4.世界中から優秀な起業家・技術者と資金を集めるための施策の推進
 海外から招致する起業家・技術者がより容易に、より安定して長く日本で活動
できる在留資格制度上の優遇のための制度を構築するため、諸外国の制度を
参考に抜本的見直し(起業家・技術者・投資家と彼らと同行の家族・家事手伝
等を対象に、各種申請要件の緩和・取得までの期間短縮・電子申請など)
 海外から招致する起業家・技術者に対する所得税・住民税の大胆な優遇。当
該者が経営する企業への法人税の優遇(欠損長期繰越など)
 居住面、生活面、教育面等での外国語対応の促進(まずは現状対応可能な比
率を見える化しKPIを設定して必要な対応を検討)
22
ベンチャー・イノベーション促進施策③
5.イノベーションを起こすために必要なグローバル人材の育成・確保
エンジニア「人材」等のすそ野拡大とともに、質・量ともにレベルの大幅な引き上げ
のため、以下の施策を実施
 英語教育及びプログラミング教育の充実強化
 起業家教育の推進
23
 補足説明資料④
ベンチャーフィランソロピーの推進
24
ベンチャーフィランソロピーの促進等

シリコンバレーを中心に米国等では、起業家の目利きを活用して、社会的
課題を解決する事業等に効率的に資金を配分するといった、フィランソロ
ピーによる新たな資金の流れ・サイクルが生じている。

これらは、新たなビジネスや雇用を創出し、社会的課題を解決するほか、
起業家のロールモデルにもなっている。

米国では、一定の制約のもとで、財団に係る所要資金の確保・運用や組
織運営を効率的・弾力的に可能とする制度があることも、フィランソロピー
等が社会に浸透している一因になっている。

米国等の財団制度等も参考にしながら、ベンチャーフィランソロピーや社
会的インパクト投資拡大に向けた政策について、必要な関連制度改正を
含めて政府部内で早急に検討するべき。
25
ベンチャー・フィランソロピー振興等を通じた日本の成長戦略
【現状の課題】
①「障害者・高齢者・子育て等支援、保健・医療・福祉」、「教育・人材育成」、「地域活性化・まちづく
り」、「環境保全・保護」等の様々な社会的課題が多様化・困難化し、行政だけでカバー出来ない
中、事業として問題解決に取り組むソーシャルビジネスの重要性が高まっている。
②担い手(NPOが約5割、会社形態が約2割)は、活動原資を、「寄附」や「収益を第一目的としな
い投融資」に頼らざるを得ないが、その寄附・投融資の出し手が日本では不足。
【必要な対策】
【想定される効果】
①ベンチャー・フィランソロピーの推進
①新ビジネス創出・地方創生
公益財団等の資金提供団体が、寄付先のNPO・社会的企業
に対し、複数年度の寄付契約、理事の派遣等により運営に関
与、事業の成果を評価。フィランソロピー分野に、起業家等の
ベンチャー企業等に対する投資ノウハウ(目利き等)を応用し、
アントレプレナーシップを喚起。イノベーションをもたらし、効率
性を高める。
<寄附対象例>非営利団体、低利益社会的企業
(例)病時保育など子育て支援、高校生教育支援、
環境保全による観光振興
<ソーシャルビジネスの市場規模>
約2000~3000億円
潜在的規模 最大約80兆円
②雇用創出
<各国労働人口に占める非営利セクター就業者の割合>
日本 3.2%
アメリカ 6.3%
②社会的インパクト投資の推進
経済的リターンだけでなく社会的リターン(投資先の事業の社
会的課題への貢献)をも目的とする。
<投資対象例>営利企業、低利益社会的企業
③社会的課題の効率的な解決等による
波及効果
(例)医療福祉関係費等行政コスト削減、労働環境改善
26
ベンチャー・フィランソロピー、社会的インパクト投資の
促進のための課題と対応策
【資金の流れを拡大させるための課題と対応策】
【資金の流れ】
<資金提供者の不足>
★ 公益財団を簡便に設立・運用できる分かり
やすい仕組みが必要
寄附者・篤志家
投資家
寄
附
公益財団法人
寄
附
寄
附
ベンチャー・
フィランソロピー
出
融
資
出
融
資
社
会
的
イ
ン
パ
ク
ト
投
資
例)
◇ 米国Private Foundationをモデルとする制度の導入
◇ より短期で設立できる仕組みの導入
◇ 収支相償原則、事業計画変更手続き、遊休財産規
制等を緩和。弾力化、事前認定は事後チェック型へ
転換
★ 個人が更に寄付しやすい制度をつくる
例)
◇ 相続した現物(土地など)を寄付した場合、含み益が
あれば寄付者に課税されるが、寄付の受け手を課
税対象とする。
<事業実施団体・企業の未成熟>
NPO等非営利団体
例)ソーシャルビジネス、社会的課
題解決のための研究開発
低利益社会的企業
例)ソーシャルビジネス、社会
的課題解決のための研究
開発
★ ベンチャー・フィランソロピー、社会的インパ
クト投資の普及のための環境整備・文化醸成
が必要
<枠組みの未整備>
★ 社会的企業の認証制度、社会的インパクト
の評価制度の整備が必要
27
[参考①]日米の制度的違いその1
出
資
者
アメリカ
日本
寄附者・篤志家 投資家
寄附者・篤志家 投資家
課題
$
資
金
配
分
団
体
¥
Private Foundation 等
• 毎年総資産の5%を公益支出する限り
理事会の構成は弾力的
• 趣旨: フィランソロピー文化を醸成しな
がら、5%支出ルールにより公益性を担
保している。
公益財団法人
ガバナンス
$
¥
NPO/社会的企業(L3C等)
• 課題: 篤志家やアントレプレナー等が
公益財団を作るインセンティブが低い。
¥¥¥
$$$
事
業
実
施
団
体
• 毎年5%出さなくてもよい代わりに理事
会の構成に制限あり
法人形態
NPO/社会的企業
• 社会的事業に特化した法人格や認証制度が
存在。
• NPOに対する出資制度がなく、経営に関与し
ながら資金的援助をすることができない。
• 例: L3C(社会的利益の追求を優先する低営
利型の法人)、ベネフィットコーポレーション
(州政府が認定する社会的事業法人)。
• 課題: 社会的事業に特化した法人に対する
認証制度や税制優遇措置がないため、出資
者を募りにくい。
28
[参考②]日米の制度的違いその2
米国
日本
①収支相償原則
公益法人の税制優遇はIRC(内国歳入法)501(C)(3)の要件を満
たせば足り、同法に日本の収支相償原則に相当するものはない。
収入が、公益目的事業の実施に要する費用を単年度で超えない
こと(公益認定法5条6号)
→ 無駄な使い切りを惹起。中長期の計画的な運用ができない。
②事業変更手続き
毎年、事業の内容をAnnual Report をIRS(内国歳入庁)に提出し、
審査を受ける。そこで501(C)(3)の要件に合致しなければ、事後
的に課税される。
事業内容変更は行政庁の認定が必要。(公益認定法10条1項)
→ 行政庁から事細かな指導。判断にも時間がかかり、環境変化
への柔軟な対応が不可能。
③公益目的事業比率
日本の公益目的事業比率に相当する規定は501(C)(3)には存在
しない。
公益目的事業比率=①/(①+②+③) (①公益目的事業の費
用、②収益事業の費用、③法人運営費用)が50%以上でなけれ
ばならない(公益認定法15条)
→③は、①と②に比率に応じて分配されるべき。
④遊休財産規制
日本の公益目的事業比率に関する規定は501(C)(3)には存在し
ない。逆に、遊休財産の有無は、財政基盤の健全性の判断材料
とされ、少ないと助成申請にあたって不利益に考慮される。
公益目的事業を翌年も継続するために必要な額を超えてはなら
ない(公益認定法16条1項)。
→安定した法人運営のため、単年度の制限から長期間での制限
とすべき。
[参考③]アメリカ Private Foundation に対する規制等
規制内容
制裁措置
5%ペイアウト
ルール
(最低支出規
制)
資産額の5%以上を公益事業に
支出しなければならない
支出の資産5%に対する不
足額に対し15%課税(一定
期間に是正されない場合は
100%)
自己取引規制
理事・マネージャー、大口寄付
者等およびその家族との取引
(売買・物品提供・賃貸等)は禁
止
取引相手に対し取引額の
5%の課税(一定期間に是
正されない場合は200%)
持ち株比率規
制
企業の株式等議決権の20%超
の所有禁止
超過保有額の5%の課税
(一定期間に是正されない
場合200%)
政治活動規制
ロビイング・選挙候補支援等の
禁止
支出額の10%の課税(一定
期間に是正されない場合
100%)
◆寄附税制の制限
個人の寄附に対する所得控除限度が、一般的には所得の50%に対し、Private Foundation
に対する寄附の場合は所得の30%。
30
31
 補足説明資料⑤
超観光立国の推進
32
『超観光立国』の実現に向けて特に重要な施策①
 民間人の政府CMOを設置し、デジタルマーケティング戦略の推
進
 LCCの拡大が必要。4D管制で容量を充実強化することや横田
基地の活用の検討など航空容量の拡大に向けた措置
 ホームシェアやライドシェアの導入
・ホームシェア;ルールを定めた新法を提出
(ホームステイ型・空き家型など多様な類型を対象、
参入はオープンに、プラットフォームの責務をルール化 など)
・ライドシェア;政府部内での検討会を設置し、議論開始
 訪日外国人旅行消費額を増やすため、キャッシュレス決済の促
進(キャッシュレス決済の義務化を含めた検討)
33
『超観光立国』の実現に向けて特に重要な施策②
 地方の観光産業の労働力を確保するためのビザの緩和
 快適なWi-Fi環境を利用して楽しかった経験をSNS等で広げても
らうため、オープンな無料Wi-Fiを日本全国に広げるべき。
 一度日本を訪れてくれた訪日外国人旅行者をフォローアップする
仕組みの構築
 ナイトタイムエコノミー推進による消費活性化
34
<参考>超観光立国~1億人・30兆円の目標実現に向けて~【概要】
※2016年3月25日新経済連盟提言
リピーター化
 観光行政の司令塔機能の強化・予算の拡充
35
 補足説明資料⑥
スポーツビジネスの振興
36
日本のスポーツビジネス振興での基本的考え方
プロスポーツリーグ所属チームの多くが赤字経営。
リーグ全体の底上げを図る施策が必要。
世界レベルのリーグの確立
スポーツビジネスに及ぼす直接の経済効果
+
メディア認知度の向上
日本のブランディングの向上
外国人へのリーチ力の向上
37
スポーツビジネス振興のために必要な施策①
①魅力的なスポーツ施設整備に関して、固定資産税等の税
制上の特例措置の実施
②魅力的なスポーツ施設整備や活用に関して、国及び地方
公共団体による所要の補助等財政支援
③プロスポーツの外国人枠撤廃
④野球版TOTOの実施による人気の底上げとスポーツ振興
や地域振興への財源確保
(注;野球ファン層は、Jリーグファン層の3倍)
38
スポーツビジネス振興のために必要な施策②
⑤その他スポーツ振興のための環境整備
 国内スポーツエンターテインメントのグローバル展開
(インターネット海外配信推進、SNSの活用等)
 スポーツメジャーツアー等の日本招致
 プロスポーツチームによるスタジアム管理運営の推進(指定管理者制
度の積極活用等)
 スポーツ施設設置の容積率緩和等による周辺集客設備との一体整
備の推進
 公的施設・空間を収益機会として活用できるように規制等の弾力化
39
【参考】世界のプロスポーツリーグの収入①
■収益格差 野球(日米);6.8倍、サッカー(日英);9.7倍
プロスポーツリーグ名
NFL (米国/アメフト)
MLB (米国/野球)
NBA (米国/バスケット)
プレミアリーグ (英国/サッカー)
NHL (米国/アイスホッケー)
NPB (日本/野球)
Jリーグ (日本/サッカー)
収入(億円)
12,840
9,630
5,350
5,361
3,959
1,400
554
(出典)1ドル=107円で換算。各種政府資料、外国調査機関データ等。
40
【参考】世界のプロスポーツリーグの収入②
日本が横ばいなのに対し、米国は上昇しているため、
日米間の格差は開く一方
米国は上昇
約9,630億円
約5,500億円
約6.8倍
約4倍
ほとんど差はない
約1,400億円
約1,400億円
1995年
日本はほぼ横ばい
2010年
2014年
(出典)2012年5月8日 日経ビジネス記事「収益格差4倍、メジャーとプロ野球の違いはどこに」
上記記事のほか政府関係資料、外国調査機関等のデータをもとに模式的に作成
41
名目GDP600兆円目標の達成に向けて
平成28年4月19日
日本商工会議所 会頭 三村明夫
資料4
○ 次期「日本再興戦略」の根本的な課題は、潜在成長率が0%台半ばまで低下している現実を直視し、その引き上げを図ることにある。
○ わが国経済を持続的な成長軌道に乗せ、名目GDP600兆円を実現するには、人口減少による供給制約を乗り越える強力なサプライサイ
ド政策を、腰を据えて粘り強く断行することが必要不可欠。
(1)【投資】観光産業の育成・環境整備
(2)【生産性向上】IT化促進支援・行政手続きの簡素化
◯ 2020年の旅行消費額の目標値は29兆円。自動車産業に次ぐ規模への成長が見込まれ
る一大産業。地域の伝統文化は、魅力的で重要な観光資源のひとつ。
◯ 急増するインバウンド等の受入準備が急務。宿泊施設の拡充と多様化、交通インフラ
の整備(空港、港湾、高速道路等)、規制緩和(通訳案内士、旅行業法の緩和等)、
ソフトインフラの整備(海外カード対応ATMの設置等)が必要。
旅行消費額
(参考)製造品出荷額
◯ 中小企業のIT化は、IT人材の不足、イニシャルコストの大きさが課題。中堅・中小企
業へのITコーディネータ等による1万社支援やロボット導入支援は、生産性向上に極
めて効果的。1万社支援に止まらず、持続性のある仕組みの構築が必要。
◯ 煩雑な行政手続きは、国内の投資拡大・生産性向上を阻害。定量的な目標に基づく計
画的な規制緩和や行政手続きの効率化は、生産性向上を進める成長戦略として重要。
※業種別上位
2015年実績
日本のビジネス阻害要因トップ5
ITコーディネータの支援事例
㈱今野製作所(東京都足立区)
(従業員:33名、油圧機器事業、受託開発事業等)
訪日外国人
旅行消費額:3兆円
○東京商工会議所会員である㈱今野製作所は、ITコーディネー
タのアドバイスで、受注 生産の情報を連携 管理できるシ
ステムを開発。
日本人国内
旅行消費額:20兆円
合計:23兆円
(単位:円)
出典:2014年工業統計
○受注、在庫、進捗の情報を拠点間 担当
間で共有できるようになり、受注生産
に近い体制が実現。短納期への対応や
生産性の向上を実現。
出典: 東京商工会議所「ICT活用事例集vol.2」
(3)【消費拡大】社会保障改革の断行
賃金と社会保険料負担の伸び(粗い試算)
(平成21年=100%)
行政手続き
許認可等の複雑さ
2位
日本市場の特殊性
人材確保の難しさ
3位
外国語による
コミュニケーションの厳しさ
外国語による
コミュニケーション
4位
行政手続き
許認可制度の
厳しさ、複雑さ
日本市場の特殊性
5位
人材確保の厳しさ
ビジネスコストの高さ
(ビジネス面)
出典:ジェトロ対日投資報告書 2015
◯ 経営者の高齢化が進む中、次世代の経営人材を育成・輩出し、事業承継または創業と
いう形で円滑な世代交代を促していくことは急務。
◯ 経営者が若い中小企業は、IT活用・販路開拓など事業発展に向けた投資を積極的に
行う傾向があり、経営者の若返りは生産性向上に寄与することが期待できる。
◯ 創業・第二創業支援、後継者マッチング、M&A支援、税制の見直しなど事業承継対
策の強化を通じ、優れた技術、サービスを存続・発展させていくことが重要。
小規模事業者
賃金:賃金構造基本統計調査(全産業/所定外・賞与含む)
社会保険料負担:上記賃金に健康保険、厚生年金保険、介護保険の料率を掛けたもの
経営者年齢別・今後の事業運営方針
40歳未満
40~49歳
50~59歳
60~69歳
70歳以上
中規模企業
出典:三菱総合研究所
2015年調査
ビジネスコストの高さ
(4)【中小企業】事業・技術の承継
◯ 「老後に対する経済的不安」と「賃金の伸びを上回る社会保険料負担の増大」で消費
マインドが低下。
◯ 高齢者を年齢だけで区別せず、所得や資産に応じた負担割合に高め、世代間における
「負担の適正な分配」を軸に社会保障改革を果断に進めることが必要。
◯ 改革によって生まれた財源を、人口減少対策の恒久的財源に振り向けることで、一刻
も早く少子化の流れを変え、国民の将来不安を払しょくすることが必要。
消費マインド調査(三菱総合研究所調査)
2013年調査
1位
若返りによる投資拡大事例
老舗旅館を承継した若手経営者が英語版HPを
開設し、訪日外国人客が増加
(大分県 別府市)
拡大したい
現状を維持したい
40歳未満
40~49歳
50~59歳
60~69歳
70歳以上
出典:2013年中小企業白書
縮小・廃業したい
• 創業100年を超える老舗旅館を、20代の息子が承継。
商工会議所の支援を受けながら、ホームページのリ
ニューアルと英語版の開設、旅館のWi-Fi整備
などにより、販路開拓
サービスを拡充。
• 週20組前後の訪日外国
人宿泊者が来館し、平
日の稼働率が2割増。
600兆円経済実現に向けた総務省の主な取組
資料5
1. 研究開発によるイノベーションの推進
「ビッグデータ」に基づく「知能」の研究
(例:多言語音声翻訳システム)
+
「脳機能」に基づく「知能」の研究
(例:脳活動を解析して人間の思考を再現)
次世代AI
の研究開発
☞ AIの研究開発にあたっては、産学官・関係府省からなる「人工知能技術戦略会議」とも密接に連携。
☞ G7において、AIネットワーク時代の社会的課題について、「AI開発原則」に係る国際的な議論の場を提唱。
2. データ利活用による社会変革
IoTによるイノベーション
生活に身近な分野でのデータの利活用
GDP600兆
円への貢献
 「健康医療」「農林水産業」「観光」といった分野の重点化。
 データの利活用に必要となる規制改革の検討・推進。
対面・書面原則からの転換
マイナンバーカードを用いた子育て支援
 保育所の申請書などの書類を、マイナンバーカードを用いて、いつでも、どこからでも、提出可能に。
 「電子私書箱」を通じて、自治体からの予防接種などのプッシュでの案内を可能に。
一億総活躍
社会の実現
3. 教育ICTの推進・IoT人材の育成
「教育クラウド・プラットフォーム」
(いつでも、どこでも、どの端末でも、
自分にあったデジタル教材を利用可能)
+
教育に利用可能なWiFi
(教育拠点での整備を支援)
※ 普及率:約24%
+
プログラミング教育の普及
(体験型の「全国キャラバン」
に対する支援など)
※ IoT時代に求められる技術者の不足を踏まえた、新たな人材(ソフトウェア関連)の育成を支援。
我が国スポーツ産業の活性化に向けて
【スポーツ市場規模 5.5兆円(2015)⇒15兆円(2025)】
資料6
1.現状
●スポーツ産業は世界各国で成長産業として大きく伸びている。一方、我が国スポーツ産業は縮小傾向。
●2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を契機に、スポーツを通じた経済活性化への期待が高まり。
●スポーツ産業の有する成長力を生かし、我が国の基幹産業の一つへ。
2.基本的な考え方
①ポスト2020年を見据えた、スポーツで収益を上げ、その
収益をスポーツへ再投資する自律的好循環モデルの形成
・ 「負担(コストセンター)」から「収益(プロフィットセンター)」へ
●スポーツ市場規模:英国との比較
GDSP/GDP
3.0%
GDSP/GDP(日本の公営競技除く)
2.6% 3.0%
2.2%
2.4%
3.0%
2.2%
2.6%
1.7%
1.5%
1.5%
1.5%
②新たなスポーツ市場の創出
・ スポーツをコアとした周辺産業との融合
・ スポーツ人口の裾野拡大
3.スポーツ産業活性化に向けた政策
①収益の上がるスタジアム・アリーナの建設・改修
②競技団体等のコンテンツホルダーの経営力強化、新ビジネスの創出
③スポーツ経営人材の育成・確保
④他産業との融合等によるスポーツ新市場の創出
0.0%
2004 2012
英国
2002 2012
日本
0.0%
2004 2012
英国
2002 2012
日本
注)英国2012年は,2012年ロンドンオリンピックの経済効果が盛り込まれている。
注)英国の産業統計は、正確には、GDPではなくGVAが用いられている。GDPとの関係は、GVA+税−補助金=GDPとなる。
英国: Department for Culture Media and Sports (2015)、 日本: 日本政策投資銀行 (2015)
(平成28年4月13日産業競争力会議 実行実現点検会合 間野氏資料より)
●海外の多機能アリーナ
・NBA(20,000人)、NHL(18,300人)を収容する
多機能アリーナ
・米4大スポーツの3チーム以上が本拠地、各種コンサート
なども開催
●スポーツと技術の融合
・スポーツを「する」楽しみの拡張
・選手や競技の情報を活用した新たなスポーツ観戦
Staples Center(ロサンゼルス)
②
①
①Flying Eyes/Flying Head
(東京大学 暦本研究室)
②システムによる採点支援
⑤一億総スポーツ社会の実現(スポーツ参画人口の拡大)
(第4回スポーツ未来開拓会議:富士通資料より)
③SMASH (Synchronization Media
③
of Athletes and Spectator through
Haptic)
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
国土交通省生産性革命プロジェクトの推進
・人口減少下でも、労働者の減少を上回る生産性を向上させ
ることで、経済成長の実現が可能。
・本年を「生産性革命元年」とし、国土交通省を挙げて生産性
革命に取り組む。
一人あたり約40時間
■高速道路 実容量の低下箇所をデータに
より特定し、ピンポイントで是正
〇中国道 宝塚付近
⇒ 新名神の整備(H28)
(高槻JCT~神戸JCT)
約80億人・時間
約50億人・時間
約4割
データ分析による対策で解消を図る
関係機関や地元の合意を得ながら、
対策を検討・実施
○東名高速 大和トンネル付近
海老名SA
海老名JCT
通により、
新技術で生産性
を高めるプロジェクト
損失時間
混雑で余計にかかる時間
■渋滞の発生要因 : 約28%がサグ部及び上り坂
〇浜松いなさJCT~豊田東JCTの開
「未来型」投資・
基準所要時間
すいている時の走行時間
[ピンポイント対策]
[効果例]
生産性を高める
プロジェクト
一人あたり約100時間
○ 渋滞損失は移動時間の約4割
[事例]
「社会のベース」の
生産性を高める
プロジェクト
取組例1 渋滞のピンポイント対策
[ネットワーク整備]
生産性革命の3つの切り口
「産業別」の
資料7
(仮)綾瀬スマートIC
(事業中)
綾瀬BS
付加車線 約4km
大和TN 大和BS
横浜町田IC
至
名
古
屋
・現東名の渋滞が月24回⇒ゼロ
・労働生産性が約6%向上
至
東
京
上下線の大和トンネル付近において、
上り坂・サグ部等の対策を実施。
付加車線 約5km
付加車線
約0.5km
取組例2 i-Construction
これまでに選定された生産性革命プロジェクト
(1) 「社会のベース」 の生産性を高めるプロジェクト
・渋滞をなくすピンポイント対策と賢い料金
・クルーズ新時代の港湾
・コンパクト・プラス・ネットワーク
・土地・不動産の最適活用
(2) 「産業別」 の生産性を高めるプロジェクト
・建設産業 i-Construction
・住生活産業
・造船業 i-Shipping
・物流産業
・トラック輸送
・観光産業
(3) 「未来型」 投資・新技術で生産性を高めるプロジェクト
・科学的な道路交通安全対策
・成長循環型の「質の高いインフラ」海外展開
○ 土工について、測量・施工・検査等の全プロセスでICTを活用。新基準を策定し、
国が行う大規模土工は原則としてICTを全面適用することで大幅に生産性を向上。
施工
測量
検査
GNSS
ローバー
ドローン等による3次元測量
ICT建機による施工
3次元データをPCで確認
取組例3 「観光先進国」の実現に向けて
○ 拡大が予想される国際観光マーケットにおいて熾烈な競争に勝ち抜くため、受入
環境を整備しつつ、観光産業の競争力を強化して基幹産業に成長させる。
■ 観光産業の業務体制や人材育成等の
■ 休暇の改革
総合的な見直し
- 休暇の分散化を通じた観光需要の平準
- 宿泊業における生産性向上と受入体制
整備に対する支援
- 観光人材の育成強化
- 各種規制の見直し(宿泊業、旅行業、
通訳案内士、ランドオペレーター)
■ 観光地経営の改革
タブレット端末やモニターの
活用による業務効率化
- 世界水準のDMOの形成・育成
- 「観光地再生・活性化ファンド」の継続的な展開
化による観光産業の生産性向上
■ クルーズ船需要の取込み
- クルーズ船寄港の
「お断りゼロ」の実現
- 国際クルーズの拠点
形成 等
成長戦略プロジェクトに係る検討課題
参考資料1
1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:第4次産業革命(Society5.0)
<今後の対応の方向性>
 縦割りを打破し産学官を糾合した強力な司令塔機能の下での研究・産業化戦略の実行、世界のビジネスモデルの潮流を意識した全国大での
新ビジネス創出、スピード感を意識した新陳代謝の促進等を進めていく。
 第4次産業革命に対応するための取組を進め、データの収集・分析の円滑化に資するルール整備や、サイバーセキュリティの確保に資する
措置、基礎的なインフラとなる情報通信環境の整備を速やかに進めていく。
<具体的な施策>
 技術・産業化戦略に係る司令塔機能の確立:産官学等の縦割りを排除した司令塔機能として「人工知能技術戦略本部」を年度内に設置し、
人工知能関連技術の開発と我が国の強みを活かした産業化に係る戦略を策定する。
 IoT・ビッグデータ・人工知能・ロボットの産業応用化:新技術の実用化と新産業創出を促すため、自動走行、小型無人機、金融サービス
分野等の個別分野の環境整備、制度・規制改革を進める。
 データ利活用プラットフォームの創出:スマート工場、自動走行地図、産業保安、IoT 健康・医療等、日本が「強み」を活かせる分野で、
組織を超えて、現場のデータを共有・活用できる共通システムを構築する。
 シェアリングエコノミーの推進: シェアリングエコノミーの健全な発展に向け、サービス等の提供者と利用者の相互評価や民―民間のル
ールなどを活用することを基本としつつ、既存法令との適切な関係整理を行う。
 企業の新陳代謝の促進:第4次産業革命によるビジネス環境変化にスピード感を持って対応するための戦略的な事業再編等を加速する施策
について、制度的対応の必要性を含め検討する。
 中堅中小企業への第4次産業革命の波及:中小企業へのロボット導入を促進するため、2020 年までに小型汎用ロボットの導入コストを2割
以上削減するとともに、導入を支援する人材を5年で倍増させる。また、今後2年間で1万社を IT 専門家が支援し、ノウハウを伝授す
る。
1
 データ、IT 利活用の徹底:本年1月のマイナンバー制度の開始を踏まえ、マイナンバー、マイナンバーカードの利活用拡大に向けた検討を
進める。また、新薬や治療の研究に活かすため、治療や検査のデータを収集し、安全に管理・匿名化する機関を作る法制度を、来年中に整
備する。
 サイバーセキュリティ:昨年のサイバーセキュリティ戦略策定、今国会で成立した改正サイバーセキュリティ基本法による NISC の機能強
化を通じた政府機関等の対策強化と合わせて、重要インフラ防護のための取組や人材育成等を強化し、官民一体となった取組を進める。
 情報通信環境の整備:モバイル分野の競争をさらに促進する。また、増加するデータトラフィックに対応するため、2020 年までの5G(第
5世代移動通信システム)の実用化に向けて、大容量化・超高速化等の技術開発、周波数帯の確保、国際標準化を進める。
2
1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:世界最先端の健康立国へ
<今後の対応の方向性>
多様な公的保険外サービスを創出しつつ、医療・介護の質や生産性の向上、国民の生活の質の向上を図っていく。また、革新的な医薬品・医療
機器等の開発等により、グローバル市場を獲得する。カギはデータ・技術の利活用と、関係者の連携の促進。
<具体的な施策>
 公的保険外サービスの活用促進:個人の予防・健康づくりに向けた行動変容につながるサービスや、介護を支える選択肢を充実させる多様
なサービスが提供・活用されるよう、民間事業者や医療介護関係者等のステークホルダーが連携して効果的なサービスが創出されていく仕
組みを構築する。
 技術革新の現場への活用:ロボット・センサー技術や ICT・データの活用により、医療・介護現場の負担を軽減しながらサービスの質・生
産性を最大限向上させる。
 ICT 化の徹底:医療・健康等の情報がバラバラに保管されている現状から、統合的・効果的に活用できる基盤を構築する。具体的には、医
療等 ID の整備、医療等データの徹底的なデジタル化等を進めるとともに、治療や検査のデータを収集して安全に管理・匿名化する機関の
創設や、多様な情報の予防・健康づくりへの活用モデルの構築等について検討を進める。
 グローバル市場の獲得:先制医療や個別化医療、再生医療を活用した効果的な医療の実現を支える革新的な医薬品・医療機器等の開発を推
進するとともに、医療系ベンチャー支援や現場のニーズを踏まえた製品開発のための関係者のネットワーク構築等を進める。また、医療の
国際展開や、国際保健への貢献を積極的に進める。これらを通じて、グローバル市場を獲得していく。
 地域医療連携:「地域医療連携推進法人」の活用等により、地域での医療介護連携、医療機関の最適な事業運営、多様な公的保険外サービ
スとの連携を進める。
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1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:環境エネルギー政策の克服と投資拡大
<今後の対応の方向性>
省エネ・再エネ・資源など環境エネルギー分野の取組の強化により、経済成長と CO2 排出抑制を併せて実現する。
<具体的な施策>
 徹底した省エネルギーの推進:産業トップランナー制度の流通・サービス業への拡大、省エネリフォームの倍増、新築住宅・建築物の省エ
ネ化、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及、次世代自動車の普及、国民運動の展
開を促進する。
 再生可能エネルギーの導入促進:固定価格買取制度及び関連制度の一体改革、系統制約の解消、再エネ拡大に向けた規制改革を進める。
 新しいエネルギーシステムの構築、技術の実装と開発:ネガワット取引市場の創出等、需要家側のエネルギーリソースを活用した需給調整
に向けた取組を進めるとともに、発電・小売事業者に発電効率の向上や低炭素化を求める制度の具体化を図る。また、技術開発(デバイ
ス、次世代自動車、蓄電池、構造材料、水素等)を加速させる。
 資源の低廉かつ安定的な供給の確保:資源開発投資を促進するためのリスクマネーの供給体制の強化、海洋資源等の開発推進、非鉄金属を
含む二次資源の有効利用、国内外をつなぐ LNG・天然ガス取引市場の育成・発展、安全性の確認された原発の再稼働を進める。
 日本のエネルギー・循環産業の海外展開の推進:途上国に対するエネルギー政策体系の構築・具体化、エネルギー管理のためのトレーニン
グシステムの構築や高効率火力発電の導入等を支援するとともに、二国間クレジット制度の更なる展開を図る。また、アジア・太平洋諸国
に対する廃棄物の収集システムや処理施設の導入等の支援を行う。
 エネルギーシステム改革を実行:電気・ガスシステム改革を着実に実行する。
4
1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:スポーツの成長産業化
<今後の対応の方向性>
①ポスト 2020 年を見据えた、スポーツで収益を上げ、その収益をスポーツへ再投資する自律的好循環モデルの形成(負担(コストセンター)
から収益(プロフィットセンター)へ)、②新たなスポーツ市場の創出(スポーツをコアとした周辺産業との融合、スポーツ人口の裾野拡大)
等により、スポーツを我が国の基幹産業に成長させる。
<具体的な施策>
 スタジアム・アリーナ改革(コストセンターからプロフィットセンターへ):アクセス、立地、施設規模等を考慮した施設整備の在り方に
関するガイドラインを策定する。
 スポーツ分野の経営力強化:競技団体等のコンテンツホルダーの経営力強化、新事業創出等を推進する。また、スポーツ経営人材育成・確
保を推進する。
 新たなスポーツ関連市場の創出・イノベーション等:施設、用品、サービス・情報産業に留まらないスポーツ関連産業(IT、食、健康医
療、ファッション、観光、コンテンツ、アミューズメント等)への拡大・融合化を図る。
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1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:既存住宅流通・リフォーム市場の活性化
<今後の対応の方向性>
住宅が資産として評価される既存住宅流通市場を形成する。また、次世代住宅(IoT 住宅、健康住宅、セキュリティ住宅等)の普及を促進す
る。更に、既存住宅を活用して若年・子育て世帯の住居費等の負担を軽減する。
<具体的な施策>
 住宅が資産として評価される既存住宅流通市場の形成:資産価値が評価される流通・金融等の仕組みの構築、既存住宅の質を担保するイン
スペクション・瑕疵保険の普及促進、品質と商品としての魅力を兼ね備えるプレミアム既存住宅(仮称)の登録制度の創設、省エネ・長期
優良リフォーム等の促進を通じて、既存住宅流通活性化を図る。また、空き家の多いマンションの建替え等の促進に向けた合意形成ルール
の合理化、空き家や旧耐震住宅の除却・建替え等の促進等により、不良資産の解消と新規投資を促進する。
 次世代住宅の普及促進:IoT 技術など、新技術・次世代技術を活用する住宅の普及を促進する。
 既存住宅を活用した若年・子育て世帯の住居費等の負担の軽減:若年・子育て世帯が空き家等の既存の民間賃貸住宅に低廉な家賃で入居し
やすくする仕組みを創設する。若年・子育て世帯の既存住宅取得等を促進するとともに、公的賃貸住宅団地の建替え等を契機とした子育て
支援施設等の誘致、民間の住宅団地等における子育て支援施設等の整備を進める。
6
1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:サービス産業の生産性向上
<今後の対応の方向性>
サービス産業の労働生産性の伸び率が 2020 年までに2%となることを目指し、意欲ある個々の事業者による生産性向上に向けた挑戦を、国、
事業者団体、地域の中小企業団体・地域金融機関等の支援機関により後押ししていく。
<具体的な施策>
サービス産業チャレンジプログラム、政労使決定等に基づき、以下の施策等を展開する。
 成長企業の創出:日本サービス大賞によるベストプラクティス普及、中小サービス事業者等への IT 投資促進、サービスの質を見える化す
る新たな規格認証の策定・普及等を実施する。
 事業分野別の生産性向上:
①官民合同で設立されたサービス業の生産性向上協議会において、次の活動を展開する。
・モデル創出、ノウハウの標準化
小売業、飲食業、宿泊業、介護、道路貨物輸送業の5分野において、事業形態・規模等によって類型化し、その代表的な事業者におい
てモデル的にコンサルティングを実施し、優良モデル事例を創出。生産性向上に向けたノウハウを標準化する。
・横展開
モデル事例から得られたノウハウを横展開し、各分野の生産性向上に向けた取組を推進する。
②中小企業等経営強化法に基づき、サービス産業チャレンジプログラム対象の7分野等で事業者団体とも連携しながら事業分野別指針を策定
し、成功事例を全国に浸透させる。
 中小企業団体・地域金融機関等の活用:中小企業等経営強化法に基づく事業分野別指針や各種優良事例、ローカルベンチマーク等を活用し
ながら、地域の金融機関や支援機関が企業と対話を深め、担保や個人保証に頼らず、生産性向上に努める企業に対し、成長資金を供給して
いく。
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1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:農業改革・輸出促進
<今後の対応の方向性>
「日本再興戦略」で示された改革事項等を着実に実施するとともに、生産現場の周辺にある優れた知見を結集・活用し、農林水産業における生
産性の徹底した向上を進める。
<具体的な施策>
 農地中間管理機構の機能強化:実績を上げた都道府県について各般の施策に配慮する仕組みを具体化するとともに、農地保有に係る課税の
強化・軽減等の措置について利用促進を図る。
 米政策改革の着実な実施:2018 年産米を目途とする米の生産調整の見直しに向けた工程を確実に実施するととともに、これまでの政策を検
証しつつ、更なる取組や自立的な経営につながる政策について検討する。
 経営力のある農業者の育成:意欲ある農業者が、営農活動と並行して経営に必要な知識を学べる場を整備する。
 円滑な資金供給:経営体の成長局面に対応した円滑な資金供給を行うため、事業性評価融資の定着等を推進する。
 産業界との連携:農業界と産業界の連携の強化により、最先端のモデル的技術や高付加価値商品の開発、他産業のノウハウや経験を持つ人
材の農業界への移転等を推進する。
 資材価格形成・生産物流通の改革:生産者の努力では対応できない分野である生産資材価格形成の仕組みの見直し及び生産者に有利な流
通・加工構造の確立のための検討を進める。
 スマート農業の推進:トラクターの無人走行システムの実用化、農業 IT システムの高度化等の革新的技術の導入を推進する。
 A-FIVEの機能強化:農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)が農林漁業者の成長を支援するインキュベーターとしての役割を
適切に果たすことができるよう、制度・運用の改善を進める。
 輸出促進:農林水産物・食品輸出の戦略的推進について、本年秋までに新たな輸出戦略や輸出額の達成目標を取りまとめる。
 林業・水産業の成長産業化:都市の木造・木質化の推進と、原木の安定供給体制の整備に取り組む。また、水産業の収益性を向上させるた
め、漁業地域自らによる構造改革の取組や、資源管理の高度化等を推進する。
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1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:観光立国
<今後の対応の方向性>
「観光先進国」の実現に向け、政府一丸、官民挙げて、総合的・戦略的に取組を実施する。
<具体的な施策>
「明日の日本を支える観光ビジョン」等に基づき、以下の取組を実施する。
 すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に:最先端技術を活用した出入国審査等の促進、通信環境の向上、キャッシ
ュレス環境の改善、クルーズ船受入の更なる拡充、外国人患者受入体制の充実、休暇改革等を実施する。
 観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に:地域観光経営の推進(世界水準の DMO の形成・支援)、「観光地再生・活性化
ファンド」の継続的な展開、観光関係の規制の見直し、観光経営人材の育成強化等を実施する。
 観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に:広域観光周遊ルートの世界水準への改善、国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド
化、文化財の観光資源としての活用促進等を実施する。
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1.600 兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10(仮称)
」:
2020 年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた見える化プロジェクト
<今後の対応の方向性>
 「PPP/PFI の抜本改革に向けたアクションプランに係る集中強化期間の取組方針について」を改定し、文教施設や公営住宅を含めた数値目
標を設定するとともに、達成に向けた取組を強化する。また、この目標を前提に、PPP/PFI の重要な柱である公共施設等運営権方式等の更
なる活用拡大に向けた取り組みを進める。さらに、「PPP/PFI の抜本改革に向けたアクションプラン」を平成 28 年 5 月頃に改定するととも
に、進捗状況は毎年フォローアップを行い、その結果に応じて見直しを行う。
 「改革2020」のプロジェクトごとに、中長期的な視点から、解決に貢献すべき世界の社会的課題や 2020 年以降を視野にレガシー(遺
産)として残すべき点等について明確化する。同時に、2020 年のショーケース化の成功に焦点を当てた視点からも、現在からの積上げと
2020 年からの逆算の双方から進捗管理のためのマイルストーンを検討・明確化しつつ、加速化すべき規制改革事項の明確化や 2020 年のシ
ョーケース化の際に重視すべき点の検討を行う。こうした時間軸を異にする双方の視点からの検討を通じ、各プロジェクトの磨上げ等を行
う。
<具体的な施策>
 PPP/PFI 等による公的サービス・資産の民間開放:国内外訪問客増加等による需要拡大に対応した公共施設と不動産の複合開発・運営が必
要な空港、港湾、文教施設、MICE 施設等の分野について、公共施設等運営権方式の先行案件の速やかな横展開、規制緩和、重点分野の拡大
に取り組む。また、人口減少による需要減少に対応したアセットマネジメントの高度化や新規事業開発が必要な有料道路、水道、下水道、
公営住宅等の分野については、ディスインセンティブを解消し、公共施設等運営権方式の先行案件を生み出す仕組みの整備などを行う。さ
らに、PPP/PFI 地域プラットフォームの取り組みを推進するなど分野別施策に加えて、分野を横断する、共通する課題に対する解決施策を
実施する。
 「改革2020」プロジェクトの推進:各プロジェクトの磨上げ等を行いつつ、まずは 2020 年までの工程管理を確実なものとするため
に、各プロジェクトのショーケース化を行う場所の特定、事業主体の確定を原則本年度中に行うことに加え、各プロジェクトの進捗管理を
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行うためのマイルストーンを可能な限り明確にするなど、工程表の精緻化の徹底を図る。加えて、各プロジェクトの進捗管理体制や広報戦
略の充実、新規プロジェクトの発掘に向けた体制の在り方等を検討する。
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2.生産性革命を実現する規制・制度改革:世界最先端のビジネス環境を目指した新たな規制改革メカニズムの導入
<今後の対応の方向性>
第4次産業革命化における急激なイノベーションやビジネスモデル変革の可能性を踏まえつつ、迅速かつ的確に規制・制度、行政手続きの見直
しを行い、世界最先端のビジネス環境を確立と生産性の向上を実現する。
<具体的な施策>
①産業革新の将来像から逆算して具体的改革を設計するロードマップ方式、②事業者目線で、規制改革・行政手続の簡素化・IT 化を一体的に
進める行政手続きコスト削減方式を導入する。
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2.生産性革命を実現する規制・制度改革:未来投資に向けた制度改革
<今後の対応の方向性>
 グローバル市場における日本企業の「稼ぐ力」を更に高めるため、企業における適切なガバナンス機能の強化や投資主体による長期的な価
値創造を意識した企業との建設的な対話等の促進等を更に進める。
 民間の積極果敢な投資を後押しするため、国家戦略特区等による規制改革を進める。
<具体的な施策>
 コーポレートガバナンスの強化:「スチュワードシップ・コード」及び「コーポレートガバナンス・コード」が車の両輪となって、投資家
側と会社側双方から企業の収益性・生産性向上が促されるよう、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフ
ォローアップ会議」においてその普及・定着状況をフォローアップするとともに、必要な施策を検討する。
 ガバナンス改革を促す環境整備:長期的な経営戦略に基づき人的資本、知的資本、製造資本等への投資の最適化を促すガバナンスの仕組み
や経営者の投資判断と投資家の評価の在り方、情報開示のあり方について検討を進める。
 国家戦略特区:取り組むべき規制改革事項などの課題を精査しつつ、集中取組期間の終了後も、改革のスピードを緩めることなく、大胆な
規制改革メニューの追加に向け、具体的な検討を行う。
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3.イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる人材の創出:イノベーション・ベンチャー創出力の強化
<今後の対応の方向性>
大学改革、研究開発法人の機能強化等を推進し、世界で最もイノベーティブな国を目指す。地方も含めベンチャー企業の発掘を強化するととも
に、政府の関係機関が一体的に支援し、世界市場へつなげていく一気通貫の体制を構築する。併せて、世界レベルの産学連携の実現等を推進す
る。
<具体的な施策>
 世界で最もイノベーティブな国の実現:大学改革、研究開発法人改革、競争的研究費改革を着実に実行する。国立大学法人の経営力強化に
より大学間競争を活性化する。世界トップレベルを目指す指定国立大学法人制度や特定国立研究開発法人制度を創設するとともに、我が国
の強い分野の最先端の教育等を可能にする「卓越大学院(仮称)」を形成する。研究開発法人等の公的研究機関の橋渡し機能を強化すると
ともに、技術・人材を糾合する共創の場を形成・強化する。政府による国内外の科学・産業技術動向の調査・分析、イノベーション創出加
速化に向けた研究開発基盤の高度化を図る。特定国立研究開発法人や指定国立法人大学等を結節点とした、産学官が連携した非競争領域を
中心とするオープンイノベーションを推進する。世界から優秀な人材が集う世界トップレベル研究拠点を構築するとともに、潜在的に高い
研究力を有する地域の大学を中心とした 20 程度の拠点で世界に通用する研究分野を育成する。優れた若手研究者に安定かつ自立した研究
環境を実現する卓越研究員制度を着実に推進し、科研費改革等により優秀な若手研究者の研究支援を拡充する。オープン&クローズ戦略に
基づく重層的な知的財産・標準化戦略を強化し、データ利活用等を念頭に新たな知財システムを構築する。
 地域と世界を直結する一気通貫の体制整備「地域と世界の架け橋プラットフォーム」:地方への案件発掘キャラバンの実施等により「待
ち」ではない「攻め」の案件発掘を展開する。政府機関が合同でベンチャー支援コンソーシアムを設置するとともに、各省・各独法がこれ
までネットワーク化してきたベンチャー支援人材(VC、アクセラレータ、弁護士、会計士など)の中から政府全体のベンチャー支援に係る
アドバイザリーボードを設置し、ベンチャー企業の世界市場への挑戦支援や国のベンチャー支援策に関するアドバイスを実施する。シリコ
ンバレーとの架け橋事業の質を高め、アジア、イスラエル、欧州等へ拡充する。2020 年にグローバル・ベンチャーサミットを開催する。
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 世界レベルの産学連携の実現:2025 年までの産学界から大学、研究開発法人等への投資3倍増を目指し、「組織」対「組織」の産学連携を
推進する。世界から優秀な人材が集い、本格的な産学官連携・グローバル連携を実践し内外の企業等からの投資を呼び込む中核的なモデル
機関を来年度末までに少なくとも5機関創出する。人工知能関連の研究開発・産業化戦略の司令塔として「人工知能技術戦略会議」を本年
度中に設置し、研究開発・産業化に関し産学官で取り組むべきロードマップを策定・実行していく。
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3.イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる人材の創出:多面的アプローチによる人材の育成・確保
<今後の対応の方向性>
 IT や外部人材を積極的に活用しながら、個々の理解度に応じた教育(アダプティブ・ラーニング)や、課題解決能力の育成に向け主体的・
協働的に取組む教育(アクティブ・ラーニング)、プログラミングなどの IT リテラシー(情報活用能力)を育成する教育を初等中等教育段
階から実施する。
 世界トップレベルのデータサイエンティストなどの情報人材を育成するとともに、高等教育において、IoT・ビッグデータ・人工知能など
の情報技術を高度に活用して社会的課題を解決する人材や、数理的思考に基づきデータを活用する人材を育成する。
 第4次産業革命が進行する中、中長期的な産業構造等の変革を踏まえ、成長産業で活躍できる人材を戦略的に育成するとともに、人材需要
に対応した職業実践の知識やスキルを提供できる体制を整備する。
 優秀な外国人材を我が国に呼び込むため、魅力的な受入れの仕組みや環境を整備することにより、政府として「開かれた日本」のメッセー
ジを発信する。
<具体的な施策>
 第4次産業革命に対応した初等中等教育改革:新たな資質・能力について次期学習指導要領等を見直す。また、IT 教材・コンテンツ等の開
発普及など、IT 教育推進のための教育コンソーシアムの構築を検討するとともに、教員養成・研修と学校の IT 環境整備を徹底する。
 世界トップレベルの情報人材育成と高等教育改革:データ利活用を先導できる高度なレベルのデータサイエンティストなどを育成する学
部・大学院を整備・強化する。また、大学内に数理・情報教育研究センター(仮称)の整備や、理工系の基礎となる数学教育の標準カリキ
ュラムの開発、数理・情報教育を行う産学連携ネットワークの構築など、高等教育における数理・情報分野に関する専門人材の育成機能を
強化する。
 「第四次産業革命 人材育成閣僚会議(仮称)」の設置:「第四次産業革命 人材育成閣僚会議(仮称)」を設置し、産業界で求められる人材
層や人材スペックを関係省庁や関係業界が連携しながら適切に把握するとともに、必要に応じて政策に反映する。
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 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化:「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」を制度化し、開学に向けた準備等
を進める。
 高度外国人材の受入加速化:高度人材ポイント制の見直し等により、永住権取得要件を緩和し、世界最速級の「日本版高度外国人材グリー
ンカード」を創設する。各大学が日本語教育、インターンシップ、キャリア教育などを含めた特別プログラムを策定することを支援し、在
留資格申請上の優遇措置を講じる。ODA 等による高度人材育成事業で輩出された外国人材に対し、必要な在留資格申請上の優遇措置や、就
職マッチング等の施策を講じる。我が国企業の強みを活かしたグローバル展開を促進するため、「製造業外国従業員受入事業」について、
製造業以外の我が国成長に資する分野への拡大を検討する。外国人雇用状況届出制度の改善を図るとともに、オンライン化による在留資格
手続の円滑化・迅速化を推進する。
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3.イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる人材の創出:成長制約打破のための雇用環境整備、多様な働き手の参画
<今後の対応の方向性>
多様な働き手の労働市場への参画を促すとともに、企業の稼ぐ力の向上を図るため、長時間労働の是正の取組を強化する。あわせて、待機児童
解消、高齢者の活躍推進等、成長制約打破のための雇用環境の整備を図る。
<具体的な施策>
 長時間労働是正の取組:労働基準法の執行を強化するとともに、時間外労働規制の在り方について再検討する。労働時間等設定改善法に基
づくガイドラインに勤務間インターバル措置等を盛り込むことや、各種職場情報の見える化を推進することにより、企業の自主的な取組を
促進する。長時間労働是正に向けて、フレックスタイム制に対応した出退勤管理の徹底・電子化、ペーパーレス化の推進やテレワークの促
進等、国家公務員での取組を強化する。長時間労働是正に向けた社会的気運を醸成するため、ワーク・ライフ・バランス運動を全国的に展
開・強化する。
 女性の活躍推進:企業主導型保育事業の積極的展開、ICT の活用による保育士の業務負担の軽減、保育士の更なる処遇改善やキャリアパス
の構築等により、待機児童解消・保育人材確保を推進する。女性が働きやすい制度等への見直しを進める。また、企業価値創造の観点から
ダイバーシティ経営の在り方についての検討を進める。
 高齢者の活躍推進:働く意欲のある高年齢者が年齢に関わりなくその能力や経験を活かして生涯現役で活躍できる社会の実現を目指し、定
年延長や雇用継続を行う企業等への支援を充実するとともに、地域で多様な雇用・就業機会を掘り起こす仕組みの全国展開を図る。
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4.海外の成長市場の取り込み
<今後の対応の方向性>
TPP の速やかな発効に向けて取り組むとともに、経済連携交渉、投資協定の締結・改正を推進し、グローバルな経済活動の基盤を整備する。そ
の上で、我が国企業がグローバル・バリューチェーンに参画し、新興国を中心とする巨大市場を積極的に取り込んでいくため、中堅・中小企業
の海外展開支援、インフラシステム輸出の拡大、クールジャパンの推進を一層強化する。また、国内の投資環境整備を進めることにより、「開
かれた日本」というメッセージを発信し、外国企業の関心を惹きつけるとともに、自治体を中心とした投資誘致の取組をしっかりと後押しして
いく。
<具体的な施策>
 中堅・中小企業の海外展開支援:「新輸出大国コンソーシアム」を通じて、専門家によるハンズオン支援を含め、各種支援機関が連携した
総合的な支援を行う。
 インフラシステム輸出の拡大:戦略的人材育成事業の実施、「質の高いインフラ投資」の国際的スタンダード化、円借款及び海外投融資の
一層の迅速化、国際開発金融機関との連携強化等の取組を進める。
 対内直接投資誘致の強化:自治体が戦略的な外資誘致活動を実施するための支援策を充実させる。また、中堅・中小企業と外国企業との出
資・業務提携を促進する。更に、外国企業を呼び込む上で障害となる事業環境、生活環境の抜本的な改善を図る。
 経済連携協定、投資協定の締結の推進:日 EU・EPA、RCEP、日中韓 FTA などの経済連携交渉を、戦略的かつスピード感を持って推進する。
また、投資協定について、新規協定の締結及び既存協定の改正に向けた交渉を進める。
 クールジャパンの推進:「クールジャパン官民連携プラットフォーム」のもと、コンテンツを中心とした連携案件創出のための事業者間の
マッチングの仕組みを立ち上げる。また、日本産酒類について、輸出拡大に向けた課題を整理し、政府一体となった取組を推進する。
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参考資料2
第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ
~未来社会を創造するAI/IoT/ビッグデータ等を牽引する人材育成総合プログラム~
関連資料
平成28年4月19日
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」
~①初等中等教育段階における取組~
「次世代の学校」(2020年から新しい教育課程が順次実施)
次代に求められる情報活用能力の育成
次代を拓くために必要な情報を活用して新たな価値を創造し
ていくために必要な力や課題の発見・解決にICTを活用できる
力を発達の段階に応じて育成。
○全ての教科の課題発見・解決等のプロセスにおいて、各教
科の特性に応じ、ICTを効果的に活用。
○プログラミング教育については、小学校における体験的に学
習する機会の確保、中学校におけるコンテンツに関するプロ
グラミング学習、高等学校における情報科の共通必履修
科目化といった、発達の段階に則した必修化。
ALや個の学習ニーズに対応した「次世代の学校」創生
○語彙や読解力などの基礎的な知識・技能や創造的な課題解決力
を総合的に育むため、対話的・主体的で深い学び(アクティブ・ラー
ニング)の視点から指導を改善。
○小学校低学年から生じている語彙や読解力の違いから生じる学力
差を解消するとともに、発展的な学習を充実するなど、個に応じた
指導を徹底。
○科学や芸術・文化などのより多様な分野で子供たちが学んだり、体
験したりする場を確保。
○教師の授業力の向上とICTのベストミックスにより、学校や学級の中
での多様性のメリットを生かして、個々の子供の理解度に応じた丁
寧な教育や課題解決力の育成を実現。
○チーム学校や地域学校協働本部などを活用して、子供たちに教育
課程外の多様な学びや体験の場を確保。
これからの時代に求められる資質・能力の育成と価値ある学習成果の実現に向け、
民間のノウハウ・人材と教育現場の知恵をかけ合わせたコンテンツ本位の学校情報化が不可欠
「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、官民が連携
•
•
文科省、経産省、総務省が連携※して、本年度中に学校関係者やICT関係の企業・ベンチャーなどで構成される官民
コンソーシアムを設立し、優れた教育コンテンツの開発・共有や学校への支援員の派遣などの取組を開始。
最先端の教育を支える学校のICT化も加速。「教育の情報化加速化プラン」を策定し、コンテンツ本位の学校情報化
の環境整備や、各学校現場の整備状況に則した効果的なICT活用に向けた産学官連携の支援等を推進。
1
※特に、経産省はICT企業と連携したコンテンツ開発促進と支援員確保、総務省はクラウド活用、WiFi整備、全国キャラバン等の観点から支援。
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」
~➁高等教育段階における取組~
全学的な数理・情報教育の強化
~非数理・情報学部を含め、数理・情報の学修を強化~
・ 全学教育研究組織(数理・情報教育研究センター(仮称))の整備
※教育体制の抜本的強化、他分野と数理・情報を融合した教育研究の実施等
(例:大阪大学が数理・データ科学教育研究センターを2015年10月に設立)
・ 理工系の基礎となる数学教育の標準カリキュラムを整備
数理・情報の専門人材の育成強化
・ 数理、情報関係学部・大学院の整備・拡充の促進
※数理、情報関係学部・大学院の新設、定員増等
(H29年度新設を構想中 滋賀大学(データサイエンス学部)、名古屋大学(情報学部))
・ 数理・情報分野の専門教育への重点支援
✓実践教育を行う産学連携ネットワークの構築(enPiT※拡充、数理を産業に活かす実践教育の推進)
✓数理・情報教育プログラムの開発(大学における医療・農業・経営・公共政策等他分野と情報・数
理を掛け合わせるプログラム開発、高等専門学校における情報教育パイロットプログラム開発)
✓コアカリキュラムの策定(大学の情報教育コアカリキュラムの策定、高等専門学校のコアカリキュラムの
導入促進)
など
2
※Education Network for Practical Information Technologies(情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク(形成事業))
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアチブ」
~③未来社会を創造するAI/IoT/ビッグデータ等を牽引するハイレベル人材育成の取組~
理化学研究所AIPセンター※における
研究開発・トップレベル人材育成
卓越研究員制度の活用
・ 組織においてデータ利活用を先導できる高度なレベル
のデータサイエンティストを育成
・ 高度なセキュリティ知識と管理能力を持つサイバーセ
キュリティ人材育成
・ JSTの戦略的創造研究推進事業等と連携して若手
研究者による研究を推進し、人材育成を加速
・ 優秀な若手研究者が安定かつ自立して活躍で
きる環境を推進
・ 産学官の研究機関をフィールドとして活躍でき
る若手研究者の新たなキャリアパスを開拓
データサイエンティスト・キャリア開発支援
ビッグデータ利活用プラットフォームに関する
国際研究拠点における若手人材育成
・ 我が国が強みを生かせる分野においてビッグデータを
戦略的に利活用するプラットフォームを構築するた
めの国際研究拠点を整備
※ 対象分野例:ナノテク・材料、健康・医療、防災・減災など
・ 研究拠点において、優秀な博士課程学生やポスドク
等に活躍の場を与え、データ利活用分野での専門
人材の育成を加速
※AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイ
バーセキュリティ統合プロジェクト
・ 博士課程学生やポスドク等の若手人材に対して、
各々の専門性を有しながら、企業が求めるデー
タサイエンス等の高度なスキルセット※を獲得する
機会を提供
※ ITスキル、ビジネススキル、統計解析スキルの3領域を含む
・ 産業界とも連携し、問題解決型演習(PBL)を活
用した短期研修等により、データサイエンティスト
としての能力をも身につけて活躍するためのキャリ
ア開発を支援
(米国のInsight Data Science Fellows Programを参考)
高等教育段階
における取組
 全学的な数理・情報教育の強化
 数理・情報の専門人材の育成強化
3
参 考 資 料
4
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」
~現状と課題①~
数理・情報が第4次産業革命の鍵
※週刊ダイヤモンド2016/1/23抜粋(米Careercast.comより作成)
年収(中位所得)
サービス業
アニメ、CG
製造業
数理統計、機械
学習、力学系、
制御理論トポロ
ジーなど
産業の高度化
経営力強化
建設業
数理統計、最
適化、確率論、
計算機シミュ
レーションなど
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
保険数理士
聴覚訓練士
数学者
統計家
生物医学エンジニア
データサイエンティスト
歯科衛生士
ソフトウェアエンジニア
作業療法士
コンピュータシステムアナリスト
9万4209ドル
7万1133ドル
10万2182ドル
7万9191ドル
7万1133ドル
12万4149ドル
7万1002ドル
9万3113ドル
7万7114ドル
8万1150ドル
Best Jobs of 2014
数理・情報
金融、保険業
米国では、好待遇の上位職種を数理・情報人
材が独占。
2015年の米国内高待遇職種ランキング
【産業×数理・情報】
最適化、計算機シミュレー
ション、ビッグデータ、情報セ
キュリティなど
参考
1位 Mathematician (数学者)
プログラミング
人工知能
数理統計、ベイズ推定、
確率論など
次世代の産業技術イノベーション
2位 Tenured University Professor
3位 Statistician (統計家)
4位 Actuary (保険数理士)
5位 Audiologist
6位 Dental Hygienist
7位
8位
9位
10位
Software Engineer(ソフトウェアエンジニア)
Computer Systems Analyst (コンビュータシステムアナリスト)
Occupational Therapist ※米・求人情報サイトのキャリアキャスト・
ドットコム発表
Speech Pathologist
5
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」
~現状と課題②~
○ 数理科学を専攻する学生が米国に比
べて不足。
参考
○ 数学専攻の学生の進路はアカデミアや教員に
限定(民間の研究者という道がない)。
数学専攻博士後期課程修了生の就業状況
(2014年)
民間企業での
研究職 4%
理学系博士課程
修了者平均の民
間就職割合 34%
米国の博士後期
課程修了者の非ア
カデミック※への就
職状況 23%
※民間企業での研究職、連
邦政府職員等
出典:文部科学省調査研究報告書
出典:文部科学省調査研究報告書
○ 米国に比べ、応用数学や統計を専門
分野とする数学者が少ない。
○ 非情報系専攻の卒業生がIT技術者の多
数を占めている。
数学・数理科学関係学会の会員数(日米比較)
米国
数学関係学会
(※1)
日本
30,000
4,923
応用数学関係
学会(※2)
1,613
統計関係学会
(※3)
1,459
13,000
出典:第5回理工系人材育成に関する産学官円卓会議
大阪大学 西尾総長 発表資料より抜粋
18,000
(※1)米国数学会(AMS)、日本数学会 (※3)米国統計学会(ASA)、日本統計学会
(※2)米国産業・応用数学会(SIAM)、日本応用数理学会
(注)各学会のWebデータによる
出典:文部科学省調査研究報告書
6
「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアティブ」
~教育の情報化加速化プラン(骨子)~
参考
●「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」中間とりまとめ(4月8日公表)を受けて、授業・学習面、校務面、学
校・地域連携など学校活動のあらゆる側面へICTの積極活用を図るための政策課題と対応方針を「教育の情報化加速化
プラン(骨子)」として整理。
●懇談会最終取りまとめ(7月下旬予定)を踏まえ、具体的な政策パッケージとしてプランを策定し、2020年度までに教育の情
報化を強力に推進。
2020年代に向けた教育の情報化の目的
これからの社会に求められる
資質・能力の育成
※学習指導要領改訂
(2020年度より段階的に実施予定)
様々な情報を主体的に活用し、問題を解決したり、新たな価値を創造したりする能力
アクティブラーニングの視点に立った授業改善
個の学習ニーズに応じた指導
情報活用能力の各学校段階を通じた育成
情報の科学的な理解(プログラミング等)
エビデンスに基づく学級・学校経営の推進
教員が子供と向き合う時間の確保
ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生
◆教員が力を最大限発揮し、あるべき教育現場の姿を踏まえ、教育の情報化を推進
◆産学官連携・関係省庁連携のもと教育委員会・学校に対し支援、地域社会一体となった取組を推進
教育の情報化加速化に向けた主な施策
【アクティブラーニング・情報活用能力の育成】
効果的なICT活用の在り方
の明確化とそれに基づく
機器等の計画策定
【教育ICT活用推進基盤の整備】
ICT活用教育の
ビジョン・効果の提示
教材開発等官民連携
コンソーシアム構築
システム・ネットワーク
調達改革・標準化
【エビデンスに基づく学級・学校経営・子供と向き合う時間の確保】
スマートスクール構想実証
※一人一台PC環境と堅牢な校務支援システムの連
携による、学級・学校経営改善支援に向けたモデル
データ管理・情報セキュリティに
対する考え方確立
統合型校務支援システム
普及推進
教育委員会・学校の
体制整備(首長部局連携等)
産学官連携支援体制の構築 7