平成27年度医療技術等国際展開推進事業 日本の感染症対策・制度

平成27年度医療技術等国際展開推進事業
日本の感染症対策・制度(対策コース)
および結核菌検査技術(ラボコース)研修
結核予防会
国際部 結核予防会は国立研究開発法人国立国際医療研究セ
ンターが主体となって実施する厚生労働省より委託さ
菅本 鉄広
セイ法)の実習を組み込み,最新の診断技術に触れる
ことができるように工夫しました。
れた平成27年度医療技術等国際展開推進事業を受託
研修の最終日には,研修で学んだ知見を自国の感染
し,9月7日から9月14日まで感染症対策および結核
症対策にどう活用できるか,また,活用する上での課
菌検査に関する二つの国際研修を開催しましたので,
題は何かについて,各国から発表がありました。その
ご報告します。
後の評価会では,
「日本の感染症対策が法に基づき実
日本は国民皆保険の下,世界最高レベルの健康寿命
施され,日本人がその法律をよく遵守し対策が実行さ
と保健医療水準を達成してきました。この経験から,
れていることがわかった」
,
「新しい結核診断技術を学
今後はユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向
んだ。帰国したら所属機関の上司へその優位性等につ
けて,医療分野における国際貢献を果たしていくこと
いて報告したい」
という声が聞かれました。さらには,
が重要な課題となっています。現在,
日本の医療技術・
「日本の文化や習慣などを体験できて良かった」
,
「他
制度の国際展開のため,日本国政府と各国の保健省と
国の研修生と交流が持てたことは貴重な経験となっ
の間で協力関係が進められています。
た」などの声が挙がり,本研修が研修生にとって有意
そこで当会は長年海外で培ってきた結核対策の知
義であったことが伺われました。
見を活かして,1)日本の感染症対策・制度(対策コー
ス)
,2)結核診断検査技術(ラボコース)の二つの研
修を計画しました。カンボジア,フィリピン,ミャン
マー,インドネシア,ベトナムから計15名の研修生を
招聘し,
両コースを同時開催しました。対策コースは,
日本の感染症対策や法整備に関する講義をはじめ,大
阪のあいりん地区での結核対策の視察研修を含む内容
としました。一方,ラボコースは,結核菌検査の講義
だけでなく日本発の迅速診断検査(栄研化学株式会社
のLAMP法,ニプロ株式会社のラインプローブアッ
研修講師と研修生の方々,後列左より4人目 筆者
第 67 回保健文化賞を福地先生が受賞!
第一生命が主催する「保健文化賞」は,1950年に創設され,保健医療分野,保健福祉分
野,
少子化対策等の分野において顕著な実績を残された団体および個人が表彰されます。
本年も第67回「保健文化賞」の受賞者が発表され,順天堂大学医学部 福地義之助名誉
教授が個人部門で選ばれました。受賞者には厚生労働大臣から表彰状を,第一生命保険
会社からは感謝状と賞金が贈られ,天皇皇后両陛下への拝謁を賜りました。
【受賞対象となった業績】
老年呼吸器疾患の予防と治療の研究を進め,特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断レベルの向上と治療に
関する国民への啓発など,呼吸器疾患に関する認知度向上ならびに呼吸器疾患を専門とする学術活動の国内
外における発展に貢献。
(文責:編集部)
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11 / 2015 複十字 No.365