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アジア
2016年4月14日
シンガポール、予想外の金融緩和
シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行)は2016年4月14日、為替管理政策(金融政策)の定期見直しの結果、シンガ
ポールドル(Sドル)政策バンド(変動幅)の上昇率をゼロ%に設定し、金融緩和に踏み切りました。
シンガポール通貨庁:予想外に金融緩和、
政策バンド(変動幅)の上昇率をゼロ%に
シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行)は2016年4月14日、
為替管理政策(金融政策)の定期見直しで金融政策に用い
る為替レートのSドルの名目実効為替レート(S$NEER)の(S
ドル)政策バンド(変動幅)の上昇率をゼロ%に設定し、金融
緩和に踏み切りました(図表1参照)。市場では大半(約3分
の2)が据え置きを予想していましたが、一部では金融緩和
が予想されていました。なお、同日に発表された同国の1-3
月期GDP(国内総生産)は前期比年率で0%とゼロ成長となり
ました。
通貨指数
1999年1月=100で指数化
S$NEER
122
119
116
113
12年1月
※傾き拡大
幅を縮小 ※S$NEERの自国通貨高
への誘導ペースを緩和=
微調整な金融緩和
13年1月
14年1月
15年1月
※S$NEER:シンガポールドルの名目実効為替レート
出所:MASのデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
緩和
ピクテ投信投資顧問株式会社
(週次、期間:2012年1月6日週~2016年3月26日週)
125
引締
今日のヘッドライン2016年4月1日号でシンガポールの金融
緩和の可能性を指摘しましたが、MASが4月14日からの金
融緩和を決定したので、内容のアップデートをお伝えします。
まず、金融政策の決定内容を確認すると、MASは声明文で
S$NEERの上昇率(傾き)をゼロ%に設定すると述べていま
す。2015年1月(臨時会合)と10月(定時会合)で、MASは
S$NEERの上昇ペースを緩やかにすると表現し、微調整を
行いましたが、「傾き」をゼロにすることの表明は通常、金融
緩和と解釈されます。
シンガポールの金融政策はS$NEERの傾き、変動幅、中心
値の設定の3種類で金融緩和を表現します。ただし、通常
の金融政策の変更に相当するのは傾きの変更である場合
が多いようです。 許容する(S$NEERの)変動幅の変更は最
近では2012年4月に縮小が行われています。欧州債務危機
など市場の変動が懸念される局面で用いられる傾向が見ら
れます。なお、MASは傾きや変動の数値を公表していない
ため、当局の意図がわかりにくい面は見られます。
声明文には為替(S$NEER)に加え短期金利(SIBOR3ヵ月)
の動向も記載されています(図表2参照)。短期金利は前回
の会合(2015年10月)から2016年1月末頃までは上昇してい
図表1:シンガポールの名目実行為替レートの推移
高 通貨 安
どこに注目すべきか:
名目為替実効レート、MAS、SIBOR、雇用
ましたが、足元急低下しており、インターバンクでは金融緩和
を見込んだとも見られる動きとなっています。
最後に、MASが金融緩和に踏み切った理由を模索すると、声
明文ではコアインフレ率上昇ペースの見通しの後退、(前回に
比べ)穏やかな成長率予想となったことを指摘していますが、
背景には、貿易を産業の中心とするシンガポールだけに軟調
な海外経済が要因としてあげられます。一方、国内の雇用な
どに海外要因の影響が及びつつあることも懸念した模様です。
なお、MASがS$NEERレートの傾きをゼロとするのは2008年10
月以来です。MASは前倒しで緩和を実施する傾向もあるため、
当面は据え置きも想定されますが、シンガポールの金融政策
は他のアジア諸国に影響する可能性もあり注視が必要です。
16年1月
図表2:シンガポール短期金利の推移
(日次、期間:2015年4月13日~2016年4月13日、SIBOR3ヵ月固定)
1.3
%
1.2
1.1
1.0
0.9
0.8
15年4月
シンガポールSIBOR3ヵ月固定
15年7月
15年10月
16年1月
16年4月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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