生野菜の需要増加に対応する「野菜工場」が注目! シンガポール駐在員事務所 佐藤 パ ナ ソ ニック グ ル ープの シ ン ガポー ル 現 地法 人 (Panasonic Factory Solutions Asia Pacific)の工 憲彦 Panasonic Factory Solutions Asia Pacific 工場外観 ∼この建物のなかで野菜が育てられています∼ 場がシンガポール西部の工業地帯にあります。スマー トフォンなど電子機器の製造工程で必要となる電子部 品実装機械の製造を行っていますが、この工場敷地内 に「屋内型野菜工場」が稼動しており、注目を集めて います。 屋内型野菜工場では、光源(LED 照明)、CO2 濃度、 培養液、室温などの育成環境の制御が不可欠ですが、 同社の照明、空調制御技術を活かして、従来、経験と 勘頼りであった農業への 工業的アプローチ と言える取り組みを実施しています。 国土が狭くまたその大部分が都市化されているシンガポールでは、大規模な農業が難しく、野菜の自 給率は 10%程度で、大部分はマレーシア、オーストラリアから輸入されています。野菜の輸入額はこの 10 年でほぼ倍増し、 「質の高い安心・安全な野菜」の安定供給が求められています。 野菜の工場生産を行うメリット ① 年間を通じた安定供給(天候に左右されない) ② 品質・安全を確保(農薬を使わない、栄養価は露地栽培の約 2 倍) ③ 生産性の高さ(面積生産性は高く、栽培期間は露地栽培の約半分) 同社は、2013 年に研究開発を開始し、2014 年に LED 照明と土 壌栽培を採用した完全屋内型野菜工場を稼動させました。当初は 日中 LED 照明を照射、夜は消灯 ∼自然環境に比べ光合成が促進されます∼ 年間 3.6t の生産能力でしたが、 2015 年には 81t に増強しており、 グリーンレタス、水菜、大葉など 10 種類の野菜を、シンガポー ルのスーパー、レストランやシンガポール航空(ビジネスクラス の機内食)などに供給しています。2∼3 年後には、シンガポール の野菜生産量の 5%にあたる 1,000t に増強し、30 種類以上の野 菜を育てる計画です。 また、今後は 1,000 ㎡=1 ユニットとして、外部への「野菜工 場システム」販売も手掛けるとのことです。 「野菜工場システム」 が世界に広まれば、季節・天候といった自然の制約に左右されず、 砂漠の真ん中や都市部でも新鮮な野菜が手に入る夢のような「地 産地消」社会が実現するかも知れません。 201604 広告審査済 スーパーの棚に並ぶ工場で生産された野菜
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