おすすめの 1 冊 「できそこない博物館」 著:星 新一 星 新一という作家を聞いて代 表作の思いつかない人も「おみや げ」や「おーいででこい」などの 作品を国語の授業の時に読んだ経 験はあるのではないでしょうか。 彼は筒井康隆氏、小松左京氏と 並び、 「日本三大 SF 作家」と評さ れた作家です。 彼の作品の最大の特徴は「ショ ートショート」と呼ばれる超短編のスタイルで、生涯で 1000 本以上の作品を世 に送り出しました。奇抜な発想と斬新なオチの軽快さだけでなく、それらを短 い文章の中で過不足なく簡潔に伝えられる文章力が魅力で私の好きな作家の一 人です。 私が今回紹介する本はそんな星 新一さんの「できそこない博物館」です。 この本は小説ではなく、彼の執筆活動における様々なライナーノーツを公開 し、その内容を元にどのような思考を経て作品を産み出すのか、自問自答する というエッセイです。この中で彼は作品を産み出すための姿勢、考え方、意識、 行動、そうしたありとあらゆるエッセンスをこの本で惜しげも無く開示し、見 せています。 彼は作家だからそういう視点や意識は持っていて当たり前、そう思うのは早 計です。普通の人が見過ごしてしまうようなことであっても視点変えたり発想 を逆転させたりすることで有効に利用することが可能だということはどんな立 場、どんな仕事であっても持つべき思考、姿勢ではないでしょうか。 星 新一に興味のなかった人は彼の作品が読みたくなる、星 新一が好きな 人は彼のことがもっと好きになる、そしてその上で自分へのプラスにもなる良 い本であると自信をもって紹介することができる一冊です。
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