【整理番号41】 事後評価書(完了後の評価) 都道府県名 事業名 鹿児島県 関係市町村 海岸保全施設整備事業 漁港海岸名 (地区名) 薩摩川内市 侵食対策事業 ( テウチ 事業主体 手打漁港海岸 ) 鹿児島県 Ⅰ 基本事項 1.地区概要 名称 防護人口 地区の特徴 手打漁港海岸 390人 防護面積 11.7ha 当海岸は、鹿児島県の甑島列島の南部に位置し、太平洋に面した遠浅な海 岸である。背後は、小学校や市役所及び人家が建ち並び狭隘・高密度な集落 が形成されるとともに、主要なアクセス道である県道手打藺牟田港線が隣接 している。 2.事業概要 事業目的 工種 事業費 当海岸は、海岸侵食が進行していたため、背後集落や県道等の財産の消失 が懸念されるとともに、台風時には背後の県道や民地への浸水被害や護岸が 倒壊するなどの被害を受けていた。当事業では、侵食を防止するため、潜堤 や護岸を整備し、背後集落や県道等の財産の防護を図る。 潜堤L=500m、護岸L=433m 2,028百万円 事業期間 平成15年度~平成21年度 Ⅱ 点検項目 1.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化 本事業では、平成14年度に事前評価を実施し、経済効果の妥当性について評価行った。そ の際の分析の算定基礎となった家屋の資産額が増加しており、費用便益比率も平成15年の 1.47から1.60へと微増している。 2.事業効果の発現状況 事業実施以前は、砂浜の侵食が進んでいたが、本事業による潜堤や離岸堤の整備により侵 食が抑えられ、安定した砂浜が形成されており、背後集落の家屋や県道等が防護されてい る。また、現時点での費用対効果分析の結果は、1.60と1.0を上回っており、一定の効果発現 が見られる。 3.事業により整備された施設の管理状況 海岸管理者により、施設の変状について定期的に点検を実施している。 4.事業実施による環境の変化 潜堤の整備により、砂浜の侵食が防護され、砂浜が安定して形成されている。また、アク アスロン大会や海水浴等のレクリエーション機能が向上し地域活性化に大きく寄与してい る。 5.社会経済情勢の変化 薩摩川内市の人口は減少傾向にあるもの、背後地の家屋数は横ばいで推移している。 6.今後の課題 砂浜の状況についてモニタリングを行い、既存の潜堤、護岸については経年劣化に対する 維持管理を適切に行う必要がある。 7.事業の投資効果が十分見込まれたか 平成14年評価時の 費用便益比B/C 1.47 現時点の B/C 1.60 ※別紙「費用対効果分析 集計表」のとおり Ⅲ 総合評価 【整理番号41】 本事業は、波浪による砂浜の侵食や背後集落への浸水を防止するため、潜堤及び護岸の整備を 行うことにより、背後集落や道路等の財産を防護することを目的としたものである。貨幣化が可 能な効果について費用対効果分析を行ったところ、1.0を超えており、経済効果について確認さ れている。さらに、事業効果のうち貨幣化が困難な効果についても、体験学習・環境学習の場の 創出やレクリエーション機能の向上のような効果が認められる。 このように、本事業により、当初想定していた侵食が防止され、地域住民の財産や道路等の被 害防止が図られていることから、事業の一定効果の発現が認められた。 【整理番号41】 費用対効果分析集計表 1 基本情報 都道府県名 事業名 漁港海岸名 (地区名) 鹿児島県 海岸保全施設整備事業 (侵食対策事業) 手打漁港海岸 施設の耐用年数 50年 2 評価項目 評価項目 便益額(現在価値化) 浸水防護便益 便益の評価項 目及び便益額 侵食防止便益 千円 5,176,000 千円 海岸環境保全便益・海岸利用便益 千円 その他( ) 千円 計(総便益額) B 5,176,000 千円 総費用額(現在価値化) C 3,242,000 千円 費用便益比 B/C 1.60 3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果 体験学習・環境学習の場の創出やアクアスロン大会・海水浴等レクリエーション機能の向上の ような効果が認められる。 【整理番号41】 海岸保全施設整備事業 手打漁港海岸 事業概要図 潜堤 護岸 事業主体:鹿児島県 主要工事計画:潜堤 500m 護岸 433m 事業費:2,028百万円 事業期間:平成15年度~平成21年度 【整理番号 41】 手打漁港海岸の事業の効用に関する説明資料 1.手打漁港海岸の概要 (1) 地域:鹿児島県薩摩川内市下甑町手打地内 (2) 受益面積:11.7ha (3) 事業目的:当海岸は、海岸侵食が進行していたため、背後集落や県道等の財産の消失 が懸念されるとともに、台風時には背後の県道や民地への浸水被害や護岸 が倒壊するなどの被害を受けていた。当事業では、侵食を防止するため、 潜堤や護岸を整備し、背後集落や県道等の財産の防護を図る。 (4) 主要工事計画:潜堤 L=500m 護岸 L=433m (5) 事業費:2,028百万円 (6) 工期:平成15年度~平成21年度 2.総費用総便益比の算定 (1)総費用総便益比の総括 区 分 (単位:千円) 算定式 数値 ① 3,242,000 総費用(現在価値化) 評価(事業期間+50年) 総費用総便益比 ② 5,176,000 ③=②÷① 1.60 (2)総費用の総括 (2)総費用の総括 参照 (3)総便益額の総括 参照 (単位:千円) 施設名 当該事業費 維持管理費 総費用 (又は工種) ① ② ③=①+② 計 2,966,000 276,000 3,242,000 2,966,000 276,000 3,242,000 (3)総便益額の総括 区 効果項目 (単位:千円) 分 年総効果額 侵食防止便益 効 果 の 要 因 5,176,000 海岸侵食による土地消失や資産被害が防止・軽減される ことによる便益。 計 考 57年 総便益額(現在価値化) 潜堤、護岸 備 5,176,000 中分類 小分類 中分類 小分類 B=Σ(TBn) 費用合計 現在価格金額 年度合計 Bn(百万円) 割引率(4.0%) B=Σ(TBn) TBn=Bn×Rn Rn=1/(1.040) n (5)非常時・ 緊急時の対処 ⑦生命・財産保全・ 侵食防止便益 防護効果 大分類 n TBn=Bn×Rn Rn=1/(1.040) 効果・便益分類 現在価値合計 現在価値 年度合計 Bn(百万円) 割引率(4.0%) (5)非常時・ 緊急時の対処 ⑦生命・財産保全・ 侵食防止便益 防護効果 大分類 効果・便益分類 0 3,013 174 0.494 3,180 168 0.475 353 353 353 19 18 353 H46 2034 0 0 1.539 H45 2033 0 0 1.601 -11 -12 0 H16 2004 H15 2003 0 3,342 161 0.456 353 353 20 H47 2035 0 0 1.480 -10 H17 2005 0 3,497 155 0.439 353 353 21 H48 2036 0 0 1.423 -9 H18 2006 0 3,646 149 0.422 353 353 22 H49 2037 0 0 1.369 -8 H19 2007 0 3,789 143 0.406 353 353 23 H50 2038 0 0 1.316 -7 H20 2008 0 3,927 138 0.390 353 353 24 H51 2039 0 0 1.265 -6 H21 2009 1 1 4,025 98 0.375 260 260 25 H52 2040 1 1 1.217 -5 H22 2010 1 1 4,119 94 0.361 260 260 26 H53 2041 2 1 1.170 -4 H23 2011 1 1 4,209 90 0.347 260 260 27 H54 2042 2 1 1.125 -3 H24 2012 1 1 4,296 87 0.333 260 260 28 H55 2043 3 1 1.082 -2 H25 2013 1 1 4,379 83 0.321 260 260 29 H56 2044 4 1 1.040 -1 H26 2014 1 1 1 1 5 1 0.962 1 H28 2016 1 1 6 1 0.925 2 H29 2017 1 1 6 1 0.889 3 H30 2018 1 1 7 1 0.855 4 H31 2019 327 327 275 269 0.822 5 H32 2020 4,460 80 0.308 260 260 30 H57 2045 4,537 77 0.296 260 4,611 74 0.285 260 260 32 H59 2047 4,682 71 0.274 260 260 33 H60 2048 年 度 (年) 260 31 H58 2046 4,751 69 0.264 260 260 34 H61 2049 4,801 50 0.253 199 199 35 H62 2050 効 果 ・ 便 益 額 (百万円) 4 1 1.000 0 H27 2015 効 果 ・ 便 益 額 (百万円) 年 度 (年) 327 327 4,850 48 0.244 199 199 36 H63 2051 533 258 0.790 6 H33 2021 327 327 4,897 47 0.234 199 199 37 H64 2052 782 248 0.760 7 H34 2022 327 327 4,941 45 0.225 199 199 38 H65 2053 1,020 239 0.731 8 H35 2023 327 327 4,984 43 0.217 199 199 39 H66 2054 1,250 230 0.703 9 H36 2024 5,026 41 0.208 199 199 40 H67 2055 1,471 221 0.676 327 327 10 H37 2025 5,066 40 0.200 199 199 41 H68 2056 1,683 212 0.650 327 327 11 H38 2026 5,141 37 0.185 199 199 43 H70 2058 2,083 196 0.601 327 327 13 H40 2028 総便益額 5,104 38 0.193 199 199 42 H69 2057 1,887 204 0.625 327 327 12 H39 2027 5,176 35 0.178 199 199 44 H71 2059 2,272 189 0.577 327 327 14 H41 2029 45 H72 2060 2,468 196 0.555 353 353 15 H42 2030 47 H74 2062 2,838 181 0.513 353 353 17 H44 2032 5,176 百万円 46 H73 2061 2,657 189 0.534 353 353 16 H43 2031 5,176 5,176 11,400 11,400 計 【整理番号 41】 (4)総便益額算出表 【整理番号 41】 3.効果額の算定方法 (1)侵食防止便益 ○効果の考え方 侵食が予想される地域内の土地及び恒久的な施設である家屋、事業所、公共土木施設の 償却資産を評価し、被害額を勘案して被害軽減額を代替法により算定する。 ○対象施設 土地及び家屋、事業所、公共土木施設 ○年効果額算定式 資産被害額/50 ○年効果額の算定 表1-1 侵食による資産被害額(単位:千円) 項目 標準年間便益額 公共土木施設 212,012 土地 16,286 家屋等 125,155 合計 353,452 表1-2 公共土木施設資産被害額の算定結果(単位:千円) 公共土木施設 合計 一般資産被害額 被害額比率 ① ② 1,251,545 標準便益額(10年) 標準年間便益額 ①×②÷100 169.4% 2,120,117 1,251,545 2,120,117 212,012 ※被害額比率 治水経済調査マニュアル 一般資産被害額は、表1-6の家屋等資産被害額を用いた。 表1-3 土地資産被害額の算定結果(単位:千円) 種類 対象面積(㎡) 土地単価 資産被害額(10年) ① ② ①×② 宅地 14,270 10.0 142,700 農地 3,260 0.8 2,608 その他用地 3,510 5.0 17,550 合計 ※土地単価については、鹿児島県甑島支所資料を用いた。 162,858 標準年間便益額 16,286 【整理番号 41】 表1-4 家屋の評価額(単位:千円) 家屋1㎡当たりの評価額 1家屋当たり床面積 1家屋当たりの評価額 ① ② ①×② 家屋 155.1千円/㎡ 149㎡/戸 23,110千円/戸 ※家屋当たりの評価額については、治水経済調査マニュアル各種・資産評価額及びデフレ ーターH27.2を用いた。 1家屋当たり床面積については、鹿児島県甑島支所資料を用いた。 表1-5 資産別の評価額(単位:千円) 資産項目 評価額 家庭用品 14,007千円/世帯 農漁家償却・在庫資産 2,371千円/戸 事業所償却・在庫資産 15,861千円/事業所 ※資産別当たりの評価額については、治水経済調査マニュアル各種・資産評価額及びデフ レーターH27.2を用いた。 事業所評価額は,鹿児島県甑島支所資料を用いた。 表1-6 家屋等資産被害額の算定結果(単位:千円) 対象家屋等 評価額 標準便益費(10年) ① ② ①×② 標準年間便益費 資産項目 家屋 33 23,110 762,627 家庭用品 25 14,007 350,175 農漁家償却・在庫資産 5 2,371 11,855 事業所償却・在庫資産 8 15,861 126,888 合計 1,251,545 125,155 ※単位未満の数値を端数処理しているため、各項目の合計値等が一致しない場合がある。
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